剣丞の親友に戦闘狂がいたなら   作:まくろ

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カッコつけたい理由

「ただいま。久しぶりだな。ここも。」

「流石に疲れましたね。水浴びがしたいです。」

「…それは剣丞と相談しようか。久遠に頼んでお風呂に入れるように頼もうか。」

「やた!それが一番のご褒美ですよ!!あの、お頭も一緒に……」

「…いいけど。」

「やった!!お頭とお風呂!」

 

嬉しそうにしているひよ。……今はどちらかといえば嫁というよりも妹みたいなんだよなぁ。俺のことを多分だけど好意的に見てくれてることには違いないんだけど……俺自身恋人なんていたことがなかったわけで、どうしたらいいのか分からないんだよなぁ。

結局あの風呂場でも緊張したの俺だけだったし、何話したのかも覚えてないんだけど。……普通に2人の姿が可愛いかったくらいで顔に出さないのを我慢してたんだけど。

すると噂をすれば、奥からパタパタと音がたって近づいてくる

 

「おかえりなさい。お頭!ひよ!んもう、約束の日取りより遅くてすっごく心配したんですからね。」

「悪い。西と東を少しだけ見て回ってきたからな。ついでに竹中半兵衛とも遭遇できたし。」

「「……えっ?」」

「その話は剣丞が来てからでいいか?報告も兼ねるから昼食食べてからにしようか。何処かいい店しらないか?」

「それなら一発屋にしましょうか。それで剣丞様には。」

「使い出してるからもうそろそろ着くだろ。ほれ。ひよ」

「あ、ありがとうございます。お頭!」

 

旅の途中荷物を渡すと、ころが驚いているようにしている。

 

「……あの、お頭なんでひよの荷物を持っているんですか?」

「普通男性が女性の荷物持たない?」

「あの、私たちの方が……ってお頭身分とかそういうの気にしなかったんですよね……」

「…というよりも俺の親父から言われていたしな女性には優しくあれってな。剣丞も同じことしそうだけど……してなかったのか」

 

普段普通に荷物を持つくらいは当たり前にやってきたしなぁ。

そんな何もない雑談をしていたら数分程度で剣丞が来るとどうやら俺以外はその店で食べることが珍しくないらしい。

席に付き注文も済ませると雑談に入る

 

「でも、お前珍しいな外で食事するのは。普段作るだろ?」

「まぁな。作るの好きだし。」

「お頭のご飯薄味だけど美味しいですからね。毎朝は一発屋行くことも少なくなりましたし。」

「塩分の取りすぎとか考えているから薄味には我慢してくれとしかいいようがないかなぁ。ただでさえ塩分ばっかりなんだし。」

「塩分って塩ですよね?」

「そう。塩は摂らないと死ぬけど、取りすぎも病気になるんだよ。だからある程度削減してるだろ?長生きできるような献立を作ってるし、そういう調理方を教えているからな。」

 

八丁味噌とか名古屋飯ってそういえば塩分がかなりきついので煮干から出汁をとっていたりとか工夫している。

 

「お頭って朝早いですよね。毎朝一番早く起きてますし。」

「訓練だってするし、料理もするからな。日中は仕事や他のやつの訓練があるから自分は朝か夜しか訓練する時間ないだろ。」

「お前あんまり無茶するなよ?」

 

釘を刺してくる剣丞に俺は苦笑してしまう。その時料理が来たこともあり、箸をつけ一口食べる。

 

「まぁ、流石に割り当て考えるよ。とりあえず食べながら話そうかな。とりあえず竹中半兵衛はひよは気付いてなかったらしいけど、詩乃って覚えているか?」

「はぁ、あのちょっと変わった子ですよね?……ってえぇ!?あの子が竹中さんですか?」

「付けてきてたからほぼ確定だろうな。まぁ、半兵衛さんと会う為にその前の日に犬子に付いてくれたひよを残した意味もあるからな。」

「…お前最初そこまで考えてたのか?」

「流石にそんなわけないだろ。犬子が来るなんて思いもしてなかったし、あそこで揉め事起こすなんて流石にないと思ってたからな。」

 

流石に揉め事が起こるというのは予想してなかったしなぁ。それがいい結果に繋がったとなるとなぁ釈然とはしないけど。

 

