白い景色の中に立っていた。
ここはどこで、自分は何なのか。
もう全て、どうでも良かった。
俺は失敗した。
力を使いすぎた。
戒野ミサキを捕まえるために、無理をしたんだ。
その結果、俺は力に吞み込まれた。俺の中に眠っていたそれは目を覚まして、自我を顕わにした。
俺には、どうすることも出来なかった。
ただぼんやりと、夢見心地で崩壊する世界を見ていた。
キヴォトスは滅びた。
俺が滅ぼしてしまった。
まさかこの力がこんなに危険なものだったなんて...それを知っていればまだ、俺は...こんな結果にはならなかったのかな....
こんな結末にせずに済んだのかな....
分からない。
「あぁ...寒い」
次の瞬間、大量の血が喉をせりあがってくる。
耐えきれず吐き出して、倒れた。
白かった視界が忽ちに赤く染まってしまう。
多分俺は、ここで死ぬ。
どこかも分からないこの場所で...一人で死んでいくんだ。
何も成せずに、挙句の果てに全てをぶち壊して、残ったのは無力感だけ。
悔しいとか悲しいとか、もはやそれすら感じない。
たった一つの結末に向かっていく過程の中で、考えていた。
何がいけなかったんだろう。
どうすれば、俺はハッピーエンドに行けたんだろう...
そもそも、ハッピーエンドって何なんだろう。
あれ?俺がやりたかったことって...なんだっけ...
「...あぁ」
視界がぼやけて、霞みだす。
覚束ない目は段々黒く染まって、俺の体の機能の停止が間近であることを悟る。
瞼の裏に映る四人の顔。
どうしてこんな最期に目に浮かぶのが...アイツらなんだろう。
突き放して、傷つけた。
手を貸す、助ける。
そんな無責任で偽善的な言葉を払いのけて、彼女達との関係を、俺は徹底的に断ち切った。
どれだけ彼女達が俺を助けようとしたとしても、根本的な解決は不可能だ。
半永続的な援助はいずれ煩わしい負担となって...結局無責任に、それを破棄してくる。
そんなこと目に見えてる。
だったら初めから、関係なんて持ちたくなかった。
...俺も、意固地だったんだ。
俺が無理をすれば、死ぬ気でやれば全部独力で解決できる。
ありもしない根拠の上で、なんとなくで、盲信的に....
俺は考えてた。
もしもやり直せるのなら...
彼女達との関係をやり直せるのなら....
嘘でもいい。
本心じゃなくていい。
利用する。そんな自分勝手な考えでもいい。
少しでも打ち解けて、心を通わせて...
そうして、こんな結末を変えたい。
...そんなこと、今更だよな。
でも案外、ハッピーエンドには簡単に辿り着けてしまうのかもしれない。
何故か俺は、そんな気がした。
俺がもし言えてたなら。
彼女達に言えていたなら、
たった一言の台詞を、
********...って。