第三者Side
翌日、リムルとルーミアは生き残ったゴブリン達と牙狼族を村の中央に集めていた。
【野性味のある大所帯になったな……】
【言っとくけど、半分はリムルのせいだからね?】
【うっ……わかってるよ……】
「ふぅ……とりあえず貴方達はこれからはゴブリンと牙狼族でペアで行動してもらおうかと思ってるんだけど……」
「ぺ?」
【ア?】
ジト目の“念話”でリムルにそう言った後、ルーミアが言った『ペア』という単語にゴブリン達と牙狼族は首を傾げる。
「『ペア』というのは二人一組って意味だ。」
「常に二人一組で行動していれば、互いの欠点を補える上に互いに助け合えるでしょ?」
「なるほど……」
「それで、今からそのペアを決めようと思うんだけど……」
「……おまえらって名前がないのか?」
「ありませぬな。魔物は別に名前がなくとも、意思の疎通ができますので……」
「そうか……」
「でも、ないと私達が困るよね?」
「だな。なら、俺達が名前を付けてやろうか?」
「よろしいのですか!?」
そう言うリムルの言葉にそう言う村長を始めとするゴブリン達と牙狼族は嬉しそうにする。
【そんなに名前が欲しかったのか……】
【自分で付ければいいのにね。】
【とりあえず俺が雄の名付けを担当するから、ルーミアは雌の方を頼む。】
【了解。】
「それじゃあ、まずは雄のゴブリンは俺の前に並んでくれ。」
「雌のゴブリンは私の前に並んでね。」
そうしてリムルの前に村長や息子である赤バンダナゴブリンを先頭にした雄のゴブリンが、ルーミアの前には雌のゴブリン達が列を作って並ぶ。
「それじゃあ、村長は前にいたっていう『リグル』の父親だから『リグルド』。」
「おぉっ!ありがとうございますっ!!」
「おまえは亡き兄の意志を継ぎ、『リグル』と名乗れ。」
「はいっ!ありがとうございますっ!!」
リムルがそう名付けした瞬間、村長改めリグルドと赤バンダナゴブリン改めリグルは僅かに輝きながら返事する。
「おまえは―――『ゴブタ』、『ゴブチ』、『ゴブツ』……」
「貴女は―――『ハルナ』……」
その後、リムルとルーミアは手分けしてゴブリン達に名付けしていく。
「―――おまえは『ゴブゾウ』……」
「ふぅ……」
「お疲れ様です。ルーミア様、お水です。」
リムルより先に名付けが終わって丸株に座って休んでいるルーミアに対し、最初に名付けした雌のゴブリン、ハルナはそう言いながら水の入ったコップを差し出す。
「あぁ、ありがとう。ハルナ。」
【ルーミア様……】
「ん?」
受け取った水を飲みながら休んでいるルーミアに対し、牙狼族のボスが娘を伴いながら近付いてくる。
「貴方は確か、牙狼族のボス、いや、
【……元長です……】
「ん?」
【父上は昨夜、長の座を群れの中で唯一リムル様の危険性に気付いていた弟に譲りました。】
「そうなんだ……それで、私に何か用?」
【……お願いがございます……】
「お願い?」
【我とここにいる娘を貴女様の直属の配下にして頂きたいのです……】
ボス、否、元ボスはそう言いながら娘と共に頭を下げる。
「?私で良いの?」
【無論です。あれだけの数のゴブリンの名付けを平然と行なっているリムル様も素晴らしいお方だと思いますが、我らは貴女様に仕えたいのです……】
【お願いいたします。】
「ふぅーん……じゃあ、貴方達にも名前を付けてあげるよ。」
【【よろしいのですか!?】】
「うん。息子さんもリムルから名前を貰うみたいだし。」
【ありがとうございますっ!!】
【ありがたき幸せ!!】
「それじゃあ、元ボスの貴方は『
【
「娘の貴女は『
【はっ!ありがとうございますっ!!】
ルーミアSide
「!?リムル様!?」
【我が主!?】
「ん?」
元ボス改め絶狼と娘改め影狼に名付けをした直後、そう言うリグルドと絶狼の息子の声に振り向くと、リムルが真ん丸ボディからべちょっとした状態になっていた。
「リムル!?どうしたの!!?」
『あぁ~、これは体内の魔素量が一定値を割り切ったから、強制的に
〈尚、完全回復にかかる時間は3日後です。〉
突然のリムルの異変に困惑の声を上げるなか、『
魔素量が一定値を割り切った?なんで……まさか……
【もしかして、名付けが原因?】
『だねぇ~。』
〈是。〉
マジか……
でも、3日くらいで完全回復するなら、別に気にしなくていいか……
「る、ルーミア様……リムル様は……」
「あぁ、3日くらいで完全回復するから大丈夫。今は休ませてあげて。」
「そうですか……リムル様をすぐに
【我が運ぼう。】
「貴方は元ボスの息子さんだっけ?」
【はい。『
「そうなんだ。よろしくね。嵐牙。」
【はっ!よろしくお願いいたします!ルーミア様!!】
「因みに貴方のお父さんは『絶狼』、お姉さんは『影狼』の名前を貰って、私の直属になったから。」
【ははっ!父と姉のことをよろしくお願いいたします!!】
嵐牙はそう言うや否やリムルを自分の頭の上に乗せ、リグルドとリグルの家へと運んでいく。
「……っと……」
【ルーミア様!!】
直後、ふらついた私の身体を影狼が咄嗟に支える。
「ごめん……私も疲れたみたいだから影狼、家まで運んでくれる?」
【はっ!!】
【頼んだぞ。】
【はい。父上……】
そうして私は影狼に家まで運んでもらった。