転生したけど隣のやつが何か大きなものを抱えている。(抱えてない) 作:得時
あれから二日が経過したわけだが、まだ王女誘拐事件は収束していない。
シドはあれから学校を休んでいた。五日間も尋問を受けてたしゆっくり部屋で休んでいるのだろう。それにしてもシドの去り際のアレはなんだったんだ?
「二日後の夜出歩くな、か」
シドと最後に合った日から二日後、つまり今日。何かが起こるっていうのか?
俺は学校の教室で剣を振りながら考える。もうすぐ日も落ちる頃だろう。シドには悪いが俺は部屋でじっとなんてできない。してられない。俺は前世を振り払うように剣を振った。
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おかしい、いつもならゼノン先生が来て学園から帰らさせられる時間なのだが、先生が来る様子はない。
それに何やら胸騒ぎがする。俺は違和感を感じ学園の外に出てみることにした。
外はもう完全に日が落ち、空には真っ暗な闇が広がっていた。いつも通りだ。何かが変わった様子はない。俺は安堵の息を吐いた。
まあ本当に何かが起きるわけないか。
しかしまあ、時間も時間だし修行の続きは寮でやるか。
そうして俺は帰路に着こうとした。
瞬間、耳を劈くような轟音が響いた。建物が崩れるようなそんな音だ。
何の音だ?
俺は少し躊躇ったが音がした方に向かうことにした。
音の発信源について最初に見えたのは崩壊した建物の数々。どれも何かに切断されたような跡があった。
次に目に飛び込んできたのは崩壊から逃げ遅れた人達。中には瓦礫の下敷きになっている者もいる。
現場はまさに阿鼻叫喚といった様子で避難しようとする人たちであふれていた。
そんな様子を何もできずに見ていた俺は本日何度目かの轟音を聞いた。
地面が裂けるように割れ崩壊していく。そして裂けた地面から生えてきた鋭い爪を持つ巨大な手。
十メートルを超える巨大な体躯、悪魔のような人型の化け物。
それは夜の街に悲痛な叫びをあげた。
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瓦礫や怪物に潰された人達。狂ったように逃げ惑う人々。
果敢にも立ち向かった騎士団は規格外の怪物を相手に一人また一人と倒れていく。
地獄のような光景を前に俺はただ呆然としていた。
『ねえ、助けないの』
「シド……?」
いつの間にか俺のそばにシドが立っていた。
『違うよ。気づいてるでしょ?』
そうだ、よく似ているがシドじゃない。本当は気づいている。
そいつの姿が血に染まっていく。こいつは前世の怪異……いや、それも違う。怪異なんかじゃない。
俺の罪。俺が未来を奪ってしまった存在。俺が殺してしまった少年。
『まだ逃げ続けるの?』