爽快なのに鬱ゲー世界の敵役に憑依したからには、悲劇フラグを折って爽快無双ゲーにしなければ(使命感) 作:火星で1,000往復
ファーストステージの消化を終えた俺は、その日のうちに施設がすでに空だったことと環大西洋条約機構とブッキングしたこと、そしてユグドラシルの野郎に対する罵詈雑言と給料は出せという念押しを記した今回のオーバードーズ強奪作戦失敗の報告書を作成し、信者に書類の送付と環太平洋条約機構の動きを探るよう指示を出して今日の仕事を終わらせてから、信者どもが用意していた宿で一晩を過ごした。
クリスタルスカルのコマ、ユグドラシルの信者は大陸議会だけでなく環太平洋条約機構にも入り込んでいる。腐り切った上層部だけでなく、主人公の中隊にまで信者は紛れ込んでいるので、情報を抜き出すことは簡単なのだ。
そして翌朝。
仕事の早い信者から内通者より太平洋の連中の動向に関する報告が上がってきた。
なかなかのクイックレスポンスだぜ、早ぇことはいいことだ。仕事の早い信者には、俺からの褒美としてユグドラシル様ラブ勢ことクソ雑魚のボールサムの野郎に仕事ぶりが届くように話を通してやることにした。
気に入られれば命を握られる代わりにパラディソスの保有資格の有無を試す幹部昇格試験への推薦がもらえるので、信者は大喜びである。
ユグドラシルに気に入られて命握られることの何が面白いんだか、俺にはさっぱりわからないね。
信者からの報告では、内通者を通じて環太平洋条約機構の上層部と主人公中隊の動向に関する情報が上げられた。
ます太平洋のボンクラ上層部どもは、俺たちクリスタルスカルがオーバードーズを確保していると判断したらしい。
主人公の中隊に俺への追撃命令が出されたらしく、痕跡を探しているとのこと。
爆発で吹っ飛ばされたこともあり、俺の所在まではまだ掴めていないようだが、そこは主人公補正が働いて居所を掴まれることもありえる。
何しろクリスタルスカルの方が信者を紛れ込ませているのと同様に、太平洋の諜報機関もクリスタルスカルに入り込んでいる。現地徴用した信者どもを多用しているし、多分俺が知らないだけでスパイも紛れ込んでいる可能性高いしな。
そしてもう一つ。
是が非にでもオーバードーズを始末したくてたまらない太平洋の上層部は、大陸議会に対し軍事行動を起こして本格的な軍隊を越境させる計画も動かしているらしいという情報も得られた。
聖母様からのメールで、ユグドラシルの野郎はメープルに命令して東南アジアの方で大陸議会に太平洋条約への攻撃を起こして二大勢力を戦争状態にさせるとかいう計画が動いているらしいので、太平洋の越境が行われれば二大勢力の開戦待ったなしになること間違えなしよ。
ゲームではこの後セカンドステージになる。
セカンドステージはダンデライオンが中ボスとして登場しバトル、そして主人公に負けて、失望したユグドラシルに爆弾ドカンされて死亡という展開。
死後にパラディソスに乗っ取られて主人公にリベンジマッチを挑むも、あっさり返り討ちになってパッとしねえ中ボスは退場。その後は回想すらされずにフェードアウトだ。
つまりセカンドステージで主人公とやり合うのは、思いっきり死亡フラグが立つ展開なんだよバカヤロウ!
東南アジアはゲームにて施設脱出後にダンデライオンが向かい、主人公に追いつかれてセカンドステージになる舞台なので、そっちに行くつもりはない。
主人公を撹乱するために俺に格好の似た信者に変装させて東南アジアの方に向かうよう送り出しているし、偽情報も流している。セカンドステージはマジでダンデライオンにとって死亡フラグになるので、これは絶対に避けるため二重三重の策を張り巡らせているのだ。
やはり俺には策士の才能があるようだな。
……それでもこっちを正確に狙ってくる可能性もあるけどな!
