第三者Side
【良い月だ……】
空が夜の『闇』に包まれるなか、東の草原で右目に傷を持つ
【行くぞ……
ウオォォーーーンッ!!
スキル『思念伝達』でそう宣言するその牙狼族…牙狼族のボスの言葉に草原に集結していた百匹以上の群れがそう遠吠えを上げる。
直後、群れはボスを筆頭にゴブリンの村へと一直線に駆けていく。
【奴らにはもう
そうして見えてきたゴブリンの村。だが、村はいつもとは違い、黒い丸太でできた柵で
【?スライム……?】
「一度しか言わない……今すぐ回れ右して立ち去るがいい!!」
【!?親父殿!“例のスライム”です!!】
スライム…リムルが警告するなか、以前、仲間の牙狼族と共にリムルから逃げ出した、額に星の模様がある牙狼族がそうボスに報告する。
【おまえの言う、『異様な
対するボスはそう言いながらリムルを観察する。
(下らん……どうみても、ただの
【スライム
ウオォォーーーンッ!!
ボスはそう言いながら、配下の牙狼族をリムルと柵へと向かわせる。
が、その手前で見えない『何か』に
【!?】
「スキル『
【貴様……っ!!】
『何か』について、そうタネ明かしをするリムルにボスが怒りの表情を浮かべるなか、仲間の血で位置を把握した『鋼糸』と上からの矢を突破した二頭の牙狼族が柵を飛び越え、ゴブリン達を襲おうとする。
スパァァァンッ!!
が、奥から飛び出してきた、両手をブレードに
「っ!!」
ズドォォォォォンッ!!
「「「「ギャウンッ!?」」」」
降り立った後、ルーミアは伸ばした髪の先を
【!?あれはまさか魔人!?何故、
【くっ……】
新たに現れたルーミアの姿に星模様のある牙狼族の隣にいる、額に満月のような模様がある雌の牙狼族がそう困惑の声を上げるなか、ボスは改めてリムルとルーミアを見据える。
(あの魔人の娘……まだ若いが、只者ではないな……っ!!)
ボスはルーミアの『危険性』を群れの
(こいつには勝てない……だが……っ!!)
ボスはそう思いながら視線をリムルに移す。
(せめて……
【矮小なスライムがぁ……捻り潰してくれるっ!!】
ボスはそう言いながらリムルに向かっていく。
【親父殿!!】
【父上!!】
息子と娘である星模様の牙狼族と満月模様の牙狼族がそう声を上げるなか、ボスは仲間の血で特定した『鋼糸』を自慢の爪と牙で切り裂きながらリムルに飛びかかる。
【!?】
が、ボスは空中で宙ぶらりんになって身動きが取れなくなる。
「『粘糸』さぁ……」
【貴様……っ!!】
そんななか、ルーミアが右手のブレードをボスの首もと目掛けて振り下ろす。
【親父殿!!】
【父上!!】
【ッ!!】
息子と娘がそう声を上げるなか、ボスは『死』を覚悟する。
ピタ……ッ!!
【【【!?】】】
が、ルーミアは寸止めする。
「……ここまでにしよう。素直に『負け』を認めてくれたら、命は取らない……」
【何故だ……何故、貴様程の魔人が矮小なスライムやゴブリン共の味方をする……っ!?】
「ゴブリン達は私達に忠誠を誓ってくれた。そして、貴方が『矮小』だと言ったスライム…リムルははっきり言って貴方より強い……」
【なんだと!?】
「リムル、
「おう。」
ズオオオオオッ!!
【【【!?】】】
リムルが解放した
【ば、バカな……】
「貴方の敗因はリムルやゴブリン達を矮小だと見下したこと……このまま続けるなら相手はするけど、貴方には死んだら哀しむ仲間が、子ども達がいるんでしょ?」
ルーミアは自分とボスのやりとりを心配した様子で見守っている息子と娘の方を見ながらそう言う。
【………我の……負けだ………】
「……リムル。」
「おう。」
ブレードの右手を元に戻しながらそう言うルーミアにそう答えながら、リムルは『粘糸』を解除してボスを解放した。
ルーミアSide
【父上!!】
「聞けっ!おまえ達のボスは敗北を認めたっ!!選ばせてやるっ!服従か、死かっ!!」
ボスを解放した直後、恐らく娘であろう満月模様のある雌の牙狼族がそう言いながら駆け寄るなか、リムルがそう牙狼族達に迫る。
………リムル?
【なんで選択肢に『逃げる』を入れないの?あの子達、逃げるに逃げれなくなっちゃったじゃん……】
【すまん……ノリでつい……】
ノリでついって……
私が思わず呆れるなか、リムルは近くにある、私が首チョンパした牙狼族の死骸を捕食する。
「……ユニークスキル『
ズオオオオオオオオオッ!!
【【!?】】
なんとなくリムルのやろうとしていることがわかった私はゴブリン達が巻き込まれないように咄嗟に『
その際、ボスと娘の二人も一緒にドーム内に入ったけど、気にしない。
【ククク……仕方ないな……】
その直後、リムルはそう言いながらボスよりも一回り程大きな牙狼族へと擬態する。
【我に従えぬというなら、この場から逃げることを許そうっ!!さぁ、行けっ!!】
ウオォォォォォォォーーーンッ!!
リムルはそう言いながら捕食した牙狼族から得たスキル『威圧』を使う。
その際、『
ザッ!!
【【【【我ら一同、貴方様方に忠誠を誓いますっ!!】】】】
が、直後、息子を含めた外の牙狼族達は一斉に伏せの姿勢になり、リムルとついでに私に忠誠を誓う。
【……ゑ?】
リムル……
「かっ、勝ったのですか……?」
「……そうみたい……」
サァァァ……
戸惑いながらそう尋ねてくる村長にそう答えながら、『
ワァァァーッ!!
【……父上……】
【………】
ゴブリン達が歓声を上げるなか、私は牙狼族の娘とボスの視線に気付かなかった。