爽快なのに鬱ゲー世界の敵役に憑依したからには、悲劇フラグを折って爽快無双ゲーにしなければ(使命感) 作:火星で1,000往復
ユグドラシルのセクハラ案件の暴露と、ボクっ娘カナダに椅子を顔面に投げつけられるという暴行を受けてから1時間後。
ボクっ娘カナダに壊した椅子の代わりに席を奪われたために座る場所を無くした俺が立って時間まで待っている中、会議の予定時刻まであと10分くらいになりようやくゾロゾロと幹部たちがやってきた。
クリスタルスカルの幹部たちは俺を含めて7人。全員が敵のボスとして登場する。
基本敵として立ち塞がるキャラのため、プレイアブルキャラはほとんどいない。ユグドラシルの野郎含めて大半はNPCである。
プレイアブルキャラは聖母様とカトレヤだけ。他は全員NPCで、もれなく2のストーリーで死亡する。クリスタルスカルの面々はNPC=ストーリーで死ぬキャラである。
まずは聖母様。コードネームはヘリアンサス。保有するパラディソスはエルキドゥ。ユグドラシルの野郎の野望を知っており、それを阻止しようとしている、先日協力関係となった人物である。ストーリーでは当初は敵として立ち塞がるが、後にユグドラシルを裏切り主人公たちに協力することとなりプレイアブルキャラに、そして共にクリスタルスカル崩壊のために戦う。3にもプレイアブルキャラとして登場し、主人公の頼もしい協力者として活躍する。ちなみに実年齢は70代。
次にボクっ娘カナダ。本名はキルリア・ロンド。コードネームはメープル。保有するパラディソスはケートス。カフェオレカラーのショートヘア、陽気で快活なスポーティー美人。こちらもユグドラシルの野郎の野望を知っているが、世界と心中したいという破滅願望の持ち主なのでむしろその成就に協力的な説得不可能なあたおかである。逆にいえばそれしかユグドラシルに協力する理由がないので、世界の破壊を阻止するなら誰だろうと敵認定してくる。ありえない可能性だが、それがたとえカリスタ本人だとしてもである。ちなみに美人なのに28歳にもなって未経験という事故物件。
3人目、プレイアブルキャラの1人でもあるアイリ・不破・オズモック。コードネームはカトレヤ。保有するパラディソスはダーインスレイヴ。不破は死んだ生みの親の苗字で、オズモックは育ての父の苗字。白黒ツートンカラーのサラサラストレートヘアが特徴の日本人。悲劇フラグの被害者の1人。物静かで儚げな雰囲気の美少女だが、中身はめっちゃ苛烈。幹部の中では最年少。幼い頃に家族を大陸議会軍の都市爆撃によって殺されており、大陸議会をものすごく恨んでいる。ユグドラシルと肉体関係を持ちパラディソスという力を得るなど、復讐のためならどんなことでもする少女。
4人目、エイブラハム・オズモック。コードネームはスリフト。保有するパラディソスはカラドボルグ。ドクロ仮面で顔を隠し、2メートルという巨体を全身黒一色のコーディネートで固めている男。悲劇フラグの被害者の1人。環太平洋条約機構軍に所属していた元軍人で、戦地でカトレヤを拾い育てた養父。大陸議会軍に妻と娘を殺されており、カトレヤを拾ったのも娘と重ねたから。現在はユグドラシルのクソ野郎のせいで記憶をいじくりまわされて忠実な駒に改造されており、娘のことも忘れている。他にもストーリー中で悲惨な目に遭うことの多い、クリスタルスカルの幹部の中で1番酷い目に遭う悲劇フラグが立っているキャラだ。記憶が戻れば協力してくれるけど、残念ながら俺にはどうしようもできないし、今の忠実な駒の状態での説得は不可能だ。彼は主人公に任せるしかない。
5人目、ゴドラック・ハーウェン。コードネームはボールサム。保有するパラディソスはアスカロン。オーダーメイドの黒スーツを着て頭はオールバックにしているユグドラシルのパチモンみたいな見た目をしている男。組織の信者集めに奔走する広報部長で、ユグドラシルの掲げる表のプロパガンダをみて信奉しており、見た目もユグドラシルの野郎を真似ているためにパチモンになった信者。ユグドラシルの裏の野望を言ったところで嘘だと決めつけ、あまりの心酔ぶりからプレイヤーたちよりホモ疑惑をかけられるほどのユグドラシル信者なので、説得は無理。ちなみに公式が認めるクリスタルスカルの最弱幹部。ぶっちゃけダンデライオンより弱い。よって説得できたとしてもぶっ殺す方が手っ取り早いので仲間に勧誘することはなかっただろう。
