剣丞の親友に戦闘狂がいたなら   作:まくろ

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自分のできること

「そういや、ひよは評定出れなかったんだったよな?」

「は、はい。御役目見得以下の身分ですし。」

「うーん。……流石に俺も新参で居心地悪いしなぁ。森家も来てないんだろう?……久遠様に頼んでみようかな。」

「あの、それは私が恐れ多いです。」

 

まぁ、できれば経験して欲しかったけど今回の下りでは仕方ないか。

ちょっと帰りに久遠に聞いてみようかな。

 

「そういや、剣丞は上座に座るのかな?」

「は、はい。久遠様の旦那さんということなので。」

「荒れそうだな。また」

 

俺は少しだけ苦笑いしひよも苦笑いをする。

そういや、俺も実は桶狭間の戦いでは家老の二人しか参加してないこともあり、麦穂さんと壬月さんしかあったことがない。

多分女の子なんだろうなぁとは思うけど、というよりもこの世界で未だに今川義元しか男性武将いないんだけど。

そんな中で俺が評定の場に姿を表すとそこには視線を集めていた。

好意的ではないがとても興味深そうな感じである。

俺が一番端に座るとすると久遠様が少し笑っている。

 

「おい。旭よ。剣丞はどうした?」

「俺と剣丞が毎度一緒にいるとは限らないですからね。朝には訓練してましたけどその後はあってないですよ。」

「旭?もしかして南雲隊の田楽狭間の天人か?」

 

……あーそのあだ名で定着してるのか。なんかなぁ、天人とか大層なことではないんだけどなぁ。

 

「おい、旭。せっかくだし挨拶しろ。」

「……何がせっかくだよ。これ俺の紹介でもあるんだろ。まぁ、いいや。南雲旭。一応八重樫流という忍術と剣術が得意としています。」

「……忍術?もしかして最近新しい草が織田家にいるのって。」

 

すると小さい女の子、いや赤髪の女の子と紫髮の女の子、そして白い髪の女の子が評定には座っているのであった。

そのうちの紫色の髪をした少女は同じく草をかっているらしい。

 

「うちのもんだよ。10人ほどだけど使えるようにはなったしな。とりあえず美濃に5人ほど送り込んでいるかな?」

「…へぇ~。それなら雛のところと同じだぁ。しかも1週間で鍛えたって言ってたけど本当に?雛のところとあまり変わらないんだけど。なんなら雛のところよりも強いんだけど。」

「まぁ、あれくらいならな。少し鍛えてやったくらいかな?」

 

すると今度は赤髪の少女が俺に向けて質問してくる。

 

「…南雲隊の兵から聞いたんだけど、南雲隊の訓練かなりキツいって聞いてるけど。どんな鍛え方したんだよ。」

「キツくなければ訓練じゃないだろ。貧弱だったから体力つけるところからやらせてるけど美濃との戦が近いと思ってるからある程度使えるようにはしたかな。1週間で個としてなら戦えるようにした。まぁ陣とかは組めないけどな。」

「ほう。それは戦力にはなるのだな。」

「まぁ、ある程度には。」

「デアルカ。いずれある程度の兵を貴様には与えるつもりだからな。」

「了解。まぁ、これにて旭についてだが」

「あの、旭自身って強いんですか?田楽狭間で敵大将を討ち取ったって言ってましたけど。」

「「「強い(ですよ。)」」」

 

すると全会一致で家老と久遠が言葉を合わせたようにしている。

 

「純粋な剣の腕なら私や麦穂よりも腕は立つだろう。」

「…わふ!?…そんなに強いの!?」

 

驚いている側近の一人に俺は苦笑する。まぁ今の俺があるのは環境のおかげなのは間違えない。というよりも好意的な言葉も多いがそれでも批判的な言葉も聞こえる。

まぁ、そこは武将同士だし剣で語り合わないといけないところだろうな。

 

「まぁ、旭に関してはこれくらいにしておこう。麦穂、剣丞を呼んできてくれ。」

「はい。」

 

すると、剣丞を呼びに行ったのであろう。襖から外に出ていく麦穂に俺はため息を吐く。

俺でこれなら剣丞は大変なことになりそうだな。

そして剣丞が気まずそうに入ると当然のように好意的な視線はほぼない。

 

「……」

 

剣丞から目線で助けを求められるが俺は目をそらす。薄情ものって言われてそうだけど、久遠と婚約して天の者ってなればそうだろう。そして久遠の隣に座った後俺は少しだけ気を引き締める。

