爽快なのに鬱ゲー世界の敵役に憑依したからには、悲劇フラグを折って爽快無双ゲーにしなければ(使命感)   作:火星で1,000往復

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引き続き転生者の視点になります。


別視点:転生者 4

 

 アフリカ大陸上空のゲートから降りてくる異世界の機械生命体、フォーリナー。

 Foreignersシリーズにて、雑魚から強敵まで多くの種類が登場する主要な敵。

 大きさや強さ、その役割などから、将軍クラス、要塞クラス、母艦クラス、飛行クラス、戦車クラス、砲兵クラス、歩兵クラスという大きく分けて7つのカテゴリに区別されている。

 

 湖に住み着いていたのは要塞クラス。

 ワーム形態──名前の通りミミズのような長い形状をした個体で、多数の戦車クラスや歩兵クラスを搭載している。

 

 つまりあの巨大ミミズのフォーリナーは母艦のようなもの。

 パラディソスの保有者から見れば人間の兵隊と大差ない雑魚のフォーリナーを大量に出してくる。

 

 ワーム形態から出てくる雑兵は、ハクノが展開したアーツが撃ち落としていく。

 図体だけの大物を担当する私は、バスターを手に湖に向かって走り出す。

 

「アーツ展開! 邪魔なんだよ、どけよゴミ!」

 

 一瞬のやり取りで担当を決めあったとはいえ、要塞型が出してくる雑兵はとにかく数が多い。

 大半は接近する前にハクノが落としてくれているけど、それでも取りこぼしがあるので私のところに来る雑兵もいる。

 

 しかし、パーツの数が他のパラディソスと桁の違うアジダハークにとって、得物を選べる大物狩りも勿論得意だけど、数でかかる雑魚の掃除も得意分野である。

 湖面と空から多数押し寄せてくるフォーリナーに対して、こちらも数では負けないと一度に100のアーツを展開して、砲弾やミサイル、矢に光線、銃弾、電撃などなど多様な迎撃を行い、ハクノのアーツを潜り抜けてきた雑兵を蹴散らした。

 

「シールド展開!」

 

 湖まで来たところで、湖面や空中にシールドを次々と展開。

 即席の足場を作り、速度を落とすことなく湖の上を駆け抜けていく。

 

 その間も無尽蔵に湧いてくるかのようにワーム形態はフォーリナーの雑兵を繰り出してくる。

 1体毎は雑魚だけど、とにかく数が多い。

 ゲーム画面でもワラワラと出てきた雑兵だけど、いざ現実で目の当たりにすると容量の関係で画面上に表示できる数に限りがあったゲームと違って全部見えるので、不気味な機械生物ということもありゴキブリやハエの群れみたいで想像より気持ち悪い光景になっていた。

 

「ワラワラと……気持ち悪いの出しすぎなんだよミミズ野郎が!」

 

 体に意識が引っ張られているのか、ココになっていることで声優として演じなければという使命感が無意識に出ているのか、雑魚とはいえ鳥肌が立ち逃げ出したくなるような光景を前にしても、戦いへの渇望が溢れてくる。

 言葉遣いもココそのもの。前世と声は変わらないこともあり、違和感はない。

 

「みんな落ちろ!」

 

 ハクノの攻撃を潜り抜けてきた雑魚をアジダハークの大量のアーツが迎撃し、私に届く前に残骸に変えていく。

 異形の機械生命体でも、私からみれば壊せば命を失う確かな生命体。

 そしてこの手で、アジダハークを使ってその命を破壊していくたびに、目の前で命の灯火を消す存在を作るたびに、こいつらみたいに消えた命とは違うと、私は──ココは生きているんだという感情が燃え上がってくる。

 

 ゲームだと、このパラディソスに魂を飲み込まれてココ自身は死んでしまったという設定だった。私が演じたココというキャラは、厳密にはアジダハークであり、オーバードーズに肉体を乗っ取られ消えた存在とされていた。

 

 でも、オーバードーズの方じゃない。

 この体の底に、眠っているけど確かにまだ生きていると訴えている魂がいる。

 本当のこの体の持ち主が、私に私が生きていることを教えてくれって、命を壊してあいつらとは違うと証明してくれって叫んでいる。そんな気がする。

 

 私は既に一度死んでしまった。

 もう一度死にたいなんてことは思わないけど、それでも──私にとって子供みたいに思える彼女の声に応えたいって思うから。

 

 だから、オーバードーズを振るう。

 フォーリナーとはいえ、れっきとした命を持って生きているそいつらを、砕いて壊してその命を無情に奪って……それで生きているってことを感じたい、感じさせたいから。

 

