剣丞の親友に戦闘狂がいたなら 作:まくろ
翌日の昼過ぎ、一応俺の隊の隊長格を集めて評定を開いた。
「前フリめんどいから最初から本題いうぞ。俺の縁談が決まった。」
「……あの。最初から説明してもらってもよろしいですか?」
ころが呆れながら俺に問いただしてくる。
「昨日剣丞と酒飲んでいたんだよ。そしたら縁談の話になった。元々田楽狭間の天人って言われてるほど名声もある俺と剣丞だけど、俺はまだ縁談決まってなかっただろ。だから久遠さまに政略結婚の相手を問い詰めた。」
「何してるんですか。お頭。」
「…まぁ、だいたい予想はついていたからな。とりあえず話が進まないから話すぞ。側室は近江の浅井長政とお市様は確定、もしかしたら松平元康もそこに入る。」
俺が答えると。おぉとどよめきが生まれる。
「側室でお市様と浅井様が。」
「それに松平様も入るかもしれないんだろ?お頭やっぱり凄いよなぁ。」
「……とりあえず話続けるぞ。んで正室なんだけど。断れるかもしれないけど、ひよとできれば結びたいと思ってる。」
「……へ?」
名前を呼ばれるとは思ってなかったのであろうひよが変な声を挙げていた。
「…あの、お頭。今なんて。」
「ひよを正室に迎えたいって。」
「……えっ!えぇーー!!」
ひよは驚きの声を挙げている。まぁ、そうなるのは目に見えていた。でも周囲の奴らは驚きは少ないのかあまり驚いてない。
「あの、お、お頭。」
「嫌か?」
「い、いえ。嬉しいですけど、私がですか?」
「一応墨俣の論功でひよを娶っていいことになったからな。ひよの褒美じゃなくて俺の褒美でひよを娶る許可をもらったから。」
「…あの、お頭。それってお頭の希望で私をお嫁さんにするって言ってるんですか!」
あわあわしているひよに俺は全部答えていく。
「昨日一応婚約の話はしたのはいいけど、そうした時にいつも側にいたひよが入ってないのが嫌だったからな。それに元々ひよは南雲隊で婚約は結ばせる予定だったし。」
「そうなんですか?」
「南雲隊のこととひよのことを考えたらな。婚約相手は限られる。跡取りのこともあるから、ある程度は口出ししないといけないんだよ。……まぁ、それが嫌だったから今のこの状態になっているわけだが。」
「お前、ひよには最初から甘かったよな。」
「ただでさえ俺の隊どころか剣丞隊でも内政で活躍してくれるひよには頭上がらないんだよ。言っとくけどひよが今この隊で離脱されたら一番きつい。」
裏方役としては、ひよはかなり優秀で本当に何でうちの隊にいるんだと言いたくなるくらいだ。
「それに最初に推挙して俺の隊に入ってくれたひよには思い入れがあって当然だろ。」
「……お頭。」
「まぁ、ひよに後は任せるけど、これは命令じゃないからな。断っても別に構わないし。」
「い、いえ。…あのお頭本当にいいですか?私既に貰ってばかりなんですが。」
本当にひよは自己評価が低いというべきか。俺は少し口が渇きながらも言葉を紡ぐ。
「…貰ってばかりって、それはこっちもだよ。俺のこの人生ずっとすぐ近くでいてほしい。一番身近で大切な人になってくれないか?」
「……はい。末永くお慕い申し上げます。」
すると、わっと湧く隊の仲間に俺は軽くホッとしてしまう。
…プロポーズってこんなにしんどいのか。殆ど断られる可能性は低いと知りながらも緊張で喉がカラカラになっている。
「こっちこそ。まぁ、俺はこの世界で骨を埋める気でいるから。」
「…えっ?」
「…元の世界に戻る気なんてないってこと。身も固めたし、未練も殆どないしな。」
「本当ですか!!」
「お頭戻らないんですか?」
「戻る気なんてないよ。というよりも、今も潜入任務の1つもこなせそうにない、不甲斐ないお前らがいて戻れるかよ。」
嬉しそうなひよに俺も苦笑してしまう。というよりも、思っていたよりもこの隊長格には不満を見せてるような奴はいなく、安心したような人ばかりが集まっていた。
本当にその姿は救いになっているんだよなぁ。俺には。
裏もあることは分かっているけど、この世界で一番大切な人になっているから、未練はないとは言い切れない。でも、この世界から戻る時に既に大切な人たちができたことには違いない。
「んじゃ評定続きな。それじゃあ。」
「ボス!!少しだけいいですか。」
すると凄い勢いで俺のもとにかけてくる隊員。
「ん?どうした?」
「そ、それが。斎藤家竹中様が謀反を起こし、稲葉山城が落とされました。」
「…えっ?」
「……ちょっと待って下さい!稲葉山城が落ちたって本当ですか?」
周辺の家臣は驚いていたが俺と剣丞は既に知っていたこともあり、あまり驚きはしない。すぐに俺は司令を出す。
「清洲城に俺が早馬で向かう。悪いけどついて来てもらうぞ。数人は美濃に経つ準備。できるだけ情報がほしい。忍び衆も十名ほど周辺諸国を状況を集めろ。剣丞、ひよ、ころは評定に向かうぞ。」
「「はい!」」
「「おう!」」
すると忙しなく動き始める。……多分ひよと過ごせる時はなさそうだと気づかれないようにため息を吐くのであった。