爽快なのに鬱ゲー世界の敵役に憑依したからには、悲劇フラグを折って爽快無双ゲーにしなければ(使命感)   作:火星で1,000往復

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もう少し説明回が続きます。


姉貴用のハッピーセットのためだ馬鹿野郎!(ハッピーエンドな)

 

 鬱ゲーなのに何で悲劇フラグを折る必要があるんだって? 

 ハッピーエンドのためだ馬鹿野郎! 馬鹿が馬鹿とか言うな。

 鬱ゲーの根幹を揺るがすとか知ったことかボケ! これはアンチ。

 

 落ち着け俺。落ち着けお前。

 つーわけで、野郎ども。フラグ端折りに行くぞオラァ! お前が落ち着け馬鹿。

 

「おらっしゃ、やってやろうじゃねえかオラァアアア!! ──ゲホッゴホッ!」

 

 叫んだらまた咽せたぜ。

 本来のダンディなそして汚い俺の声じゃないから声帯が慣れてないんだろう。叫ぶと咽せるぜ、中ボスなったぜ、バカヤロウこのヤロウ。お前一回黙れ。

 

 客船で沈没事故に遭ったらゲームのキャラに憑依してしまった件について。

 仮に俺の今の状況と、この新たな肉体を使った主人公ポジ乗っ取り冒険活劇の物語に題名をつけるとしたらこれになるぜ。なるだろう。ならなければならない。なってない。いやなれよ! 

 

 まあタイトルはどうでもいいんだ。とにかく俺はやりこんできたゲームに登場するキャラになってしまったんだ。割とすぐ死ぬ中ボスキャラだけど。

 だからどうしたァ! 俺はやるぞ、やってやる! かかってこいよ鬱ゲーの悲劇フラグども、シリーズ3作プレイ時間2400時間オーバーのゲーマーの腕見せてやラァ! 敵勢力の中ボスだけどな。

 待ってろ姉貴、そっちの悲劇フラグもこのダンデライオン様が折ってやるぜ、ヒャッハアアァァァ!! ゲホッゲホッ、オェ……。結局咽せる。もはやお約束。やかましい。

 

 そんなこんなで現実を受け入れた俺は、ストーリーは鬱ゲーと名高いほどに悲劇的な展開が多数存在するこのゲームに点在する悲劇フラグを折りまくる決心をした。

 ちなみに叫んで咽せたのは決意表明のためではない。

 

 咽せたことはどうでもいい。雑な誤魔化し。やかましいっつの! 

 

 悲劇フラグを折りまくる決意をした理由だが、人の心がない製作陣のストーリーは面白くはあったけど、流石に悲劇が過ぎるので人として見過ごせないからというのが一つ。

 それから、ダンデライオンというキャラの死亡フラグを折り尚且つ安全を確保するためというのが一つ。フォーリナーに食べられないようにする、というか主人公にぶっ殺されないようにするための布石に、折らなきゃいけない悲劇フラグがいくつもあるからだ。まあ、詳細は後ほど説明する。今説明しろ馬鹿野郎。

 

 そしてもう一つが、叫んで咽せることになった理由である、ダンデライオンとForeignersというゲームの世界観に関することを整理していた時にふと思い浮かんだ可能性である。

 

 俺がダンデライオンに憑依する前、客船の沈没事故には姉貴と共に遭遇した。

 そして姉貴も一緒に仲良く海に沈んだのだ。平坦な胸部装甲は浮き輪の役目を果たせなかったようだ。

 つまり、俺と同様に姉貴もこの世界に転生、或いはキャラに憑依している可能性があるのだ! 

