「来てやったぞ!!リムル!ルーミア!!」
「……二日前の同盟を結んだ翌日にお帰りになったばかりですよね?」
「今度は何の用なんだよ?しかも一人で……」
同盟を結んでから二日後、今度は一人で来たガゼル王に私とリムルは思わずツッコミを入れる。
「今日はおまえ達に土産を持ってきたんだ。」
ドサッ!!
対するガゼル王はそう言いながら、担いでいた
「ベスターじゃねぇかっ!?」
「うぅ~……」ブクブク
そう。ガゼル王が持ってきたのは麻袋に入れられたベスター。
その見た目からして無理やり連れてこられたのは明白っていうか泡吹いて気絶してるけど、大丈夫!?
「有能なこいつを遊ばせておくのは勿体無くてな。かといって、再び俺に仕えるのを許す訳にもいかん。好きに使うと良い。」
あ。
「しかし、王よ。それではベスター殿の技術が
「一番最初に流出していった奴が今更何を言う?」
私がそう思っているなか、そう言うカイジンさんに対し、ガゼル王は呆れながらそう言う。
あぁ、そういえば、カイジンさんは元は工作部隊の団長を任される程の技術者だったっけ……
「そ、それは……」
「そのための盟約よ。」
「あぁ、なるほど……
「その通りだ。ルーミアはわかっておる。」
「う……うぅ……」
そんななか、ベスターさんが目を覚ます。
「ベスターよ。」
「!?は、はいっ!!」
「貴様の本分を活かし、腐ることなくここで精一杯に生きてみせよ。」
「ッ……ハッ。今度こそ……今度こそ、ご期待に応えてご覧にみせます……っ!!」
ベスターさんはそう言った後、私とリムル、カイジンさんに向き直る。
「リムル殿、ルーミア嬢、カイジン殿………すまなかった……許されるなら、ここで働かせてもらえないだろうか……」
「……優秀な技術者が来てくれるのは心強いってもんだ。旦那、姐さん。何かあれば、俺が責任を取ります。ここは俺の顔に免じて、こいつを許してやっちゃくれませんか?」
「カイジン殿………」
「カイジンが良いなら、俺達は問題ないよ。」
「これからよろしくお願いしますね。
ベスターさん。」
「ハハァッ!!」
「では、さらばだっ!!」
ガゼル王はそう言いながらペガサスに跨がり、
「さてと………何やってんだ?おまえら。」
「ハッ!?」
「あ。ガビルさん。」
そんななか、いつの間にか住人達に混ざっていたガビルさん達に対し、リムルは怪訝な表情でそう言う。
「お、おほんっ!お久しぶりであります!ルーミア様!!不肖ながらこのガビル、貴女様の騎士になるべく馳せ参じましたぞ!!」
「では、斬りますね。」
「あぁ!?いやいやいやいや!!?」
「待って。紫苑。ガビルさん達をスカウトしたのは私だから。騎士にするかどうかは別として……」
「どういうことだ?ルーミア。」
そう言いながら紫苑を止める私に対し、リムルはそう尋ねる。
「実はね―――」
対する私はそう言いながら、ガビルさん達を引き取ることになった経緯について、説明する。
「なるほど……つまり、親父さんに勘当されたこいつがここに来るように話を着けていたと……なんで教えてくれなかったんだよ?」
「ごめん。ここ最近、乙事主の復活やら町の建設計画やらで忙しかったから忘れてた……それはリムルも同じでしょ?」
「まぁ、確かに忙しかったな……」
「必ずや貴女様方のお役に立ててみせますので、どうか我輩達を配下に加えて下さいませっ!!」
「何卒!!」
「お願いします!!」
リムルと私がそう話しているなか、ガビルさんと配下のリザードマン達が土下座しながら懇願してくる。
「兄は反省しておられるのです。」
「償いの機会をお与え下さい。」
そんななか、奥の方から親衛隊長さんと副隊長さんがそう言いながら立ち上がる。
「親衛隊長と副隊長まで……?」
「あ。私達は兄上と違って、勘当された訳ではありませんよ。」
「ルーミア様から名を賜った首領の統率は100年は揺るがないでしょう。見聞を広めよと私達を送り出してくれたのです。」
「なにっ!?おまえ達も我輩を慕って付いてきてくれたのでは……」
「「違います。」」
「ガーンッ!?」
「私、兄上のことを尊敬してはいますよ。ですが、それ以上に蒼影様に憧れておりまして……」
「私もガビル様のことを兄同然に慕っておりますがその……鬼鮫様の方が……」
親衛隊長さんと副隊長さんの言葉にガビルさんがショックを受けているなか、二人は顔を赤らめながらそう言う。
っていうかちょっと待って。親衛隊長さんが蒼影に惚れるのはまだわかるけど、副隊長さんの鬼鮫に対する反応はマジ?二人の間に何があったの!?
