転生したらルーミアだった!?   作:デスゴッド

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繋がる点と点

依代になっていたフォビオから暴風大妖渦(カリュブディス)を分離させる。

 

それは言う程簡単じゃない。

 

何故なら分離させると元は精神生命体である暴風大妖渦は逃げてしまうから。

 

そうなればまた別の場所で依代を得て、暴風大妖渦は復活する。

 

けど、『変質者』と『暴食者(グラトニー)』を持つリムルなら分離させた側から捕食することが可能だ。

 

「けど、今回の暴風大妖渦の魔核にはエフィメラの『闇』が宿ってやがる……そのまま喰えば、耐性のない俺が『闇』に侵食される可能性がある……」

 

「そこで耐性のある私が先ず『荒神』でエフィメラの『闇』を吸収する。」

 

「頼んだぞ。ルーミア……」

 

「任せて。」

 

リムルとそう話しながら、眠るフォビオの胸で脈動している大きな腫瘍…暴風大妖渦の『本体』ともいえる魔核に両手を翳す。

 

「ユニークスキル『荒神』。」

 

シュウウウ……

 

次の瞬間、魔核から赤黒い妖気(オーラ)…エフィメラの『闇』を吸収していく。

 

『あ。今、吸収した『闇』から暴風大妖渦に関するスキルが取得できたよ。魔核に関しても複製ができるみたい。』

 

皆が固唾を飲んで見守るなか、『人造全智存在(マザー)』がそう報告してくる。

 

魔核の複製か……今後次第で使えるかな……

 

「っとエフィメラの『闇』を吸収しきったよ。」

 

「わかった。後は俺と『大賢者』が……『変質者』と『暴食者(グラトニー)』を並列起動。『大賢者』はスキルの制御に回れ。手術は俺がやる!!」

 

〈了。〉

 

その後、少し時間はかかったけど、リムルは無事にフォビオから暴風大妖渦の魔核を引き剥がし捕食する。

 

「ど、どうなのだ?」

 

「あぁ、成功したよ……」

 

「紅丸。」

 

「ハッ!!」

 

私が呼び掛けに応じた紅丸はすぐさまフォビオに『完全回復薬(フルポーション)』をかけて回復させる。

 

「うっ……ここは……?」

 

「よう。」

 

「自分がしたこと、覚えてる?」

 

「っ!?すまんっ!いや、すみませんでしたっ!!」ガバッ!!

 

リムルと私がそう声をかけると、フォビオはすぐさまその場で土下座しながら謝罪する。

 

どうやら本人もしでかした事の大きさは理解してくれているみたい。

 

「今回のことは俺の一存でしたこと。魔王カリオン様は関係ないんだ。だから、俺の命で許してほしい……」

 

うーん……本気で謝ってくれるのは良いんだけど……

 

「ここでおまえを殺したら、何のために助けたかわからなくなるだろ。」

 

「それより、こっちの質問に全部正直に答えて。」

 

「先ずはトレイニーさんから。」

 

「何故、貴方は暴風大妖渦の封印の場所を知っていたのですか?」

 

リムルがそう声をかけると、途中から合流していたトレイニーさんがフォビオにそう尋ねる。

 

彼処(あそこ)は勇者から託された我々、樹妖精(ドライアド)しか知らぬ場所………」

 

「偶然、見つけた。などとは言わせませんよ。」

 

「……教えられた。妙な仮面を着けた二人の道化に……」

 

「?仮面の道化?」

 

「……その仮面というのはこういったものですか?」

 

フォビオが口にした『仮面の道化』に首を傾げるなか、トレイニーさんが木の枝で地面に片目でウィンクする絵を描きながらそう尋ねる。

 

「いや。俺の前に現れたのは涙目の仮面の少女と、『怒ったような仮面を着けた太った男』だった……」

 

「!?怒りの仮面に太った男……?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

フォビオが答えた二人の道化の内の一人の特徴に紅丸や鬼人達が反応する。

 

そういえば、紅丸達の里を滅ぼしたオーク達を先導していたのはゲルミュッドとは別の仮面を着けた魔人だって言ってたけど、もしかして……

 

「……父王。」

 

「……怒りの仮面に太った男……かつて元豚頭族(われら)を先導し、大鬼族(オーガ)の里を襲わせたゲルミュッドの配下の魔人が確かそのような特徴をしておりました……」

 

私がそう思っているなか、ゲルドと乙事主も真剣な表情で話し始める。

 

「名は『フットマン』。元は『中庸道化連』という組織の者で何でも屋だとか……」

 

「あぁ、それだ。その中庸道化連とかいう道化(ピエロ)共が俺を暴風大妖渦の封印の場所に案内して、こう囁いてきたんだ。『暴風大妖渦をその身に宿せば、“力”が手に入る』、『魔王にだってなれる』と……」

 

まぁ、確かに“力”だけ見れば、魔王クラスはあったね。

 

「んん?」

 

「?ガビル?」

 

「どうかした?」

 