「テメエも見せろよ……命の灯火を燃やしてみせろよ!」

 

 前世とはすっかり乖離した価値観だけど。

 相手の命を奪うときに、麻薬みたいに強烈な快感になって生きているって実感を与えてくれるんだから。

 だから、戦おう。命の灯火を、どちらか消えるまで燃やし尽くそうよ。

 

 口だけでもバスすらも飲み込みそうな巨体。

 それに肉薄した私は、デカい図体を呻らせて迫ってきた噛みつき攻撃を回避して、ワーム形態の頭上を取る。

 

「くたばれぇぇえええ!」

 

 その後頭部に、偃月刀のバスターを振り下ろす。

 抵抗をほとんど感じない刃が、ワーム形態の頭部を切り裂く。

 ミミズの頭は二股状に裂けて、そこから機械の中身が露わとなり、緑と土色の液体がぶちまけられた。

 

 油とクーラント液みたいなものかな。

 そんな感想を抱く前に、切り裂かれたチューブや配管の断面から降り注ぐ液体が、飛び散る火花に引火して爆発を起こす。

 

 ワーム形態の頭部は吹き飛ばされ、さらに配管内を伝って火災は延焼。

 爆発は頭部から胴体に向かって連続するように広がって、その巨体の半分ほどがボコボコと穴だらけになる残骸となり、ワーム形態はそれで事切れて湖に沈み込んだ。

 

「あっけなさすぎない……? まあ、良いけどさ」

 

 ゲームで散々倒した相手だからわかっていたけど、やっぱり要塞クラスは図体だけで弱い。ゲームではこんな爆発連鎖で吹き飛ばすこともできなかったから、終わるとむしろシステム通りにしか動かないはずのゲームに出てきたやつよりも弱いとすら感じてしまう。

 

 これでよく喧嘩売ってきたなと思うけど、フォーリナーなんて将軍クラスの知性を持っている個体でもなければ、人間見つけ次第何も考えず襲いかかってくるような考えなしの連中だし、ラスボスとその同レベル相手でも襲ってくるものかと納得しておこう。

 

 私の中では大物狩りに向いている偃月刀のバスターのお披露目ということもあり、もっと巨大な敵を狩るというスリルがあってもよかったんだけど……楽に勝てるならそれに越したことはないので、これはこれで良しとしよう。

 

 残った雑兵も逃げずに襲いかかってくるけど、大元の要塞クラスが倒れたことで増援が出てこなくなり、それ以上は私が手を出すまでもなくハクノが片付けてしまった。

 

 今回は雑魚が大量にいたので数ではハクノが圧倒的に多かったけど、私もそれなりに撃墜したし、何より大物の要塞クラスは私1人で倒したので、戦果は私の方が上だと思います。

 お世話になっているけど、負けず嫌いなのでこれは譲れない。

 

「大物は私が仕留めたから、私の勝ちってことで」

 

「了承。異論はない」

 

「……そこは数じゃこっちが上だ、とか張り合ってもいいんだけど」

 

「フォーリナー討伐に戦果の勝負など無い。生きるか死ぬか、二者択一」

 

「まあそれはそうだけどさ」

 

 ハクノは特に勝負とかという意識はなかったらしく、受け流されてしまった。

 確かに軍人でもない今の私たちに戦果で勝負だなんて無意味なことかもしれないけどさ……こういうところがこのラスボスは2だと淡白なんだよね。紳士だし頼りになるし強いし私のこと無碍にしないし、良いところたくさんあるから差し引きは全然プラスだけど。

 

 とにかく、予想外の襲撃を仕掛けてきたフォーリナーも苦戦することなく片付いたので、先ほどのハクノの方針通り今夜はここで野宿することに。

 気温が低いのでアーマーは解かないようにとハクノが忠告してきた。

 

 ……私、ひょっとして子供扱いされてるのかな? 

 彼の手を煩わせている自覚はあるけど、前世含めればこっちが年上なのに。

 

「掃除も終わったし、休もっか」

 

「低温対策としてアーマーは解除しないように」

 

「わかってるって。それでも寒くなったら、この前みたいにくっついて寝ればいいし」

 

「拒否する」

 

「なんで!?」

 

 最悪寒くなってもくっつけば良い、と提案したところ即答で拒否された。

 この前のヤルカンドでの一緒に寝た時のことから警戒して拒否されたんだろうけど、即答されるのは拒絶されているようで流石に傷つくんですけど! 

 

 

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