剣丞の親友に戦闘狂がいたなら   作:まくろ

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第22話

「おぉ。爽快だなぁ。」

「お頭そんな気楽な。」

「そうですよ。相手は壬月様ですよ。」

「別に敵わないだろ。剣丞。犬子準備はできてるか?」

 

と演習場所は美濃の国境付近。兵は俺兵800、犬子1000、ころとひよ100剣丞100のそして麦穂様の兵が2000。相手は雛1000の和奏1000、そして壬月の兵が2000となっている。お互いに四千の兵を操る大演習というわけだ。

 

「おう。」

「まぁ、演習だからって思っている奴らはいないだろうけど。」

 

明らかに士気が高い。目の色を変えて敵方を見ている。

 

「あの、旭様。前も思っていたんだけど士気を高めるの上手くないですか?」

「あ~まぁ。うちの叔母さんに一国のお姫様いるからその影響もありそう。」

「叔母さんですか?」

「俺の親父も結構奥さんいるから。」

「あ~そうだな。お前のところは婚約しているんだよなぁ。」

「お互いに似たらいけないところまで似ちゃったってわけじゃないか?」

「…それをお前がいうのか。」

「あの、二人とも。これ演習ですけど、相手は壬月様ですよ?慢心されては」

「俺はしてないよ。兵を率いたことはそこまでないけど、犬子や麦穂さまがいるわけだし。詩乃の役割的には今回大事なのは剣丞と犬子だ。麦穂様の兵と演習はしとけばよかったかなぁって思うくらいです。」

 

 

忠告してきた麦穂様に俺は苦笑してしまう。さすがに小太刀では無理だしこっちかな。

 

「てか平野戦か。ならこっちのほうがいいかな。」

「はい?刀ですか?それもかなりの名刀だと思われるのですが」

「村雨。俺の愛刀だよ。銃もあるけどそれはまた別の機会に。」

「銃ですか?」

「親父特性のな。普段人には使わないし、使う気もないけど。さすがに演習で殺すわけにはいかないし。」

「旭様、父親の武器で戦うこと多くないですか?」

「いやだって一番使いなれてるし。何なら親父って俺の時代では一番の武器職人でもあるからな。」

「確かにそうだよなぁ。姐さんもハジメさんの槍使いやすいっていうくらいには好評だし。」

「…あなたの父上が気になるのですが。」

 

あきれたようにしている麦穂様。俺の親父はまぁ、特殊も特殊。異世界では魔王と呼ばれていることもあり、化け物の子供である俺も正直化け物染みている強さを持っていることは自覚している。

 

「そういえば策ってあれでいいですか?俺と詩乃で決めちゃいましたけど。」

「えぇ。今孔明殿の案なら私共とも勝ち目はあると思います。少し剣丞共は大丈夫だと思いますが犬子殿は少し難しいのでは。」

「大丈夫だよ。犬子は。」

「…どうして。そういえるのですか?」

「さぁ。でも、犬子は失敗から何を学べないほど馬鹿ではないし今の犬子には俺たちがいる。」

「……」

「今は状況判断とかも甘いし詩乃曰く狙いやすいのは間違えない。でもだからこそ俺は犬子を選んだ。悔しくてもどんだけ失敗しても手柄に対しての飢えは誰にも負けていない。そういった奴が一人でもいれば隊は成長を続けていく。俺が今の織田家で部隊を組むのであれば、俺は恐らくこれに大将が麦穂さんを加えた部隊を作るよ。正直俺は大将向けではないから、麦穂様を大将に犬子が先鋒で主力が俺、支援にひよところ。軍師詩乃、遊撃を剣丞がしてくれるのが理想だと思いますよ。」

「あら。私も随分買ってくれているんですね。」

「実際そうですよ。詩乃が戦場で指揮をとれない今誰が一番的確な指示を出せるかって考えると麦穂様だろうしな。本来俺も前線で暴れたいけど、それでも経験を積ませたい奴はたくさんいるから俺は基本的に本陣がら動きませんよ。麦穂様と一緒に戦える機会なんてめったにないだろうし。」

「えぇ。私も光栄ですよ。旭様。」

 

するとほら貝の音が聞こえる。それは開戦の合図だ。

 

「始まりの合図である。皆の衆配置につけ。」

 

麦穂様の言葉に俺は刀を担ぐ。

まぁ、俺は俺の仕事をするとするか。

 

 

 

「っ!やばい。突破される。」

 

半刻がすぎ消耗戦に入るとやはりというか押される威力が高い。どこぞから隊の仲間の声が聞こえてくる。

でも正直想定以上に互角である。

 

