転生したらルーミアだった!?   作:デスゴッド

139 / 152
救われる魂➁

「いい?彼処で精霊に呼び掛ければ良いのよ。」

 

頂上付近まで登った後、ラミリスが中央部分を指差しながらそう説明してくれる。

 

「何て呼び掛ければ良いんだ?」

 

「何でも良いのよ。『助けて~』でも『遊ぼう』でもね。」

 

「そんなんで良いの?」

 

「良いの良いの。興味を持った精霊がやって来てくれたら成功なんだから。」

 

「来てくれるかな……」

 

ラミリスの説明を聞いて、リョウタ君が不安そうな表情を浮かべる。

 

「おっ!?」

 

「来てくれるさっ!!」

 

そんなリョウタ君の背中を、ケンヤ君が叩いて励ます。

 

「う………うんっ!!」

 

「先生!シズ先生!来てくれるよねっ!?」

 

「来てくれる?」

 

「安心しろ。いざという時は悪魔でもなんでも従えてやる。」

 

「リムル……」

 

「あんた、邪悪な笑顔してるわよ……」

 

「あはは……」

 

ケンヤ君とクロエちゃんにニヒルな笑みでそう言うリムルに私が呆れ、ラミリスがツッコミを入れるなか、シズさんは苦笑いを浮かべる。

 

シズさんによく似た顔でその笑みはやめて。マジで。

 

「さて、じゃあ誰から行く?」

 

「じゃあ、僕が……」

 

リムルが改めてそう尋ねると、年長者であるゲイル君がそう名乗りを上げる。

 

「先生。僕に何かあったら、彼奴らのこと頼みます。」

 

震えながらそう言うゲイル君の肩にリムルは優しく手を乗せて落ち着かせる。

 

「さぁ、どんなのが出るか楽しみだね♪」

 

前に出たラミリスがそう言うなか、ゲイル君は歩きだし中央に立つ。

 

「それじゃあ……祈ります。」

 

ゲイル君はそう言いながらその場で跪き、祈り始める。

 

パァァァ

 

暫くすると、たくさんの光がゲイル君の周りに降り注いでくる。

 

「!あれは……」

 

「上位精霊じゃないけど、たくさんの下位精霊が来たみたい……属性は『地』かな……」

 

「ふぅーん……やっぱりわかるのね。あんたも。その通りだよ。でも、いくらたくさん来ても自我のない下位精霊(あの子達)じゃ膨大な魔力の制御は難しいわね。」

 

「……今のまま(・・・・)ならね……」

 

「?」

 

そんななか、リムルが『暴食者(グラトニー)』でゲイル君の周りにいる下位精霊達を補食する。

 

「なっ!?食べた!?彼奴、なんてことしてんのよ!!?」

 

「黙って見てて。リムルのことだから、考えがあっての行動の筈だから……」

 

『へぇー、一度補食した下位精霊達を『変質者(ウツロウモノ)』で統合。更に以前(まえ)に補食したイフリートの人格データを基に擬似的な人格データを造り出すなんてね……なかなか面白いことをするなぁ……』

 

慌てるラミリスにそう言うなか、『人造全智存在(マザー)』がそう解析してくれる。

 

作業自体は『大賢者』さんがやってくれてるんだろうけど、人格形成は私と『人造全智存在(マザー)』がやってる『闇魔創造(ダークネスクリエイト)』を参考にしたってところかな。

 

私がそう思いながら見ているなか、リムルは騎士のような疑似上位精霊を形成。そのままゲイル君に統合させる。

 

……魔素の暴走が完全に止まっている……成功したみたいだね。

 

「おしっ!もう大丈夫だっ!!」

 

「……え?」

 

「体内の魔素が安定している……成功だよ。」

 

「ルーミアの言う通りだ……頑張ったな。ゲイル。」

 

「せ、先生……っ!!」

 

「やったな!ゲイル!!」

 

「おめでとう!!」

 

「「バンザーイ!!」」

 

「よかった……っ!!」

 

安堵しきった表情でそう言いながら涙を浮かべるゲイル君に他の子ども達が祝福の言葉を贈るなか、シズさんも安堵の涙を浮かべながらそう言う。

 

「(パンッ!!)はい。安心するのはまだ早い。」

 

「だな。おまえ達全員が助かるのが先だ。」

 

