「ビーストノーム!!」
「グオオオォォォーーーッ!!」
ドカァァァァァンッ!!
「「ぐわあああぁぁぁっ!?」」
ドカァァァァァンッ!!
ゲイル君の呼び掛けに答えたビーストノームが襲いかかってきた五人の盗賊の内の二人を殴り飛ばし、殴り飛ばされた二人は壁に激突しながら気絶する。
「フッ!!」
シュパッ!シュパパッ!!
「へっ!そんなの当たるかよっ!!」
リョウタ君は通常の矢と風の魔法の矢を連射し、何故か頭にネジが刺さってるスキンヘッドの男は身軽な動きでそれらをかわす。
「!?どわああああっ!?」
が、直後に縦横無尽に飛び回る複数のクナイが襲いかかり、男は情けない悲鳴を上げながら逃げ惑う。
あれは確か
ザクッ!!
「ぎゃあああっ!?」
私がそう思っている間に一本のクナイが足に刺さり、男が怯んだ隙を突いて服の端をクナイで刺す形で壁に縫い付けられる。
「まだ躍り足りない……“かしら”?」
「へ、へへ……もういい……“かしら”?」
直後、『人形使役者』で操っている複数のクナイを自分の前で刃先を男に向けた状態で観覧車のように回転させながら不敵な笑みでそう言うアリスちゃんに対し、男は渇いた笑みでそう言う。
「じゃあ、トドメですね。」
「ちょっ、まっ!?」
シュパァァァンッ!!
男の声を無視したリョウタ君はそう風の魔法矢を放つ。
「あああああああ……あんっ♥️」ガクッ
次の瞬間、魔法矢は男の頭のネジを掠り、勢いよくネジを締められた男は恍惚の表情で気絶する。ってどういうことだよ。
「オラァァァッ!!」
「ッ!!」
ドカァァァンッ!!
「へっへっへっ……!!」
「何処だ!?」
が、小軽な体型のクロエちゃんに逆に土煙を目隠しに利用され、あっさりと見失う。
「………」ニコニコ
「!そこかぁっ!!」
徐々に晴れてきた土煙の中から立ち上がりながら笑顔で手を振るクロエちゃんを見つけた僧侶風の男はそう言いながら向かっていく。
ズブブ……ッ!!
「!?」
が、クロエちゃんの目の前まで足を踏み入れた瞬間、まるで底無し沼にでも入ったかのように両足が沈んでいく。
「なんだ?地面がぬかるんで……っ!?」
「上手いね。敵が土煙で見失っている隙に地面に魔力を流して、敵の動きを封じる泥濘の罠を作ってる。」
「クロエちゃんは私が担任をしていた時は魔法の扱いが上手かったからね。」
「?おい。何してんだ……?」
私とシズさんが密かにそう話しているなか、全身鎧の男はそう言いながら、クロエちゃんの仕掛けた泥濘の罠に嵌まった僧侶風の男に近寄る。
「ば、バカ!来んじゃねぇっ!!」
「(ズブブ……ッ!!)!?なんだ?地面がぬかるんで……っ!?」
「それ、さっき、俺が言った!!」
「聞いてねぇよっ!!」
「……アホなのかな?」
「あはは……」
いや、まぁ、当日は確実に複数の教師や伯爵家の騎士とかも唯一の出入口付近で待機しているであろう洞窟で誘拐を企てた時点で成功する見込みは低かっただろうけど……
「………」
「「あ。」」
「グオオオォォォーーーッ!!」
「「ぎゃああああああああああああっ!!?」」
ドカァァァァァンッ!!
次の瞬間、泥濘に嵌まった二人にビーストノームが拳を振り下ろす。
「やった!!」
「良いぞっ!ビーストノーム!!」
「「」」ブクブク
一瞬押し潰したかと思ったけど、拳は開いていたようでその拳の中で二人の男は泡吹いて気絶している。
「………」
「おらぁぁぁぁぁっ!!」
「くっ!!」
ガキキキキキキキキキキィィィンッ!!
クロエちゃん達が盗賊達を物ともせずに倒していく姿にティス先生が唖然としているなか、ケンヤ君は黒兵衛印の剣で頭に猛攻を仕掛け、頭は防戦一方になる。
「くっ……この……ガキがっ!!」
「!?」
ガキィィィンッ!!
頭としての意地なのか、頭はそう言いながら剣を振るってケンヤ君を吹き飛ばす。
その際、朱菜が
「へぇ……やるじゃん。」
「ケンちゃん!油断しないで!!」
「任せろって!!」
「嘗めんなよ。ガキが……伊達に盗賊の頭やってんじゃねぇんだぜ!!」
「!?」
ガキィィィンッ!!
ズバァァァンッ!!
