終末喫茶「エンドロール」   作:月日は花客

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四話 ラジオDJ

 

「今日も始まりました、DJキリシマが送る『付きっキリ☆ラジオ』。本日の天気は曇天、外出しやすい21℃となっております。夜には一桁になりそうですがね。それでは本日はこの曲から、アンドコール『雨すら抱きしめて』です」

 

 俺一人しかいない電波塔から、俺一人が送るラジオ番組が今日も流れ始める。

 この区画は紛争も何も無い、ただ無音の地区。まるで世界に俺一人取り残された気分だ。

 急速な寒暖差と激しい天候変化と異常気象、少し遠くの地区で資源が発見されたことによって、この地区……N-25地区には誰も居なくなっていた。

 

 居るのは電波塔で過ごす俺のみ。ただのバカなラジオパーソナリティだけだ。

 ギシリと椅子が軋む。毎日座っている収録室の椅子はもうじき寿命を迎えるだろう。

 荒廃前から仕事をしている長寿な椅子だ。俺よりも歴が長い。

 もはや飾りとなったオーディオインターフェースをカチカチと手慰みに弄りながら、今日もラジオの収録をする。

 

 電波塔のスピーカーから俺の声は地区に響き、朽ちた建造物だけがそれを聴いている。

 俺の日常だった。

 

「ここで一旦CMだ、後半も聴き逃すなよ〜☆」

 

 いつものオープニングトーク。

 いつものテーマソング。

 いつものCM。

 

 俺は何をやっているんだろうと、正気に戻りかけたことも多々あった。

 それでも、ラジオをやめられない。

 

「……あれ」

 

 ふと、自分の足がある床がいつもと違うことに気づく。

 タイルが敷かれた灰色の床ではない、ダーク調の木目が視界に新しい。

 ついにボケたか。そう思ったが、いつまで経ってもその茶色は変わることがなかった。

 

「ハロー、ミスター。喫茶『エンドロール』へようこそ」

 

 その声に顔を上げると、自分が座っていたカウンター席の奥に知らない女性が立っていた。

 シニョンにまとめた髪が麗しい、上品な女性だ。こんな世界じゃなかったら、食事にでも誘っていたというのに。

 周囲を見渡すと、品が良く金が掛かった室内だった。食堂に近い席数の多さだ。

 食堂ではないだろうが、なにかを提供する場所、という事に間違いはないだろう。

 

 キッサ、エンドロール。

 なんだかよく分からないし、現実味が無い。

 これは夢か、と頬をつねったが、痛むばかりで覚めることはなかった。無精髭が生えた顎を掻く。

 

「あら、夢じゃ無いわよ。ここは正真正銘貴方のための喫茶店。料理を楽しむ憩いの場」

「それはそれは……アンタ何者?」

「私はここのマスター。料理を作り、飲み物を淹れ、客人の話を聞く喫茶店のマスターよ」

「ハロー、マスター。こんなヘボのラジオパーソナリティをこんな素敵な場所に招待してくれて、感謝するぜ」

「ふふ、料理も食べてないのに。お上手な人ね」

 

 マスター、という彼女は不思議な人だ。

 明らかに異常事態で、気でも狂ったかと考えても仕方のない状況のはずなのに。それでも、彼女と話していると心が安らぐ。

 ここが安心できる場所だと、本能が感知しているかのように。

 まるで揺籠のような、何も危険が無いと思えるような声だった。

 だから、こんな軽口だって叩けてしまう。ラジオで話していた時よりも口がよく回る。そんな事を他人に知られたら、ラジオDJ失格だと言われるだろうか。

 

「これはお冷とおしぼり、サービスよ。メニューはこっち。ご自由に選びなさいな」

「ははっ、こんな美しい水は初めて見た……本当に不思議だ」

「私としては、メニューで感動してほしいのだけれど」

 

