カカカカカカカカカカカカカカカァァァンッ!!
紅丸達七人の鬼人が仲間になってから暫くした頃、ルーミアは今、ゴブタを始めとする警備隊のゴブリン達やリーニエの戦闘訓練の指南役を務めることになった白老を相手に木刀で何度も打ち合っている。
「フッ!!」
そんななか、白老が突きを放ってくる。
「………」
「ムッ!!」
が、その刹那、ルーミアの姿が消え、白老の突きが空振りに終わる。
そんな白老に
「フッ!!」
「ッ!!」
が、それより先に白老が振り向きながら、ルーミアの脇を狙って木刀を振るう。
カァァァンッ!!
「……ほぅ……」
「ッ……」
が、ルーミアは咄嗟に木刀から離した右手の甲で受け止める。
シュウウウ……ッ!!
その時のルーミアの右手には
「ッ!!」
ルーミアはそのまま左手で握ったままの木刀で打ちかかる。
「おっと……」
「ッ……」
が、白老はしなやかな動きで回り込むようにしながらかわす。
「くっ……」
対するルーミアはそのまま前転するように転がりながら距離を取り、すぐさま体制を整えながら木刀を構え直す。
「うむ……お見事ですな。ルーミア様。スキルで腕を剣に変え、更には属性を付与した
そんなルーミアに対し、白老は構えを解きながら笑顔でそう言った。
ルーミアSide
「白老の教え方が良かったんだよ。おかげでまた少し強くなれた気がする……」
「ほっほっ。そう言われると照れるものですな。」
「凄いです!ルーミア様!!あの白老を相手にここまでやり合えるなんて!!私は未だに一発も拳を叩き込めたことないのに!!」
構えを解きながらそう言う私に白老が笑顔でそう返すなか、護衛役として側にいた萃香は興奮した様子でそう言ってくる。
「オーガだった時もそうじゃが、お主は力が大きい分、動きが単調過ぎるんじゃよ。」
「うっ……」
そういえば、私やオークとの戦いの時もそんな感じだったよね……
「さて、それではそろそろあ奴らの訓練に戻るとするかの……」
「うげっ!?」
「!」
私がそう思っているなか、そう言いながら自分達の方を見る白老に、地べたに腰を下ろしてちゃっかり休みながら観戦していたゴブタを始めとするゴブリン達は顔が青ざめ、同じように観戦していたリーニエはやる気に満ちた表情を浮かべる。
「そうだね。引き続き彼らの訓練、よろしくね。白老。」
「お任せを。ルーミア様……」
そんなゴブタやリーニエ達を
「ん?」
そんななか、視界の端にリムルと紅丸がなにやら話しているのが目に入る。
「なに話してるの?リムル。紅丸。」
「お。ルーミア。白老との稽古は終わったのか?」
「一応ね。で、何の話?」
「いえ、今回のオークの件、『
「オークロード?」
なにそれ?
「数百年に一度現れると云われる
「ユニーク……リムルみたいなものか……」
「おい。なんでそこで俺の名前が出る。」
「いや、だって……ねぇ?紅丸。萃香。」
「は、はぁ……」
「そうです……ね……」
「おい。」
目を反らしながらそう言う二人に対し、リムルはジト目で見ながらそう言う。
いやいや。私も大概だけど、あんたみたいなスキルが豊富で防御力もバカ堅い、おまけになんでも『喰べちゃう』スライムなんて他にいてたまるか。
「ま、まぁ、それはともかく、
「なるほど……」
感情すらも『喰べる』のなら、恐怖心はおろか罪悪感も道徳心も『喰べてしまえる』のなら、それだけで決して自分に逆らわない、『忠実な軍隊』を作り出せてしまう。
もし、『喰べられる』味方の感情の数に際限がないのだとするなら……
「……数千じゃ済まないかも……」
「ルーミア?」
「まぁ、可能性でいや非常に低い話です。」
「ふぅーん……他に心当たりとかないの?」
「?心当たりと言いますと?」
「里を襲われる理由。誰かに恨まれていたとか……」
「確かに……そこのところ、どうなんだ?紅丸。」
「そうですね……襲撃される少し前、ある魔人が里に来て、『名をやろう』と言ってきたんです。俺を含め里の皆全員が突っぱねたら、『こんな里、滅んじまえっ!!』と悪態を吐いて帰っていきましたが……」
「そいつから恨みを買っているかもしれないってことか?」
「仕方ありませんよ。
主に見合わなきゃ、こっちだって御免だ。」
「なるほど……そいつの名前って覚えてる?」
「え~と、何て言ったっけ?
