第三者Side
「リムル様とルーミア様達が出立されてから一週間……皆、ご無事だろうか……」
「そう心配することはなかろう。リグルド殿。
白老殿達も付いているのだから……」
「だな……萃香やゴブタも強くなっている……そう簡単にやられはしないだろうよ。」
「ブラッドレイ殿、ピッコロ殿……そうですな……」
魔王ゲルドとの戦いが終結した翌日の早朝、リムルとルーミア達の町ではリグルドとブラッドレイ、ピッコロの三人がそう話しながら見回っていた。
「元気そうだな。リグルド。」
「ブラッドレイとピッコロも町の防衛、お疲れ様。」
「!?リムル様!?ルーミア様!?」
「ほぅ……どうやら決着は着いたようだな。
ルーミア君。」
「まぁね……」
「
いつの間にか戻ってきていたリムルとルーミアにリグルドとブラッドレイがそう言うなか、ピッコロがそう尋ねる。
「『影移動』でついさっきな。」
「
「なんと!それでは早速宴会を……」
「いや。宴会は一ヶ月後くらいで良い。」
「皆が心配していると思って報告しに戻ってきただけで、またすぐに戻らなきゃいけないんだ。ちょっとやらなきゃいけないことがあって……」
「なんと!?」
「ふむ……戦争の後にやるべきこと……差し詰め戦後処理のための話し合いかな?」
「流石ブラッドレイ。その通りだよ。」
「という訳だから朱菜や黒兵衛、カイジン達にも伝えておいてくれ。」
「これから忙しくなるだろうから。」
「ハッ!!」
「それじゃあ、」
「行ってきます。」
「行ってらっしゃいませっ!!」
「どうなるかわからんが、頑張りたまえ。
ルーミア君、リムル君。」
「ふんっ。精々相手に嘗められないようにな。」
リグルドとブラッドレイ、ピッコロの三人からの言葉を背にリムルとルーミアは『影移動』を使って、その場から消えた。
ルーミアSide
戦後処理のための話し合いをする広場にて、一応議長である私とリムルの他に鬼人達とシズさん、絶狼と影狼。
因みにガビルさんは一族のためとはいえ首領さんを幽閉した反逆罪で投獄されたみたい。
まぁ、それはともかく……
【ねぇ。リムル。オーク達が今にも死にそうな顔をしているんだけど……】
【『
そう考えると改めて『
支配下にある者の感情すら『食べて』しまう『
【……なんともいえない気持ちになるね……】
【だな……】
胸の中で私とも『
きっと私の中に移したゲルドもこの状況に胸を締めつけられているんだろうなぁ……
「え~、俺もルーミアもこういう会議は初めてで苦手なんだ。」
私がそう思っているなか、スライム態になって私の膝の上にいるリムルがそう言って切り出す。
「だから、思ったことだけ言う。
その後で皆で話し合って検討してほしい。」
リムルはそう言うと、私の方を見上げる。
「……最初に言っておくけど、私とリムルは
「「「!?」」」
「故郷を滅ぼされた鬼人達や被害を受けた
「
リムルと私はそう言いながら、魔王ゲルドの中で見たものを皆に伝える。
「なるほど……大飢饉。それにゲルミュッドなる魔人の存在ですか……」
「勿論、だからといって侵略行為が許される訳はない。」
「だけど、今の話からわかる通り、
「………」
「まっ、これらはあくまで建前なんだけどな。」
「建前?では、本音をお聞きしても?」
私とリムルの本音について、首領さんは首を傾げながらそう尋ねてくる。
「……
「私は
だから、文句は私達に言ってほしい。」
「!?お、お待ち頂きたい!!
いくらなんでもそれでは道理が……っ!!」
リムルと私の言葉に黒フードのオークはそう言いながら立ち上がる。
「それが魔王ゲルドとの約束なんだ。」
「ッ……」
が、私の言葉に押し黙ってしまう。
「なるほど……しかし、そのお答えは少々
まぁ、簡単には受け入れてくれないことはわかっている。けど、私の中にいるゲルドのためにも、ここは引けない。
「……魔物には種族関係なく共通する唯一不変の
そんななか、紅丸がそう言いながら一歩前に出る。
「『弱肉強食』。立ち向かった時点で皆、覚悟は出来ていた筈だ。」
「!?そなたは蒼影殿と同じ鬼人か!『弱肉強食』……確かにその通りですな。これ以上駄々を捏ねては
「良いのか?」
「元よりこの
【あら素直。】
【人間相手じゃこうはいかなかったね。】
「しかし、それはそれとして……一つ、どうしても確認したいことが……」
首領さんはそう言いながら、オーク達を見据える。
「
「確かにな……戦争で数が減ったとはいえ、オークの数は13万はいる……」
「それでリムルと話してたんだけど、皆で協力するというのはどうかな?」
「協力、と申しますと?」
首領さんからの問いにリムルは続きを促すように私を見上げてくる。
「……夢物語のように聞こえるかもしれないけど、森に住む各種族間で大同盟を結べたら良いなと思ってる……」
「大同盟……」
「オーク達には一先ず各地に散ってもらって、その土地で労働力を提供してほしい。」
「「「!?」」」
私の言葉にオーク達が驚愕した表情を浮かべる。
「見返りに我らは彼らに食糧と住む場所を提供するということですかな?」
「そういうこと。」
「住む家なんかの技術支援はうちの町の職人に頼む。」
「あ。勿論、タダじゃないよ。私達も
「技術を身に付けたら、そのうち自分達の町を作ればいい。各地に散った者達とも一緒に暮らせるようになるだろう。」
「最終的には『多種族共生国家』とかできたら良いなぁ♪」
「………」
「わ、我々がその同盟に参加してもよろしいのでしょうか?」
そんななか、オーク達がおずおずとそう尋ねてくる。
「しっかり働けよ?」
「サボりはダメだからね?」
「「「ははっ!!」」」
「勿論……勿論ですっ!命懸けで働かせて頂きますっ!!」
「我らも異論ありません……是非協力させて頂きたい。」
「トレイニーさんもそれで良い?」
「よろしいでしょう。それでしたら私の守護する
トレイニーさんの言葉にオーク達は涙を流している。
私の胸の中も先程までの切なく辛い感情はなくなり、温かい気持ちで満たされているのがわかる。
良かったね、ゲルド……
「それでは『森の管理者』である私、トレイニーがここに宣誓します。リムル様、ルーミア様の両名を森の新たな盟主とし、その名の下に『ジュラの森大同盟』は成立致しました。」
ファッ!?盟主!?リムルと私がっ!?トレイニーさんじゃなくてっ!!?
私がそう思いながら困惑しているなか、トレイニーさんを含めた全員が私とリムルに向かって跪いている。
よく見ると、シズさんまで跪いているし……
【これ……やるしかない感じ?】
【だな……】
「あぁ~、そういう訳なんで……」
「皆、よろしくね?」
「「「ハハァッ!!」」」
こうして『ジュラの森大同盟』は成立し、私とリムルがその盟主となってしまった。