さて、ここが剣丞にとっての正念場だ。

 

「皆の者。此奴が我が夫になる男、新田剣丞だ。存分に引き回してやってくれ。ほれ、貴様も何か言え。」

「何かって何を?」

「自己紹介くらい自分でしろと言っている。」

 

そういえば久遠と剣丞のやり取りを見るのは始めてだが、結構いい関係なんだろうか。互いにフランクな印象を受ける。

 

「えー新田剣丞です。久遠…こちらにいらっしゃる織田三郎久遠さんに保護されました。何の因果か久遠さんの夫になることが決まりましたので皆様今後ともよろしくお願いしま…」

「ふざけるな!!例え殿がお認めになってもボクが認めないぞ!!」

「控えろ和奏。御前であるぞ。」

 

すると一人の、いや俺もあまり認めていない一人の女性が反論をいう。紅い髪が綺麗な女の子って印象だが真っ直ぐな性格なんだろう。でも今回ばかりはその性格が役に立つだろう。

 

「言わせていいんじゃないのか?」

「…旭様?」

「そういう為に久遠様はこの場を作ったんだろ?俺に対してもそうだ。言いたいことがあったら言わせておけばいい。沙汰は久遠様は決めるだろうしな。家臣団の不穏に気づかず裏で色々あった方が後々問題だろうしな。」

「そういうことだ。」

 

どうやらそういう意図であることは当たりだったようだ。

 

「ということで和奏言いたいことがあれば申せ。」

「いきなり出てきたそれも田楽狭間で手柄をたてた旭じゃなくこんな奴が殿の夫ってどう考えても」

「ん?和奏は旭ならよかったのか?」

「……だって織田家臣団になってからも旭のいい噂は聞いてますもん。」

「だね〜。確かに佐々殿の意見もわかりますよー。雛も思いますし。」

「佐々殿、滝川殿の意見に犬子、じゃなかった前田又左衛門犬子も同意見だよ。」

「犬子ちゃん、無理して言葉づかい改めなくても良いですからね?」

 

……この少女達本当に織田家の有名武将か。佐々成政、滝川一益、前田利家かよ。

 

「ふむ、まぁ、そうなることだろうと思っていたが、おい和奏。」

「はい!」

「どうすればこやつを認める!」

「ボクより強ければ認めてやります!」

「えっ?和奏。結局それ?」

「まぁ、和奏だし。」

 

まぁ単純かつやることが限られていたらの話だろう。

 

「強ければか。ならば簡単だな。剣丞、和奏と立ち合え。」

 

まぁそれが簡単だろうな。まぁ、佐々、滝川に前田には多分剣の腕なら剣丞が負けるとは思えないのであるけど。

 

「それなら久遠様、できるだけ障害物がないところってありますか?」

「障害物?」

「勝負となれば文句のでないところでやったほうが言い訳もできないだろ?木とかないところでやったほうがいいってこと。」

「…それなら私の庭でやればいい。あぁこの際だ旭も含め立ち合いたいやつがいれば進み出よ。」

「……?それって旭くんにも挑んでいいってことですか?」

「あぁ。構わんな旭。」

「仕事中じゃなければいつでも相手になるけどな。」

 

すると意外にも二人から手が上がり俺を見てくる。

 

「はいはーい。雛は旭くんとやりたいでーす。」

「犬子も!」

「えっ?二人は旭とやるのか?」

「だって、麦穂様や壬月様が認めてるんだよ。それに……八重樫流って聞いたこともない忍び流派だからね。」

「わんこは、武士として一度戦ってみたいなぁって!」

「そ、それじゃあ」

「お前は言い出しっぺだろ?今日はなしだ。剣丞との戦いに集中しろ。いっとくけど剣丞かなり強いぞ。」

「うっ!」

 

すると和奏は少しだけがっかりしたようにしている。

 

「いいよ。今日じゃなくても暇な時あれば手合わせなら付き合うから。」

「ほ、ほんとか!?」

「いいよ。俺で良ければ。」

 

すると和奏も小さくガッツポーズを決める。

 

「それじゃあ私は、剣丞殿と。」

「それなら私は旭にしよう。」

 

何故か二人も参戦するときき俺は首を傾げる。久遠様も不思議と思ったのか二人に聞き直した。

 