「次は私ね!!」

 

私とリムルがそう言うと、アリスちゃんが二人目に名乗りを上げる。

 

「……なんでお姫様抱っこ?」

 

「だってこの道、怖いんだもの。」

 

「おんぶじゃダメなのか?」

 

「ダメッ!!」

 

リムルとそんなやりとりをしながら、中央まで無事に移動したアリスちゃんは祈りを捧げ、ゲイル君と同様にたくさんの下位精霊が降り注いでくる。

 

流石に二人目となれば慣れたのか、リムルは迷いなく補食し統合させる。

 

「………」

 

そんな様子をラミリスは複雑な表情で見守っている。 

 

気持ちはわかるけど、我慢してね。

 

そうしてリムルは今度はケット・シーのような疑似上位精霊を形成し、アリスちゃんに統合させる。

 

「よしっ!もう大丈夫だぞ。」

 

「ッ!!」

 

リムルがそう言うと、アリスちゃんはリムルに抱きつくや否や頬にキスをする。

 

「……特別だからね。」

 

アリスちゃんはそう言いながら、笑顔の駆け足で皆と合流する。マセてるね。

 

「………」

 

三人目はケンヤ君。緊張してるのか、ちょっと不機嫌気味?

 

「大丈夫か?」

 

「へ、平気だって!!」

 

ケンヤ君がリムルにそう言いながら祈ろうとした瞬間、

 

パァァァ

 

「「あ?」」

 

周囲に光が溢れ出す。

 

「……まだ祈りを捧げてないのに……」

 

「ルーミアちゃん。何かわかる?」

 

「どうやら今度は上位精霊が来たみたいだね。」

 

しかも、この感じは……

 

「いよーっ♪はじめまして。

オイラは光の上位精霊だよ♪」

 

次の瞬間、光が集まり中から黄色い髪の陽気で小さな少年のような精霊…光の上位精霊がそう言いながら現れる。

 

なんか軽そう……

 

「あっ…あーっ!?ちょっとあんた、なに人の家に勝手に来てんのさっ!!?」

 

「だって『勇者』の資質を感じたんだもーん♪」

 

「!それってつまりケンヤ君に『勇者』の素質があるってこと?」

 

軽く憤慨しながらそう言うラミリスを軽くあしらっている光の上位精霊に対し、私は首を傾げながらそう尋ねる。

 

「そうだよぉー。っていうかそう言う君は受肉して魔人としての肉体を得ているみたいだけど、闇の精霊だよね?オイラと対になる存在が近くにいるなんて驚いたよぉ~。」

 

「……なぁ。光の上位精霊はレオンと契約したって言ってなかったか?」

 

対する光の上位精霊がそう言うなか、リムルがそうラミリスに尋ねる。

 

「……そうだけど。そいつはレオンちゃんが契約したのと同じだけど、違うのよ。」

 

「そう。オイラは同じ光の上位精霊だけど、ケンちゃんの資質に反応して来た別の存在なのさ。」

 

「……どういうことだ?ルーミア。」

 

「うーん……私の感じたままを言うなら、根っこが同じなだけで(・・・・・・・・・・)、『()としては別なんだよ(・・・・・・・・・)。」

 

強いて言うなら、一部の記憶を共有した兄弟みたいな?

 

「なるほどな……」

 

「それで、その子に“力”を貸してあげて欲しいんだけど……」

 

「良いよん♪もしかしたら、ケンちゃんも『勇者』になるかもしれないからね♪成長するまではオイラが保護するよ♪」

 

うーん……素直に協力してくれるのは嬉しいけど……軽い……

 

「じゃね♪」

 

光の上位精霊はそう言うと、ヒュルンとケンヤ君の頭の中に入って宿る。

 

「……先生?」

 

「お、おうっ。大丈夫!計画通りだっ!!」

 

「本当かよぉ……」

 

ウソです。

 

その後の四人目のリョウタ君はゲイル君とアリスちゃんの時と同じく自我のない下位精霊がたくさん来たけど、リムルが補食して水龍のような疑似上位精霊に統合。手際よくリョウタ君に統合させる。

 

「先生。重くない?」

 

「軽いよ。」

 

お姫様抱っこ再び。リムルは最後のクロエちゃんとそう話しながら、中央へと運んでいく。

 

「先生。あのね……あのね。」

 

「うん?」

 

「……だーい好き♪」

 

「俺も好きだよ。」

 

教師としてね。

 

「此処でお祈りすれば良いの?」

 

「おう。そうだぞ。」

 

「じゃあ、お祈りするね。」

 

「……(ボソッ)後、10年経ってから言ってくれたらなぁ……」

 

「リムル?」

 

「リムルさん?」

 

「い、いや!違うぞっ!!疚しいことは一切考えてないからなっ!?」

 

ズン……ッ!!

