爽快なのに鬱ゲー世界の敵役に憑依したからには、悲劇フラグを折って爽快無双ゲーにしなければ(使命感) 作:火星で1,000往復
ユーラシア大陸議会が極秘でオーバードーズの保有者を収容している。
人類の重大な脅威であるオーバードーズの存在は看過できない。
エリア48地点に存在する大陸議会軍施設を捜索し、オーバードーズを確保、或いは討伐せよ。作戦遂行を妨害する勢力がいた場合は、実力行使にて排除せよ。中隊長にはパラディソスを含む全ての兵装の使用制限解除の権限を付与する。
上層部から下されたこの命令に従い、大陸議会が秘匿する軍施設の近くに環太平洋条約機構軍に所属する一部隊が集結していた。
オーバードーズの保有者の討伐任務を命じられるだけあり、この部隊は規模こそ中隊とはいえ環太平洋条約機構陸戦軍の精鋭部隊である。
隊長を含め13名のパラディソスの保有者が所属しており、中でも部隊を率いる隊長の
このサザンクロスは軍民合わせて150万人以上になる多くの犠牲者を出した凶悪なテロ組織であり、鎮圧に多大な貢献を果たした彼女を太平洋条約軍内で“英雄”と讃える声も多い。
その英雄に率いられた部隊は“エリア48”と名付けられている砂漠の中に聳える巨大な軍事施設の近くに身を潜め、命令にあったオーバードーズを収容しているというその施設の偵察を試みていたのだが……
「……施設が襲撃されている」
部隊が到着した時、施設は正体不明の軍勢の襲撃を受け戦場となっていた。
ユーラシア大陸議会の統治下では、地理的にゲートに近いこともありフォーリナーの襲撃が多く、太平洋条約に対抗するために莫大な軍事費を必要としており、上層部が腐敗し汚職が蔓延している影響もあり、過大な国費を賄うために民衆が苦しい生活を強いられている。
そのため議会に対する反発も強く、軍と民衆がぶつかることも多々あるという。
しかし都市部ならばいざ知らず、ここは人里離れた砂漠の只中。
秘匿された機密を収容する施設など存在すら知らない市民がほとんどだろうし、抗議活動をするとしても大陸議会の軍事施設を標的にはしないはず。
この施設に襲撃を仕掛けるなどフォーリナーか太平洋条約くらいのはずだが、すでに施設内にまで侵入して攻撃を仕掛けている謎の軍勢はそのどちらでもなかった。
「彼らは何者だ?」
軍勢はフォーリナーではなく人間である。
服装は統一されていないが、全員が銃火器を装備し、装甲車やヘリまで有している。
武装は抗議活動をする市民が持ち出せる規模を超えており、数も多い。
施設を守る大陸議会の軍勢を数で押し込んでおり、あのままではさほど時間をかけずに施設を制圧してしまうだろう。
「推しを救うのだ! 全軍突撃ー!」
何より、謎の軍勢には空から指示を飛ばしているパラディソスの保有者の姿があった。
パラディソスはフォーリナーの生体から作られる兵器。
そんなものを保有する集団が、ただの反体制派の群衆のはずがない。
空で浮遊するその謎の軍勢の指揮官の顔を確認した偵察班は、その顔を調べたところ合致する国際指名手配犯を確認し、あるテロ組織に行き着いた。
偵察班の班長が、無線機にて仮設指揮所にいるアサヒにその結果を報告する。
「中隊長。施設を襲撃している謎の軍勢ですが、統率していると思われるパラディソスの保有者の顔からその正体が判明しました。2年ほど前から急速に世界に拡大しているテロ組織“クリスタルスカル”、指揮官と思われる男はその幹部であり国際指名手配犯のコードネーム“ダンデライオン”です」
「クリスタルスカル、だと……?」
ヒットしたその男は、クリスタルスカルと名乗るテロ組織の幹部の1人だった。
クリスタルスカル。
2年ほど前に突如として現れ、急速にその勢力を拡大しているテロ組織である。
ユグドラシルを名乗る首領の男はフォーリナーが襲来する異界のゲートの封印を掲げ、パラディソスという力を欲するためにゲートの封印に動かずフォーリナーの襲来を容認している二大勢力を糾弾することで、多くの民衆の支持を得ている。
その拡大は二大勢力の均衡を崩し第3の人類の勢力を築くのではないかというほどになっており、太平洋条約の上層部も強く警戒している組織だった。
しかし、掲げる理想は立派なものだがその中身は秩序なく拡大した暴力で物事を解決しようという肥大化した暴力革命装置。
まるで自分たちの意に従わない物は全て敵だと言わんばかりに民間人への被害も出るようなテロ行為を日常的に繰り返しており、多くの犠牲者を出している、間違えなく凶悪な犯罪組織だった。
知った上で攻撃しているのか、それとも知らずにあの施設を攻めているのか。
どちらにせよ、そのような連中がオーバードーズと接触すればどうなるか。
大陸議会が隠して監禁していた方がよほどマシだった、そんな被害が民間人に出ることは容易に想像がつく。
部隊の任務はオーバードーズの確保、あるいは保有者の討伐。
そして障害となるものはパラディソスを含めば保有する兵装全てを動員し排除することが許されている。
軍人の義務として命令を遂行する上でも、たとえ敵対勢力といえど力を持たない民間人に被害をもたらすような事態を阻止するためにも、あのテロリストたちはこの場から排除しなければならない存在である。
祖国のために軍人の責務を果たす。
状況を確認したアサヒは、中隊に命令を出した。
「任務に変わりはない。大陸議会にも、テロリストにも、オーバードーズという脅威を渡すわけにはいかない。敵が多少増えるだけだ、我々は任務を果たす。施設に突入しオーバードーズを確保、障害になるものは如何なる勢力であっても実力をもって排除せよ! パラディソスを含める全兵装の使用制限を解除する!」
「「「了解!」」」
施設に突入し、テロリストよりも早くオーバードーズを確保する。
そのためにクリスタルスカルの大軍の背後を突く形で、太平洋条約もこの戦場に参戦した。
「砲兵、援護を!」
「了解!こちら砲兵隊、突撃ルート上の敵部隊に対し支援砲撃を開始します!」
「バスター展開──私が突破口を作る! 突撃部隊第1・第2班、続け!」
「了解! 中隊長に続いて施設へ突入するぞ!」
アサヒは自らのパラディソスであるクラウソラスのバスターを展開。
砲兵部隊の援護のもと、突撃部隊を率いて道を塞ぐクリスタルスカルの軍勢に突撃していった。
登場人物
置田 アサヒ
無双系アクションゲーム“Foreigners”シリーズの主人公。環太平洋条約機構陸戦軍に所属する軍人。保有するパラディソスはクラウソラス。フォーリナーの侵攻によって故郷と家族を失い、復讐のためにパラディソスの適合試験を受け太平洋条約軍に入隊した。1では婚約者の霧前アカセがゲートの封印を目的に結成したテロ組織“サザンクロス”と戦い、これの鎮圧に貢献。それら功績から、2では大尉に昇格し英雄と称えられている。