「ぐはっ!?」
頭はそう言いながらケンヤ君の剣を弾き、がら空きになったお腹に一閃を浴びせる。
「『ヒーリング』!!」
パァァァ……
が、クロエちゃんがすかさず回復魔法を使い、傷を治癒する。
「なぁっ!?」
「サンキュー!クロっち!!」
「回復魔法だと!?お、おまえら、手を……っ!!」
頭は辺りを見渡すも奥に行った一人を除く仲間達は全員倒され、縄で捕縛されている。
「情けない奴らめぇっ!!」
「私達は英雄、シズエ=イザワの教え子だもん!
盗賊なんかに負けないんだから!!」
「後はおまえだけだ!!」
「………」
クロエちゃんやケンヤ君の言葉にシズさんは嬉しそうに微笑む。
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「くぅぅぅ……っ!?」
ガキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキィィィンッ!!
次の瞬間、ケンヤ君の猛攻が更に勢いを増し、頭は徐々に傷を負っていく。
「おらぁぁぁぁぁっ!!」
ズバァァァンッ!!
遂にはケンヤ君に剣を握っていた右腕を斬り落とされる。
「この……ガキが……良いだろう……負けを認めようじゃねぇか……っ!!」
「へっ!!」
「「「「やったぁっ!!」」」」
「くっ……」ガクッ!!
頭は膝を着きながら懐に残った左手を突っ込む。
「……なんてな!!」
「?ポーション?」
頭がそう言いながら取り出したポーションを傷口に振り掛けた瞬間、まるで蜥蜴の尻尾のように新たな右腕が生えてくる。
まさか、
「ガハハハハハハハッ!!形勢逆転だなぁっ!!」
私がそう思いながら首を傾げるなか、頭はそろ言って嗤いながら生えてきた新しい右腕で剣を拾い、切っ先をクロエちゃん達に向ける。
「「「「「………」」」」」
「?あれ?」
が、そこに先程まで自分と剣を交えていたケンヤ君の姿がないことに気付き、思わずそう間抜けな声を上げる。
「あのガキ、何処」
ガァンッ!!
「に"ぃっ!?」
ドサッ!!
次の瞬間、いつの間にか背後に回っていたケンヤ君に剣の腹で殴られ気絶する。
「大人は汚いことをするってリムル先生から散々叩き込まれてるんだよ!!」
「シズ先生と違って、リムル先生はちょっと汚い所があるんだよね。」
「ちょっと処じゃないわよ。」
「「「「「あはははははははっ!!」」」」」
「……一体子ども達に何を教えてたの?リムル……」
「あはは……」
盗賊達を倒した後、そんなことを話しながら笑い合っている子ども達を見て私がそう言いながら呆れているなか、シズさんは苦笑いを浮かべる。
「後は保安隊に連絡しましょう。」
「!」
「!グルル……ッ!!」
その後、頭も他の盗賊達と同じ場所で縛りつけた後、ティス先生がそう言うなか、私とほぼ同じタイミングで異様な気配を察した、小鳥サイズになったビーストノームが威嚇し始める。
「?どうした?ビーストノーム。」
「「「「「?」」」」」
「これは一体どういうことですか?」
「あ、あれ?」
そんなビーストノームの様子にゲイル君や子ども達、ティス先生が首を傾げるなか、奥から二人の男が出てくる。
一人は眼鏡を掛けた初老の執事、もう一人は最初に頭の指示に従って奥に行っていた魔法使いだった。
「ゲスダーさん!無事だったんですね!!」
ティス先生は笑顔でそう言いながら執事…ゲスダーに歩み寄ろうとする。
が、ケンヤ君とリョウタ君が手を出して制する。
「え?」
「違う……執事じゃない……っ!!」
「それ処か人間じゃない……っ!!」
「え?……え"っ!?」
二人の言葉にティス先生だけでなく、いつの間にか目を覚ました頭がそう困惑の声を上げる。
そう。ここ最近、いつの間にかインプットされつつある『闇の精霊』としての感覚と知識が警告と共に告げてくる……
「……妖魔。」
「おまえ、妖魔だな!!」
私が真剣な表情で睨みながらそう言うなか、ケンヤ君はゲスダーを指差しながらそう言う。
「え!?」
「え"ぇっ!?」
「ほぅ……まさか、私の正体を見破る者がいるとはねぇ……っ!!」
ティス先生と頭がそう困惑の声を上げるなか、正体を看破されたゲスダー、否、妖魔はそう言いながら
「あ、あががが……っ!?」
「「「「「ッ!!」」」」」
そんな妖魔の変化に頭がびびり散らかしているなか、子ども達は武器を構え直す。
「やる気のようですねぇ……」
対する妖魔もそう言いながら、鋭く伸びた爪を構える。
「では、参りますよ。」