この素晴らしい世界で問題児達が神々の遊戯に巻き込まれるそうですよ!??   作:鴨の加茂

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【同、期…完、了】

頭上に渦巻く膨大な力の影響か、ノイズ交じりに──通信が告げた。

──……嗚呼、

いつの間にか──気付けば。

【üc207Pr4f57t9改めて──"『遺志体』シュヴィ"……】

視界に表示されていた数字は《同期完了》を示していて、

【あとは"我ら"に任せ休むことを許可する──良い夢を】

──『天撃』が降り注ぐ中、ジブリールの顔を見やり──シュヴィは嗤った。

──この『ゲーム』──シュヴィの勝ち、だよ……。

「─────?」

その顔の違和感に顔をしかめるジブリールを他所に、シュヴィは最後の声をあげる。

「──【展開】──『進入禁止』─────ッ!!」

───あの『天撃』を防ぐことは不可能だ。
ジブリールの宣言通り、自分は物言わぬ鉄屑になる……それを覆す術は、ない。

リクから貰った『心』が、不条理で理不尽と告げる、絶対的な力が降り注ぐ。
その直撃──この身も、思考も、コンマ秒後には、この世から消える──

「……ほんと、に……愛してる……よ───────……………」

消えゆく意識の中、『ピコンッ』とまるでこの戦場には似合わない音が聞こえた。


盤上の世界

天地を裂き、星を殺した悠久の『大戦』。

星の絶対支配権-『唯一神の座』を巡った争いから、早六千と余年。

不戦勝で唯一神の座についた神-テトにより『十の盟約』が制定された世界。

武力を禁じ、一切の諍いをゲームで決することが定められた-盤上の世界。そんな世界の大陸の一つ、ルーシア大陸西部に、一つの都市がある。

 

エルキア"暫定連邦"-首都エルキア。

僅か数ヶ月前まで滅びの淵に追いやられ絶望に沈んでいた都市。

【十六種族】異界序列十六位・人類種の最後の都市は、だが、状況が一変。

 

獣人種の、無数の島々からなる国家-『東部連合』

海棲種と吸血種が共生する海底国家-『オーシェンド』

そして、天翼種が住まう天空の国家-『アヴァント・ヘイム』

他にも地精種達による巨大地下国家-『ハーデンフェル』

更には、心を持ち合わせた機凱種に他人の恋愛をエネルギーとする妖精種等…

 

新たな『王達』が即位するや、瞬く間に七種族四国を併合した国の首都。

その中央通りは、いまや活気に満ちていた。

新しい資源、失っていた資源を大量に得た商人、農家。それらを買い求める職人。それぞれが各々の足や馬車で、競うように行き交い、競いの声が絶え間なく響く。

 

人通りの激しい通りには、僅かながら獣人種も散見されるが、その中でも一際目立つ存在がいた。獣人種の少女と人類種と思われる少年がチェスを指しているのである。

他種族連邦ということもあり種族を超えて遊戯を行うことはよくある。ただしその少女というのが元東部連合・在エルキア大使、現エルキア王2人の側近の一人である『初瀬いづな』であること。そしてもう1人の少年がその獣人種の少女をチェスで圧倒しているからである。

 

「やっぱテトつえぇ、です。もう1回!もう1回やるです!」

 

「いいよ♪けど、いづなちゃん何か賭けれるもの残ってるの?」

 

そう言いながらテトと呼ばれた少年は戦利品のクッキーを口に入れる。

 

「・・・なんにもねぇです」

 

そうして狐族の少女は尻尾を垂らし、悲しそうにする。

 

「そうだ!もし僕が勝ったら『あるゲーム』に参加してよ♪その代わり僕が負けたらとっておきの面白い話をきかせてあげる☆それでどうかな?」

 

「ほんとうにおもしれぇ、です?」

 

「そうだね、じゃあゲームをする前に触りだけでも教えてあげるね☆」

 

そう言うと、テトと呼ばれた少年は今までのふざけた喋り方ではなく真面目に語り出す。

 

「例えば・・・

 

最弱と呼ばれる職業で幾多もの賞金首、魔王の幹部を屠り遂には魔王をも倒さんとする『勇者様』の冒険譚。

 

どんな理不尽な状況で、どんな不条理に際なわれても、全てを救う『騎士様』が英雄へと至る伝説についての詩。

 

修羅万象、神々の集まる箱庭において最悪の厄災と呼ばれる魔王に挑む『問題児達』による最も新しい神話。

 

そして・・・

 

悠久の大戦、その終戦の為に策を重ねたとある『幽霊達』の後日談とかはどうかな?」

 

「・・・ぜってーかつ、です!」

 

そう言っていづなは駒を並べ直した。

 

それに対し唯一神は少し苦笑いをして・・・

 

「じゃあ、ゲームを始めようか♪」

 

高らかに『宣言』をした。

 

 

 

 

 

 

 

「ま、負けたですぅッ!」

いづなが負けを宣言した。チェックメイトをかけられたのだ。だが向かいの席、そこに先程までの唯一神の姿はなかった。

 

「・・・・・・・・・?」

 

テトが居ない。それ自体もおかしい、だがそれ以上に何かがいつもと違う。その正体を探ろうとした所で理解した。

 

エルキアの人々からすれば、いづなが道端でチェスを指す。それはある種の平和の証、微笑ましいものだったのだが今、いづなに向けられる目線は『異様な物を見る目』に変わっていると。

 

そして気付いた。

 

 

もうゲームは始まっているのだと。

 




──目が覚める。

……???

あの天撃をまともに受けてもなんとか耐え、ジブリールに連れて帰られたのか?

─違う。

あの天撃が迫る中、『何者かに転移させられた。』と推測する。

他の機械種によっての転移…?

─違う。

転移は一般的に自己対象に使用される魔法、故に未だ解析、摸倣出来ていない。

──他の可能性を。

「やぁ、そろそろ考えは纏まったかい?」

─思考しようとした所で謎の声に遮られる。

「僕はキューベー、僕と契約して『魔法少女』になってほしいんだ」

─『魔法少女』という未知の単語に対し、直感で拒否反応を示す。

しかし、キューベーと名乗る声の主の提案を拒否した場合、見捨てられ後に生命活動が停止する可能性が高い。

「結論から言うと、彼は『星杯』を手にはしなかった。手にしたのは、彼の祈りが活性化させた神髄、ゲームの神テト。世界は作り変えられて、物も命も、領土も人権も、遊戯によって全てが決められる世界になった」

─つまりはシュヴィの最後の悪足掻きは失敗に終わりゲームに敗北、リクは星杯の取得の資格を失った。しかし、星の破壊により星杯は顕現し、それを遊戯の神が掴み取ったと。

結局、作戦は失敗に終わった。だけど戦争の終結、その目的は叶ったらしい。

「さて、それじゃあ本題に入ろうか」

そう言ってその宇宙外生命体、訂正。《仮名》悪魔は話を続けた。
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