 出された水は驚くほどの透明感。人生でこれほどまでに濾過された水は見たことがなかった。

 しかしマスターはそれが当然というかのようにジトっと不機嫌になる。

 やはりこれは夢なのではないだろうか。しかしそれにしては感覚がリアルで、そもそもラジオ収録中に寝るなどあり得ないのだが。

 しかしそうなると、もはや自分が狂ったとしか考えられない。

 あいにく俺は超常現象は信じないタチだった。

 

 メニュー開けば、その派手な色合いにピクリと瞼が動いた。

 そこにあったのは見慣れない、しかし無性に美味しそうだと感じる写真の数々。

 派手好きな自分の性格に合っているのか、その暖かそうな食品写真は魅力的だった。

 

「驚いた。これ全部君が作れんのかい」

「ええ、どれも味は一級品を保証するわ。なんせ、私が作るんですもの」

「見た事ねぇ料理ばっかだが、なんでか涎が止まらねぇや。……そうだな、このドライカレーってのが気になるな」

「はぁい、承りました!」

 

 真ん中に黄色い丸が乗った、茶色い料理だ。

 なんだか甘そうな、かわいい見た目をしているやつも気になったが、成人男性が頼むには少し可愛すぎる。女性──マスターに笑われそうで、カッコつけて渋そうな見た目のそれを頼んだ。

 

 機嫌が良さそうにマスターは返事をすると、くるりと後ろを向いて調理を始めた。

 知らない調理器具や食材がどんどん出てくるのを眺めながら、俺は途中で止めて来てしまったラジオ番組を思う。

 

 ラジオ番組「付きっキリ☆ラジオ」は俺が初めて持ったレギュラー番組だ。

 放送区画は狭く、聴ける媒体も少ない過疎ラジオだったが、固定視聴者もおり細々とやっていた番組だった。

 そこでラジオDJキリシマとして、日々お便りやトークを読んでいたのが俺の日常で。

 じわじわと世界が荒れて衰退していく時も、ずっと休まず放送を続けて来た。

 ハガキメールはいつからか一通も届かなくなっていたが。

 

 偉大なコメディアンだった父に憧れ、少しでも自信があった声に託して人を笑わせる事を夢見ていた。

 ラジオからじゃ視聴者が笑っているかはわからないけれど、俺のラジオを聴いてくれた人は皆んな笑ってくれると信じていたんだ。とんだ自信だが、若気の至りってやつだ。

 結果は末席の零細番組な訳だが……それでも俺は満足だ。常連リスナーもいるし、友人も聴いてくれていた。

 ラジオ初期は人生の絶頂期だったといえよう。

 

 しかし世界が荒れ果ててからは、街のみんなは他の地区へ移動し、俺の地区はあっという間にゴーストタウンになった。

 人っこ一人いやしない。自分の生まれ育った場所を、こうも簡単に捨てられるのかと愕然とした。

 俺の脚は、地区の境界線で止まってしまうと言うのに。

 父が生き、死に、俺が生まれ育った故郷に俺は縛り付けられていた。

 この場所を離れたら、もう今までの俺ではなくなってしまう……戻れない何かになってしまう気がして。

 他のやつからは死に急いでるだけに見えるかもしれないが、俺は本気だ。ここから離れたら、今の俺は死んでしまうと思っている。

 だから、腕を引く友人たちを振り解いてここに残ったのだ。

 ここで過ごし、ラジオを続けるために。

 

 ジュウジュウと何かが焼ける音が響く。

 香しい食欲をそそる匂いが鼻腔をくすぐる。

 なんと言おうか、ふわふわしているのに、じっとりと重く脂を感じる香りだ。

 合成肉ペーストに近いが、それよりも圧倒的に濃くて重い。香辛料のパンチの効いた匂いも漂ってくる。

 かなりガッツリした料理なのだろうか。

 涎を飲み込みながら、目を瞑る。

 これから出てくる料理に楽しみが止まらない。

 

