今回はちゃんと出るのでお許し下さい
そしてもう一点変更があり、試験的にセリフの主の名前を書かないようにしました、口調で判別がつかないようでしたらまたセリフ前に名前を記述するようにします、それではどうぞ
…一体此処は何処で、私が誰なのかもよくわからない。この公園まで歩いてわかった事といえばこの辺りが大きな学園らしいという事、銃火器の所持は合法だという事、後は治安の悪さくらいだ
『…さ…』
それと私が目覚めた時、枕にしていたこの黒いケース。廃墟で機械に襲われる前に中を覗いてみたが、黒いスーツのようなものと分解されたショットガン、バレルの割れたハンドガンと複数のカスタムパーツ、それに数枚の金貨が入っているばかり…意味がわからない。
『…ぇ…さん…!』
…それにしても、この世界はなぜか酷く異常に感じる。人形の戦闘ロボットといい、銃火器を担いだ生徒達といい…現実のはずなのに、悪い夢を見ているような。
『お姉さんってば!』
「…あぁ、すまない。何か用か?」
顔を上げると小さな女の子が立っていた。少し遠くには大きなカバンを持った赤い子と黒い服を着た子が何かの名前?を叫んでいるのが見える。
『デイジー見なかった?おっきくて賢くて、青い首輪してる子…逃げちゃったの…』
「デイジー…ペットかい?犬種は?」
…反射的にそう聞いてしまう。どうやら世話焼きらしい自分を自嘲したからか、それとも目の前の女の子を安心させようとしたのか。いつの間にか私は笑顔を浮かべていた。
『えーっと…パパはれとりばー?って言ってた。』
「わかった。私も探してみよう。」
ありがとう、と言って走り去る女の子を見届けた後、また地面に視線を落とし、土に残った僅かな足跡を幾つか見つけ、考えを巡らせる。
この足跡は違う…小さい上に歩幅も短い。小型犬だろう。
こっちは…大型犬にしては足跡が浅い。重く見積もってもビーグル辺りだ。
これは…足跡はさっきのより深い…
歩幅も広い。逃げたというなら走ってる筈だ…幸い土に足跡が残ってる…
「…調べる価値あり、だな」
口に出す頃には既に足を動かしていた。
『ど、どうしましょうアル様、みんな爆破してわんちゃんだけ連れ帰るっていうのは…』
「駄目に決まってるでしょ!わんちゃんまで木っ端微塵にする訳にいかないの!」
とんでもない事を言い出す平社員を小声で止める。犬を追って路地裏の方まで来てみればいかにもな奴らに囲まれて唸っている…可愛らしい依頼人の頼みを聞いたらこんな事になるなんて…
『8人程度なら始末した方が…話し合いが通じるとも思えませんし…』
「そうだけど…!うぅ…せめてもう1人…カヨコかムツキがいれば…」
下手に手を出すとあのわんちゃんまで危ない、かといってあの不良達があの子を逃すとも、話を聞いて素直に渡すともとても思えない…
『……ッ!?アル様…!』
「何?どうした…の…!?」
いきなり私の背後にショットガンを向けるハルカ。何事かと後ろを振り返るとそこには、穏やかそうな、おどろおどろしいような。そんな顔をした子がスーツケースを片手に立っていた。
『…犬を探してる。青い首輪のレトリバー。』
…なに、この子。見た事ない…それにハルカが目視するまで気づかなかったなんて…!?
あいつらの仲間っていう訳じゃないみたい…だけど依頼人(あの子)の知り合いにも見えない。怪しすぎるけど、今は人手がいる…でも…んぅ…
少し考え、正体不明の子に協力を仰ぐ。
「…手を貸して頂戴。」
『アル様!?』
『…解った。何をすれば良い?』
「あいつらから奪い返す…それしかないわ。銃は持ってる?」
彼女は首を小さく横に振る。
「持ってないの…?珍しいわね。」
「まぁいいわ。いざとなったら逃げなさい。最悪、私達2人で大丈夫だから…じゃあ、行くわよ。」
…奴らはあろうことか、犬を蹴って寄越した。
…あの子に何の恨みがある?
…あの子に何の罪がある?
そう思った刹那、朧気に何かを思い出した。
血の匂い。割れた陶器。砕けるガラスの音。
冷たくなりつつある毛皮。弱々しくなる鼓動。何も出来ない無力感…そして、確かに。心の底から湧いてくる…怒り。
それを奴らに向けた瞬間、私の身体は勝手に動いた。
正面の奴、鳩尾に膝蹴り、延髄に肘…1人。
隣の奴、膝裏を蹴って体制を崩した所に顔面を掴んで地面に叩き伏せる。これで2人。
慌ててハンドガンを抜いた奴手を掴んで向かいにいる奴らの首と頭に1発…ついでに此奴にも肘を入れてから顔面に1発。これで5人。
ショットガン…ダブルバレルの骨董品か。銃口を蹴ってストックに衝撃を与えたら簡単に狙いを外せた。そのまま腕を掴んで回し蹴り…6人。
バレルで殴って胴体に1発。7人。
そして何か言おうとした奴の口に銃口をブチ込み1発…これで全員か。
「……嘘…じ…冗談でしよ…!?」
何が起こっているの…!?ハルカにワンちゃんを病院に連れて行くよう言って、振り返る頃には半分倒れてた…!残った半分も迷いのない動きで、一瞬の油断も、欠片の躊躇もない容赦なしの速攻で。私が銃を取り出す間もなく、ものの十数秒で全滅させた。
奪った銃をバラバラにした後、気絶している不良の体を漁り財布を取り出す。
『…幾らか貰っておこう。あの子の治療費にな。』
「え?えぇ!そうよね!そのくらいは当然だわ!」
私は、本物のアウトローに会った気がした。