わいわい……がやがや……
「どうぞ。リムル様……」
その日の夜、町全体が宴会モードになるなか、町一番の料理人になりつつある
「おう。ありがとうな。」
対するリムルはそう言いながら一串手に取り、食べる。
ゴブイチを始めとする周りのゴブリン達は緊張した面持ちでその様子を見守る。
「……うっっっんまぁぁぁぁいっ!!」
ワァァァーッ!!
「美味いよ!ゴブイチ君!!」
そう言いながら浮かべるリムルの満面の笑みに周りが歓声を上げるなか、笑顔でそう言って褒めるリムルの言葉にゴブイチは照れくさそうにしている。
「
そんなバカな……っ!?」
そんななか、私やシズさん、リグルドと一緒にオーガの若様から事情を聞いていたカイジンさんがそう困惑の声を上げる。
「事実だ。武装した数千の豚共の襲撃を受け、里は蹂躙し尽くされた……三百人いた同胞は俺を含め僅か七人……」
「信じられん……あり得るのか?そんなこと……」
「わかりません……」
「でも、明らかに異常だよね。それ……」
「えぇ……」
「そんなにおかしいことなんスか?」モグモグ
「………」モグモグ
「あ。ゴブタにリーニエ。」
カイジンさんやリグルド、シズさんと一緒に真剣な表情でそう言うなか、何故か林檎を食べているリーニエ同伴のゴブタが骨付き肉を食べながら混ざってくる。
「当然だ。オークとオーガじゃそもそもの強さのケタが違う。格下のオークが仕掛けること自体あり得んことだし、ましてや全滅させるなど」
「全滅ではない。
「……すまん。」
「その里を襲ったオーク達は武装してたんだよね?どんな武装だったの?」
「……大抵は鎧を着込んでいた。
人間が着るような
「
「そんな高級品、オーク共が自力で用意できる筈がねぇ……」
「え~と……つまりはどういうことッスか?」
「(シャク)……オークに支援している者がいる……」
「リーニエ殿の言う通りだ。豚共の中に奴らを先導する仮面を着けた魔人がいたんだ。」
「仮面を着けた魔人……」
「あれは上位魔人だ。間違いない。」
なるほど……
「その魔人が着けていた仮面と、私がリムルさんに託した『抗魔の仮面』と見間違えたのね……」
「あぁ、今ははっきりと違うとわかっているが……」
そう言うシズさんに対し、若様は寂しげな表情で仲間達と一緒になって盛り上がっているゴブリン達を見ながらそう答える。
「なるほどね……それは悔しいよな……」
「あ。リムル。」
「リムルさん、お肉はもういいの?」
「ちょいと食休み……それにしても、おまえの妹、凄いな……」
「あぁ、確かに……薬草や香草に詳しいし、あっという間にゴブリナ達と仲良くなったもんね。」
「……箱入りだったからな。頼りにされるのが嬉しいんだろう。」
ゴブリナ達の中心にいる巫女姫さんを見ながらそう言うリムルと私に対し、若様は誇らしげにそう言う。
「で、おまえらはこれからどうするんだ?」
「?どうとは?」
「今後の方針だよ。」
「再起を図るにしよ、他の地に移り住むにしよ、仲間の命運は貴方の采配次第でしょ?」
「……知れたこと。“力”を蓄え、再度挑むまで……」
「アテあるの?」
「………」
ちょっと。そこで目を反らさないでよ。
【これ……完全にノープランだよね?】
【だよな……ちょっと提案してみるか。】
「一つ提案なんだがおまえら、俺達の部下になる気はないか?」
「は?部下にだと?」
「って言ってもこちらが支払うのは衣食住の保証のみだけどな。」
「あ。確かに……拠点があった方がオーガ達にとっても良いよね。」
「しかし、それでは俺達の復讐にこの町を巻き込んでしまうことに……」
「別におまえらの為だけじゃねぇよ。」
「さっきも言ったけど、数千のオークが武装して攻めてくるなんて明らかな異常事態……だよね?リグルド。」
「ハッ。
「だから、こっちとしても戦力は多い方が助かる。」
「勿論、貴方達が戦う時は私達も一緒に戦うし、絶対に見捨てたりしない。」
第三者Side
「なるほど………悪いが、少し考えさせてくれ……」
「おう。じっくり考えてくれ。」
「大事なことだからね。」
オーガの若はそう言いながらリムル達と別れ、一旦森の中へと入る。
「悪い話ではない……」
その直後、青髪の青年オーガが話しかけてくる。
「だが、決めるのはおまえだ。我らはおまえと姫様に従う。」
「………」
そう言う青髪青年オーガの言葉を背に若は更に奥へと歩んでいく。
「ッ!!」
ドカッ!!
そんななか、若は苦虫を噛み潰したような表情で近くの木を殴りつける。
「……俺にもっと“力”があれば……っ!!」
ルーミアSide
翌日、私とリムルの天幕にオーガの若様が入ってくる。
「決まったか?」
「……契約は
「あぁ、その後は自由に決めてくれ。」
「町に残るなら歓迎するし、何処かに旅立つならそれなりの旅支度の支援はするよ。」
「そうか………」
リムルと私の言葉に若様はそう言いながら一息吐く。
「
若様はそう言いながら片膝を着く。
「昨晩の申し出、
【……彼の気持ちにもう少し配慮すべきだったね……】
【あぁ……これは自分の不甲斐なさを呑んだ、一族の頭としての決断だ。】
【なら、私達が彼らにしてあげられることは……】
【あぁ……】
私と“念話”でそう話しながら、リムルは人型に擬態する。
私達が
「生き残っているオーガ達をここに呼んでくれ。」
彼らの決意を後悔のないものにしてあげることだけだ……
「全員に私達の配下となった
次の瞬間、私は真剣な表情でそう言った。