転生したけど隣のやつが何か大きなものを抱えている。(抱えてない)   作:得時

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6.影の足音

今日もあまり寝付ける気がしないな。……剣を振ろう。

 

修行をしていたらだいぶ時間が立った。すでに朝日が昇って俺は学園に向けて歩いていた。

そして最近見なれた後姿を発見した。

 

「おはよう、シド。一人でどうした?王女様は?」

 

「おはよ、アレクシアなら見てないよ」

 

「見てないってお前らいつも一緒にいただろ」

 

「振られたんだろ。ま、二週間、シドにしては持った方だと思うけどな」

 

「アレクシア王女とはどこまで行ったんですか?」

 

いつの間にかヒョロとジャガが会話に入ってきていた。どこから生えてきたんだこいつら。

そんな感じで歩きながら、久しぶりに4人での会話を楽しんでいたわけだがどうも学園の入口が騒がしい。あれは騎士団か?

 

学園の入口に騎士団がいるなんて何事だと思っていたら、騎士団が近づいてきた。

そんで、その中にいた金髪のイケメンが声を掛けてきた。ゼノン先生だ。

 

「少しいいかな」

 

「はいどうぞ!」

 

「どうぞです!」

 

ヒョロとジャガは迷わずシドを差し出した。明らかにシドに声を掛けていたからだ。

何の用か見当もつかない俺はその場で傍観することにした。今度はなにやらかしたんだ?

 

「僕になにか」

 

「ああ。もう聞いているかもしれないが、アレクシア王女が昨日から寮に戻っていない」

 

「今朝から捜索したところ、これが見つかった」

 

片方だけの靴?王女様の靴ってことか?

 

「付近には争った形跡もある。騎士団は誘拐事件と見て捜査を始めた」

 

なるほどな。それがシドになんの関係が?

 

「容疑者を絞り込んでいくうちに最後にアレクシア王女と接触した人物が浮かび上がった」

 

ゼノン先生がシドに向けて言う。

 

「騎士団が君に話を聞きたいそうだ。協力してくれるね?」

 

そしてシドは騎士団に取り囲まれた。Oh……マジがこいつ。

 

~~~~~~~~~~~~

 

シドが騎士団に連行されてから俺はヒョロやジャガと共にシドの無罪を訴えたが、証拠もないため騎士団は聞く耳を持たず、シドが解放されたのは五日後だった。荷物と共に留置場から投げられたボロボロのシドを見たときは流石に友人として怒りが湧いた。

 

「落ち着け、落ち着け僕。あんな小物にキレても仕方がないだろう」

 

「よ、意外と元気そうだな」

 

「あれ、此処で待ってたの?」

 

「騎士団のやつに今日解放するって聞いてたからな。サンド食べるか?」

 

「ありがと、貰っとく」

 

シドは解放されたとはいえ疑いが消えたわけじゃないだろうな。まだ犯人も王女様も見つかってないわけだし。

シドとまぐろなるどのサンドを食べながら他愛のない話をする。5日間の尋問の後だというのに意外にもシドはいつも通りだ。体に青あざや傷があるのにまるで堪えた様子がない。不思議な奴だ。

 

「なあシド。これからどうするんだ?」

 

「何が?」

 

「何がってお前、無罪放免というわけじゃないんだろ?」

 

「何とかするよ」

 

そういってサンドのごみを捨てるシド。その様子にまるで焦りがない。

そしてその目は入学当初の遥か遠くを見ている眼に戻っていた。

 

「じゃ、ご馳走様。あっそうだ、二日後の夜は出歩かない方がいいよ」

 

そう言って去っていくシドの背中を俺はただ見送ることしかできなかった。

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