「壬月と麦穂は二人のことを認めているのではなかったか?」

「はい。ですが、武士として一度お手合わせしたいと。」

「私もだ。元々旭とは一度手合わせしてみたかったからな。」

「…よし許す。」

「……あれ?なんか俺の方が相手多くね?これ剣丞を認めるかどうかだよな?」

 

元々少しばかりは相手するつもりだったが、ここまでくるとこのことが趣旨ではないかと感づいていた。すると呆れたように壬月さんがため息をついていた。

 

「阿呆。そんなもんお主が織田家認められた時点で、剣丞についても織田家臣は認められているのだ。まぁ、一部は違うようだがな。」

「そうですよ。和奏ちゃんも久遠様の旦那様になることが反対なのであって、剣丞さんのことは織田家臣にいれることは反対してませんしね。」

 

家老二人の言葉に少しだけ苦笑いしてしまう。そこまで俺が何をしていたのか分からないがそういった会合なら思う存分相手をしたい。

 

「了解。そういった理由なら相手させてもらおうかな。」

「それと旭は猿を連れてきてくれ。」

「猿?」

「ひよのことじゃないか?」

 

あぁなるほど。確かに木下秀吉の渾名って猿だったか。

それに了承し、先にひよを迎えに行くとそこにはずっと正座のひよが足を痺れさせて待っていた。

……ほんとになんというかうちの隊ってどこか抜けている人ばかりなんだなと少しばかり笑ってしまった。

 

 

そして屋敷に訪れて始まった第一戦は剣丞隊和奏だったが。

 

「勝者新田剣丞!」

 

あっけなく剣丞が勝った。まぁ、和奏は鉄砲槍を使っていたが鉄砲の初撃をよけ槍を掻い潜った剣丞が予想通りに勝った。なお、実力を知らない家老組は驚いていたが、三国志でも有名武将の数々や八重樫の訓練も受けたことがある剣丞が負ける通りはないことは分かっていた。

 

「おつかれ。剣丞。」

「はぁ、っていうか鉄砲は反則だろ。」

「ん?そんなん聞かなかったほうが悪い。それに戦場でも聞いてなかったから負けましたなんて通用しないんだぞ。」

「……おっしゃる通りで。」

「んじゃここからは俺の2連戦か。んじゃサクッと殺ってくるか。」

 

多分俺の与えられた役割って言うのはだいたい分かっているつもりだ。そして軽く小太刀を握ると剣丞が呼んできた。

 

「旭。頑張れよ。」

「……おう。」

 

俺は小さく息を吐く。応援されるのも久しぶりだな。

俺が試合幕に入るとそこには紫色の、確か雛と呼ばれた少女に俺は軽く礼をする。

 

「よろしくな。」

「よろしくーでも壬月様より強いのに雛が勝てるなんて思えないんですけど。」

 

……なんでこっち選んだんだよ。

といいたいとこだったがそれでも目線が負ける気なんて更更ないとちゃんと武人の目をしている。

 

「…普通だったら負けるかな〜って思うんで、雛ちょっと本気をだしちゃいますね。」

 

すると白い靄のようなものが雛と呼ばれた少女を包み込む。

……やっぱりこの世界でも氣は存在していたか。小太刀を二刀持ってるということはスピード型。そういう相手には視線に頼らないで五感に任せたほうがいい。

集中すると後ろから僅かに音が聞こえるのが聞こえた。

 

「そこか。」

 

俺は振り返り少女の小太刀二刀を弾く。

 

「これも初見で反応できるの?」

「あいにく見えない敵とは何度か戦ったことあるしなぁ。音で居場所の推測くらちはできる。」

「……音?」

「足音とか肌と服が擦れた音とかな。まぁ音がなくても殺気とかの気配で分かるしな。」

 

まぁ、せっかく攻め込んで貰えたし、だいたいの実力も分かった。

 

「うぅ、でももういっか。」

「やらせると思ってるの?」

 

瞬歩で近づき俺は小太刀で少女に振りかぶる。すると太刀に合わせようとするが既に守りに入った小太刀ではもう立ち直しはできないだろう。

小太刀の峰を少女首筋に触れさせる。女性だから跡を残すのも気が引けるのでこれだと痣も残さないで済むだろう。

 

「これで勝ちかな?」

「……そのようだな。勝者南雲旭。」

 

勝ち名乗りに少女は呆然と立ち尽くす。

まぁ、やっぱりというか、鬼よりは強くそして面白い技だった。

 