私がそう思いながらプチパニックを起こしているなか、ガビルさんが親衛隊長さんと副隊長さんの二人を相手にちょっとした言い合いを始める。
「……ルーミア。」
「……なに?」
「……こいつらはおまえが拾ってきたようなものだから、おまえが面倒みろ。」
「……わかった……」
という訳で名付け開始。
「それじゃあ、先ずは親衛隊長さんと副隊長さん、その部下の皆さんから名付けしますね。」
「「「「「「お願いします。」」」」」」
私がそう言うと、親衛隊長さんと副隊長さん、その下にいる四人のリザードマン達の六人はそう言いながら、私の周りで跪く。
「それじゃあ、親衛隊長さんから『
「ありがとうございます。」
「「「「「ありがとうございます!!」」」」」
「………」ジィー
「……あのぅ……そんな羨ましそうに見ないでほしいんですけど……」
「は、はぁ……」
「貴方には既に『ガビル』という名前があるんだからッ!?」
「お?おぉ……っ!?」
なんか私の魔素がごっそり減ったんですけど!?
ガビルさんが輝いているんですけど!!?
『あらー……名付け親だったゲルミュッドが死んでいるからか、どうやら名前の上書きができるみたい……』
「……マジ?」
「あ、ありがとうございます!!
我輩、一生貴女様に付いていきますっ!!」
「う、うん……よろしく……」
その後、ガビルさん、いや、ガビルの部下達にも名付けをした翌日、ガビル達は
見た目は
「俺達の配下に加えろと?」
「好きに使って良いんですか?」
「あぁ。」
「二人の好きなように鍛えてあげて。」
「わかりました。」
「リムル様とルーミア様の望みのままに。」
「一生懸命働きます!!」
「何卒よろしくお願いします!!」
人間に近い姿に進化した蒼華や海華達六人は『
一方でガビル達にはヴェルドラの洞窟で
湿度が高いから
「ガビル。」
「調子はどうだ?」
「これはルーミア様!リムル様!!順調ですぞ!我輩の努力の成果をご覧あれ!!」
「どれどれ……」
ガビルがそう言いながら見せる植木鉢で育っていたのは……
「雑草じゃねぇかっ!!」
ドカァァァンッ!!
「ぐはぁっ!?」
植木鉢の中身を見たリムルはスライム体で体当たりしながらそう言う。
「あはは……」
まさかの雑草……ってん……?
「なんと!このガビル、功を焦っておりました……っ!!」
「たくっ……この高濃度の魔素の中で雑草を育てる方が難しいだろ……」
「………」
「?ルーミア?どうかしたか?」
「あぁ、いや、何も……ちょっと先にベスターさんの所へ行っててくれないかな?」
「?わかった……」
そうしてリムルは先にベスターさんの研究部屋へと向かう。
「ガビル。ちょっとお願いがあるんだけど……」
「?」
「いやぁ……なんだかんだ落ち着いてきたなぁ……」
「そうだねぇ……」
「お疲れ様。二人とも。」
「お茶をお持ちしました。」
ベスターさんの研究の様子見も済ませた後、互いにそう言いながらリムルの家の縁側で
「おぉ……ありがとう。シズさん、朱菜。」
「(ズズッ)あぁ~……美味しい……」
こんな平和が続くと良いなぁ……
と思っていた私は、いや、私達はまだ気付いてなかった……
文字通りの『天災』が迫ってきていることに……
元は
親衛隊にいた頃から情報の扱いが得意分野でよく機密情報等は暗号化させて保管したりと情報の収集と整理を仕事としていた。
蒼華達と共に中央都市リムルに移住した後もその腕前は上司となった蒼影と鬼鮫は勿論、リムルとルーミアも目を見張る程のもので蒼影達が収集した情報の整理を任されるようになった。
戦闘が苦手という訳でもなく、リザードマンだった時は剣を、ドラゴニュートに進化してからはリストブレードといった暗器を武器に戦うようになる。
また、自分を助けてくれた鬼鮫への憧れからスキル『水遁』と敵から魔素を吸収するスキル『
荒々しい戦いをしながらも何処か紳士的な振る舞いを見せる鬼鮫に惚れており、部下になってからは行き過ぎない程度には積極的にアピールしている。