突然だが私は転生者だ。
死んだと思ったら神様を名乗る爺さんに出会って転生特典をもらって転生した。
だが今は後悔している。
何故かって?
転生する先はランダムと言われて転生特典があるなら問題無いだろと楽観視して転生したら対魔忍RPGの世界だったからだ。
そう、あの対魔忍RPGの世界だ。
対魔忍RPGとはエロゲーである。対魔忍と呼ばれるその名の通り対魔の忍が活躍するゲームなのだがもちろんエロゲーなのであんな事やそんな事が起きる。ただそのあんな事やそんな事の幅がえぐい一般性癖からこの世のものとは思えない特殊性癖までもはやこのゲームで再現されてない性癖は無いのではないかと思える程に豊富だ。
しかもだ劇中での「忍び」とは思えない短慮さや単純さ、脳筋っぷりはファンからも「頭対魔忍かよ」とネタされる程である。
まぁ、作中登場する敵方の魔族や軍人も大体そんなものだが。
早い内にキャラクターが捕まってエロいことされなきゃ話が始まらないが、最終的にそんなキャラクターに敵方が負けてくれなきゃ話がまとまらない。制作陣の苦悩は察するに余りある。
が、実際のところは『空間切断』『概念攻撃』『概念武装』『ノーモーション発生0F即死技』等なんでもござれな化け物集団であり、捕縛どころかおいそれと相手できる存在ではなく、生半可な罠は罠ごと踏み潰してしまう。
とは言えそんな対魔忍でも拮抗が精一杯なうえ向こうが乗り気でないから即座に蹂躙殲滅戦にならないだけである。更には時にはガチの神格すら相手にする羽目になる。
そして魔族達の奴隷商は"元対魔忍"ブランドに高値をつけ、娼館オーナーはバイト感覚で自分から志願してくれる"元"対魔忍娼婦を無思慮に、或いは客の誰かに危害を加える為の前準備と察して居ながら受け入れている節すらある。
だてに『公営風俗嬢』やら『公営オナホ』などとよばれている訳では無い。言ってて悲しくなってきたな
ちなみに劇中における捕縛劇はTRPGでいうファンブルを4〜5回連続で出したレベルの致命的失敗を繰り返した果てにたどり着くあまりにもか細い可能性の話であり、よく見ると設定上いくらでも状況を打開できる場面が存在する。まあ、それでも捕縛されるあたり対魔忍クオリティと言ったところだ。
そもそもの脳筋体質や短慮さは実のところ教育が悪く、アサギの前世代においては上層部のほぼ全てが腐敗し切っており、金や権力のために対魔忍を派遣娼婦の如く差し出す様な事態が常態化していた。
その口実に単独で任務に就かせ、しょーもない罠にかかる猪突猛進の馬鹿であってくれなくては困る為、そういうふうに教育されたものが殆ど。
もはや対魔忍たちは前世で極悪な犯罪でも犯したのかレベルで不憫である。
そしてそんな対魔忍に俺はなってしまった。なってしまったんだ。
絶望、圧倒的絶望である。
もらった特典であるリゼロのカペラ・エメラダ・ルグニカの『色欲』の権能と仮面ライダーリバイスのデモンズドライバーと各種バイスタンプも一応チートと呼べなくはないがこの世界ではこれ以上の化物かいるので安心なんてできない。
だから努力した。強くなる為に体術に始まり剣術や投擲、弓に銃など思いつく限りの戦闘に役立つものを学び。転生特典を活かすために様々な生物の図鑑から論文まで何度も読んだ。更には毒耐性を得ようと毒を飲んでみたりした。
だがそれがいけなかった。この世界で死なないもしくはR18展開を回避するために我武者羅に頑張り続けた結果とある事を失念していた。
対魔忍は万年人手不足。そう、人手不足なのだ。
故に優秀な学生になった俺は学生なのに任務に駆り出される羽目になったのだ。そして任務となれば必然的に危険に突っ込む羽目になると言うね。
「ひぎゅ♡…………」
「お゛う♡…………」
目の前でアヘ顔を晒してオークの白い液体まみれになっている数人の先輩対魔忍(男も含む)を見ていると怖気がしてくる。
というか忍の癖に正面突破って頭対魔忍がよォ。
もう任務は俺一人で終わらせてるしお荷物のこの人たちを置いて帰りたいがそれしたら怒られるので持って行かなきゃいけないだよなぁ。
「……汚ねぇ。もうやだぁ」
オークの白い体液で汚れた先輩方を近くにあった水場で綺麗にしてオオミノガの糸でぐるぐる巻きにして引きずる。流石に1人で運ぶのは大変なのでパラポネラに変異し運ぶ。
ちなみにこの能力は『色欲』の権能による変異・変貌の力で使う際はテラフォーマーズの人為変態を参考にしたりしてる。やっぱりイメージがあるとやりやすい。
途中でエンカウントしたオークをアーチャーフィッシュの能力で眉間をぶち抜いたりして目撃者を消しつつ任務終了後の五車学園の迎えが来る合流地点まで進む。
「やっと着いた」
何とかあへあへ言ってる先輩対魔忍たちを引きずって合流地点についた。これでこのお荷物たちを抱えて帰るという最悪の事態は免れた。
「おまたせ」
合流地点にあった見覚えのある車に近付けば運転席から見知った顔が出てくる。
「ありがたいです。六穂さん」
柳 六穂。五車学園の卒業生で、対魔忍きっての毒使いの名手で毒使いの家系出身。暗殺、斥候、潜入を主な任務としている。この人普通に忍者してるな。
とりあえずひきずって来た先輩対魔忍たちを車の後部座席にギュウギュウに詰め込んで自分は助手席に乗り込む。
というかいつまでもビクビクしてんじゃないよ。
「お疲れだね」
「ほんとにおつかれですよ」
六穂さんの労いの言葉につい愚痴をこぼしてしまう。
どいつもこいつも頭足らずの正面突破でしかも変にプライドが高いのか『後輩は引っ込んでろ』なんていう始末だしほんとに使えないな対魔忍。
いや、まともなのはいるっちゃあいるんだけどね?六穂さんもまともな対魔忍の1人だし。
先が思いやられる。
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