「少し分かりやすかったな。その瞬歩発動するまでに少し時間がかかるのだろ?それに連続して使えないって感じか。」

「……あはは。分かっちゃいますか。」

「分かるさ。でも、同じ小太刀二刀流の立場からいえば、一応背後はついているるのであれば追撃は欲しかったな。小太刀二刀流は攻め込んで機動力で相手を圧倒するしかないんだ。だから俺みたいに攻め込まれたら小太刀の二刀流は厳しいのは身にしみて分かっただろそれに恐らく忍術じゃなくてお家流だろその瞬歩。」

「うん。滝川家お家流頑張って足を早く動かせば、早く動くことができるの術。」

「だろうな。一瞬で後ろまで行けるくらいに瞬歩としては破格だもんな。その強みを分かっているんなら真後ろ狙うのは正しいのは良かったところだな。そこからの対応しだいでもっと強くなれるだろ。」

「ほんと?」

「試しに俺が言ってたことをやってみるだけでも全然変わるよ。攻撃は最大の防御って言うしな。」

「……そっか。」

 

すると、小太刀をもう一度握り直す。

 

「……旭くんでいいかな?雛は雛いいからね。」

「了承。雛。対戦ありがとうございました。久々に楽しかったよ。」

「うん。ありがとね。次は犬子だよね?……犬子、旭くん強いよ。」

「うん。織田赤母衣衆筆頭前田又左衛門利家、通称犬子が旭どののお相手をいたしまーす。」

 

すると元気な女の子が俺の前に立つ。獲物は槍でリーチの差はかなり厳しい。

だからこそなるべく間合いに入れるかが重要だろう。

 

「よろしくお願いします。」

「では両者構え。始め。」

 

そして始まると同時にさっきの話を聞いていたのであろう。仕掛けてくる。

真っ直ぐに基本が出来ているけど、どこか分かりやすく合わせるのは簡単だった。

 

「よっと。」

 

片手の小太刀で押し返し素早く前に進み。

 

「……これで勝ち。」

 

もう片方の小太刀で首筋に寸止めの形までもっていけた。

 

「……わふ!?」

「勝者南雲旭。」

「…まぁ、真っ直ぐだったしな。基礎は出来ているけど、不規則的な動きはなかったから間合いに入りやすかった。それに守りが弱い小太刀だけど、流石にあんなに大ぶりされたら合わせるのも楽だし内部に入りやすいだろ。仕掛けるのであれば突くほうが避けにかったかな。」

「…そうなの?」

「槍って振りかぶると他の武具に比べて長い分攻撃が届きにくいっていうのがあるからな。それに刃がついているのは刃先付近で中にいかれたら小太刀に優勢になる。だからこそ小太刀の射程に入らないように刃先を上になるべく上げないのが俺は一番嫌かな。足元を振り回すとかなら機動力も奪えるし。」

「なるほど!!旭さまも槍は使えるの?。」

「俺は使えない。でも自分がやられて嫌なことくらいは分かるよ。」

 

槍というのはこの時代の接近戦においてはかなり優れた武器であろう。騎馬でも使え、上手く使える人であれば片手でも突きや払いができる、リーチの長い武器である。

 

「…折角いいものを持っているんだ。もっと強くなれるだろうし、二人とも経験を積めばもっと強くなるだろうさ。」

「……えへへ~」

 

軽く頭を撫でると嬉しそうに、まるで本当に尻尾を横に振っているように笑顔になる犬子。少しだけだけど顔が赤くなっているが、まぁ流石に誑してないだろう。

 

「とりあえず次は剣丞か。……相当強いぞあの人。」

「……分かってる。」

「頑張れよ。剣丞。」

「おう!」

 

軽く手を合わせ送り出す。

まぁ、剣丞が勝つのは厳しいだろうな。実戦が少ないのは明らかに剣丞だろう。

そして試合が始まると、その実力は明らかだった。

一度思考が離れた隙を攻め込み、更にカウンターを狙った足元への一撃もかわされる。

やっぱり守りに優れてるな。麦穂さん。俺が早さ、壬月さんが力に特化してるからなぁ。バランスは取れているんだろうけど。

そして試合が動き始めた。

剣丞が間合いを詰めていくことを読んでいたのか刀を一閃。だが剣丞もそれを読んでいたらしく避け素早く横にずれ、そして麦穂さんの胸を触った。

 

……?胸を触った?