 しかし、こう言う時に限って嫌な記憶のフラッシュバックというのはやってくる。

 ぐらりと視界が脳内に向き、誰もいない街で食糧を求めて彷徨った時がハッキリと見えた。

 フラフラと歩いても、誰も声をかけてくれる人はいないし、襲ってくる者もいない。

 視線を感じず、息遣いも聞こえない。

 腐りかけの保存食をどうにか見つけて、電波塔に帰る。

 虚しい時間だ。

 

 人は案外、苦痛の真っ只中にいる時は狂わない。

 その時はもう完全に心がダメージ覚悟の状態で、なるべく感受性や思考というものを消しているから。

 一番人が狂うのは、好きな事をやっている最中……それに「意味が無い」ことに気づいてしまった時だ。

 そう思うと、俺はついさっき、狂ってしまったのかもしれない。

 俺の自己満足だけのラジオ放送。それは人がいなくなる前より放送範囲は格段に広がったというのに、聞く人は誰もいないのだから。

 自分はなにをやっているのか。

 その思考が頭に浮かんだ時、人間は発狂する。

 

 じゅわじゅわと水分が蒸発し、食材が焼かれていく音が聞こえる。

 焚き火の音や雨の音というのは人の精神を落ち着かせるらしいが、これにもそんな効果があるのかもしれない。

 すーっと頭の中に何もなくなっていく。

 フラッシュバックも、理性的な理論も、空想も。何も無くなっていく。

 この時間が永遠に続けばいい。

 この苦しみから解放されたい。

 そう思った。

 

「お待たせしました。ドライカレーです」

「っ、おお」

 

 思考が彼方に飛んでいたのが勢いよく戻ってきた。

 カウンターには茶色い粗めのペーストが、白い粒の塊にのっている。中央には黄金に輝く柔らかそうな玉が乗せられていた。

 これがドライカレーか。

 

「真ん中のは卵黄ね。好きなタイミングで割って混ぜて食べなさいな」

「美味しそうだな……いただくよ」

 

 渡された大きめのスプーンでドライカレーを大口で口に運んだ。

 白い粒……米の甘さが来たと思ったら、香りにも感じるパンチの効いた刺激が口内を満たす。

 辛味、とも旨み、とも取れる絶妙なバランスだ。滑るように胃に収まっていく。

 細かく切られた食材の食感は歯に楽しい。モクモクと咀嚼すれば、脂の濃い味や繊維のシャキシャキした感覚が、もっと食べろとせっついてくる。

 半分食べ進めたところで卵黄を割り、混ぜて食べればまた違った顔になる。

 さっきまでのピリリとくる刺激が一転、まろやかで甘みのある濃厚な味に変わったのだ。重さも増している。

 じわじわと暖かさによって米も柔らかくなり、最初の一口とはもはや別物!

 そこそこ量があるのだが、飽きずにもう一杯でもいけそうだ。

 じわじわと体が熱くなってきて、水を飲めばその水すらさっきの倍美味しい。

 ぐいっと飲み干してさらに速度を上げて食べ進めれば、あっという間に皿は空。

 ただ食事をしただけなのに、勢いよく食べ過ぎて若干息が乱れていた。

 

「あはは、いい食べっぷり! そんなに美味しく食べてもらえて嬉しいよ」

「いやぁ、カッコ悪いところを見せちまったが……それくらいこのドライカレーは美味かった!」

「うんうん、美味しいものを食べて笑顔になる。それが人間一番だよ!」

 

 マスターに見られていたことに頭を掻きつつ、素直に感想を伝える。

 ドライカレーの美味さは本物だ。これの為に何百万と金を出す奴がいるだろう。

 私財を投げ打ってでも食べる価値のある一皿だ。

 それをこんな若い、俺より少し下くらいの女性が作り上げたということに、驚く。

 ひと財産築けるくらいの料理を、どうやって習得したのだろう。

 

「これは、誰かに教わったのかい? なにか、特別な訓練を受けたとか」

「ん? そういうのは無いなぁ。参考にしているレシピはあるけど……ほとんど私のオリジナルよ」

「ははっすげぇなぁ……俺より若いだろうに、こんなすげぇ技術を持ってんだ」

「お兄さんは職業は何をしているの?」

「……ラジオDJさ」

 

