『ハムスター語を翻訳。ハムスターは幻想入りした』 作:失敗作のカルボナーラ
あなたは知っていますか?ムキムキノヴァ相手に生後一ヶ月の四足歩行オムニックで戦うやつを…
あなたは知っていますか?壁の向こうでヒール要請する忍者とボンレスハムを…
アテナ「
「キュキュルルクリュー!」
『ハムスター語を翻訳。どこだここ』
眼前に広がる森の中の光景に対して全力で今の気持ちを叫んだら、甲高い動物の鳴き声が発された後、感情が籠もらない無機質な機械音声が今の鳴き声を翻訳した。
は?
おいおい待て待て今のは何だ。
なんで叫んだら「どこだここー!」って叫んだらハムスター?ネズミ?みたいな鳴き声が自分の口から発されるんだ。そんでもってなんで機械が「どこだここ」って言ったんだ?
ていうかどこだよここ⁉俺は家の中でちょうどランク回してめっちゃ連敗キメて無茶苦茶機嫌悪いから一旦寝てたはずなんだが⁉ゴールド4まで落ちちまったよ。
キョロキョロと当たりを見渡す。
満月の晩だからか、月光により辺りが照らされよく見える。山奥ではないのかと思うほど鬱蒼とした森が続き、何やらどこかで怪しげな声が聞こえる。
いややっぱりおかしい。確かにランク回してたら夜になっちゃってたけど自分の家の近くにこんなおどろおどろしい何かが出てきそうなめっちゃ怖い森なんて無い。そんなところがあったらおそらく同級生の怖いもの知らずの奴が入り込んで動画とか撮ってるはずだ。だって実際そいつ心霊スポットでに行って動画取ってしばらく行方不明になってたんだもん。無事見つけられたけど。
とりあえずそいつのことはどうでもいい。現状、このままでは夜に活動する肉食獣達の餌食になりかねないだろう。
ひとまず移動だ。
「キュ?」
ふと足元を見て安全確認をしようとした。
が、そこでも衝撃的な光景を眼にする。
「キュ⁉キュクククキュ⁉」
『ハムスター語を翻訳。これはどうなっているんだ』
またもや甲高い鳴き声と機械音声が聞こえたのはこの際置いておく。
普通人間であれば、人によるがスラッとした長い二本脚に健康的な体であればまぁ脂肪が溜まって突き出すこともなく、逆に痩せすぎて骨が浮き出てくるような極端な体ではなく、ある程度発達した腹直筋に脂肪と皮が覆った肌色の見た目をしているはずだ。
それが今はどうだろう。自分の足は効果音でテチテチとかヨチヨチとかになりそうな小動物のちっちゃくてかわいい脚に、ポコンと突き出た腹、ベージュ色の体毛。恐る恐る両手を見るとこれもまた薄紅色の肌のちっちゃなお手々。
自分の明らかになにかしらの小動物であることは、間違いなかった。
…
…
…
いや全くもって理解も納得もできない。
何故に小動物に自分がなっててかつなんか良くわからん。そして誰だこいつ。
「キューククルゥ…」
『ハムスター語を翻訳。もう、お手上げ』
おそらく先程から聞こえるこの甲高い声は間違いなく、俺が発している鳴き声だ。そしてそれを機械が汲み取って翻訳しているらしい。
と言うかだ。先程から俺の言葉を翻訳しているこの自分の乗っているロボットは何なんだ自分の手元を見る。
正面にはレバーと最新式のスティック?の球体版のようなもの、それとボタンがいくつか。
はぁ、意味わからん。どうやって使うんだこれ。
試しに色々いじってみた。
球体を右に押せば右に横移動。左に押せば左に横移動。後ろに引けば後ろに移動。おおすごい。
あなんかレバーの下のボタンを押したら青い膜貼り始めたぞ。なんかバリアっぽいな。あ、時間経過で消えるのね。しかも七秒。短い。
うーん?なんだろう。長押し?
二秒ほど押してみると再び機械音声が聞こえた。
『アルティメット、チャージ率ゼロパーセント」
アルティメットォ?Ultimate?…ult《ウルト》か?
何だか先程から違和感、と言うか既視感あるものばかりな気がする。ウルトとかこのバリアとか…あ、バリアって
それから色々いじっていて、それを押してしまった。
バラララララララララララララララララララララララララ!!
両脇から火花と共に、鬱蒼とした森を一瞬で戦場に変える物騒な連射音が鳴り響く。
両脇には二つずつある黒いパイプのその先から鉛玉が発射される。先端は徐々に赤く熱を帯び始め、鉛玉は少し離れたところにある木を穿つ。
俺は呆気にとられてその場ですぐに手を離さなかった。が、それは突如鳴り止む連射音とともにすぐに左手を離す。連射音が鳴り止んだのはおそらくリロードだ。
キチチチチンと軽快な金属音が鳴り止んだ時、俺は信じざるを得ない状況を理解するために、今乗っている機体を見るため一度降りる。
バリア、ウルト、CT、ロボット、そして奇妙な鳴き声に続いく機械音声の定型句たる「ハムスター語を翻訳」。
自分の中でこれらに該当するキャラクターが一人、いや一匹いる。
だがあまりにも突拍子のない話だからか無意識と本能で信じようとしてなかったのだろう。
でもこれは信じざるを得ない。
地面についたらやはり、自分の視線は地面に近かった。お陰で二、三メートル離れなければ機体の全体像を見れなかった。
そしてやはり、自分の予想は当たっていた。
「キュッキュルルキュリュー(レッキング・ボール)…」
機体から離れたせいか今度は翻訳機能が機能しなかったが、それは間違いなくあのゲームのキャラクターが乗るロボットだ。
前後にある四つのアームの先に、機体の一部である灰色の塗装された尖った脚。左右に二本ずつについた、合計で
間違いない。これは、この機体の名はレッキング・ボールだ。
であればだ。自分が何者かなど、すぐに分かった。
振り返ってみよう。自分の姿がどんなだったか。
小動物のような手足。ポコンと出たお腹。ベージュ色の体毛。
たまたま近くにあった水たまりに自分の姿を写して、見た。
「キュククルルキュリュリュリューー!」
『ハムスター語を翻訳。なんで、ハモンドなんだ』
俺は、Overwatchのダイブタンク、”レッキングボール”こと、その搭乗者たるハムスター、”ハモンド”になっていた。
ヒーローの会話で重力じいちゃんとステルス女の会話が好き。