剣丞の親友に戦闘狂がいたなら 作:まくろ
「…いたな。」
探し始めて一刻が過ぎようとしていた際その姿を見つかった
「……およそ百程度ですか?思っていたよりも多いですね。」
「まぁな。どこまで話したのかは分からないけど、とりあえずひよ。少し離れて撃ってくれるか?」
「は、はい!!」
すると、離れていくひよに俺は息を吐く。
「んじゃ始めますか。少々荒事になるだろうしな。」
「はい。お頭。」
そして近づいていき聞こえてくる声に鞘から刀を抜こうとしている姿が近づいて気づいた。
「最後に愚者の手など借りず!雑兵に討たれるならば自らの手で。」
「…立ち腹など切らすな。さっさとや」
「へぇ~。俺の宝に何汚い手で触ろうとしてるんだ?」
背後から歩いて近づくと全く気にしてなかったのか美濃勢がたじろぐ。ひよも戻ってきてないしちょっと言葉で時間稼ぎしようか。
「……貴方は。」
「こんにちは詩乃さん。」
「…まさか、本当に来てくれたんですか?」
「迎えに来るって言っただろ。んでそっちこそけりは付いたか?」
「……はい。決心もつきました。」
その目には迷いはないとのまっすぐに見つめられる。ひよも気配に入ってきてるし始めてもいいだろう
「…了解。なら思う存分やらせてもらおうか。ひよは詩乃さんの護衛。ころは一緒に頼むぞ。」
「「はい!」」
「貴様、何やつだ。我らが美濃が国主・斎藤龍興さまの臣と知っての狼藉か!」
少しばかり注目集める。そういう暇があるならかかってこればいいのにまぁ時間稼ぎ出来るだけ稼がせてもらおう。
「そんなもん知るか。一人の少女を男で囲み殺そうとしていた卑怯なやつは例え神が許そうが織田家忍び筆頭、及び八重樫流師範代南雲旭が例えどんな相手だろうと許さない。」
「……天人南雲旭だと!?なんでこんなところに!?」
名乗りをあげたことに俺に注目を集める。あとは剣丞達がどこで合図を送ってくれるかだ。
「…たった3人だ!!それも小僧の方を討ち取ったら大手柄だぞ!!」
狙い通りオレに集まってくる模様。
「ひよは詩乃さん。ころは横に頼む。」
「はい!ころちゃん。お頭のことお願い!!」
「もちろん。野武士生活、約十年、戦が仕事の横須賀党頭目、横須賀小六とは私のこと!いつでも、どこからでもかかってきなさい!!」
大見得に怯み後退する足軽に俺も鞘に手をかける。
俺も手柄目当てに突きに来ようとしたへっぴり腰の美濃兵に臆することもなく斬り伏せる。
「全く、へっぴり腰でよく刃を向けれるもんだ。美濃の兵は腰抜けばかりか?」
「……何を!」
「刃を向けたんなら死ぬ覚悟はあるんだろうなって言ってるんだよ。」
ただでさえ武の知識を持たない詩乃さんを大勢でなぶり殺しにしようとしていたのに苛ついていたんだ。言っておくが容赦はしない。
「……くっ!おい。あれを出せ。」
「はっ!!」
するとそこには火縄銃を持った一人の兵が。
……えっ?一丁だけ?
「うわぁ、鉄砲だぁ!!」
「お頭まずいですよ!!退きましょう」
「……」
……あ~そういう感じか。確かに種子島自体は恐れられているけど。正直慣れている俺からしたら、オレだけなら対処できるんだよなぁ。胸から小太刀を取り出し刀を鞘にしまう。
「……お頭?」
「どうしたんだ撃たないのか?撃たなければただの置物だぞ。そんなこともできないくらいに美濃の兵は腰抜けどもなのか?」
「……うるさいうるさいうるさい!!そんなに、早く死にたきゃ早く逝かせてやる。撃て。早く彼奴を撃ち殺してしまえ。」
「はっ!」
「旭さま!!?」
声と同時に火縄銃の引き金が引かれその弾を小太刀で斬り落とす。
「……これで終わりか?」
「…なっ!?」
「…確かに、種子島はいい武器だよ。火力も破壊力もあって使い方も簡単だから素人でも簡単に人を殺めることができる。でもな1丁程度だったら銃口も見えているぶん避けることも簡単だし、こうやって斬ることもできる。」
まぁ、この小太刀が折れないことを知っていたからだけど。
「…使い方を知っているとはそういうことだ。てめぇがしてるのは新しいおもちゃを買ってもらってはしゃいでいる子供と同じことなんだよ。」
「貴様!?美濃の上位である私を子どもと言うのか!」
「餓鬼だからこそ美濃の民も将もついては来ないんだろ。生憎俺にはこんな無謀な任務でも最低2人はついてきてくれる将がいるぞ。」
「っ!!何があろうとあやつを殺せ!!集団で囲んで突き殺せ。」
きれいに挑発がはまる。するとその瞬間ヒューと花火の音が聞こえる。ここからが本番だ。
「ひよ!!」
「はい!!」
「詩乃さんごめん!」
信号弾を取り出し美濃方に向けている発射すると同時にオレは詩乃さんを所謂お姫様抱っこ状態で走り始める。
「えっ?旭さま?」
「種子島の射程に入るな合流までつっきるぞ。」
「はい!!でも旭さま本当に無茶苦茶ですよぉ。」
「そうですよ!旭様は討たれたら私たちはどうなるんですか。」
「…少しは信じてくれよ。」
「そういうことではないんです!!旭様はもう少し私たちのお頭であることを自覚してください!!私たちは旭様一生付いていくつもりなんですから!!」
