アリガテェアリガテェ
ヨミハラの一角にある最近できたばかりの娼館は今夜も開店しておりその中では男女がくんずほぐれつしている事だろう。まあ、それはただの隠れ蓑であり人の目につかない場所では日夜様々な薬物が研究されている。
昨日ブラックから受けた任務で襲撃する予定の娼館だ。
ただこのまま襲撃した場合データが破損してしまったり破棄されてしまう可能性もあるため先にデータを回収した後できる限り暗殺で仕留めひっそりと消えてもらう予定だ。ヨミハラで突然消えるなんて日常茶飯事だからな。
見取り図は事前に資料の1部としてブラックから渡されているから目的の場所までは早いだろう。しかし、古い建物をそのまま使うってのはちょっとどうかと思う。前の時の資料残ってて楽だったってブラックに言われてたぞ。
ま、とりあえず侵入しますか。ベイルに変身していたので娼館横の路地裏に入り周りに人などがいない事をレーダーで確認してから色欲の権能で肉体をスライムへと変えてる。それで、ダクトへと侵入する。
この手法は俺がよく建物の侵入などに使う手である。スライムの体は粘性のある水なので隙間が1mmでもあれば何処にでも侵入出来るので大変都合がいい。
外に続くこのダクトは改装などをされて無ければ全ての部屋に繋がっているはずだ。
あれからダクトを通じて娼館の中を徘徊したが地上部分はごく普通の娼館だった。まあ、途中でリョナとス〇トロもか見せられて危うく吐くところだったけど。ここ特殊性癖もOKな娼館にしてんのかよ。オエッ。
あとオーク数体に輪姦させている女性を見ながらワイン飲んでシコってるおじさんがいた時にはドン引きしたわ。リョナとかもそうだがそれを性的に見てる奴らとは一生和解できないと思う。
とりあえず上に無いとなれば地下だな。地下に換気用のダクトが通っているのでこのまま行こう。
そのまま事前に見つけていた地下へのダクトを進んでいく。ダクトは途中で別れることも無く一つだけだったのでおそらく地下は一部屋なのだろう。
ダクトの終点の場所までやって来た。ダクトの隙間から部屋を覗けば、ビンゴ。研究施設らしく様々な設備が存在しており、他にも大量の薬品が入っているであろう小瓶や研究者らしき人間に実験体であろう人や魔族の姿が確認できる。
施設側の人間は警備らしき武装した人間が2人。研究者らしき人間6人。それと推定3mの体格と巌のような筋肉が目を引くパンイチの男が1人。
静かに読書をしているのを見ていると一応理性的ではあるようだ。しかし、本人の大きさに大して本が小さく凄まじく見にくそうだな。
うーむ、どうするか。人数が多いから同時に殺るのは難しそうだし、何よりあの大男だ。尋常な手ではあんな体にはならない。魔族との混血か遺伝子を弄られているのかここで研究している薬品類によるものかどれかはわからないが常人とは違うのは確実だ。頭を潰しても死なないとかたまに居るしなぁ。
…………先に大男以外を殺してタイマンで殺るか。
となると大男以外だが同時に殺せるとなると、手段が限られてくるな。ここは
「……アイリーン。さぁ、遊ぼうか……」
「おい、どう、し……た…………ああグランマ久しぶり」
「く、来るなぁァ!!虫はダメなんだァ!!」
「お、俺は悪くない悪くないぃ!!許してくれぇ!」
「いあ、いあ、いあ!!」
「あ?……あぅ……あー」
突然虚空を見つめ虚ろな目で何か大切な誰かをよぶ。恐怖に震える。罪悪感に許しを乞うもの。神を見て狂乱したもの。思考を忘れたもの。その光景はとてもまともではなくイカれた光景だった。
「な、何だ急に!?…………?親父?ああ、久しぶりにキャッチボールでしよう」
「隊長、待ってくださいよォ……」
警備をしていたものもまたここでは無い何処かや誰かをその瞳に移した。
「クソ野郎がァ……薬品こぼしやがったのか!?」
大男はふらつき視界に現実とは別の景色をチラチラと映しながらまるで天地がひっくり返り自分の足元が崩壊していくような感覚に狂わされそうになりながら何とか立っていた。
だが───
「タフだねぇ。でも、予想よりは弱かったかなぁ」
「───ぁ?」
───ズブッ
背骨にそって首から何かが体の中に入ってくる妙な感覚を感じながら二度と目を覚ますことは無かった。
「予想より全然弱いな。力全振り脳筋か?」
そう言った孫一の口からは煙が溢れ出し体表には植物の蔦と花が咲き誇っていた。それこそがこの部屋の人間の悉くを苦しめたものの正体。
それの名前はチョウセンアサガオ。学名はDatura metel。ナス科ナス目に分類される植物である。ダツラ、ダチュラの名で広く流通しているほか、マンダラゲ(曼陀羅華)、キチガイナスビ(気違い茄子)、トランペットフラワー、ロコ草などの異名を持つ。原産地はアメリカ合衆国テキサス州からコロンビアにかけてとされるが、熱帯アジア原産という説もある。日本へは、江戸時代(1684年)に薬用植物としてもたらされ、現在は本州以南で帰化・野生化したものが見られる。
チョウセンアサガオの薬効は古くから知られており、中国明代の医学書「本草綱目」にも、患部を切開する際、熱酒に混ぜて服用させれば苦痛を感じないとの記述がある。ベラドンナやハシリドコロなどと同様に副交感神経の興奮を抑制する作用があるアトロピンを含んでおり、過去には鎮痙薬として使用された歴史を持つ。世界初の全身麻酔手術に成功した江戸時代の医師である華岡青洲は、本種を主成分とする麻酔薬「通仙散」を完成させた。このことから日本麻酔科学会のシンボルマークには本種の花が採用されているほど関わりは深い。更にはとある市販の医薬品内服剤(錠剤)にダツラエキスが12mg配合されており販売されている。他にも宗教的な行事にももちいられたケースがある。
これ程に身近に存在するチョウセンアサガオだが薬としての側面は人間が上手く扱っているからに過ぎない。チョウセンアサガオは全草、特に種子に有毒なアルカロイド成分を含み、誤食すると瞳孔が開き、強い興奮、精神錯乱を発端とした幻覚作用が起こり、過剰摂取すると死に至る。
孫一はそこに麦角菌やソライロアサガオ、ハワイアン・ベービー・ウッドローズ等に含まれる麦角アルカロイドからも誘導されるリゼルギン酸ジエチルアミドやペヨーテ等の一部のサボテンに含まれる成分メスカリンなどの幻覚作用を持つ成分を配合しこの部屋に充満させ殺害した。
強力な幻覚作用は自らが死に向かっている事を認識させること無く中毒によって殺し尽くしたのだ。
「後はデータ抜き取って上の構成員を排除するだけだな」
そう言って自ら生み出した死の煙が充満する部屋を孫一は仕事をする為に歩き出した。
その日ヨミハラから1つの娼館が姿を消した。だがそれはヨミハラにとって取るに足らない日常だ。
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