「まぁ、変わったやつは俺の隊なら俺で慣れてるだろ。それになんというか、結構気にしてるようすだったからな。」

「気にしてるって稲葉山城乗っ取りをですか!?」

「元々は義理固い性格なんだろうよ。でも美濃が好きだからこれ以上酷くなるのは言っていただろ?恐らく先代の斎藤家にご恩があるんだろ。話を聞いていたら分かるしな。だからこそ主家にとって代わることとかは考えづらいだろうしな。稲葉山城は放棄するだろ。」

「せっかく落とした稲葉山城を放棄、ですか?なんかもったいない感じがしますね。」

 

ころが驚くと剣丞は何か考えている。

 

「それってもしかして竹中さんが両手に余るってことか?」

「それもあるけど、多分もう感づいているんだろうな。稲葉山城よりも斎藤家が永くはないことを」

「……それってかなり危なくないか?よくて追放、最悪斬首もあるんじゃないか?」

「危ないな。というより一応城持ちだから斬首はないとは思うけど、今回主犯格は詩乃よりもかなり身分が高いしな。多分追放になるんじゃないか」

「何処かよそ事だな。」

「まぁ、明日の朝にはまた美濃へ立つからだけど。」

「えっ?明日の朝ってすぐにですか?」

 

ころが驚いたようにしている。でも

 

「迎えに行くって約束したからな。人材としても優秀だし、俺自身欲しい人材だしな。」

「そんなにか?」

「そんなにだよ。……やっぱり俺一人でやれることは限度があるからな。正直忍びの管理を専任した方がいいような感じがするから人材は欲しいんだよ。」

「あれ?てっきり足軽衆の訓練も出ると思いました。」

「いや、川並衆がほとんどだから今後は俺の隊はころに足軽衆は任せる。」

「私ですか!?」

「忍びに関しては俺が見るしかなくないだろ。内政に関してはひよだし、元々兵を率いるのは俺ところだ。ころはそういう意味では優秀だからな。統率力もあるし、気回しもできるからな。」

 

実際全体的な纏め役はころにふろうと思っていた。一応あっちでは忍びがいるか分からなかったから俺がやると言っておいたけど。武に優れていることとは関係なく気回しができるかどうかにかかっている。まぁ、槍隊がいないのが少しネックだけど…それは少し交渉中だしなぁ。

 

「…それに、俺よりもひよやころみたいな可愛い女の子に教わった方が兵はやる気出そうだし。」

「まぁ、分かる。しかもお前の訓練かなりきついしな。」

「そんなにきついんですか?」

「武道やってるときのコイツは本当に厳しいぞ。なんなら剣だけではなくて投擲術や体術も教えるから訓練量も次第に多くなる。犬子や和奏たちも南雲隊の訓練は厳しいっていうくらいだからそうとうだろ。お前の訓練ほぼ基礎練だし」

 

基礎の反復や体力面や気力面を鍛えるところから始まるのもあり、大勢を鍛えるには1年くらいは掛かりそう。

 

「基礎練って何ですか?」

「素振りや体力をつけるために走らせたりとかの基本的な練習とかのことだよ。」

「……本当に基本中の基本ですね。」

「訓練で強くなることに近道はない。ひたすら反復練習と少しの実戦だよ。基本的なことができないと応用もできないだろ」

「ご尤もです。」

 

ころも当たり前のように頷く。

 

「まぁ、話戻るけど、将来的なことを考えたら詩乃は俺が相性的にも個人的欲しいかな。今は久遠の指示で諜報や忍びを使っているけど、策略があればもっと効率的に動けるようになるだろうし。」

「確かにそうだけも。でも、給与面は大丈夫か?」

「はい!そこは任せてください。川並衆の運搬業などで資金には余裕あります。」

「利益と損失を比べた時に利益の方が上回ると計算したし、稲葉山城を落としたっていう詩乃が南雲隊に入っただけでも、天下に名が広まるだろ。」

「…なるほどなぁ。お前よく考えてるなぁ。……それをもう少し学校で使えば音楽や数学の補修なかったんじゃ。」

「それはいうな。」

 

やる気がないととことんやる気が出なかったんだよなぁ。

 

「でも、お前ってそこまで野心あったのが少し意外だったかな。」

「元から成り上がりたいっていう野心はあるぞ。というよりも、松平はともかく、お市様や浅井長政、ひよの旦那になるんだろ?それにころや慕ってくれる犬子や雛たちもいるし……少しはカッコいい姿見せたいって思うじゃんか。」