「『ゲルミュッド』だ。」
「おぉ、そいつだ。」
私からの問いに紅丸が思い出そうとしているなか、蒼影がそう言いながら忍者の如く現れる。
【リムル。『ゲルミュッド』って確か……】
【あぁ、リグルの兄貴に名付けした奴の名前だよな……】
「リムル様。ルーミア様。ご報告がございます。」
「どうした?蒼影。」
「もしかして、もう他のオークが来たの?」
「いえ。オークではなくリザードマンの一行を目撃しました。」
「?リザードマンが?」
「はい。シス湖周辺の湿地帯を縄張りとしている彼らがこんな所まで来るのは異常なので取り急ぎご報告をと……」
「そいつらは何してたの?」
「周辺のゴブリン村で交渉しているようでした。
この町にも
「そうか……どう思う?ルーミア。」
「今までの情報から察するに
「その見立てで間違いないかと……」
「
「そうだね……」
そうなるとこっちも戦力を更に強化した方が良さそうだね。
『それならさ。『
なるほど……じゃあ、『この人達』は?
『うん……良い人選だと思うよ。』
じゃあ、リーニエの時と同じように人格とかの調整、お願いして良い?
『まっかせてぇ~♪』
よしっ。それじゃあ……
「四人とも、ちょっと離れてて。」
「「「?」」」
「?何するんだ?ルーミア。」
「オークとの戦いに備えて、新たな仲間を生み出す。」
紅丸と蒼影と萃香の三人が首を傾げるなか、そう尋ねるリムルに対し、私はそう言いながら両手を前に突きだす。
「ユニークスキル『
ズズズ……ッ!!
「「!?」」
私がそう言った瞬間、両手から『闇』が放出される。
右手からの『闇』は黒髪のオールバックに左目に
左手からの『闇』は黒地に赤雲が描かれた
「お、おい。こいつらって……」
「『キング・ブラッドレイ』。『
パァァァ……
リムルが冷や汗を流しながらそう言うなか、私はそう名付けをしてオールバックの軍人、ブラッドレイと外套の男性、鬼鮫の存在を安定させる。
「むぅ……ここは……?」
「私は一体……?」
「HappyBirthday。気分はどう?ブラッドレイ。鬼鮫。」
「君は……そうか。君が“複製体”とはいえ、我々をこの世界に生み出してくれたルーミア君か。」
「あぁ、貴女が……“複製体”とはいえ、私に再び生を与えてくれてありがとうございます。」
存在を安定させた後、そう話しかける私に対し、ブラッドレイと鬼鮫はそう言う。
そう。リーニエも含めて、私が『
「ちょっ、ルーミア!おまえ、ブラッドレイと干柿鬼鮫まで生み出せるのかよ!?」
「私の中にある漫画やアニメの知識と『
因みに種族はブラッドレイは『
鬼鮫は『
「それで気分はどうかな?二人とも。」
「ふむ……問題はない。複製体である私が言うのもなんだが、まるで全盛期に戻った気分だ。」
「私も問題はないですね。まぁ、種族が『
「あはは……」
鬼鮫の言葉に苦笑いを浮かべる。
それは……ごめん。私のスキルじゃ『人間』として生み出してあげることはできないんだ。
「まぁ、問題がないならいいや……鬼鮫はそこにいる蒼影と組んで、オークやリザードマンの情報を探って。」
「わかりました。」
私がそう指示を出すと、鬼鮫はそう言いながら一瞬で蒼影の隣に移動する。
「ルーミアさんからの指示で貴方と組むことになった干柿鬼鮫です。よろしくお願いしますね。蒼影さん。」
「ふむ……こちらとしても貴殿のような実力者と組めるのは心強い。よろしく頼む。」
二人は軽くそう言葉を交わすや否や颯爽とその場から消える。
「ブラッドレイはそこにいる白老と一緒にゴブタやリーニエ達を鍛えてあげて。戦場で生き残れるように徹底的に。」
「え"っ!?」
「ほぅ……これはなかなか……鍛えがいのありそうな若者が揃っておるな……」
私の言葉にリーニエ以外のゴブタ達が青ざめるなか、ブラッドレイはそう言いながら白老に歩み寄る。
「ルーミア君からの頼みで私も指導に参加しても良いかな?それとできれば、白老殿とも手合わせをお願いしたい。」
「ほっほっ。儂もルーミア様の生み出したお主の実力を知りたいからの。
「それはありがたい。では、始めようか……」
「そうですのぉ……」
白老とブラッドレイはそう話しながらゴブタ達へと向かう。
鬼と軍人のコーチコンビ誕生の瞬間である。