感想くれたらうれぴー
「りつか〜?ほら、いないない〜ばぁ!」
「ふふふ、変なお顔ね〜ね、りつかー」
気がつくと僕は知らない女の人に抱っこされていた。ついでにその奥には変顔してる男のひとがいた。何がどうなっているのだろう。新しいレイシフト先で早速トラブルらしい。僕は歴戦のマスターとして常に冷静さを絶やしたことは無い。ひとまずは状況を把握するこれが大事だ。一通り当たりを見回した結果ただの一般民家だと言うことが分かった。しかしどういう訳か男の頭にはネジが突き刺さっていて、女の周りには哺乳瓶や赤子をあやす為の音が鳴るオモチャが浮いている。明らかに異常事態だ。
僕は訳が分からなかったので取り敢えず助けを求めた。
「あうえてあうぅぅーー!!!!!(助けてマシューー!!)」
渾身の変顔を見せ赤子をフリーズさせた後思いっきり泣かせた男はどうやら父であるらしく酷く慌てながら何度も変顔を繰り返した。僕は混乱し更に泣いた。
そんな父を困ったように笑いながら腕の中で僕をあやしている女は母であるらしく、手馴れた様子で僕にミルクを与えている。(哺乳瓶でだよ!誤解しないで!)
どうやら僕は赤ちゃんとしてこの世界に生まれ直したらしい。前世の記憶を持って。
僕は人理を修復したあと命を落とした。たくさんの英雄と触れ合ってきたからなのか、世界を正すという使命をやり遂げたからなのか。何故かその時の記憶がある。
これは報酬なのか、それとも試練なのかは分からないがともかく僕はあの世界を元ある形に戻すことに成功し、その後に普通の生活を送ることが許されている。
この2つが分かるだけで十分だ。逃げ出すことも投げ出すこともしなかった。我ながら凄いことだと思う。そのあとのご褒美としてこの生を生きられるのなら悪くないのかもしれない。
もちろんカルデアがどうなったのかとか、可愛い後輩の事が心配じゃない訳では無いが、僕にはどうしようも無い、というかどうすればいいのか検討もつかない。この生活が続いた先でレイシフトで記憶が〜とかになるのかもしれないが今は分からない。
分かるのはこの家庭がとてつもなく幸せに満ちているという事だけだ。
そんな事を考えているうちに父がまた何かやるらしい。前回で懲りずにまた仕掛けてくるとは、浅はかな奴よ。人理修復で鍛えた僕のポーカーフェイスを崩せるかな!?(このあと号泣した)
さて、僕が生まれてから5年が経った。その間にこの世界が前の世界とは少し違うってことが分かった。
この世界には"個性"という超能力的な力を人々は所有している。それは火を吹いたり、怪力でバスを持ち上げたり、物を浮かしたりと様々だ。始めて怪力持ちの人を見た時なんか「新手のサーヴァントか!?」と思うほど衝撃的だった。(サーヴァントの方がもっと凄かったけどね!)
僕の父の頭から1つネジが出ているのも、母が物を浮かせるのも"個性"って訳だ。父は電気を体に蓄え身体エネルギーに変換できる"電動"の個性、母は火を出したり物を浮かせる"魔法"の個性。だから父の体には機械の様に硬い部分があふし、母は座りながら家事ができる。
でも個性には限界があるらしく、父は電気を消費してもバスを持ち上げられないし、母はライターほどの火は出せても料理ができるほどの火は出せない。
そんな世間一般では普通の個性の両親でも、父に抱かれて僕は屋根より高く跳ぶ事が出来たし、母の魔法で空中に文字を描くことも出来た。幸せな力だ。
しかし、どの世界にも力を持てば悪用しようと考える奴はいるらしく、そういった犯罪者達は"ヴィラン"と呼ばれ生まれ持った力で悪事を働いている。
そんな"ヴィラン"を倒すのが"ヒーロー"と呼ばれる人達だ。
彼らは悪事を働いた"ヴィラン"を捕まえて警察に渡すことが仕事だ。鍛えた個性で華麗に派手に"ヴィラン"を倒す彼ら"ヒーロー"はとてつもない人気を誇り、テレビに"ヒーロー"が映らない日は無い。
そんな"ヒーロー"達の中で一際人気なのが『オールマイト』だ。彼は圧倒的な。パワーで素早く"ヴィラン"を制圧し、どんな強大な相手にも勝ってしまう。そんな"No.1ヒーロー"にみんな夢中なのだ、
さて、そんな毒にも薬もなる"個性"それが発現するのは4~6歳らしく僕はピッタリって訳だ。ていうか今個性発現した。
藤丸立香が5歳の誕生日を迎えた1ヶ月後、それはリビングで彼が車のオモチャで遊んでいた時の事だった。
「ブーんぶー!(案外楽しいんだよなコレ)」
「りつかはとのクルマが好きなのかな?」
「コレ!」
そんな中身が前世含めて成人を超える赤子でなければ微笑ましい一幕の団欒の中でソレは起こった。
5歳とはいえまだまだ怪我が絶えない時期、家事は魔法で済ませ子供に目をずっと向けて子守りは完璧。それに加え中身が成人越えの赤子が危険なことをするはずもなくいつも通り幸せな一日が過ぎていくはずだった。
ピシリと赤子の手の甲から音がした。割れる皮膚の内の赤が鮮烈な色を主張している。まだ赤子だからだろうか、それとも肉なのか。その赤はやけに鮮明で血とは違う色合いをしている。
赤子か泣く。痛みと未知と不安に駆られた彼はこれまでの平穏からの落差に、赤子だから痛みを感じたことの無い体故に、体に引っ張られた不安定で未だ安定を知らない心に突き動かされ彼は保護者に助けを求めるように鳴いた。
これに驚いた母もまたパニックであった。先の尖った手が切れるような物を持たせたわけでも、危ない場所で遊ばせた訳でもない子供の手が急に裂けたのだ。
突然の出来事に、しかし母であり子の一大事だと言う事をいち早く感じた彼女はハンカチで子供の手の甲を抑えながら病院へ走った。
必死だった。個性を使い走りながらも夫に連絡を入れ、病院に連絡を入れ、水を生み出し傷を洗い、我が子が安心できるように強く抱き締めた。
何キロ走ったのだろう。小児科の受付で落ち着くように言われるまで彼女は必死であった。今自分が死んでしまうのではないかと言うほどまでに追い詰められていた。
小児科に着き傷口を手当してもらった後は今までの慌てようが嘘のように反転し、彼女は夫に祝いの連絡を送った。
藤丸立香の手の甲を手当てしてみれば血が流れているだけで綺麗に治っていた。その手の甲の模様を除いては全ていつも通りだった。
彼の手の甲には赤い紋様が刻まれていた。翼のような器のような。
これは令呪だ。彼の直感はそう断じた。
今まで切れていた繋がりが、二度と巡り会うことのない関係がまだ続いているのだと。そう確信した。
彼は病室で涙を流した。今までの涙とは違う喜びの涙を。
これしか書けんかった
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