魔王ミリムをリムルが蜂蜜で買収し、
「………」
「♪」
「………」
魔王ミリムも何故か私と一緒に影狼に乗って、蜂蜜を舐めていた。
【ちょっとリムル!なんで魔王ミリムが私と一緒に乗ってるの!?】
【俺が知るかっ!!なんで帰らないんだよ!?
こいつ!!】
「なぁなぁ。
おまえ達は魔王になったりしないのか?」
リムルと『思念伝達』でそう話をするなか、魔王ミリムがそう尋ねてくる。
「しねーよ。」
「同じく……」
「えー?だって魔王だぞ?格好いいだろ?憧れたりするだろ?ルーミアなんかワタシの魔素を取り込んでみせたのだから、魔王を名乗っても良いくらいだ。」
「しねーって。ルーミアが魔王を名乗るくらいなら別にいいけど……」
「ちょっとリムル。然り気無く売ろうとしないでよ。私だって嫌だよ。面倒臭い。」
「えぇー?じゃあ、二人して何を楽しみに生きているのだ?」
「色々だよ。色々。」
「私もリムルもやることが多くて大変なの。」
「むぅ……魔王になれば、人間や魔人に威張れるのに……」
魔王にならないと言う私とリムルの言葉に魔王ミリムは軽くぶうたれながらそう呟く。
「……それって退屈なんじゃないの?」
「はぅあっ!?」
あ。これ、退屈してたね。
「おま、おまえら、さては魔王になるよりも面白いことをしているなっ!?ズルいぞっ!ズルいズルいっ!!」ブンブン
「え?あっ、ちょっ……」
次の瞬間、魔王ミリムはそう言いながら後ろから肩を掴み、思いきり揺さぶり始める。
ちょっ、さっき、貴女の魔素吸収で体力が落ちているところにそんなことされたら……き、気分が……
「ワタシも仲間に入れるのだっ!!町とやらに連れてけっ!!」ギュウウウッ!!
「く、苦しい……っ!?」タップタップ
「ちょっ、わかったっ!俺とルーミアで町を案内してやるから一旦離せっ!!落ちるっ!ルーミアが落ちるからっ!!」
「本当だなっ!?」
慌ててそう言うリムルの言葉にミリムはそう言いながら、後ろから私の首を絞めていた手を離す。
た、助かった……
「えー、じゃあ、これからおまえのことは『ミリム』と呼ぶから、おまえも俺達のことは『リムル』と『ルーミア』と呼べばいい。」
「むっ!良いけど………特別なのだぞ?ワタシのことを『ミリム』と呼んで良いのは仲間の魔王達だけなのだ。」
「はいはい。ありがとうな……じゃあ、俺達も『友達』だな……」
「と、友達………」
「よろしくね。ミリム。」
「!あぁっ!よろしくなのだ!!
ルーミア!リムル!!」
「凄いね。二人とも。あの魔王ミリム=ナーヴァと友達になるなんて……」
「リムル様とルーミア様なら当然ですっ!!」
「なんで紫苑が得意げに言うんだ……?」
「っと着いたみたいだね。」
「おぉっ!!」
「「ようこそ。
町に到着した瞬間、ミリムの瞳が好奇心で輝きだす。
「とりあえずこれだけは約束してくれ。
一つ、勝手にうろちょろしないこと。
もう一つは俺達の許可無く暴れないこと。」
「うむっ!わかったのだっ!!」
リムルにそう言いながら、ミリムは駆け出そうとする。って
「言った側からどっか行こうとしない。」
「むぎゅっ!?」
私はそう言いながら、伸ばして先を手に
「むぅ……これは……髪の毛か!?こんなスキル、初めて見たのだっ!!」
「興奮するのはわかるけど、先に一人で行こうとしないで。私達がちゃんと案内するから。」
「うむ……わかったのだ。」
鷲掴みした頭を離しながらそう言う私に対し、少しは落ち着いたらしいミリムは自分の頭を軽く撫でながらそう言う。
「ルーミア様、リムル様。丁度良かった。
回復薬のことで少しだけお話が……」
そんななか、ガビルがそう言いながら現れる。
「おぉっ!貴様は
このような所にいるとは珍しいのだっ!!」
「おや?初めてお見かけするお嬢さんですな。我輩はルーミア様にお仕えする騎士の一人、ガビルと申す。」
物珍しそうに見ながらそう言うミリムに対し、ガビルは私の時と同じように丁寧な対応をする。
私は別に騎士に任命した覚えはないんだけど……
「お嬢さんはこの町は初めてですかな?」
「そうなのだ。今からリムルとルーミアに案内してもらうのだ。」
【意外だな……今、ガビルが余計なことを言うんじゃないかとヒヤヒヤしたぞ。】
【まぁ、私との初対面の時も割りと丁寧な対応してくれてたし。正式に私の配下になった後、初対面の相手には必ず礼儀をもって接するように言っておいてたからね。】
