転生したらルーミアだった!?   作:デスゴッド

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ブルムンドへの道

ルーミアSide

 

「ッ……こいつぁ……」

 

「ッ……」

 

「何かわかる?カイジンさん、黒兵衛。」

 

お正月を過ごした後、私はクリスマスで手に入った大鎌を二人に診て貰うことにした。

 

「……お嬢。こいつは一体何処で手に入れてきたんだ?」

 

冷や汗を流しながら黒兵衛と顔を見合わせた後、カイジンさんがそう尋ねてくる。

 

流石にサンタからプレゼントとは言えないよね。

 

「ごめん。それは秘密。」

 

「そうか……悪いことは言わねぇ。こいつはすぐに手放して、どっかに封印でもした方が良い……」

 

「んだ。この大鎌が何なのかはわがらねんけど、とてつもない禍々しい妖気(オーラ)を感じるだよ。」

 

やっぱり二人もそういう見解か。

 

「できればそうしたいんだけどねぇ……この子(・・・)が離れてくれないみたいで……」

 

冷や汗を流しながらそう言う二人に対し、私はそう言いながら少し離れた位置から手を伸ばす。

 

「「!?」」

 

すると、大鎌は宙に浮き上がるや否やまるで意思でもあるかのように私の手に収まる。

 

「とまぁ、こんな感じ。」

 

「なんともまぁ厄介なもんに気に入られちまったみてぇだなぁ。ルーミア様……」

 

「まぁ、なんとか上手くやっていくことにするよ。」

 

「はぁ……じゃあせめて喰われない(・・・・・)ようにしろよ?お嬢……」

 

「ありがとう。カイジンさん。じゃあ、私は行くね。」

 

「あぁ、今日がヨウム達の出立の日だったべか。」

 

「俺達からもよろしく言っといてくれや。」

 

手にした大鎌を光にして自分の中に収納した後、私はそう言いながらカイジンさんと黒兵衛の工房を後にするのだった。

 

 

 

 

「それじゃあリムルの旦那、ルーミアのお嬢。行ってくるぜ。」

 

出立の時、私達がとある伝手で手に入れてきた一角馬を従えながら、ヨウムさんがそう言う。

 

私や白老達の修行に耐え、カイジンさん達が作った防具を身に付け、黒兵衛が打った剣を携えたその出で立ちは正に『英雄』と呼ぶに相応しい姿に変わっていた。

 

「ほっほっほっ。皆、佇まいに隙が無くなりましたな。」

 

「私達の訓練を真面目に受けた成果といえるであろうな。」

 

「ふんっ。まぁ、最初に比べれば、大分マシになったな。」

 

「皆、よく頑張ったよ。」

 

「へへ……」

 

「どうもっす……」

 

白老、ブラッドレイ、ピッコロ、シズさんといった指導者四人からのお褒めの言葉にヨウムさん達は照れくさそうにしている。

 

「ところでロンメルはどうしました?」

 

「一緒にはいないみたいだが……」

 

「あぁ、彼奴は一足先に国に戻っている。俺らが繰り広げた『死闘(・・)』を盛りに盛って報告してきます。ってさ。」

 

首を傾げながらそう尋ねる私とリムルに対し、ヨウムさんはそう説明してくれる。

 

なるほど……彼にも一級品の装備を与えて、魔法の腕も上がっているから十二分に説得力がある報告ができるだろうね。

 

因みにヨウムさん達はこの町を拠点に各地で英雄活動をしてもらう。

 

豚頭帝(オークロード)を倒した英雄』として名前と顔を売るためにね。

 

「まぁ、やってもいない死闘を盛られるってのも恥ずかしい話だけど……」

 

「いいって別に……」

 

「ヨウムさん達を『英雄』にする今回の計画はお互いにWin-Winな話ですから……」

 

「?うぃん?」

 

【ほんと、20万の軍勢とか魔王への進化といったヤバい情報が拡散されてなくてよかったね。リムル……】

 

【だな。】

 

「?なんだ?もう行くのか?」

 

リムルと“念話”でそう話しているなか、ミリムがそうヨウムさんに話しかける。

 

「!?ど、どうも……ミリムさん……」

 

対するヨウムさんは最初の話し合いの後に改めてミリムが魔王であることを聞かされていたこともあって、すっかり及び腰になっている。

 

「しっかり頑張るのだぞ!!」

 

「お、おう……」

 

「良かったですね。ヨウムさん。」

 

「魔王からの激励なんて滅多に貰えないぞ。」

 

そうしてヨウムさん達は旅立っていった。

 

 

 

 

 

ブクブクブク……

 

ザッパーンッ×3!!