上がってきた報告をもとにあれこれと死亡フラグ回避の準備を済ませたところで、宿を出発。
施設が爆発したせいで手がかりなしで挑むこととなったが、俺と同じく転生していると信じている姉貴捜索のために信者を動員し、俺自身は南ではなく北に向かうことにした。
目指すはココを助け出したラスボスことハクノの潜伏先であるキルギスである。
ゲームだと施設脱出後にココとハクノはドンパチをやって喧嘩別れとなり、お互い別々の道を行くこととなる。
この後のココの行方は分からないが、ハクノは彼をオーバードーズと知って匿ってくれている協力者の元に身を寄せることになっている。
ココの行方を探すためには、最後に一緒にいたラスボスに話を聞くのが手っ取り早いのだ。
ちなみにこのラスボス、ダンデライオンと入れ替わる形でメープルの勧誘を受けてクリスタルスカルに幹部待遇で加入することになる。
このラスボスは太平洋の連中がクリスタルスカルに奪われたって嘘を信じ込み、ココの行方を探すためにクリスタルスカルの勧誘を受けることにしたのだ。
おかげでこのラスボスは2でも主人公の敵として登場することになる。しかもまたまたラスボスとして。
クリスタルスカルの接触はハクノの側にとっても望むところだし、2だと主人公よりむしろ理性的なので、話し合う余地があるのだ。
そこであわよくばユグドラシル退場を目指す味方に引き入れたい。ラスボス張ってるハクノは世界観的に最強クラスのキャラなので、味方にできれば非常に心強い。
それにハクノはココを助けるために動いているので、バルバトスに利用しようと企むユグドラシルとの敵対にも同意いただける可能性が高いしな。
そんなこんなで目指せキルギスだぜ!
タクラマカン砂漠から北上して、天山山脈を強行突破。
グランシャリオならひとっ飛びなので、砂漠も山も余裕で越えられるってものよ!
……俺に誤算があったとすれば、主人公補正を甘く見ていたということ。
たんぽぽ野郎にとっての死亡フラグを建築する死神の主人公は、俺が巡らせた策略を跳ね除けて北上する俺の動向を掴んでいたのだ。空飛んで高速移動したら偽物用意した意味がないということに気づかないのがこのポンコツである。
「このままキルギスに──」
「見つけたぞ、ダンデライオン!」
「いってえ!? な、何事──ってか、落ちるううぅぅぅ!?」
そう、俺は天山山脈で主人公に追いつかれたのだ。
キルギスに入り北上したところにある湖──主人公に八つ当たりでもされたのか巨大フォーリナーの死骸が沈んでいる汚ねえ湖にて、単独で待ち伏せしていた主人公にアーツで撃ち落とされたのだ。
ワーム形態の巨大フォーリナーの死骸の上に落下する。
機械生命体なので普通に痛い。俺じゃなかったら死んでいるね。
「人が気持ちよく飛行していたというのに……どこのどいつだ、邪魔立てするやつは!?」
「オーバードーズの身柄を引き渡してもらうぞ、ダンデライオン!」
「げっ、置田アサヒだと!? なんでここにいるんだよ、東南アジア旅行に行ったんじゃねえのかよ!?」
「信頼できる筋からの情報と、飛行姿の目撃情報から当てた。そして私の部下には瞬間移動を可能とするパラディソスの保有者がいる。高速移動といえども、先回りは可能というわけだ!」
「しまった、偽物は飛行できなかった!」
このたんぽぽ、痛恨のミス!
まさかゴリラ女に知略で上回られるとは……肝心な時にドジっちまったぜ。
そういえば主人公の部下には瞬間移動の権能を持つパラディソスの保有者がいた。
なるほどスパイと飛行する俺の目撃情報から進路を割り当てて待ち構えていたわけだな。そのついでにこの要塞クラスのフォーリナーまで駆逐していたと。
場所は東南アジアではないが、主人公の追撃を受けて戦闘に発展することがセカンドステージというこの中ボスの死亡フラグになっている。
味方になれそうなタイミングまで主人公とは戦いたくなかったのだが……。
ここは説得を試みるとしよう。
丸腰であることを示すために両手をあげ、ひとまず対話しようではないかと呼びかける。オーバードーズが目的なら、俺にかまちょしているのは見当違いなのだから。
「まあ待て、お前の目的はオーバードーズだろう? ならば俺に問いただすのは時間の無駄だ、何しろクリスタルスカルはお前たちの目的の人物を確保していないのだから」
「それは私が決めることだ。その体に問いただせば、隠し事も吐露したくなるかもしれん。知らぬ存ぜぬを貫くならば、貴様の命を使ってクリスタルスカルに問いただすまでだ」
「なんでそうなる!? ココは俺たちが来た時にはとっくにトンズラしていたんだよ! お前も見ただろうが、空の檻を!」
「惚けるな! 貴様らが捕らえたことは割れているんだ!」
「それが誤解なんだよ!」
「問答無用! バスター展開!」
「対話をせんか、バーサーカー!」
しかし妖怪キクミミモタズは問答無用とバスターを展開し攻撃してきた。
だああぁぁぁ! 全くもって、少しは人の話を聞けよ脳筋主人公が!