転生したらルーミアだった!?   作:デスゴッド

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魔王達の暗躍

第三者Side

 

時を遡り、魔国(ジュラ・テンペスト)連邦国とドワルゴンの同盟が成立した頃、『十大魔王』が一柱であり災禍級(ディザスター)の魔王、『人形傀儡師(マリオネットマスター)』クレイマンが治める『傀儡国ジスタ―ヴ』にて、クレイマン本人を含めた四人の魔王が城の応接間に集結していた。

 

「ゲルミュッドの野郎は急ぎすぎたな。計画の言い出しっぺが出張って返り討ちに遭うなんざ世話のねぇこった。」

 

金髪で胸元を開けた大柄な体格の男…『十大魔王』が一柱にして『獣王国ユーラザニア』の獣王、『獅子王(ビーストマスター)』カリオンは呆れた様子でそう呟く。

危険度は災禍級(ディザスター)

 

「まったくなのだっ!!

フレイだってそう思うだろっ!?」

 

そんなカリオンの呟きにプラチナピンクの髪に露出の高い服装の少女…『十大魔王』が一柱にして天災級(カタストロフィ)の魔王、『破壊の暴君(デストロイ)』ミリム=ナーヴァはぷんすか怒りながらそう言って同意を求める。

 

「あのねぇ……ミリム。私が貴女達の計画とやらを知る訳がないでしょ?」

 

同意を求められた肩までの銀髪にミリムとは別路線で露出の高い有翼族(ハーピィ)の女性…『十大魔王』が一柱にして『天翼国フルブロジア』の女王、『天空女王(スカイクイーン)』フレイは呆れながらそう言う。危険度は災禍級(ディザスター)

 

「む。そうか?」

 

「つうかよ、なんでここにいるんだよ?フレイ。」

 

「それは私が知りたいくらいだわ。ミリムに面白いから来いと無理やり連れてこられたのよ。私は忙しいと断ったんだけどね……」

 

怪訝な表情でそう尋ねるカリオンに対し、フレイはしれっとそう答える。

 

「いいのかよ?クレイマン。」

 

「……まぁ、良いでしょう。今更です。」パチンッ!!

 

クレイマンがそう言いながら指パッチンした瞬間、応接間のテーブルの中央に四つの水晶が出現する。

 

「一先ず計画は頓挫した訳ですが、少々軌道を修正してやればまだチャンスがあります……まずはこちらをご覧下さい。」

 

「なんだこりゃ?」

 

「ゲルミュッドからの置き土産です。」

 

「む?なんなのだ?こいつら……」

 

「鬼人?」

 

「『ジュラの大森林』から湿地帯にかけての戦いの記録です。豚頭帝(オークロード)以外にも面白い者共が映っているでしょう?」

 

クレイマンがそう言うなか、水晶には紅丸や絶狼達が映し出される。

 

「おぉっ!!」

 

ミリムは水晶に映し出されたリムルとルーミアに興味を示す。

 

が、直後に映像が途切れる。

 

「ゲルミュッドが死んだせいでこれ以降の展開は不明ですが、これ程の強者(つわもの)達が相手となると豚頭帝(オークロード)は倒されたとみるべきでしょうね。」

 

「生き残ってた場合、彼らを餌に豚頭帝(オークロード)は魔王に進化している……そうでなかったとしても、彼らの中に魔王に匹敵する“力”を付けている者がいるかもしれない……」

 

クレイマンがそう説明するなか、フレイは冷静に状況を整理する。

 

「……なるほどね。つまり貴方達の計画とやらは『新しい魔王の擁立』……といったところかしら……」

 

「流石フレイ!

ワタシ達の目論見を看破するとは!!」

 

「はぁ……呆れた。随分大胆なことを考えるわね。

あの森が不可侵条約に守られていることをお忘れかしら?」

 

水晶に映し出されるリプレイ映像を見ながら笑顔でそう言うミリムに対し、フレイは呆れながらそう指摘する。

 

魔王達の間には幾つかの条約(ルール)が存在し、その内の一つが『ジュラの大森林』に対する不可侵条約だった。

 

「元は野良の魔人(ゲルミュッド)が私に持ち込んだ計画です。

魔王(我々)が直接動く訳ではないので、条約に抵触しませんよ。」

 

死人に口なし。『野良の魔人』として切り捨てられたゲルミュッド。憐れ。

 

「どうだか……」

 

「いいじゃねぇか。フレイ。別に大軍を率いて森や周辺国に攻め入ろうって訳じゃねぇんだし。新しい強者を引き入れるチャンスだっていうから俺も話に乗ったんだ。」

 

