剣丞の親友に戦闘狂がいたなら 作:まくろ
「…ん?雛。あれって。」
「……ん?久遠様と剣丞くん?」
鬼退治から帰ってきた朝に俺と雛が長屋に戻る途中とそこには見知った二人の姿が見られる。
「おーい。二人とも。」
「ん?旭と雛か?」
「どうしたんだ。こんな早くに。」
さすがにこんなに早く出てたら言い訳聞かないわな。
「ちょっくら鬼退治してきたとこ。」
「何?貴様ら二人でか。」
「いや森一家も含めて。今日俺の見解について久遠に話そうとしてたんだけど……もしかして遠出か?」
「…あぁ。ちょっくら堺の方に行く予定だったのだが。」
「……」
俺と雛は見合わせる。丁度都合がいい話に俺は苦笑してしまう。
「なら丁度良かった。俺たちも護衛代わりについてきていいか?」
「元よりそのつもりだったのだが……貴様も用があるのか。」
「忍びから鬼が京から近江にかけて結構出てるんだって。だから旭様と雛で調査してこようとしてたんだけど。」
「…どういうことだ?」
「それは道中話すよ。どうせお忍びだろ。先に行っておいて。俺はちょっと鬼のことで麦穂さんと壬月に話すことがあるから文を書いてるから。んで、雛旅支度しておいてくれるか。……んで、ひよ、ころ、犬子、詩乃を起こしておいて。起きなければどんな手を使ってもいいから叩き起こせ。」
「……相変わらずそういうところ鬼畜だよね。」
「仕方ないだろ。俺ですら掴めなかったからどうせ突発的なやつだ。路銀も荷立も俺達で用意しとけばいいよな。」
「流石旭は話が早い。」
その言葉に俺はため息を吐く。なるほど麦穂さんと壬月が苦労するわけだ。
俺は自分の御家流を使い、普段持っている財布を剣丞に投げる。
「…とりあえずこれくらいは持っていけ。2人分の路銀程度はある。」
「…おう。ってすっと出せるんだな。」
「忍びで急な任務のために必要だろうが。ほら言い訳は俺が考えとくから早く出立しろ。」
「おう。また後で。」
「はいはい。」
と二人の出立を見送るとハンドサインで俺は忍び衆に合図を出す。何が近畿で起こるか分からない分警戒はしといたほうがいいだろう。
「とりあえず文かな。まぁ二人の言い訳としては……まぁ、鬼のことで将軍家と浅井衆と話し合うため、堺、京、近江に向かうってことにしようか。上洛の理由付けにもなりそうだし。」
「旭様は本当にそういうことは頭が回りますね。」
すると詩乃がとぼとぼと歩いてくる。その後ろにころとひよ、犬子、雛も後に付いてくる。
「……おはようございます。旭様。」
「おはよう。早速だけど早馬の準備。飯を作る暇はないけど大丈夫か?」
「はい。一応ですが何事ですか?」
「久遠と剣丞の無茶振りだよ。忍び衆を数人護衛に出してるけど、俺等も早馬で追いかける。」
「はい!!それじゃあ荷立と路銀の用意したらいいですか?」
「おう。堺についたら久遠の警備は忍び衆に任せるから路銀は多めに用意しとけ。自由に行動していいよ。」
「……えっ?いいの?」
「いい。どうせ堺は武家の喧嘩はお法度だからな。それよりも堺をよく見ておいたほうがいい。堺は今この国で一番平和で賑わいがある街だからな。」
その言葉に四人は嬉しそうに笑う。まぁ、それ以後がちょっと頑張ってもらわないといけないからな。
「…それとそうとして旭様。昨晩は何処へ?」
「鬼退治。」
「……あの、隠そうとしないんですか?」
「久遠にバレてるし直ぐにバレる嘘はつくかよ。……それにちょっと不味い事態になってるのは本当だし、足利将軍に会いに行ったほうがいいのも本当だしな。」
「……どういうことですか?」
「後で久遠と一緒にはなす。とりあえず早馬は?」
「は、はい。用意できました。」
「んじゃ行くか。」
といいながら早馬を駆ける。まぁ、俺と雛にとっては徹夜明けだからあまり速度はだせないけど。
「……ってことが俺の見解。」
早馬で合流後そのことを伝えると剣丞と久遠、詩乃は顔を顰める
「…それは大変なことになりましたね。」
「まぁな。こういうわけで三人に旭衆は任せてに俺と雛、ひよは直ぐに近畿に経とうって思ってたから丁度いいよ。元々久遠と剣丞はつれていこうと考えてたから。一番近江に近づける方法って久遠を巻き込むことだろう。」
「……浅井か。」
「それもあるけど足利将軍に恩を売れるし、もし、鬼と戦になったときにほかの勢力に協力を仰げるとしたら幕府しかないだろ。」
「それに相手が人でなければ、上洛したという事実を持つ意味はとてつもなく大きい。」
「まぁ、ほかの勢力が黙ってるかと答えれば否としかいう他ないから、相当忍びを送りこむことになるだろうな。それか武田に鬼の情報を無償で上げて同盟を申し出るのもありか?。」
「情報をですか?」
「武田も相当鬼に苦しめられてるからな。あそこは山で囲まれた土地であるから動物もいたんだろ?今相当内部でごたついてる。」
「何でそれをお頭知っているんですか?」
「あのな、俺忍び衆の頭だぞ。次期は西か東の可能性が高いのは誰もが思ってること。でも六角が御家騒動が起こったから攻めやすさを考えれば確実に西へ向かうことになる。そうなると東の動きの方が重用だろ。」
その言葉に詩乃も頷く。
「はい。でも私も同じことを思ってましたけど……旭様相当草を武田に送ってるんですか?」
「そこまでじゃないよ。というよりも今は情報をお互いに流してる状態だ。」
「情報を流すというのはどういう事だ?」
「お互いに敵意がないって示し合わせてる。鬼の騒動もあるし、それに加え川中島でまた長尾と競ってることもあるし、武田側も動けない。だからこそお互いに戦をする時期ではないって判断だろ。それに剣丞がいるのも大きい。」
「剣丞くん?」
「稲葉山城攻略の策を考えたのが、詩乃と剣丞の策ってことは街でも大きな噂になっている。知らない敵と戦うほど武田は愚かではないさ。」
「…あの、それって本来私が言うべきものだと思いますが……」
詩乃が呆れたようにしているが俺は苦笑する。
「……まぁ、ぶっちゃけこういうことを調べるのが俺の仕事だからな。……でも一つだけ。今の織田家は既に武田や周辺諸国に名を轟かせてる大勢力であることを忘れてはならないってな。」
「……あぁ。分かっておる。」
その言葉に久遠は頷く。
「まぁ、鬼の話は一旦は忘れて、堺では自由行動だからな。」
「……本当にいいんですか?」
「いいよ。息抜きできる時にしとけ。」
「お頭は何するんですか?」
「俺は壬月様と麦穂様、後は浅井衆へのお土産を探しつつ町を見る予定。」
「……あのお頭。もしよければ私たちと一緒に。」
「…わん!!犬子も!」
「雛も行きたいお店があるんだけど。」
「相変わらず人気だな。お前。」
「うれしい限りだよ。まぁ、ある程度調整して時間作るよ。」
すると喜ぶ南雲隊の皆に少しだけ親父のことを思い出す。
……もしかしたら親父も一刀叔父さんも俺みたいな感じだったのかもな。
そんなことを思いながら堺への旅へ向かうのであった。