剣丞の親友に戦闘狂がいたなら 作:まくろ
「「おはようございます!お頭!!」」
「おはよう。2人とも。詩乃は?」
朝の訓練終わりいつも2人が出迎え、そしてご飯の準備をしてくれるようになった。
「……ここです。おはようございます。旭さま。」
「……もう少し寝ててもいいんだぞ?」
「今日はそういうわけにもいきませんから。」
まぁ、この後久遠に会いに行く予定だけど。いつでもいいとはいえ朝一にかけるわけにはいかないしな
「しかし、いいことだけど馴染んだな。」
「ひよさんもころさんも犬子さんもよくしてくれますから。」
「…犬子こういうところ本当にすごいよな。」
あの会合の後、料理を作っている際にひよ、犬子、詩乃の3人は打ち解けたらしく、最近では4人で買い物に行くこともあるくらいだ。どうやら犬子が真っ先に話題を振り打ち解けたらしい。
「そういえば犬子ちゃんはどうしました?」
「城。雛と和奏が詩乃に会いたいって言ってたからな先に行ってもらってる。麦穂さんと壬月さんも来るし、剣丞も久遠に繋ぎ頼んでる。」
「でも、最近かなりの頻度で城に通ってますよね。お頭。」
「それほど戦が近いってことだよ。」
俺が求められているのは情報であり、それはなるべく最新の情報も含まれる。
織田家にとっては領地拡大の好機だし、詰めを誤らなければ勝てる戦である。
「……まぁ、とりあえずご飯だな。」
「はい!」
そして広間へと向かう。もう少しでころのご飯は暫くは食べれなくなるだろうから今のうちにしっかり味わっておこう。
「お~い旭さま!!」
「旭、聞いたぞ!!犬子を南雲隊に入れたんだろ!!」
「そうだけど…まずかったか?」
清須城に登城してすぐあったのは三若だった。
「…いや、何で犬子だったんかなぁって。」
「部隊に槍を使えるのが剣丞しかいなかったのと交友関係で縁があるやつって俺は少ないだろ?雛とは兵種かぶるし、和奏は黒母衣衆とはいえ、種子島も使うとなると、剣丞と役割かぶるしな。」
「思っていたより、真面目な理由だった。」
「…雛は何を思ってたんだよ。つーか新入りはもう1人いるからな。詩乃。」
「……」
「詩乃?えっと……もしかして竹中半兵衛?」
「……!」
後ろから出てこない詩乃に俺は苦笑する。今日は特に人見知りするとのことだ。
「……えっともしかして雛嫌われてる?」
「…人見知りする性格だからな。それにさ、言っていただろ?あまり美濃では待遇がよくなかったって。」
「……知っていたのですか?」
「知ってても何も攫う相手くらいは調べるし、竹中半兵衛を攫う算段は立てていたからあの墨俣の戦略があったんだろ。」
「……それが丹波の米五郎左どのの動きの意味ですか?見抜きされてないのと思っていましたが」
「……やっぱり敵の将に何かを伝えようとするのは難しいか。」
戦場なのでその意図が伝わらなかったのは反省だな。
とりあえず紹介を済ませるとすると和奏が声をかけてくる。
「しかし、新加納の竹中半兵衛なんて旭どうして捕まえたんだ?」
「……ん?というよりも俺は詩乃が欲しかったから勧誘しただけなんだけどな。」
「……竹中半兵衛じゃなくて?」
「そう。始めてあった時に言葉から美濃に対しての思いとかを聞いて、ほしくなったから勧誘しただけ。竹中半兵衛ってことも気付いていたことはいたんだけど、もし竹中半兵衛じゃなくても、詩乃取れたら別にいいかなってすら思ってた。」
「……あれ、本当だったんですか?」
「本気で言っていたぞ。つーかそれなら迎えになんて来てないしな。」
「……なんか、剣丞くんと旭くんって真反対なのにそういうところはにてるよねー。」
なんとなく理解はできる。まぁ彼奴は無自覚に誑しているからたちが悪いんだけど。
「でもさ、旭が相手とはいえ、竹中半兵衛を手放すなんて美濃のやつらバカじゃないねーの。」
「だよねー。」
「……」
和奏と雛の言葉に少しだけ思惑違いという顔をしていた詩乃。
やっぱり環境の違いなんだろうな。
「とりあえずこれくらいにして、次は麦穂さんと壬月さんに挨拶しにいこうか。」
「旭さま、詩乃ちゃん。いってらっしゃーい」
「はい。行ってきます。」
「おう。また、後でな。」
「わん!!」
軽く犬子の頭を撫でる。犬子を褒める時にすることであり、最近本当に、犬じゃないかと思うことがある。
少し歩き評定の間につくとそこには見知った2人がいた。
「あら、旭さん。」
「おお、小僧か。こんなところまでどうした?」
「詩乃の挨拶しにくるって言っていただろ?」
「……?詩乃さん?確か新しい南雲隊に入る人を紹介しに来てくれると聞いてはいましたが……」
「えっと、麦穂さんこちらが竹中半兵衛重治。通称詩乃。」
「……」
呆れたようにしている麦穂さん。この調子だったら何も聞いてなかったのだろう。
「詩乃。んでこちらが」
「私は二輪五郎左衛門長秀。通称が麦穂と申します。」
「丹羽の……米五郎どのですか」