 この女性に自分の職業を告げる事を、少し躊躇った。

 ラジオDJというのは、ここでは不良のなる出来損ないの職業だ。

 世界が荒廃し始めてからはさらにその風当たりは強くなった。なんせ生産性が無い。

 芸人やコメンテーターのような、言葉や声で人を笑わせる職業というのは、父のように大当たりした者でなければ基本無頼な底辺職とされている。

 エンジニアのように便利な機械を操れるわけでも、医師のようにヒトを病傷から救えるわけでも無い。

 娯楽なんかより先に、優先するべき仕事があるというのに、遊びにかまけた人という印象になるのだ。

 職業に貴賎が無いなんて、とっくに嘘だと知れ渡っている。

 だから、自分がラジオDJだと言って不快な顔をされないか、怯えた。

 

「ラジオ! 良いじゃないの、なんて番組?」

「え、で、DJキリシマの付きっキリ☆ナイト……」

「えっ貴方がメインなの? すごい、有名人じゃない!」

「え……?」

 

 マスターの反応に、困惑を隠せない。

 ラジオDJだと言えば、大抵は「働け」だとか「遊んでんじゃねぇ」と怒鳴られるのだ。

 石を投げつけられたことも一度や二度ではない。それくらい世間での扱いは厳しい。

 ラジオを聴いている人は変人扱いされることだって多々だ。

 それなのに、まるで目の前の彼女はそんなこと知らないとばかりに、ラジオに肯定的だ。

 

「失望……しないのかい」

「どうして? ラジオDJは別に非人道的な職種ではないでしょう」

「でも非生産的だ」

「はぁ? 人を楽しませて、情報を伝えるラジオのどこが非生産的なのよ」

「ええっ」

 

 人を楽しませること。それ自体に生産性を見出すなんて、考えたこともなかった。

 目の前で必要な食料や労働、治療に協力できないラジオDJという職は、とんでもなく非生産的で無駄な仕事だというのが、常識のようなものだったから。

 俺もその扱いに納得して、それでも夢見てラジオDJになったわけだし。

 

「人を楽しませることが、生産的?」

「食べて、寝て、働くだけの生活なんて色がないでしょ? それに楽しい事を、色を増やす職業のどこが要らない職業なの? 人の精神ほど癒しにくいものは無いのよ」

「それは……初めての考え方だな」

「貴方が外でなんで言われてるか知らないけど、ラジオDJも立派な仕事よ。誇りを持って」

「あ、はは……ありがとう……本当に」

 

 その言葉を聞いて、どっと涙が溢れ出す。

 ラジオDJになって、世間から後ろ指を刺されて、何回も後悔してきた人生の、最初の肯定だった。

 

 ラジオDJになると言った時、父に殴られた。

 お前には才能がない。不良になるくらいなら奴隷にでもなって労働力になれ。そう言われた。

 お前は俺のようになれないと、直接叫ばれた。

 それでも諦めきれなかった。

 俺の言葉で、声で、話で、人に笑って欲しかったんだ。

 

 そうして何年も小さな番組を続けて、変人たちとお便りで交流して、笑って……。

 たとえ収録部屋以外が真っ暗闇でも、よかったんだ。

 それなのに今、たった一人の励ましでこんなにも涙が出るというのは、俺の精神もかなり限界だったという事だろうか。

 

 満腹になって、ラジオも肯定されて、ここはまるで天上みたいな場所だ。

 俺はもしかして死んでしまったのだろうか。

 

「ねぇ、DJキリシマ。私は貴方が外でどんな事を言われて、どんな事をされてきたのか知らないわ。でもね……貴方がパーソナリティを務めるラジオ番組、きっとすごく面白いと思うの」

「ありがとう……! ありがとう……!」

「ふふ……そろそろ時間よ、泣き止みなさい。元の世界に戻っても、この言葉を忘れないで。ラジオDJは決して非生産的な仕事じゃないんだって。人を楽しませる、立派な仕事なんだって!」