「なるほど……ルーミア様とリムル様のお二人が案内するとは……ルーミア様、リムル様。このお嬢様は一体……」
「魔王ミリムだよ。」
「魔王ですとぉーっ!?」
うん。そう反応したくなる気持ち、
【こりゃ他の皆にもミリムのことを周知させる必要がありそうだな。】
【だね。】
「それじゃあ、ガビル。私とリムルでミリムを案内するから、その間にリグルドと協力して町の皆を広場に集めておいて。」
「は、はいっ!!」
その後、町の中をある程度案内した後、皆が中央に集まるまでまだ時間がありそうだったので、高台の上で私とリムルはミリムと少しだけお話することに。
「良いか?ミリム。いくら腹が立ってもすぐに殴りかかろうとしちゃダメだぞ。」
「えぇ~?でも、最初にガツンといかないと舐められるのだ。」
「……ミリムは一応手加減して殴ってるつもりなんだよね?」
「そうだぞ。ルーミア。」
「でも、ここの魔物達と建物はミリムの“力”に耐えられる程頑丈じゃないの……ミリムは何か一生懸命作ったものを、何も知らない人がちょっと力を入れただけで壊しちゃったら許す?」
「勿論!許さないのだっ!!」
「それと一緒なの。」
「!?」
私の言葉にミリムはハッとした表情を浮かべる。
「……とある吸血鬼の女の子の話をしようか……」
「吸血鬼……」
「その子にはね。『あらゆるものを破壊できてしまう』スキルを持っていたの。」
「なんと!そんな凄いスキルを持っていたのか!?」
「でも、その子は最初、そのスキルを上手く扱えなかったの。時には自分の壊したくない、大切なものまでスキルは容赦なく壊していった……」
「!?」
「そのことに酷くショックを受けたその子は唯一の肉親である姉と一緒に住んでいた屋敷の地下に自ら閉じ籠った………495年もの間、ずっと一人で………」
「495年………」
「……ミリムにも壊したくないものはあるよね?」
「うむ……その子は結局、どうなったのだ?」
「495年の時間はかかったけど、スキルを上手く扱えるようになって、外の世界に出られるようになってたくさんの友だちも作って幸せになったよ……」
「そうか……よかったのだ……」
「小さな吸血鬼の女の子でも495年でスキルの扱い方を……『加減』や『我慢』の仕方を覚えたんだから、最古の魔王であるミリムも同じことができるよね?」
「当然なのだっ!!」
「じゃあ、すぐに殴りかかろうとしないでね。」
「わかったのだ。」
(よくやった!ルーミア!!)
「……ん?」
そんななか、なんか視線を感じたので見てみると、私の話を聞いていた町の住人達が涙を流していた。
「495年も暗い地下で一人で……」
「幸せになってよ"がっだぁ………」
「えぇ………」
フランの話をちょっと脚色しただけなんだけど……
「……ごほん。え~、見てわかる通り、今日から新しい仲間が増えることになった。扱いは客人だから皆もそのつもりで……」
「それじゃあ、ミリム本人から一言。」
「うむ!魔王ミリム=ナーヴァだっ!!今日からワタシもここに住むからよろしくなのだ!!」
『うおおおぉぉぉーーーっ!!』
「「はいっ!?」」
「ちょっと待てっ!ミリム!!」
「ここに住むってどういうことっ!?」
「?そのままの意味なのだ。今日からワタシもこの町で暮らすことにしたのだ。」
「いやいや!暮らすって言ったって……」
「おまえには既に住んでいる場所があるんだろ?」
「大丈夫なのだ!!たまに帰れば問題ない!!」
こっちは大問題だと思うんですけど!?
「あの『暴君』とあんなに親しげに……っ!これで
リムルと二人で頭を抱えるなか、涙を流すリグルドを始めとする町の住人達はすっかり歓迎モードになる。
「うむ!ワタシとリムルとルーミアは友だちだから、何かあれば頼ってくれて良いのだ!!」
「……魔王と友だちか……」
「改めて考えると凄いね。」
ヴェルドラの時みたい……
「そうだな……友だちというのは変だな……え、えっと、友だちというよりは……
そんななか、いつの間にかスライムの姿に戻っていたリムルを高く掲げながらそう宣言する。って、
「「
「ち、違うのかっ!?」
あぁっ!?ミリムが泣きそうになってる!?
「
『いえええええっ!!マッブダチッ!!マッブダチッ!!』
「フフン♪そうだろう?おまえも人を驚かすのが上手いなぁ♪」
慌てて言うリムルの
こうして最古の魔王の一人にして『天災』の魔王ミリム=ナーヴァの滞在が決まったのだった。