ころの言葉に例えお世辞だとしても、嬉しいことには違いない。
そうしているとヒューーーと鏑矢の音が聞こえる。そしてかけてくるのは大勢の騎馬と見知った顔であった。
「旭さまー!!!!」
声と一緒に真っ先に見えたのが剣梅鉢紋その奥には二つ雁金が見える。つーか合流場所よりだいぶ美濃よりなんだが。
「……前田に柴田だと!?」
「こんな場所に柴田衆が出てくるなんて!!」
「ひっ五臓六腑をぶちまけさせられる!」
追いかけてきた斎藤家は既に混乱状態になっている。
「んで?まだやる?俺には頼りのある味方が来てくれたらしいし、……終わりまで殺し合いしてもいいんだけど。」
「……っ!」
嫌味を加えそして告げる。
悔し紛れに声を出した。
「……ええい。一端退くぞ!竹中半兵衛重治、謀反!!織田の手引きにより美濃より遁走。そう伝える!貴様が証人だ!!いいな!」
「は!」
「……貴様!次は戰場でその素っ首、たたき落としてくれる!覚えておけ。」
「その機会があればな。」
殆ど詰みの盤面に俺は小さくため息をつく。すると物凄い勢いで引いていく美濃兵。
「…追撃はいいか。来てもらってありがとう犬子。」
「わん!」
「壬月様も助かりました。……それで剣丞と帰蝶姫は?」
「…無事だ。ただあっちも盗賊と出くわして帰蝶姫を庇った剣丞が少し怪我したくらいだ。」
「…ん?盗賊?」
「あぁ。最近美濃の治安もあれ以降日々悪化しているらしい。」
……流石にそこまでは読めなかったなぁ。まぁ、落ち着いて考えたらありえることだったか。
「…処罰ありますかね?」
「ないだろう。一応護衛としておいていたのは確かだろうし、帰蝶姫からも言われておる。元よりお主は竹中半兵衛の保護だろう」
「ならいいですけど。……すいません無茶言って。」
「いい。お主は桶狭間で恩があるしな。しかし、また南雲隊が功を上げたな。和奏がむくれていたぞ。」
「今回ばかりは詩乃さんを誰にも渡したくなかったもんで。」
「……ほう。」
壬月さまが珍しく目を細める。せっかくだし
「俺は南雲隊の南雲旭。井ノ口で約束した通り迎えにきたぞ。」
「……はい。約束通り私も放浪の身になりました故。でもなんで己が?こう求められるとは、思ってなかったもので。」
「…それは多分ウチの隊が全員思っていることだよ。」
「……?」
「たぶんさ、ウチの隊って俺も含めてそういうひとばっかりなんだよ。俺は戦や忍び以外ではお荷物だし、ひよは争いごとが苦手だし、ころも特筆すべきことがないって低くみてるしな。でも、何か優れたものがある。それが俺達なんだ。ひよは墨俣城の築城やうちの内政をやってもらうほど内政に特化してるし、ころは全てが高水準でできるしなんなら人を集めることにおいては傭兵時代に2千人規模の川並衆を率いていた実績を持っている。剣丞は人を身分で判断なんかはしないし、大切な時には結果を残すことができるやつだからな。なんなら……」
「……落ち着け阿呆。」
壬月さんコツンと一度叩かれる。それに少しだけ苦笑してしまう。
「…これが今の俺の隊。苦手なことがあっても支え助け合うことができる。人っていうのは使い方次第なんだ。」
「……それは私もですか?」
「…俺は詩乃さんは斎藤家では飛び出でいた釘なんだと思う。斎藤家武士道とかしきたりとかに囚われ、策略がどれだけ大事なことだと理解していたからこそ叩かれていた。」
「……はい。」
「だからこそ、うちではもっと飛び抜けていて欲しい。」
「……えっ?飛び抜けるですか?合わせるのではなくて。」
「合わせることなんて詩乃さんの魅力を奪うことだろ。天下に名を轟せるのなら他の人と同じじゃ困るんだよ。その自分の才を追求しろ。俺達を上手く使ってみせろ。織田家に詩乃がいるって天下に轟せられるって俺は信じているから。」
詩乃さんは少しばかりクスっと笑う。
「……南雲旭さま。田楽狭間に突如舞い降り織田家に味方し桶狭間で義元公を討ち、墨俣でも美濃方相手に武功をあげ、農民出である秀吉どのを褒美にされ、さらに数万石の領地をいただいたと聞いていましたが……もしかしたら一番の変わり者と答えれば貴方様なのかもしれませんね。」
「そうなのかもな。だからこそ支えてくれないか?俺にとっての宝物を守れるように、しがらみや美濃から君を奪わせて欲しい。」
「……はい。我が身の全てをもって。我が名は竹中半兵衛重治。通称詩乃。……旭さまに我が才全てを捧げます。」
そうして笑顔が溢れる詩乃に俺も笑顔になる。すると犬子も割り込んで来る。
「む〜旭さま!!犬子も!!」
「……えっ?」
「犬子…本当にいいんだな。」
壬月様が告げる。そして頷く。
「わん!……旭さまが犬子の力を借りたいって言うんだもん。稲葉山や前の墨俣の件から旭さまには助けられてばっかりだから恩を返すいい機会だなぁ〜って」
「……あの、お頭?どういうことですか?」
困惑した様子のころに犬子が告げるのであった。
「前田犬子利家通称犬子。これから南雲隊にお世話になるから、よろしくね。」