 

 泣きじゃくる俺の頬をそっと手を当てて、マスターは言い聞かせるように優しく話した。

 その言葉に、さらに涙が溢れ出る。

 だんだんと白み始める視界。それでも忘れないように、必死に脳裏に刻み込んだ。

 

「ご来店ありがとうございました。それでは……いい終末を!」

 

 意識が戻った時には、俺はいつもの椅子に座って、マイクに向かって口を開いていた。

 いつの間にか曲は終わっており、無音の収録室。いつもの孤独な時間。

 だと思ったのに、やけに幸せな重みがある腹と、ひりついた涙の跡が、それが現実だったと伝えてくる。

 帰ってきてしまったのだ、あの喫茶店から。

 

「……あ……」

 

 また、孤独なゴーストタウンに戻ってきてしまった。

 番組放送中、沈黙はNGだというのに、俺は絶望した。

 あの優しい人は、美味しい料理は、もうどこにもない。

 さっきとはまた違う感情で、泣き出してしまいそうだった。

 

 その時

 

「あの……貴方が、ラジオを放送していた人ですか」

 

 知らない男性の声が廊下から響いた。

 見れば、作業服を着た初老の男性が、収録室の外でおどおどと立っている。

 この地区で何ヶ月ぶりに見る、俺以外の人間だ。

 

「人……? 俺以外の……?」

「ああ、邪魔して申し訳ない。自分は旅の者で、世界一周を目指していたんですが……ラジオが聞こえてきたもので」

「お、俺のラジオを聴いて、この電波塔に来てくれたのか?」

「はい。この世界、人に会う事自体貴重ですから……。ラジオで居場所を知らせてくれたおかげで、こうして辿り着けました」

 

 人の良さそうな男性は、なんと世界一周を目指して旅をしているという酔狂なおっさんだった。

 この地区に入った時、なにやら愉快なラジオが聴こえ、その声の主に会いに来たらしい。

 この世界で、自分の存在を誰かに知って欲しかったと、彼は言った。

 

「私には亡き妻がいまして……この終わりゆく世界で、私と、妻がいたという事を誰かに知って欲しかったのです。存在証明という奴ですね」

「それは……立派だな。俺はここで、情けなく自分のラジオに縋ってばかりで……」

「いやいや、貴方がラジオを放送してくれたから、私はこうして願っていたこの世界の生き残りに会えたのです。それに途中でかかっていた音楽、あれも良い曲でした。貴方が選んでいるのですかな?」

「あ、ああ……」

 

 優しく、穏やかに話すおっさんに、俺は押されっぱなしだ。

 俺のラジオを辿って会いに来てくれて、俺の選曲を楽しんでくれて、俺を否定してこなくて……。

 今日だけ、なんだか恵まれすぎていやしないか。

 ニコニコと俺のラジオのことを話してくれるおっさんに、収まりかけていた涙がまたぶり返してくるのを感じた。

 熱くなった目元を押さえると、おっさんを心配させてしまった。

 

「おや、私何か失礼なことを言ってしまったかな……」

「いや……嬉しくて……。俺の、ラジオを今も聴いてくれる人が居るんだって……」

「ああ……なるほどね。確かに、ラジオDJの風当たりは強かっただろう。でも、私はラジオを好んで聴いていたよ。誰かが楽しく話していると、こちらも楽しくなってくる。良いことじゃないか」

「うっ……うっ……」

 

 背中をさすってくれるおっさん。

 様々な感情がごっちゃになって、もはや言葉にならなかった。

 それでも、これは俺が「いい終末」を初めて送れるようになる第一歩なんじゃないかと、そう思った。

 ここから、俺のラジオは始まるのだ。

 俺の居場所を、故郷を、誰かに伝えるために。

 ラジオの素晴らしさを、知ってもらうために。






感想、お気に入り登録などありがとうございます。
不定期更新ですが、頑張って書いていきます。
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