「…お前本当にそういうところはおとこの子だよな。」

「どうせ俺は幼稚な餓鬼ですよっと。ごちそうさま。俺は先に久遠のところに行ってくるからひよ、旅支度お願いしてもいいか?」

「わ、分かりました。」

 

そして席を立つと俺は清洲城へと向かうのであった。

 

 

「って感じかな。」

「うむ。おけ。剣丞に聞いておったが、それ以上の出来だ。今の稲葉山城はどうであった。」

「正直答えるなら、まぁ酷かったとしかいいようがないな。崩壊が既に始まっているし、何なら半兵衛がいなければ既に稲葉山城を高値で売るという奴らだぞ」

「まぁ、以前織田家にもそういう家臣はいるが……」

 

多分桶狭間の戦いの時であろう。今川ってあの時上洛が目的だったから数万の軍勢だったよな。

 

「まぁ、その件はけりついているんだろ。別に気にすることはないだろうし、ほっといていいだろ。んで、とりあえず詩乃を迎えにいく許可取りたいんだけど……そのまま南雲隊と剣丞借りていいか?」

「…剣丞をか?南雲隊の一員である以上は好きにせい。」

「……剣丞と何かあったか。」

 

珍しく間があった。久遠の表情が曇ったのを見逃さなかった。

 

「そういうことではないが……そうだお主なら分かるか?」

「……ん?」

「剣丞と話してから胸が痛いんだ。結菜に聞いても問題がないという。お主はこの症状がわかるか?」

「…」

 

それはそういうことか?……自覚させるにはかなり当たり前のことを聞くことがいいだろうな。

 

「…一つ質問。……じゃあ剣丞が麦穂さんを連れてきて、側室にしたいと」

「っ!」

 

言葉にするまでもなかったなと俺は少し苦笑してしまう。久遠は顔を曇らせ今にも胸が切り裂かれそうな痛みを持っていることは顔をみたらわかる

 

「……言うまでもないな。もしかして剣丞が初恋だったりする?」

「なっ!」

「その痛みはそういう痛みだよ。対象の人物を挙げて異性だったら確定だろ。」

 

久遠が何処か驚いていたが、少しもじもじとした感じだ。まぁ、剣丞に発破をかけておいたからな。何かアクションを起こしていても問題はないだろう

 

「…恋とはこんなにも苦しいのか。」

「苦しいというよりも嫉妬かな?誰かに奪われたり死んだりしないか不安なもんなんだよ。……そこら辺は俺も同じだけど。」

「……同じなのか?」

「同じだよ。難しいよな。ひよのことは好きだけど仕事はしっかりこなしたいから。それもその相手がとびきり優秀ときたらな」

 

剣丞もひよも優秀だからこそ悩むんだ。仕事もでき、その上司の時点で難しいんだ。

 

「多分剣丞は今は好きにやってることだろうし、俺も出来るだけ自由に動かせてもらうしな。」

「…全く。お主らは。」

「……んじゃ、詰ませに行ってくる。七日以内にはまた城に顔を出しにくるから。」

「旭。剣丞を頼んだぞ。」

「わかっているさ。」

 

俺は一呼吸おき、そして外に出ると既にそこにはひよところ、剣丞の姿がいた。

 

「……ん?どうした?」

「今和奏から早馬があって、竹中さんが稲葉山城を返納したらしい。」

「準備は?」

「できてます。すぐに美濃へと経ちますか?」

「……はぁ、結局休める暇もなさそうだな。1日くらいは休めるかと思ったんだが。」

「休む気なんてないくせにどの口が言うんだ。」

 

呆れたような顔をしている剣丞に俺は苦笑してしまう。……というよりも思っていた以上に早く行動したな。あいつ。

 

「ひよ、剣丞についてくれるか?詩乃の顔見てるのは俺とひよしかいないからな。頼めるか?」

「はい!任せてください!!」

「ころは俺の補佐を頼む。剣丞はひよの護衛任せるぞ。」

「はい!!」

「おう!任せろ。」

 

俺にお人好しって言う割にお前らも十分お人好しじゃないか。

 

「……この隊で本当に良かったよ。」

「……お頭?」

「何でもないさ。急ぐぞ。」

「「はい!」」

 

元気な2人の声が聞こえる。

剣丞と顔を見合わせ街から美濃へ向かおうとした矢先だった。

 

「…あら、思っていたよりも早かったわね。」

 

そこには帰蝶姫の姿があった。

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