6人目、フリージア。コードネーム=本名。保有するパラディソスは常時展開しているケイオス。全身を展開しているケイオスのアーマーに入れているので外見は見えないが、パラディソスが延命装置の役割を担っており先天奇形の病気により見た目が人間じゃなくなっており、パラディソスの中でないと生きられない障害を患っている。こいつは生まれつき脳みそが物理的に不完全なためまともな思考能力がなく、ユグドラシルを攻撃する敵を迎撃するしかできず意思の疎通が一切できないため、説得云々以前の存在である。よくもまあ、この様でパラディソスの制御ができてるものだぜ。
そして7人目がこの俺、ダンデライオン。本名が明かされずに終わったパッとしねえ中ボス。保有するパラディソスはグランシャリオ。漏れなく爆弾付きである。ストーリーでは最初に脱落するクリスタルスカルの幹部だ。
ボスがセクハラのためとはいえ1時間前からアジトに来ていたのに、会合の予定時刻を3分もすぎてから最後にカトレヤが到着し、やっと全員が集合するという時間にルーズなクリスタルスカルの幹部たちが、会議のためこのアジトに集った。
……こうした幹部たちを見ると、何故かコードネームは植物なのに組織名は中南米のオーパーツなんだよなこの組織。やっぱり部下に手をつけるようなボスの感性は変だわ。
「全員揃ったな」
「おい俺の席が無くなったからその椅子よこせセクハラオールバック」
「人を非難できる立場じゃないだろ貴様。席をなくした原因を忘れたか」
俺以外が席についた議場を見渡し全員集合を確認したユグドラシルが、コードネームは植物なのになぜか組織名は中南米のオーパーツなテロ組織の幹部会を始める。
席がないことを抗議したが棄却された。お前の発言も大概だったからな。
ふざけるな変態オールバック。仕事を振るの俺なんだろ? ならばこの会議の主役は俺だぞ。暴論すぎる。
ユグドラシル様万歳勢のボールサムにものすごい形相で睨みつけられたが、聖母様のお怒りに比べれば微風同然なのでスルーする。
ダンデライオンも弱っちいけど、プレイヤーから見てクリスタルスカルの幹部で一番のザコはお前だからな。コイツはダンデライオンでも勝てる自信があるカスなので、ユグドラシル様ラブの殺気などなんの効果もない。
咳払いをして仕切り直したユグドラシルは、長ったらしい前置きは抜きにして早速幹部会の用件である今回の仕事についての話を始めた。
「さて、今日君たちに集まってもらったのは他でもない。長らく続けてきた二大勢力の野望に終止符を打ち、フォーリナーの脅威から人類を解放するための聖戦──これを次の段階に進める時が来た」
「おお!」
ユグドラシル様ガチ勢だけが拍手をする。
盛大に滑ったなユグドラシル。この場でお前に本当の意味で盲信し忠誠を誓っているYESマンはそこのパチモンだけだぞ、ざまあみろ。
だが本気で神を目指すという野望を抱くこの男、心臓が剛毛で覆われているのでこの程度では止まらない。
「フォーリナーが来る異界のゲート……これを封じるための手段がようやく見つかった。ユーラシア大陸議会が秘密裏に収容しているというオーバードーズ、これを確保するのが今回の目的だ」
「……オーバードーズを?」
「先日拉致した議員からカトレヤが情報を聞き出した。議会が隠しているオーバードーズの保有者……それを収容する施設の情報をな」
ユグドラシルが掲げた次の目標。
それはバルバトスの権能を用いてフォーリナーどもの入り口となっている異界のゲートを破壊するというもの。
その権能を発動するためにオーバードーズという保有するだけで二大勢力から人類の敵指定される特別なパラディソスが必要なのだが、これの保有者を大陸議会が極秘裏に捕獲していることとその所在が判明したので強奪しようというのである。
