転生したらルーミアだった!?   作:デスゴッド

85 / 152
兎と狐

「……君達は一緒に行かなくていいの?」

 

「はい。ヨウムさんを見初めて頂いただけでも僕達は貴女達を信用するに値しますから。」

 

ヨウムが出ていった後、そう尋ねる私に対し、ロンメルは笑顔でそう言い、隣にいるカジルも同じ考えなのか頷いている。

 

「『豚頭帝(オークロード)の軍勢に見つかり、調査団は全員死亡』……伯爵にはそう伝えろとヨウムさんに言われてました……」

 

「なるほど……死んだことにすれば、追っ手はかからないって訳か。」

 

「僕は報酬を受け取り、後から彼らと合流する手筈でした………団員達を前にヨウムさんが言ったんです。『どうせファルムスに戻ったって元の強制労働が待っているだけだ。それが嫌なら俺に付いてきな。』と……」

 

「あらー、男前。」

 

「ちょっと言えないですよねぇ……でも、不思議と説得力を感じたんですよね。多分、その時には既にヨウムさんが仲間を大事にする人だとわかっていたからでしょうか……」

 

「なるほど……」

 

「で、あんたらは……」

 

「「………」」

 

ロンメルとそう話しているなか、リムルはそう言いながら目元に布を巻いた兎人族(ラビットマン)と九本の尻尾を持つ狐の獣人に視線をやり、周囲の注目が二人の獣人に集まる。

 

「……ユーラザニアからの新しい使者か?」

 

「「ユーラザニア!?」」

 

そう尋ねるリムルの言葉にフューズさんとロンメルがそう困惑の声を上げる。

 

「ユーラザニアってまさか、獣王国の!?」

 

彼処(あそこ)とも国交が!?」

 

「あ。国交は結んでませんよ。ただ、先日に使者が来たというだけで。」

 

「それで?あんたらはそのユーラザニアからの新しい使者なのか?」

 

フューズさんとロンメルに私がそう説明しているなか、リムルが再度そう尋ねる。

 

「いえ。私も隣の子もユーラザニアとは関係ありません。」

 

そんなリムルに対し、狐の獣人がそう答える。

 

「先ず自己紹介を……私は『九頭獣(ナインテール)』。名はありませんが、獣人ではありません。」

 

「!?『九頭獣(ナインテール)』だと!?」

 

「「!?」」

 

そう言う狐の獣人、否、九頭獣(ナインテール)の言葉にフューズさんはそう困惑の声を上げ、ロンメルとシズさんは驚愕の表情を浮かべる。

 

「この『ジュラの大森林』に超希少な九頭獣(ナインテール)がいたなんて聞いたことないぞ!?」

 

「まぁ、私はこの森の出ではないので……」

 

九頭獣(ナインテール)はそう言いながら自身は元は『妖魔郷』という東の帝国付近にある魔物達の隠れ里の次期里長候補であること、次期里長になるための武者修行している最中、故郷が帝国からの襲撃に遇い、滅ぼされてしまったこと、その結果、現里長だった母親と妹の行方がわからなくなり、途方に暮れていたところに隣にいる兎人族(ラビットマン)と出会ったこと等を説明した。

 

「彼女と行動を共にしている時に八体もの槍脚鎧蜘蛛からの襲撃に遇ってしまい、そちらにいるルーミア様に助けて頂いたという次第です。」

 

「なるほどな……」

 

「そういえば、この森にも兎人族(ラビットマン)の集落がありましたね。」

 

九頭獣(ナインテール)の説明にリムルがそう言いながら納得するなか、紅丸が相方の兎人族(ラビットマン)の出身について、そう推測を述べる。

 

「……貴女はその集落から来たの?」

 

「はい……私はこの中央都市リムルに用があり、向かっている最中に九頭獣(ナインテール)と出会い……後は先程、彼女の言った通りです。」

 

「……その用ってその()と関係している?」

 

「………はい……」

 

兎人族(ラビットマン)の少女はそう言いながら、自身には生まれながらに強力な黄色い炎が放たれるユニークスキル『狂火(クルイビ)』が両目に宿っていること、それが自分の意思に関係なく発動してしまうこと、その一種の『呪い』ともいえるスキルが原因で集落では疎まれていたことを説明する。