「トレイニー殿が描いたその絵、我輩の前に現れたゲルミュッドの使者で『ラプラス』と名乗る道化が同じ仮面を着けておりましたぞ。」

 

「!?それ、本当!?」

 

「はい。確かこのような仮面にこんな頭巾を被っておりましたな。」

 

ガビルはそう言いながら、トレイニーさんが描いた絵に爪で頭巾の絵を付け足す。

 

それを見てトレイニーさんも自分が戦争中に見かけた魔人と同一人物だと確信したのか、納得した表情を浮かべる。

 

「なるほど……ラプラスというのですね。あの仮面の魔人は……」

 

「フットマンね……その名、覚えておくとしよう。」

 

「えぇ。お兄様。」

 

「……乙事主。かつての貴方の強化に使われたエフィメラはゲルミュッドが用意したんだよね?」

 

「ハッ。ゲルミュッドは如何にしてエフィメラを調達していたのかはわかりませんが……」

 

「フォビオ。今回、貴方が使ったエフィメラはもしかしてその道化達から?」

 

「あ、あぁ……俺の“力”を一時的に増幅させるもので暴風大妖渦をこの身に宿して従えるのに役に立つ筈だと聞かされて……」

 

「なるほど……」

 

豚頭帝(オークロード)の件と今回の件……点と点が繋がったな……」

 

「だね。最初の豚頭帝(オークロード)の件は計画を立案したゲルミュッドが黒幕だと思ってたけど、実際は今回、フォビオを唆した中庸道化連っていう怪しい何でも屋な道化(ピエロ)達だったって訳だ……」

 

リムルとそう話しながら、二人でミリムの方を見る。

 

「む?ワタシは何も知らないぞ。寧ろそんな面白そうな連中がいるって知ってたら、会ってみたかったのだ。」

 

「……だよなぁ……」

 

「ミリムはそういう子だもんね……」

 

暗躍とかするタイプじゃないもんね。

 

「あ。でも、もしかしたら……」

 

「「ん?」」

 

「『クレイマン』の奴が何か企んでおったのかも……」

 

「クレイマン?」

 

「前に聞いた魔王クレイマンのこと?」

 

「うむっ!あやつはそういう悪巧みが大好きな魔王なのだ!!」

 

「なるほど……その魔王クレイマンと中庸道化連が繋がっている可能性が高いってことか……」

 

「そして、エフィメラとも……」

 

もし、『あの男』がこの世界にいてエフィメラを生み出しているのなら、魔王クレイマンや中庸道化連と組んでいてもおかしくない……

 

「……もしかしたら、フォビオを依代に復活させた暴風大妖渦がミリムに挑んで敗北するのも計算の内だったのかも……」

 

「はぁ?負けることまで計算ずくだったんじゃ復活させた意味がないだろ。」

 

「……結局は制御(コントロール)が難しい暴風大妖渦をフォビオとミリムを使って(てい)よく処分できたことでクレイマンは何らかの利益を得たかもしれないってことだよ。」

 

「何らかの利益って何だよ?」

 

「さぁ?けど、いくら悪巧みが大好きでエフィメラによる強化もあったからって暴風大妖渦がミリムに勝てると本気で思ってたとは思えないんだよね。」

 

寧ろミリムに敗北することを前提に計画を建ててたように思える……本気でミリムを倒す気でいたなら、エフィメラ以外にも何らかの細工をしていたと思うし。

 

「誰の思惑で乗せられたにしても、今回の件は俺一人の責任だ。魔王カリオン様は関係ない。だから、俺一人の命で許してほしい。この通りだ。」

 

そんななか、フォビオはそう懇願しながら再度土下座する。

 

うーん……本気の謝罪の気持ちも伝わるし、魔王カリオンに対する忠誠心も本物なんだろうけど……

 

「………」チラッ

 

「……これからは怪しい奴に騙されないようにしろよ。」

 

「え?」

 

「もう帰って良いよ。」

 

「いやいや!俺は赦されないだろ!?特に貴女に対して俺は!!」

 

「まぁ、確かに殺意マシマシで殺されかけたけど、私も危うく殺しかけたし。そこはお互い様ということで。」

 

「どうも真犯人に利用されてたみたいだしな。幸い人的被害もないし。」

 

「ミリムもそれで良い?」

 

「うむ!一発殴ろうと思っていたが許してやるのだ!!」

 

一発殴る気でいたのか……ミリムらしいけど……

 

「……そこで隠れて見ている人(・・・・・・・・・・・)もそれで良いですか?」

 

「え?」

 

「やはり、ルーミアは気付いておったか……カリオン(・・・・)もそれで良いな?」

 

……ザッ……

 

「……ミリムが気付いてたのはわかっていたが、そっちの嬢ちゃんにも気付かれてたとはな……」

 

私とミリムがそう言った次の瞬間、物陰からガタイが良く胸元をはだけさせた、野性味のある金髪の大柄な男…魔王カリオンがそう言いながら現れた。

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