 声優としてキャラに命を吹き込んでいたし、姉貴の方が転生していてもおかしくない! むしろ姉貴の方が転生して、俺はおまけで来た方がしっくりくるだろ! それはそう。

 希望的観測だと? 希望的観測して何が悪いんだこの野郎! こちとら血の繋がった姉が魂だけだろうと生きている可能性を見出したのだ、弟が信じてやらないで誰が信じてやるってんだよ! こちとら姉貴がこのゲームにかけてる熱意間近で見続けてきた家族だぞ、信じることの何が悪いんだ馬鹿野郎! やはりシスコン。

 

 えーと、つまりは姉貴が命を吹き込んでいるキャラも割と悲惨な境遇が多いキャラなのだ。

 姉貴の演じたキャラは俺の推しでもあるし、せっかくこの世界に降り立ったからには推しを幸せにしたい! これはファン。

 そして姉貴も幸せにしたい! どう見てもシスコン。

 姉貴の声のキャラと姉貴が宿ったキャラを幸せにするために悲劇フラグを折りまくるんだよ! かなり危ないシスコン。

 

「姉貴のハッピーセットのためだ馬鹿野郎!」(ハッピーエンドな)

 

 ……ちなみにまた叫んで(お約束のように)咽せた。

 

 

 

 よし、行動指針は決定した。

 俺様もとい様とかつけるなダンデライオンは、ストーリーを知っているこの知識を活かして、姉貴の悲劇フラグを折る。これ第一目標であり、第二目標。ほかは二の次さんの次。己の死亡フラグはどうした。

 

 行動指針は決定したので、行動あるのみと行きたいところなのだが……ここで問題がいくつか出てくる。めっちゃ短絡的に動き出そうとしているからな。地の文のツッコミやめい。

 

 まず一つ目。

 俺が憑依しているこのダンデライオンという者、この世界で一騎当千の力を得られるパラディソスの保有者であり、世界的に見ればかなり戦闘力の高い部類に入るキャラである。

 しかし、しかしである。

 こいつ、あんまり強くないのだ。ぶっちゃけ弱い。中ボスというのもあるけど、雑魚相手には無双できるがパラディソスの保有者の中では弱い部類に入る。

 ダンデライオンが保有しているパラディソスは“グランシャリオ”という名前だけは一丁前におしゃれで強そうな代物だが、あんまし強くない。

 便利な機能はあるけど、強いかどうかで言えば微妙、というか普通に弱いのだ。むしろ姉貴が演じてた俺の推しキャラの方が圧倒的に強いのだ。……助け要らなくね? 

 このキャラのパラディソスは使い方を工夫しなければ、悲劇フラグに立ち向かうことができないのである。

 

 次に二つ目。

 ダンデライオンは中ボス、つまり主人公と敵対する勢力のキャラである。

 こいつが所属しているのはシリーズ2作目で無印版の3年後の世界が舞台となる“Foreigners 2”にて、二大勢力を敵に回して暴れているテロ組織“クリスタルスカル”で、こいつはその幹部の1人である。

 

 このクリスタルスカルというテロ組織だが、表向きは異世界繋ぐゲート、つまりフォーリナーどもが飛来する入り口の封印と、パラディソスという戦力欲しさにあえてゲート封印に動かずフォーリナーの襲来を許容し民衆への被害を必要な犠牲として切り捨ててる二大勢力を糾弾し打倒するというプロパガンダを掲げている。

 後者については二大勢力の暗部のひとつだわな。二大勢力のトップ連中は一騎当千の力を持つパラディソスという戦力、この特殊能力がもたらす恩恵欲しさに、材料となるフォーリナーの侵入をあえて阻止せず、結果末端の民間人に被害が出ているのを無視しているというクソ根性丸出しな奴らなのだ。

 

 しかしそれはあくまで表の目的。

 裏の目的はまったくの別物。トップの“ユグドラシル”と名乗っている野郎と一部の幹部のみが知っているもので、このユグドラシルという野郎は自身が保有するパラディソスの特別な権能を用いてこの世界を滅ぼして自分の好きなように作り直し新世界の神になろうとしているのだ。

 意味わかんないって? あとで詳しく説明するから待って。今説明しろ。その前に説明することがあるんだ馬鹿野郎、少しは待たんかい! 