カリオンはそう言いながら、嵐牙や絶狼達を映した水晶を手に取る。

 

「見た限りじゃあ、豚頭帝(オークロード)なんかよりこいつらの方が美味い(・・・)……」

 

(……まぁ、カリオンとミリムはそんなところでしょう。問題は飛び入りのフレイですが……)

 

そんななか、クレイマンはそう考えながらフレイを観察する。

 

「………」

 

(……来訪時から何か別のことに心を囚われている様子。内容次第では恩を売ることは可能でしょう。)

 

魔王間の条約でその可否を決める際、提案した魔王以外で他二名の魔王の賛同が必要。

 

つまり、自分の意見に追従する魔王の存在は他の魔王に対する優位性を大きく得ることになる……

 

(……悪くない。豚頭帝(オークロード)を失ったことは痛手ですが、この展開は理想的だ。魔王二人、若しくは三人に貸しを作ることができれば、十分にお釣りがくる……)

 

クレイマンはそう思いながら密かにほくそ笑む。

 

(あの魔人共にはミリム達を釣る餌になってもらいましょうか。先ずはあの森の調査を……)

 

「よしっ!!では、ワタシは生き残った者達に挨拶をしてくるとするかっ!!」

 

「「「………は?」」」

 

そんななか、そう言いながら立ち上がるミリムの言葉に災禍級(ディザスター)の三人は思わず呆けた声を上げる。

 

「いやいや。落ち着けよ。ミリム。今さっき、あの森は不可侵条約で守られているって話しただろ?」

 

「そうですよ。ミリム。

堂々と侵入しては他の魔王達が黙ってはいません。

先ずは私が内密に森の調査を……」

 

「?不可侵条約など今、この場で撤廃してしまえば良いではないか。ここには四人(・・)も魔王がおるのだぞ?」

 

「「「え?………………あっ!?」」」

 

そう。条約の可否を決めるには提案した魔王の他に二人の魔王の賛同が必要。つまり、この場にいる四人の魔王が『ジュラの大森林』への不可侵条約の撤廃に賛同すれば、その意見を押し通すことができるのだ。

 

「そもそもあの条約は暴風竜ヴェルドラの封印が解けないように締結されたものなのだ。暴風竜(ヴェルドラ)はもう消えたとウワサだしな。数百年前の話だし、若い魔王のおまえ達が知らないのも無理はないのだ。」

 

「「「………」」」

 

ミリムの言葉に三人は互いに顔を見合わせる。

 

「……そういうことなら条約撤廃に反対する者はいないだろ。俺は賛成だ。」

 

「私も賛成ですわね。元々私の領土はあの森に面しているから、不可侵だと言われても面倒だったのよね。」

 

「………」

 

(ミリム………最も単純に見えて、最も老獪(ろうかい)な魔王……やはり侮れませんね……)

 

「……良いでしょう。私も条約の撤廃に賛成です。

今すぐ他の魔王達にも通達しましょう。」パチンッ!!

 

クレイマンがそう言いながら指パッチンした瞬間、四人の前に書類と羽ペン、インクが人数分出現する。

 

「受理が確認され次第、行動を始めることになります。無難なのは先ず人をやって調査することだと思いますが……」

 

「おいおい。こりゃ新しい戦力を手に入れようって話だろ。まさか、協力しようってのか?」

 

「そうね……どうせなら競争した方が潔いのではなくて?それで遺恨を残すような器の小さい者はここにはいないでしょ?」

 

「いいな、それ。恨みっこなしで早い者勝ちなのだっ!!」

 

四人は今後について、そう話しながら書類にサインする。

 

「互いに手出し厳禁。約束なのだぞ?」

 

「えぇ。わかったわ。」

 

「『獅子王(ビーストマスター)』の名に賭けて誓おう。」

 

「はぁ……そうなるだろうと思いました。

では、今後は各々の自己責任ということで。」

 

「ワタシはもう行くのだっ!またなっ!!」

 

ミリムはそう言いながら、走って応接間を出ていく。

 

「俺ももう行くぜ。配下から調査に向かわせる奴を選ばなきゃならねぇからな。」

 

「私も失礼するわね。」

 

「……フレイ。」

 

「?」

 

「何かお困りでしたら言って下さい。

何時でも相談に乗りますよ。」

 

「………そう。ありがとう。」

 

クレイマンと軽く言葉を交わした後、フレイはそう言いながらカリオンと共にその場を後にする。

 

「ミリム、カリオン、そして、フレイ………フフ……森がまた騒がしくなりそうですねぇ……」

 

その場に残されたクレイマンは不敵な笑みを浮かべながらそう言った。

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