「よっと。」

「親方!?」

「落ち着け阿呆。」

「親方さっき間反対のところにいたのにいつの間に。」

「慣れだよ。とりあえず隊列組みなおせ。もう少し耐えろよ。」

「はい。ありがとうございます。親方。」

 

その言葉に俺は意識を集中する。押し負けそうなところはフォローして何とか均衡を保っている。

そして待ちわびた声が同時にあがった。

 

「南雲隊先鋒前田又左衛門犬子、滝川彦右衛門一益首級とったよ!!!!」

「剣丞隊筆頭新田剣丞が紅組先鋒、黒母衣衆筆頭佐々内蔵助打ち取ったり!!」

「「今だ(です)。全軍押し返せ!!」」

 

俺と麦穂様の声が被る。さすがにこの好機はもう逃がしてはおけない。

 

「旭殿。」

「分かってます。麦穂様行ってきます。」

「えぇ。ご武運を。」

 

 

俺は声を張り上げ周囲に声を上げる。

 

「南雲隊。今が攻め時だ。敵の混乱の中で俺が道を切り開く。前田の兵と一緒に柴田衆を追いつめるぞ。」

「「「「おう!!!」」」」

「全軍俺に続け。」

 

 

俺が先頭で騎馬を走らせる。大将の一騎掛けは本来は愚策であるらしいが、俺がそうしたいと押し切った。というよりも俺自身戦闘狂に近い。つーかこれが一番強いし。

そして俺と犬子の兵が同時に柴田衆を挟むようになだれ込んでいく。

所謂挟撃の完成である。例え柴田衆とはいえ勢いがついた赤母衣衆と破壊力が高いうちの隊だ。すでに一たまりもなかった。そしてそれを鎮めようと本隊が出てきたところをここまで使ってなかったころとひよの隊で本陣を制圧し、この戦はうちらの勝ちとなったのであった。

 

 

 

 

「お疲れ様です。旭殿。」

「どうですか料理は口にあいましたか。」

「あぁ。剣丞たちがしかし、お見事だったな。」

「いや。今回ばかりは詩乃と犬子を褒めてやって。」

 

打ち上げになると無礼公として俺は基本的にお酒と料理を振る舞う。今回ばかりは演習先の二人や三若も呼んでいる。

 

「しかし、まさか読まれているとは思いもしてなかったわ。」

「まぁ、三若といいながら雛はもとより戦闘向けというよりも麦穂様みたいに後方支援に回ることが多い。犬子と和奏に比べるとやっぱり戦い方は限られてくる。確かに見知らぬ相手からしたらやり辛いだろうけど、戦い方を知っていれば雛が一番狙いやすい。」

「ほう。」

「元より忍術は戦闘向けの忍術と支援に優れた二パターンあるんだけど、甲賀流はどちらかといえば調略とかになるのかな。まだ風魔とかのほうが戦闘面は忍術はよかったはず。和奏の一騎掛けも分かっていたけど犬子がこちらにいる以上は突破力は下がる。だからぶつけた瞬間に雛が犬子めがけて奇襲してくるっていうのが詩乃と俺が考えた結論だった。」

「ふむ。」

「まぁ、あとは消耗戦を演出しないといけないんだけど。うちの隊はそういった経験はないから俺が内部から危ないところに応援するって手筈だったんだけど士気の高さが功を奏したな。全く崩れることがなかった。」

「うむ。槍にしろ乱戦能力に関しては南雲隊が高いな。旭を軸に弓兵はほとんどいないのが不安ではあるが。」

「あ~まぁ、そこらへんは剣丞隊が将来的に担ってくれるだろ。」

 

種子島が入ってくればある程度の中距離戦は戦えるようになる。

 

「まぁ、最後に犬子を持っていかれたのが想定外だったけど。」

「まだ三若に首を取られるわけにはいかないでな。」

「そこに関してはさすがの鬼柴田ですね。でも、もし犬子ちゃんが手柄を待つことができたのであれば。」

「あぁ。元より槍の腕は目に見張るものがある。旭隊に入れて正解だったのかもしれんな。」

「別に手柄を欲しがるのは悪くないけど、たまには手柄が勝手にやってくることもあるからな。急がば回れ。焦ったっていいことはない。だからこそ稲葉山攻めで時間を使っている。」

「ふふ。本当に頼ましいですね。壬月様。」

「あぁ。まぁ女っけが早い節はあるがな。」

「否定できねぇ~。」

 

そんな話をしながら夜は更けていく。

誰も話はしていなかったが、もう稲葉山城攻めはすでに目前であった。

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