 

「あの豚頭帝(オークロード)を下し、更には貴重な完全回復薬(フルポーション)すら生み出せるリムル様とルーミア様が治めるこの町に行けば、なんとかなるかもしれないと族長である父に勧められ、ここまで来たのです。」

 

「なるほどな……」

 

「しかし、目隠しでよくここまで来れたな。」

 

「『魔力感知』を持ってますので、目で直接見ずともある程度の把握ができるのです。」

 

「うーん……」

 

(『人造全智存在(マザー)』。なんかわかる?)

 

首を傾げながらそう言う紅丸に兎人族(ラビットマン)がそう説明するなか、私は頭の中でそう『人造全智存在(マザー)』に尋ねる。

 

『うーん……見たところ、彼女のスキルが意思に関係なく発動しちゃうのは彼女の魔素が膨大で不安定になっているのが原因だね。』

 

(どうすればいいと思う?)

 

『一番手っ取り早いのは名付けでルーミアと『繋がり』を持つことだね。そうすれば、魔素が安定すると思うよ。』

 

(なるほど……しかし、名付けか……)

 

人造全智存在(マザー)』から解決法を聞いた私は兎人族(ラビットマン)にそのまま伝える。

 

「勿論、名付けを受けるということは私の配下になるという訳だけど、どうかな?」

 

「なるほど……」

 

私がそう提案すると、兎人族(ラビットマン)はそう言いながら思案する。

 

「……私は『魔力感知』で周りの状況を把握できます。が、私は直接この目で森の景色を見たい……ですから……」

 

兎人族(ラビットマン)はそう言いながら、私の前で片膝を着く。

 

「貴女様からの名付けを受け入れます。どうか、私を貴女様の配下に加えて下さいませ。」

 

「……そう……」

 

「でしたら、私もお願いできませんか?」

 

そんななか、近くで話を聞いていた九頭獣(ナインテール)もそう言いながら片膝を着く。

 

「?貴女も?」

 

「はい。先程もお話したように私にはもう帰る故郷がございません。そして、貴女様には命を救われたご恩もございます。それを貴女様の配下として返したいのです……」

 

「……わかった……」

 

「!?兎人族(ラビットマン)だけでなく、九頭獣(ナインテール)にも名付けをするつもりですか!?」

 

「まぁ、本人が望んでいますから……」

 

困惑の声を上げるフューズさんにそう返事しながら、私は二人と向き合う。

 

兎人族(ラビットマン)の貴女は『鈴仙(レイセン)』。」

 

「鈴仙……」

 

九頭獣(ナインテール)の貴女は『(ラン)』だよ。」

 

「藍……」

 

「ッ……」

 

ドサッ!!

 

「ルーミア様!?」

 

「大丈夫ですか!?」

 

兎人族(ラビットマン)、鈴仙と九頭獣(ナインテール)、藍に名付けをした後、脱力しながら椅子に座る私に対し、朱菜と萃香がそう話しかけてくる。

 

「大丈夫……思いの外、魔素を消費したからちょっと疲れただけだから……」

 

「『ちょっと疲れただけ』って……九頭獣(ナインテール)に名付けをしてちょっと疲れただけ……」

 

「これがルーミア様の力……」

 

「ッ……」

 

フューズさんが軽く困惑しながらそう言い、藍がそう言いながら名付けで自身に流れ込んできた私の魔素を感じとっているなか、鈴仙は違和感を感じたのか、自身の目元に巻きつけられた布を外す。

 

すると黄色い炎は飛び出さず、綺麗な赤い瞳が露になる。

 

「まぁ!そのような綺麗な瞳をしていたのですね!!」

 

「凄い……本当に炎が出ない……っ!!」

 

鈴仙の瞳を見て朱菜がそう言うなか、鈴仙はそう言いながら感動する。

 

「ルーミア様……本当にありがとうございますっ!!」

 

「私もありがとうございます……っ!!」

 

「うん……これからよろしくね。鈴仙、藍。」

 

「「ハッ!!」」

 

こうして新たに鈴仙と藍が私の配下になったのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。