まあ、たしかにバルバトスの権能を使えばオーバードーズを生贄にすることで異界のゲートを消すことは可能だ。
実際の目的はゲートの破壊ではなく世界の破壊と再生のためだけどな。
「我がバルバトスの権能……これを用いて異界のゲートを破壊する。フォーリナーの脅威に怯えることのない日々を取り戻すのだ」
「おお!!」
パチパチパチパチと1人だけの拍手が虚しく響く。
ユグドラシルの言葉を聞いた幹部たちの反応はさまざまだった。
歓喜、驚愕、無反応……聖母様はいよいよ動き出すかと口元を引き締めている。
ストーリーではこのオーバードーズの確保をダンデライオンが引き受けて向かうのだが、すでに施設はもぬけのから。オーバードーズの保有者は別のオーバードーズの保有者の手引きで逃走した後であり、警戒体制中だった大陸議会軍と鉢合わせとなる。
しかも同じくオーバードーズの情報を受けて極秘捜査および保有者の暗殺のために突入してきた主人公の率いる太平洋条約の特殊部隊が参戦してきて、クリスタルスカル・環太平洋条約機構・ユーラシア大陸議会で三つ巴の戦闘に発展するのだ。これが主人公を操作して挑むファーストステージの戦場になる。
この時のダンデライオンは主人公とは戦わずに離脱するが、オーバードーズの保有者をクリスタルスカルが確保したと思い込んだ環太平洋条約機構軍の上層部の命令で主人公の部隊が追撃を仕掛けて中ボスとしての初戦闘となり、敗北してグランシャリオに喰われてリベンジマッチしかけて返り討ちに……という形で退場することとなる。
この大陸議会のオーバードーズの保有者というのが姉貴が声優を務めている俺の最推しであり、姉貴の憑依先だと推測しているキャラなのだが、ストーリーの最初のステージにて彼女は施設を脱出し大陸議会の手から解放されることとなる。おそらく自由の身になっているはずだ。
まあラスボスを務めているこの世界最強のキャラが助けに来るので、施設からの脱出は問題ないだろう。早く捜したいし、現場で行き先の手がかりが見つかるかもしれないので、主人公と接敵するという死亡フラグが立つ内容だが、引き受ける理由が十分にある仕事である。
「このオーバードーズの確保だが……ダンデライオン、お前に任せる。カトレヤから詳細を聞き、現地へ向かいオーバードーズを確保しろ」
「はいな」
「環太平洋条約機構も特殊部隊を大陸議会に入れたらしい。情報を入手している可能性がある。奴らとの接敵も考慮しろ」
「グランシャリオならひとっ飛びだから問題ねえよ。現地に支持者もいるんだろ?」
「兵力が必要なら彼らを当たれ」
ストーリー通り指名を受けた俺は、環太平洋条約機構の方も動いている──つまり主人公たちの方も動いていることを聞き、早速動くべく場所を確認するためカトレヤに声をかけた。
「動くなら早ぇ方がいい。なぜなら速ぇことはいいことだからな。それでカトレヤ、その施設の場所はどこだ?」
「データを貴方の端末に送った」
「流石のクイックレスポンスだな。任せときんしゃい、いってくるわ」
カトレヤが端末に送ったデータにて施設の場所を確認した俺は、もうここに用はねえと部屋を後にする。
ボールサムも今回の途中退出は太平洋条約が動いてあることもあり早ければ早い方がいいから合理的だと睨みつけたりはしなかった。
「頼むぞ」
「嘘情報だったとしても無駄足分ちゃんと給料に入れろよな」
「もちろんだとも」
「言質取ったからな!」
最後に失敗したとしても俺のせいじゃないので無駄足分も給料に色つけろという要求を失敗することを知っている分際で通してから、グランシャリオを展開して目的地に向かって飛び立った。
「片道5分のフライトだ。スピードばかりで乗り心地は保証しないぜ!」
乗客なんていないから問題ないけどな!
登場人物
メープル
本名はキルリア・ロンド。クリスタルスカルの幹部の1人。ボクっ娘。ライトブラウンのショートヘアが特徴の快活な印象を与える見た目の女性。28歳。破滅願望の持ち主で、カリスタの裏の目的を知りながら世界を巻き込む心中ができるからと従っている狂人。保有するパラディソスはケートス。