剣丞の親友に戦闘狂がいたなら 作:まくろ
「えっと?第一論功また俺ですか?」
「うむ。」
「異議なし!!」
「まぁ、それほどの活躍だからね。」
俺の言葉にみんなは同意する。評定の論功行賞で真っ先に上げられたのは俺のことだった。
「まぁ、我も少し思うことはあるが。手柄は手柄だ。」
「さすがにこれ以上領地経営が無理だぞ。」
「それも剣丞から聞いておる。んで貴様は何か欲しいものとかはないか?」
「ほしいものか。内政官。」
「…お主。」
壬月があきれたようにしているが
「実際そうなんだよ。てかこの数ヵ月実際仕事をしてみて思っていた話なんだけど。俺こういう仕事苦手。」
「元も子もないな。」
「実際ひよがやっている半分の早さでひよに聞きながらやっているんだから。一応大事なやつとかは見るけど、忍び衆を率いることになるとさすがに破綻しそうかなぁって。」
「あ~うん。内政仕事とかお前やらないといけないからやってるけどかなり苦手だよな。」
実際これが限度のような気がした。俺には合わない。
まぁ最低限はやるけどほぼ俺はこの世界に入って休みなしの生活を送っていることもある。
「正直ここまで大きくなって本来なら内政官一人か二人いてもおかしくはなくないか?」
「まぁな。それなら何人かは派遣してやるが。他にはないのか?」
「……ん。あ~剣丞に部下を付けてほしいかな。正直剣丞隊もこれで100人部隊にはなるだろうし、ある程度信用できる奴がいたら安心なんだけど。」
「貴様の隊から誰かおくれないのか」
「いや。無理だよ。南雲隊ってかなり旭自身に忠誠誓ってるやつが多いんだよ。領民含め。」
剣丞の言葉に頷く。実際誰か剣丞に寄贈しようとした際に断られることが多かった。
「旭って隊の誰かが祝言を上げた際の仲人を務めてご祝儀を渡したこともあったし、鬼が現れるからといって夜中に一つ一つの村に護衛を出してるし。こいつ戦場と訓練以外は本当にただ優しい領主さまって感じなんだよ。ひよやころ、犬子や詩乃さんも旭のことを離れる気はないらしいし。」
「…元々私が率いていた川並衆も運搬業をする際に旭隊から無料当然で護衛を出してもらっているので安全に渡航できますし。」
「南雲隊の忍び衆やしいたけの養殖で毎月ある程度の金銭を稼いでいるので金銭的にも余裕があるので褒美も多めにしていることが原因だと思われます。」
「しいたけの養殖ですか!?」
その言葉に評定が騒めきだす。この時代しいたけが本当に高価なんだよなぁ。
久遠には伝えていたし、利益の半分近くを献上しているため許されているが、どうしても個人的に干しシイタケを使った料理を振る舞いたかったため販売用もかねて養殖しはじめた経歴がある。……まさかあんだけ高級品だとは思わず絶句したのはいい思い出だ。
「まぁ、さすがに情報は制限させてもらっているし、俺のところで管理してもいいって久遠から言われているしな。」
「……まぁ、こういうことをサラッとやるのが旭だからな。だから領民にも南雲隊の結束もかなり強い。」
「……南雲隊は本当にいい隊になりましたね。最初に兵を忍びにしたって聞いたときはどうなるかと思いましたが。」
「…うむ。」
「それはさておき。剣丞に部下って無理そう?」
「確かにそうなのだが……剣丞にか。」
「あ~了解。こっちでちょっと考えてみる。」
「すまんな。」
「いや。相当無茶言っている自覚はあるから。」
俺の言葉に久遠も苦笑いする。まぁ、ちゃんと剣丞が探せってことだろう。
「……殿。僕がその役目やっていいですか?」
「ん?和奏?」
「はい。」
「よいのか?」
和奏が頷く。それはありがたいんだけど。
それ相当隊のバランス崩れない?うちの隊に偏り強すぎてもダメだと思うんだけど。
「旭。剣丞のことだが。」
「南雲隊から寄贈でいいよ。名目上は配置転換で。」
「そのことなんだけど、雛も旭君の隊に入りたいなぁって。」
「……えっ?」
「二人とも犬子ちゃんの活躍を見て刺激になったらしいです。」
「あぁ。今回の論功行賞で第二論考は間違えなく犬子だからな。」
「……わふ!?」
「旭は犬子に何かしたのか?」
「いや。何もしてないよ。ただ、俺の部隊もそうだけど、手柄に飢えている奴ばっかりいるからな。だからこそ、明確な目標を決めていたんだよ。」
「目標?」
「俺が犬子に城内で待っているって言っていただろ?犬子が城門を破って俺と合流しろって言っていたんだよ。実際できるだけの兵は預けてたからな。まぁ犬子が赤母衣を拠点確保のためにつかって俺の兵を連れてきたのは驚いたけど。」
「…えっ?本当にそれだけですか?」
「うん。まぁ、俺がしたのは単純。犬子を信じることかな。でも実際に想定以上の働きはしてくれたよ。」
「……えへへ。」
嬉しそうな犬子に俺は苦笑する。ぶっちゃけ詩乃の策がはまったのもある。
詩乃曰く犬子は限定的な任務であれば限りなく威力を発揮する。特に俺が出した依頼であればやる気を出して真っ先に任務を遂行する。
正直名前の通り忠犬みたいな役回りである。
「てか、俺の論功行賞だろ?……とりあえず俺は以上でいいよ。」
「それなら犬子の論功行賞だが。」
と壬月様が御礼を読み始める。
「はい、は~い。犬子も旭様のお嫁さんになりたいです!!」
と褒美でもう一人妾が増えたのを目にそらせば平和な論功行賞だった。
……というよりもいくら政治利用してくれていいと伝えていることはいえ恩賞で妾になれる権利があるのはおかしいだろうとは思うのは俺だけだろうか。