 

「きゃ、キャァー〜〜〜」

「隙あり。」

 

刀をコツンとぶつける剣丞。

やっていることは俺以上にヤバいと思ったが一応剣丞の勝利である。

 

「よし、俺の勝ち。」

「うわぁ!!こいつ最低だぁ!!」

「酷い男の人ですねぇ。雛気をつけないと妊娠させられそうです。」

「女の敵!!色情人間!スケベ!」

「グスン」

 

と女性人から大批判を浴びる剣丞。というよりも麦穂さん完全に泣いてるし。

…女の敵であることは変わりないけど、確かにあの場面では効果的だったかな。

格上相手に勝利を収めてるしその実行力は本当に度肝を抜かれるものがある。

 

卑怯汚いは敗者の戯言って言葉もあるくらいだしな。

結局飯奢りで許しを得たらしく少しだけ慌てていた。

……そして最終戦出番である。

 

「さてとやりますか。」

「猿!!獲物を寄越せ。」

「只今!!」

 

するとそこに現れたのは巨大な斧である。そしてその斧を使うってことは。明らかに氣使いであることも分かってる。

……流石に手加減なしではいられないよな。

すると台車を引きながらひよが一度だけこちらを振り向く。

 

「あの、お頭!」

「ん?」

「御武運を!」

「……おう。勝ってくる。」

 

俺が軽く返事をすると俺は2つの小太刀を持とうとする。

 

「旭くん!頑張れー」

「旭さま〜!!頑張って下さい!」

「…あらあら。」

 

するとさっきまで戦った二人からも声援がくる。なんというか、申し訳ないんだが。

 

「…はぁ、全くお前は生粋の女誑しだったか。」

「否定はできないですけど、今回ばかりは理由がわからないんですけど。試合が終わって反省会で良かったところと悪かったところを伝えただけですよね。」

「……なるほど、剣丞がたちが悪いということがある」

「…あいつも大概だと思いますけどね。……まぁ、応援もされてるし、手加減なしでいきますけどいいですよね?」

「あぁ。全力でお相手しよう。」

 

俺は一息つくと小さく息を吐く。

そして俺も一息入れ礼をした後相棒と呼べる、父親が俺のために作ってくれた唯一の小太刀2つを構える。

 

「よろしくお願いします。壬月さま。」

「織田家家老柴田権六壬月勝家。全力でお相手いたそう。」

 

そして俺も壬月も氣を入れ始めそして俺から動きはじめる。

俺は真っ直ぐに、飛び出すと小太刀の間合いまで、近づこうとすると一瞬だけ、衝撃波のようなものが俺を襲いかかるのが見えた。

久しぶりに見たな、未来視。やっぱり織田家の家臣団でも明らかに豪の武将であろう。

 

「小僧参るぞ!!五臓六腑をぶちまけろ!」

 

その瞬間俺は胸から丸太をだし、地面に突き刺すと同時に跳び箱のように腕の筋力で身体を持ち上げ斬撃がくる左側前方へ飛び上がる。その瞬間丸太がまるで元から無かったかのように全て粉砕していた。

威力エグすぎるだろ。まともに喰らったら即死だぞ。

 

「お頭!」

 

心配そうにしているひよだがこれっぽっちもくたばらないと知っていたのだろう。すでに壬月は防御に備えて警戒していたが、

それはもうすでに俺相手には悪手なんだよなぁ。

俺は加速し左側から素早く小太刀を振るい素早く二振りした後をすぐさま反対に飛び振る早さを変えつつ斬り込んていくがすぐに対応してくる壬月さん。

 

「やはり防ぐか。小僧。」

「お互いに、ね」

 

そして力ずくで押し込もうとしているが俺はそれを許さずに緩急をつけながらヒットアンドアウェイを繰り返す。

小太刀というものは小回りが効き、間合いに入れたらどんな武器よりも強いと俺はおもっている。ただその間合いに入るためにはかなりの接近戦が必要な機動力が必要になってくるのもあり殆どは槍や刀のほうが使えるのである。

恐らく体力切れを狙っているようだと思うけど、俺は5時間程度であれば致命的なミスはやらないのだ。だからこそ勝負をかける。

雛が見守る中で俺は小太刀二刀流の戦い方について見せられたら充分なのだ。小太刀の早さは緩急によりタイミングが外れていき攻め込み少しずつ押し込んでいった。そして

 

