「ほらほら、もっと意識して動かせ」
「せいっ!やあっ!」
しのぶが振るったメイスが俺の持つ刀とぶつかり火花を散らす。俺は防御に徹ししのぶは攻撃に徹している。
早くも1週間が経過し、しのぶの武器の振りは素人にしてはマシにはなってる来たがそれなりに武器を使える相手と戦えば即座に命を狩られる程度には拙い。
「ほいっと」
「〜〜!?痛ったぁ!」
疲れたのか力が抜けた一撃を弾いて刀の峰で脳天を軽く叩く。まあ、軽く叩いても金属の塊だそれ相応に痛い。
「模擬戦はこれぐらいで良いだろ」
「うぅ……ありがとうございました」
「どういたしまして」
やはりまだまだ付け焼き刃の実力であり本音を言えばもう半年ぐらいは訓練に費やして欲しいところだが井河の方が五月蝿く万年人手不足という事もありそこまで時間を取れないのがネックだ。
その代わりにこちらが指定したベテランの対魔忍と必ず一緒に任務をさせるように約束させたがな。
「次は基礎トレーニングだ頑張れよ」
「あい……」
近くに置いてあった天然水入りのペットボトルを投げると難なくキャッチして飲み始める。咄嗟の反応とかはまあ、割と出来る方にはなってきたな。流石主人公と褒めておこう。
「そう言えば雑賀さんは任務無いんですか?」
「ん?今のところは無いな」
いや、実際はあるんだけども優先度が低い奴は他の人に回してる。しのぶへの教育の方が大事だもんね。ほんとにヤバいやつは受けなきゃだけど。
というか俺に任務回しすぎなんだよ。今まで騙して悪いが案件とか除いた任務達成率100%だからって駆り出しすぎ。
あと、脳筋な対魔忍と組ませるのもやめーや。アサギ校長的には俺にストッパーとかになって欲しいみたいだけど無理無理、1回痛い目見ないと学ばない奴らばっかり。痛い目見ても学ばないやつもいるけどな。
「任務ってどんなのあるんですか?この前の潜入とか戦闘とかは何となくわかりますけど」
「そうだなぁ、本人の適性にもよるけど暗殺、護衛、斥候、拷問、調査、救出、運搬とかかなぁ。よくあるのは救出と戦闘かな」
「色々あるんですねぇ……にしても、救出と戦闘かぁ…………」
そう呟いたしのぶは何処か死んだ魚のような目をして虚空を見つめた。おそらく救出と戦闘と聞いてまあ、色々と察したのだろう。救出なんて基本捕まった対魔忍の救出だし戦闘は正面突破の脳筋戦闘だしな。
「ま、最初のうちは簡単なのからする様に進言してあるから。危険度が高いのは成長してからかな」
「何から何までありがとうございます!貴方が神か!」
「そりゃあせっかくの同類ですからねえ?私が神だ!」
そんな感じたわいも無い話しをしていると蛍がやって来た。
「雑賀衆としての依頼」
そう言って差し出された封筒には酷く見覚えがあった。とてつもなく高級な便箋、今時見ないであろう封蝋によって封をされている。
中身を見ればこれまた何時もの様な形式的な文字の羅列が並んでいる。
「マジかぁ。…………行きたくねぇなぁ」
とてつもなく行きたくないが相手の機嫌を悪くさせると俺が死ぬ。場所も場所だし相手も相手なんだよなぁ。でも仲良くしてた方が得だからなぁ。
「…………なんの任務なんです?」
恐る恐ると言った様子でしのぶが質問してくる。まあ、こんだけ露骨に嫌がれば気にするよなぁ。
「エドウィン・ブラック……」
「え?………………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
まあ、その反応になるよな。対魔忍RPG知ってるなというか対魔忍ならそういう反応だよな。いや、井河の連中だったら確実に裏切り者としての襲いかかって来るだろうな。
「え、なん。なんでぇ!?」
「まあ、うん、成り行きで」
「成り行きで!?」
「あー、しのぶなら知ってると思うが今のエドウィン・ブラックはマシな方だ。だからまあ、付き合い自体は出来るんだよ。んで雑賀衆としては井河と違って魔族とは敵じゃないなら仲良くしようのスタンスなんだよ」
「…………あー、うん。なるほどマシな方のエドウィン・ブラックならまあまだ関われるよね。でも、ノマドよ?」
そりゃあそんな認識になるよね。犯罪組織だし。
「でもエドウィン・ブラックがノマド作ったおかげで悪人たちもある程度まとまりが出来てるし魔界から他の貴族も本格的には出てこれてないし」
「……確かにそんな事もあったね」
「まあ、細かい事情はとにかく仲良くしておいた方が有益だって事」
「なるほどね」
「まあ、それはそれとしてあんな化け物と対面するとかそれなんて罰ゲーム?あれで弱体化してるとかまじかよ」
「あ、性格が良くなってるなら弱体化してるだっけか。……でも化け物には変わらないのか」
「というかこの世界は基本化け物しかいない」
「言えてますね」
「「はっはっはっはっ!……はぁ」」
いやぁマジでこの世界化け物しかいないんだよなぁ。俺の色欲の権能もチートだけどもっとやべーのがいっぱいいるし。
「二人の仲が良いのはわかったけど返事は?」
「ああ、受けるって言っといて」
「了解。……それと
「…………へ?」
「それじゃあ」
そう言ってなんでもない風に訓練室から蛍は出て行った。
「あの晶って?」
「ああ、俺の事。孫一は襲名した名前で本名は雑賀 晶だから」
「へーそうなんですね。って『私のだから』?」
そこまで口にしてしのぶは突然顔を真っ赤にする。
「そ、それってつ付き合って、でも私のだからって私と雑賀さんがそういう風に見えて…………あぁぁぁ!?」
「あんま気にしない方がいいぞアイツはいつもあんな感じで独占欲強いし。てかウブだなぁ。そんなんでやってけるのか?」
「いや、でも、だってぇ……」
実はおれ蛍とは付き合ってたりする。というか雑賀衆の当主なのだからそういう相手は年齢的に少し早い気もするがいてしかるべきなんだ。アサギ校長にはなんでかいないけどな。なんでやろなぁ(鼻ホジ)
「というかお前も早く誰か恋人作って早く卒業した方が良いぞ。最悪の場合初のお相手はオークになる」
「それは嫌だけど!?でも、恋人って!!」
いや、ほんとにウブだな。対魔忍世界に来たならそうそうにそういうのは然るべき相手とすませなきゃ後悔するぞ。
ちな俺は危うく魔族のオバハンにヤられかけて軽くトラウマです。何だよステゴロフィールドって身体能力以外封じるとかしかも素がクソ強ぇし。
「まあ、頭の片隅に入れておけよ」
「うう、はいぃ」
感想、評価をぜひお願いします!!
ちなに主人公は既に卒業済みです。お相手?そこに独占欲強めの許嫁がおるじゃろ?