 

「「「「!?」」」」

 

突如、上空からとてつもないプレッシャーが辺りを包み込む。

 

「クロエ!!」

 

「クロエちゃんっ!!」

 

明らかな異常事態にリムルとほぼ同時にクロエちゃんに呼び掛ける。

 

「え……?」

 

パァァァ

 

【………】

 

呆けた声で振り返るクロエちゃんの背後に白いワンピースに白いヴェールを被った、半透明な黒髪の女性が出現する。

 

見たところ、もの凄いエネルギーを秘めた精神体(スピリチュアルボディー)みたいだけど、明らかに上位精霊じゃない……というかこの感じ……まさか、時空に干渉している……っ!?

 

私がそう思っているなか、半透明な女性はリムルの方へと向かっていく。

 

「リムルッ!?」

 

「リムルさんっ!?」

 

「!?」

 

【………】

 

次の瞬間、半透明な女性はリムルに口づけするかのように通り過ぎ、そのまま私とシズさんの前まで飛んできたかと思えば、私達を見て微笑む。

 

「!?」

 

「!?貴女は……っ!?」

 

その微笑みに私が目を見開くなか、シズさんもそう困惑の声を上げながら固まってしまう。

 

なに?この懐かしい感じ(・・・・・・)は……

 

「やらせないよっ!あんたの好きにはさせないっ!!何もせずに自分の時代(・・・・・)に帰りなっ!!」

 

私がそう思っているなか、ラミリスがそう言いながら、半透明な女性に攻撃を仕掛ける。

 

【………】

 

が、半透明な女性はその攻撃を軽々とかわしながら、クロエちゃんに憑依するかのように入り込む。

 

「!?クロエに……宿った?」

 

「シズさん……さっきの女性と面識が?」

 

「……断定はできないけど昔、私を助けてくれた『勇者』に似ている気はしたよ……」

 

「!?『勇者』と……」

 

「ラミリス。今のは何だったんだ?」

 

「わっかんないっ!!精霊じゃないのは確かだけど、アタシも初めての経験よっ!!」

 

先程の半透明な女性のことについて、そう尋ねるリムルに対し、ラミリスは頭を抱えながらそう言う。

 

「わかることはアレは未来から来た(・・・・・・・・・)ってことだけ。その子に宿ることで自分の土壌を作った?」

 

やっぱり未来から存在だったんだ……でも、謎が多い……何故、未来から来た存在が大昔にシズさんを助けた『勇者』に似ていたのか、何故、このタイミングで現れ、クロエちゃんに宿ったのか……何故、私が懐かしいと感じた(・・・・・・・・・・)のか……私はシズさんを助けた『勇者』とも面識がない筈なのに……

 

「………」

 

「よくわからんが、少なくともクロエの魔素が安定している……今はそのことを喜ぼう。」

 

「え?」

 

そう。リムルの言う通り、クロエちゃんの魔素が安定し、さっきまで辺りを包み込んでいたプレッシャーも完全に消えている。

 

「……寛容な精霊女王のおかげだ。」

 

「ありがとう。」

 

「「「「ありがとうございますっ!!」」」」

 

「ありがとう。ラミリスさん。」

 

「感謝します。ラミリス様。」

 

【我も感謝するっ!!】

 

「ば、ばっかぁ~。お礼なんか良いってぇ~っ!!」

 

子ども達やシズさん、影狼や嵐牙からの感謝の言葉にラミリスは顔を真っ赤にしながら、照れ隠しなのか飛び回る。

 

「………」

 

「大丈夫か?ルーミア。」

 

「あ、うん……大丈夫だよ……」

 

さっきの女性……もしかしたら、ヒナタ=サカグチと同じように失われた私の記憶の手掛かりなのかも……

 

リムルにそう答えながら、私は密かにそう思った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。