 

「わはははっ!!」

 

「ぷはぁっ!!」

 

「ふぅ……っ!!」

 

その日の夜、温泉宿の女湯にて、何故か潜水勝負をしていたミリムと紫苑、朱菜の三人はほぼ同時に顔を出す。

 

「あはは……」

 

「何やってるの……三人とも……」

 

そんな三人にシズさんが苦笑いを浮かべるなか、私は呆れながらそう言う。

 

「わはははっ!ワタシの勝ちなのだ!私が!長い時間潜ってられるのだっ!!」

 

「いいえ。勝ったのは私です。」

 

「違います。僅かの差ですが、私の勝ちです。」

 

「お風呂で潜水しちゃダメだよ?」

 

「ミリムと紫苑はまだわかるとして、朱菜まで……」

 

張り合う三人にシズさんは苦笑いしながらそう注意をし、私は更に呆れながらそう言う。

 

「負けを認めぬとは往生際が悪いぞ!紫苑、朱菜!!よぉーっしっ!では、もう一回だ!決着を着けてやる!!」

 

「良いでしょう。もう一度。」

 

「本来ならお風呂に潜るのはいけないことですが、やりましょう!!」

 

「あはは……」

 

「はぁ……」

 

「「「せぇーのっ!!」」」

 

ザプーンッ×!!

 

シズさんの苦笑いと私のため息を他所に三人は再び潜水勝負を始める。

 

「で、何時までこの町にいるんだよ?

まだ、俺達のことを疑ってるのか?」

 

「え?あ…………あぁ、いや。リムル殿とルーミア嬢への疑いは晴れているんですがね。」

 

そんななか、男湯(むこう)の方からそう話をするリムルとフューズさんの声が聞こえてくる。って晴れているんだ……

 

「じゃあ、なんでだよ?」

 

「いやぁ、ここは実に居心地がよろしくてですな…………ここ最近、録に休みもなかったですし、ここいらでゆっくり羽を伸ばすのも良いかと…………」

 

「……やっぱりギルドマスターって忙しいんですね。」

 

「たくさんいる冒険者を纏めるお仕事だからね。それにフューズさんは先代のお父さんと同様に真面目だから、色々と頑張っちゃうところがあるの。」

 

男湯(むこう)でリムルとフューズさんがそう話しているなか、私とシズさんもそう話をする。

 

「それは別に良いが………例の件はどうなっているんだよ?俺達の代わりにヨウム達を『英雄』に仕立て上げてくれる約束!!」

 

「え?あ…………」

 

「『え?あ…………』じゃなくて!ヨウム達はもう出発したんだぞ!?各地で『英雄』として名を売るために!!」

 

「問題ありませんよ。既に手の者を回して、仕込み(・・・)は済んでおります。」

 

「え?そうなのか?」

 

「えぇ。ヨウム殿が『豚頭帝(オークロード)を倒した英雄』として広く名が知られるように、そして、この国がそれを手助けした『善良な魔物の国』として噂が広がるように抜かりなく……」

 

「そういえば、たまに姿が見えない時がありましたよね。」

 

「フューズさんはできる人だからね。」

 

 

 

 

 

その後、女湯から出て髪を乾かした後、シズさんと一緒にリムルとフューズさんがいる部屋に行ってみると、フューズさんが軽く一杯とばかりにお猪口でお酒を飲んでいた。

 

「いや、ホントに『ブルムンド王国』の近場にこのような保養所ができたのは実に喜ばしいことです………往復路の危険さえなければ、通いつめるのですが……」

 

なんか今のフューズさんが前世で言う、仕事帰りにスーパー銭湯に寄っているサラリーマンに見える……

 

「……やっぱり『ブルムンド王国』への道も作る?」

 

「え?」

 

「だな。」

 

「良いと思うよ。安全な道ができれば、冒険者だけでなくたくさんの人にも来て貰えると思う。」

 

「いやいや!ありがたい話ですが、それは最早国家事業ですよ!?莫大な予算だって」

 

「そこだよ。フューズ君。」

 

「く、君!?なんかリムル殿に言われるとこうむず痒いのだが……」

 

「そんなことよりフューズ君。俺達はこの町をもっと発展させたいと考えている。」

 

「そのためにも色々な国の人……商人の方達に来てもらいたいんです。」

 

「なるほど……」

 

「街道整備等の工事は全部魔国連邦(こっち)で請け負うつもりだ。」

 

「代わりに私達が無害な魔物だと広めて欲しいんです。」

 

「お願いできないかな?フューズさん。」

 

「……わかりました。そこまでして頂けるのでしたらこのフューズ、持てる人脈を全て駆使してこの町の喧伝に尽力致しましょう。」

 

「おう。よろしくな。」

 

「あ。後、魔国連邦(うち)の特産品とかも売りたいので、その他諸々の相談ができる人を紹介してほしいのですが……」

 

「わかりました。」

 

こうして『ブルムンド王国』への街道整備が決まったのだった。

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