「これで勝ちかな。」

 

捉えられなくなった壬月さんの首筋に小太刀を寸止めする。

 

「……あぁ、私の負けだな。」

「しょ、勝負あり!旭の勝利。」

 

久遠さまの声によりこの試合の勝者が決まる。俺は軽く伸び息を吐く。

 

「お頭!!大丈夫ですか!!」

「ん?大丈夫だよ。これくらいは。」

「でも、お頭壬月様の五臓六腑に巻き込まれませんでした?」

「いや、ちゃんと避けたよ。胸元に入れといていた丸太を使って。」

「丸太ですか?」

「俺って刀とか持ってるけど、基本胸元からいろんな物を取り出しているだろ?八重樫流お家流胸元収納法ってものがあってな、色々なものを隠し持ってるんだよ。まぁ基本的には忍術で使うようなものだけど。」

 

と俺は胸元から刀を取りだす。するとキョトンとしたようにしている。

 

「まぁ、旭も剣丞もお互いに負けなしか。どうだ。私の目に狂いは無かっただろう。」

「認めましょう。」

「私は既に認めてますから。」

「ちぇ。壬月さまが認めてるならボクも認めますよ。」

「雛も意義なし〜」

「犬子も、戦ってみてこの人とっても優しい人って分かったから賛成!!」

「……なんだよそれ。嗅覚かよ。」

 

と和奏が言っているが剣丞とひよが苦笑している。

 

「……まぁ、旭だしなぁ。」

「お頭ですもんね。」

「旭くんだから」

「まぁ、旭なら仕方ないだろう。」

「そうですね。旭どのなら」

「……なんか皆俺のことをどう思ってるの?」

「「「「お人好し!!」」」」

「そうだな。友達のために田楽狭間でたった一人で今川義元を討ち取るってどう考えてもおかしいであろう。」

「……まぁ、旭に関しては私も認めてるわ。」

 

あの、織田家からの評価が高すぎるんですが。なんなら帰蝶姫いつからいたんですか?

裏切る気はさらさらないんだけど、それでも期待が重すぎるんですが。

 

「それと、剣丞はやはり南雲隊に入れようと思うが、剣丞自身にも部隊を持ってもらおうと思う。」

「まぁ、それがいいんじゃない。将来的には独立って感じになるのか?」

「いや、合同部隊としてできるだけ同じ任務についてもらおうとおもう。恐らくだが剣丞も旭も兵を率いてもらうが、剣丞には鉄砲隊を任せたいと思う。」

「…なるほど、兵種が違うということか。」

「それでだ。種子島のことを考えると南雲隊の給金を考えると運用は難しいだろう。そこで剣丞隊と南雲隊の2つに分けることによって運用していこうと思うのだ。」

「なるほど、確かに支援があった方が動きやすいな。それに剣丞隊は他の隊にも応援がいきやすい。」

「そういうことだ。」

 

なるほどな。一応南雲隊のなかでの剣丞隊っていうのは一番短いで剣丞のことを守れっていうことだろう。一応久遠の旦那ってことでもあるしな。

 

「あっ。そうだ。今後ひよを評定連れていきたいんだけどいいか?」

「お、お頭!?」

「ん?どうしてだ。」

「俺は軍事中心だからな。内政のことはひよ中心になるから俺の方もなるべく把握しておくけど詳細はひよのほうが詳しくなる。うちの隊の財政とか領地の状態とかはひよが居てくれたほうが報告しやすいんだよ。」

「うむ。まぁいいぞ。」

「……いいのか?」

「あぁ。猿も優秀であるからな。それと、旭からみてなるべく優秀な人材であれば身分構わず雇ったり評定に出してもらって構わんぞ。」

「…いいのか?」

「構わん。お主の人を見る目は確かだろう。剣丞からも聞いておるからな。」

 

そこまで身分については久遠様は関係なさそうだな。

 

「なら、そうしようかな。」

「…うむ。それじゃあ。」

「殿!佐久間様の兵が墨俣より帰還されました!!」

 

するとみたことのある女の子が一人だけ座り込んでいる。確か昨日助けた女の人だ。どうやら久遠様の側回り衆になったらしい。

 

「デアルカ。それなら午後から評定を開く。1刻後登城せよ。」

「「「はっ!」」」

 

どうやら今日に関しては話し合いで終わるぽいと思いつつもどこか墨俣と聞いて嫌な予感を覚えるのであった。

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