「ええ。知っていただけているなら光栄です。よろしくお願いします。半兵衛さん。」
「……」
一度頷き俺の後ろに隠れる。フォローしておこうか
「…詩乃、あまり美濃でよくされてなかったのと人見知りな性格があるから。」
「…だそうだ。そのせいか私には近寄りもせぬ。」
「壬月様はほら鬼柴田ですし。」
「鬼五郎左だけには言われとうないわ」
「……!」
「大丈夫。鬼とか言われてるけど2人ともいい人だし、家臣団にも慕われているから。」
「…そういう気づかいができるところが旭さんが慕われているところですよね。」
「嫌われてるところからはとことん嫌われてますけどね。」
実際敵味方が多いのが俺である。実質忍びに関しては俺が手柄を独占しているわけだし。
「しかし、新加納の戦いって確か壬月様も加わっていたんでしたよね。」
「…!」
「うむ。あのときはしてやられたわ。まさかこんな小娘だとは意外だったがな。」
「……あの、壬月。その言い方だと威圧してるように聞こえますよ。」
「……そうか?」
首をかしげる壬月に俺は苦笑してしまう。この人の口下手も相変わらずだ。
「普通に完敗だったって言えばいいんですよ。詩乃の策がはまって新加納では美濃方が勝った。だからそのきっかけを作った詩乃が加わってこころ強いってことですよね。」
「えぇ。でもよく分かりましたね。」
「生憎うちの伯母さんにも似たような人いるので。」
口下手の吸血姫の伯母さん何してるんだろうなぁ。どうせ未だに親父とイチャイチャしてるんだろうけど。
「お二人には詩乃の件は本当に助けてもらいましたし。今度何か奢りますよ。」
「…えっ?」
「ほう。あてはあるのか?」
「この付近だったら一発屋くらいですけどね。最悪俺自身も料理できますし。」
「旭さまが作るんですか?」
「何なら最近ころが朝は作ってくれるから夜は作ってるぞ。」
まぁ、ころかひよが手伝いに来てくれるんだけどな。
「ほう?確か剣丞も言ってたな。旭が作る料理は絶品だと。」
「なるほど、それは気になりますね。」
「……あれ?なんか作ることになってるような。別にいいけどさ。どこで食べます?」
「それなら私の納屋ではどうでしょうか?料理器具も揃ってますし。」
「了解です。んじゃそろそろ久遠のところ行ってきます。」
「はい。楽しみにしてますね。」
「…おう。久遠さまと剣丞なら庭に居たぞ。」
「…ありがとうございます。んじゃまた連絡します。」
そして、言われた通りに庭に向かう。
そういえばここも模擬戦以来来てなかったな。
「旭。」
「ん?……って剣丞か?」
「詩乃さんもこんにちわ。」
「……こんにちわ。」
剣丞には少し慣れているのか隠れることはなかった。そしてその後ろからもう1人、久遠がやってくる
「遅いぞ。旭!!」
「悪い。三若や壬月と麦穂さんと話していたら遅くなった。」
「お前、まぁ。旭らしいけど……」
「…まぁよい。それで、そやつが竹中半兵衛か?」
「……貴方が織田三郎殿ですか?」
そうやって自己紹介をする久遠に俺達は見守っている。そういえば気になっていたことがあるんだけど……
「そういや、詩乃の立ち位置ってどうなるんだ?一応俺の隊に所属にはなるだろうけど。」
「……うむ。南雲隊として扱えばよい。竹中半兵衛は我ではなくて旭に忠誠を誓っておるのであろう。」
「……」
一度頷く詩乃に剣丞の方を見る。ここまでスムーズに進んでいるってことは……
「……もしかして気付いてた?」
「まぁな。お前自身が動いてたから久遠にも渡したくないくらい、詩乃さんのことが欲しかったんだろ?」
「…あ~。そういうことか。」
性格で透けてるのか。この稲葉山城攻めでのこと。
「どういうことだ?」
「旭は興味がなくなった時は本当に素っ気ないんだよ。本当に相手によるってこと。稲葉山城から宿に帰ってきた際はかなりやる気なさそうだったし、美濃から帰ってきた際にはかなりやる気になっていたからな。」
「……まぁ、わかりやすい自覚はあるけど。」
「多分詩乃さんが気になってなかったら、俺やころに手柄を渡していたんじゃないのか?」
「おっしゃるとおりで。」
「剣丞はよく旭のことが分かるな。」
久遠が驚いたようにしている。
「その代わりに旭もオレのこと大体分かるだろ?」
「否定できないのが辛いところだな。」
「……本当に仲がいいのですね。」
「まぁ家族絡みでの付き合いそこそこあるしな。」
それが当たり前になったのは始めてあったのは3年前くらいか。
「でも、旭さまはいつもこうなんでしょうか?いつも周りには人が集まっている気が。」
「そういう奴だろう。我が夫と同じで人誑しの才があるやつだからな。旭に振り回されるだろうが励め。」
「……御意。」
「……信用されてないなぁ。」
少しばかり苦笑してしまう。まぁ事実誑してまで欲しい人の集まりなわけで、なんというか俺の欲しい人材を集めた隊みたいになっている。
そんなことで殆ど何事もなく久遠への挨拶は終わりを迎えるのであった。