転生したけど隣のやつが何か大きなものを抱えている。(抱えてない)   作:得時

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第二章 学園襲撃編
10.学術学園からの呼出


気温が上がり夏の訪れを感じる今日この頃、俺たちは変わらず4人で昼飯を食べていた。

シドに謝った日から現在まで特に変化はない。シドについて分かったこともなければ、ヒョロとジャガが急に怪物に変わることもない。平穏な日々だ。

 

「そういえば、ドライ君はブシン祭の選抜大会にエントリーしましたか?」

 

「俺たち三人はもうしてあるぜ」

 

「僕のはヒョロが勝手にしたんだけどね」

 

ブシン祭。それは二年に一回、王都で行われる剣の大会。国内は当然、国外からも名のある剣士が集まる大きな大会だ。そのブシン祭には学園枠があり、それを決めるのが選抜大会というわけだ。

 

「俺もエントリーしたぞ。もちろん目指すは優勝だ」

 

「まあお前は実技だけはいいからな。実技だけ、は」

 

「今は第一部の教室ですもんね。実技だけ、は凄いです」

 

「もしかして喧嘩売られてる?」

 

最近は座学だってちゃんと聞いてるんだがな。成績は全然上がらないけど。

 

「あ、そうだドライ。俺たちこの後チョコレートを買いに行くんだ。お前も来いよ」

 

「チョコレートを?」

 

「そうです。何でも甘いお菓子で、女子に渡せばモテモテになれるそうですよ」

 

チョコレートってこの世界にもあったんだな。俺も一緒に行きたいところだが今日は無理そうだ。

 

「悪い、今日は呼び出しを受けてるんだ」

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

俺が通っているのはミドガル魔剣士学園だが、この学園の敷地には別の学園の校舎が存在する。

ミドガル学術学園の校舎だ。俺はそこへの呼び出しを受けていた。

何の用だ?俺の成績が悪すぎて特別補習でも受けさせる気か?

 

俺は指定された教室に着き、ドアをノックした。

 

「入りたまえ」

 

中から男の声がした。俺は断りを入れてからドアを開ける。

ドアを開けるとそこには先ほどの声の主であろう初老の男がいた。

部屋を見渡すと他には、前の事件で出会った赤髪の騎士の姉さん、それにアレクシア王女がいた。

とても補習をするような雰囲気には見えない。教室を間違えたか?

 

「すみません。間違えました」

 

「いいえ。合ってますよ」

 

教室を出ようとしたら騎士の姉さんに止められた。

どういうメンツだよ。

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

赤髪の騎士アイリスは事件について思案に暮れていた。

彼女の妹、アレクシアは無事に戻ってきたが、事件には不可解な点が多すぎる。

中でも一番大きな問題は謎の宗教団体・ディアボロス教団についてだ。

アレクシアはその教団の施設に囚われており、騎士団はその施設から様々な資料や物品を押収した。

しかし、先日謎の火災により保管庫ごと押収物が燃えてしまい、残ったのは一つのアーティファクトだけだった。

 

(外部の人間が保管庫を燃やすなんてできない。きっと騎士団の中に……)

 

騎士団の中に敵が居ると考えたアイリスは新しい騎士団、『紅の騎士団』を設立し、既存の騎士団から信頼できる二人を引き抜いた。

 

(残ったアーティファクトは学術学園に調査を依頼しましょう)

 

学術学園には学生の身でありながら、王国一の頭脳と呼ばれた女性がいる。

その名はシェリー・バーネット。アーティファクトの解析で彼女に勝るものはいないだろう。

 

(残る問題は……アレクシアね)

 

彼女の妹であるアレクシアは事件の当事者であり、誘拐されている間に様々なことを見聞きした。

アレクシアはこの王都に蔓延る陰謀を暴くと言って聞かない。意地でも事件について調査するだろう。

しかし、アイリスは姉として妹が心配であった。

 

(アーティファクトは教団に狙われている。シェリーにも護衛が必要になる)

 

『紅の騎士団』には人手が足りず、アレクシアにまで回せる人がいない。

 

そこで彼女は、事件の時に怪物の腕を切り飛ばした少年を思い出した。

自分と同じく背負う覚悟を決めた少年のことを。

 

(そうだ。あの時、騎士団員を救うために飛び出した彼なら。覚悟を秘めた瞳をする彼なら……)

 

アイリスは魔剣士学園に『腕が立ち、茶髪の目つきが悪い学生』を探すように依頼した。

 

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