「さてと、次は……」
フューズさんとの話が一先ず纏まった後、リムルはそう言いながら今度は『ファルムス王国』から来たという一団の代表三人の方を見る。
因みに他の団員の皆さんには表で開かれている『槍脚鎧蜘蛛鍋パーティー』に参加してもらっている。
「……あんたらは『ファルムス王国』って所から来たんだったな?」
「ひょっとして貴方達も
「はい。正直、
首を傾げながらそう尋ねるリムルと私に対し、(私達から見て)ヨウムの左隣に座っている眼鏡の少年がそう答える。
「先ずは自己紹介から……」
「………」
「……隣にいるのが調査団の団長、ヨウム。その隣にいるのが補佐役のカジルさん。で、僕はお目付け役のロンメルと言います。」
お目付け役?
「この町に来たのは単なる成り行きだったんですが、先程も言ったように調査対象の
眼鏡の少年、ロンメルの『お目付け役』という単語に首を傾げるなか、ロンメルは続けて自分達の身の上話をしてくる。
正規の部隊じゃないってことか……どうりでガラの悪い人達だと思った……っていうか
「よく逃げ出さなかったよね?」
「だよな。」
「そのために僕がお目付け役を命じられました。契約魔法という相手を強制的に従わせる魔法が使えまして……それで縛るんです。」
うわぁ……なんてブラック……『お目付け役』ってそういうことね。
「ッ……」
元は召還者であるシズさんも昔のことを思い出したのか、僅かに顔を歪める。
「まぁ、もうその魔法は解いちゃったんですけどね。」
「「「え?」」」
そんななか、笑いながらそう言うロンメルの言葉に私とリムル、シズさんの三人は思わずそう呆けた声を上げる。
「えーと、ロンメルはお目付け役なんだよね?」
「そうでしたよ?でも、今はこのヨウムについていくと決めたので。」
首を傾げながらそう尋ねる私に対し、ロンメルは笑顔でヨウムを見ながらそう答える。
なんか憧れの選手を見る少年の目をしている……知らんけど……
まぁ、それはそれとして……
「それならなおのこと、なんで逃げようとしなかったんだ?」
「ここまで聞く限りですと、領主は報酬を奮発する処かまともに支払いすらしないタイプに思うんですけど……」
「ああ?んなことはわかってるよ……」
首を傾げながらそう尋ねるリムルと私に対し、ヨウムはそう言いながら両手を頭の後ろに回し、両足をテーブルの上に投げ出しながら組む。
「
おや?
「あそこにゃ説教がうるせぇジジイや酒場のお節介焼きなババア、後を付いて回るうぜぇガキ共だっているんだ。」
言葉遣いや態度は
「勘違いすんなよ。あいつらに死なれたら寝覚めが悪いと思っただけだ。」
実は結構良い人じゃない?
「まぁ、あのタヌキ伯爵の慌てふためく姿は見てみたいけどな……ロンメルから聞いた話じゃあの野郎、本来なら町の防衛の強化に充てるべき国からの援助金にまで手を付けてやがったんだぞ。」
「つまり、何の対策もしていないところで
「そもそもがだ。こんな危険極まりない任務にロンメルみたいな若僧を送り込むか?普通。もっと熟練の魔法使いの一人や二人、抱えてるだろ……結果さえわかればいいって魂胆が見え見えなんだよ。」
「なるほどな……」
【つまり、彼らは
【ロンメルがヨウムについていこうって気になるのもわかるね。】
「あ。そういえば先程、
「そうなのか?それはありがとうな。友人として礼を言うよ。」
「いや。別に大したことしてねぇよ。ただ団長らしく仲間に指示出して剣を構えただけで実際、何もできなかったからな……こいつらが助かったのはあんたの相方の嬢ちゃんとあの変な二人組のおかげだ。」
変な二人組ってゴブタとリーニエのことかな?
それに大したことはしてないって言っても槍脚鎧蜘蛛に遭遇してからの指示は的確だったし、ロンメルに強化魔法をかけてもらっていたからとはいえ一番危険な最前線に自らが立とうとする漢気もある。
『ファルムス王国』からの調査団はざっと数えて三十人。それも荒くれ者達で構成された彼らを纏め上げる程のカリスマ性も持っている。
実際の戦闘の腕前は見れてないけど、剣の構え方から見て実力は低くない筈……
きちんとした装備を渡されていたなら、私達が手を出さずとも槍脚鎧蜘蛛を討伐できていた可能性も0じゃない。
調子にも乗らないし、顔も悪くない。なにより良い奴……
「……フューズさんとやら。」
「はい?」
「さっきの
私がそう思いながらヨウムを観察館しているなか、リムルがそう尋ねる。
「いえ。蒼影殿と鬼鮫殿が報せに来た時、その場に居合わせたのは私と横にいる三人……後はブルムンドの国王と一部の大臣にしか報せず、まだ一般には発表されていません。」
「そうか……」
「だったら好都合だね。リムル。」
「だな。」
「という訳でヨウムさん。」
「ん?」
「貴方、『英雄』になる気はないですか?」
「「「はぁ!?」」」
私の突然の申し出にヨウム一行は困惑の声を上げる。
「英雄になれだって?この俺に?……いきなり何言ってんだ?あんたら……」
「別に強制しているのではなく、あくまで『お願い』です。」
「さっき、フューズも言ってただろ?『
「ですので、『ヨウムさんが調査団の皆さんと協力して、
「『
「なるほど……確かにその方が人間達に受け入れてもらいやすそうだな。」
「うん。私も良いと思うよ。リムルさん、ルーミアちゃん。」
私とリムルが提案した『ヨウム英雄化計画』について、ブラッドレイとシズさんがそう賛同してくれる。
「……その計画、『ブルムンド王国』も協力できるかもしれません。」
そんななか、フューズさんがそう声を上げる。
「知り合いの大臣に掛け合えば、周辺諸国に噂を流すくらいのことはできましょう。」
「本当か!?」
「それは助かります。ありがとうございます。」
「おいおい!!あんたまでなに乗り気になってんだ!?こいつら、魔物だぞ!!?」
「君の困惑する気持ちはわかる。が、
「?意味?」
「……こちらが掴んでいる情報ではこの国の一万余の住民……その全員が『
「「「!?」」」
そう言うフューズさんの言葉にヨウム一行は驚愕の表情を浮かべる。
「
うーん、別に脅す気はなかったんですが……仕方ないか……
「先程の計画、私としては前向きに検討したい。
「それは勿論、じっくり見極めて検討してみてくれ。」
「ヨウムさんも計画の要ではありますが、無理強いするつもりはないのでよく考えてみて下さい。」
「……外に出ても良いか?」
「どうぞ。」
そうしてヨウムは考えを纏めるために一旦退室した。