 とりあえずこの組織のボスは世界滅亡を目的にしているクソ野郎という認識でいてくれればOKよ。分かったかなボーイ? 

 

 二大勢力も汚い組織だし、表の目的はフォーリナーの脅威の排除だから、結構民衆を中心に支持を得ているテロ組織なのだ。

 やってることといえば、二大勢力の要人の暗殺だの、自爆テロだの、ゲート封印に必要だとほざいて関係ない様々なものを強盗したりだのといった、犯罪行為ばかりだけど。その過程で民衆に被害者が出ても知るかぼけ! でスルーして、後から犠牲が出たのは二大勢力のせいだってほざいて民衆を煽動する、二大勢力のこと糾弾できねえだろって言わんばかりのクソな所業してるけどな。あたおかテロ組織である。

 

 そんなクソなテロ組織の幹部が、今の俺、ダンデライオン。

 ……うん、姉貴に会って弟と信じてもらえなかったら普通にぶっ殺されるし、所業が所業なだけに主人公と相対しても許してもらえねえなこれ。

 

 おまけに、ユグドラシルの野郎は裏切り防止のために任意で起爆できる小型爆弾をパラディソスの中に仕込んでいる。

 これを起爆されるともれなく死に、死体をパラディソスに待ってましたと言わんばかりに喰われて乗っ取られるのだ。

 パラディソスは保有者と融合しているから爆弾を取り除くこともできないし、任意だからユグドラシルに完全に生殺与奪の権を握られているのである。

 

 ユグドラシルのやつにパラディソス仕込まれる前だったら良かったんだけど、ダンデライオンがこの寒々しい部屋をねぐらにしているのはクリスタルスカル加入後のこと。すでにこの体にはグランシャリオが融合しており、漏れなく裏切り防止爆弾もひっついているのだ。

 

 つまり、俺はあたおかテロ組織の命令通りに(厳密にはユグドラシルの命令通りに)テロ組織の幹部として働かなければならない。

 クソ所業をやらなければならないのだ。

 さもなくば俺が死ぬ。

 よって主人公の心証が非常に悪くなること必至である。姉貴も真っ当な善人なのでクソ所業やらかすテロリストには心証悪化することは必至である。

 ……まじかヨォ!? 今更かよ。

 

 始まる前から制約多いぜバカヤロウこのヤロウ! 

 

 

 

 ……まあ、うつ手がないわけではない。

 

 このクリスタルスカルというテロ組織、実は幹部の中にユグドラシルの裏の目的を知っていて、それを阻止することを企んでいる正義の裏切り者がいるのである。

 彼女も幹部でパラディソスの保有者だが、ユグドラシルの奴が与えたものではなくクリスタルスカル加入前から保有していたので、爆弾も仕掛けられていないのだ。

 命を人質にしている他の幹部と比べて1人だけ生殺与奪の権を握っていないというなかなかのガバガバぶりで、ストーリーだとユグドラシルの奴が足を掬われることになる穴となるので、クソ野郎なユグドラシルのお間抜け要素として散々ネタにされたりしている設定だが……今は俺にとって救いの女神となる人だ。

 

 まずはこの彼女に接触する。

 彼女と協力関係を構築すれば、クリスタルスカルを内側から崩し、ユグドラシルの野郎を早めに退場させることができるはずだ。

 2の胸糞要素の半分くらいこいつの所業が原因だしな。悲劇フラグクラッシャーを目指すなら、絶対に排除しなければならない野郎である。

 

「よし、目標決定! まずは彼女に会いに行くぞ!」

 

 というわけで、思い立ったが吉日。

 俺は早速クリスタルスカルの正義の裏切り者こと、幹部の1人である彼女──ヘリアンサスさんに会いに行くことにした。

 

 

 ……ヘリアンサスの中身が姉貴だったら嬉しいんだけど、やっぱり姉貴は俺の推しの魂になっていて欲しいという気持ちもある。これは厄介ファンであり重度のシスコンの願望。

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