剣丞の親友に戦闘狂がいたなら 作:まくろ
「…あの!お頭?本当に私も評定に出るんですか?」
「出てもらうよ。墨俣に詳しい友人がいるんならなおさらな。」
俺達は登城した際にお昼にした話をもう一度話す。
「はい!幼馴染なんですけど横須賀小六正勝、通称転子っていうんですけど、野武士を率いて小競り合いで陣稼ぎをしてる子です。」
「野武士って何人ほどいる?」
「…えっ。確か払える金額にもよるとは思いますけど。動かせるには二千人程。」
「……」
一応横須賀小六正勝のことは知っていたし川並衆のことも知っていたけど、……多すぎないか?さすがに。
まぁ、それほどまでに人望もあるってことだけども。
「でもどうしてそんなことを聞いたんですか?」
「ほぼ、今回の案件が墨俣に関係していることだとわかりきっているだろ。それなら、詳しい人材がいるんなら頼った方が良さそうだしな。」
「……それって」
「うちの隊で登用するかもってこと。それほど慕われてるってことは軍を率いる才があるってことだろ?まぁ、それに今回の作戦にはその野武士は放ったらかしにできないだろ。だからどちらにしろ調略しないといけない。でも、ひよがいるおかげで交渉も円滑にはなりやすいだろ。まぁ、どうせ墨俣の件だろうからな。」
驚いたようにしているひよだが俺はある程度予測はつけていた。
もうそんな時期なのか。そうなると、俺よりは剣丞の方が慣れてるだろうなぁっと思いつつ、慌てているひよを見ているのであった。
評定はやはりというべきか墨俣の築城のことであった。
草から墨俣の築城の命が出されていた佐久間の部隊が壊滅。敗走するとのことであった。
「しかしここまで早く佐久間殿の兵が全滅するとは。」
「困難は分かる。だが美濃攻略のためには足が非でも墨俣に城を気づかなきゃならん。」
「築城じゃないけど、一ついいか?」
「旭か?いいぞ。」
「一応俺もある程度墨俣で何か起こると思っていたからひよに聞いたんだけど、あそこの周辺にはひよの友人の子が野武士を率いているんだってさ。」
「野武士だと?それがどうした?」
「その子が動かせる人材2000人らしく相当大きな集団らしいんだよ。だからひよと俺で懐柔していいか?」
「2000ですか。相当大きな数ですね。」
織田軍が動かせるのはおよそ15000、それも足軽が殆どだ。だからこそ1兵も失わせたくないのが本音だ。
そして剣丞のことを見る。ここまでお膳立てしたんだ。後は、思いつくだろう。
明らかにため息を吐いている
「ちょっといいか?その築城俺が、やってみようか?」
少しだけ時が経ち剣丞が俺達の長屋の誘いに乗り、夕飯を食べていた時、剣丞が呆れながらに聞いてみた。
「どういうつもりなんだ?」
「ん?どうかした?」
「どうせ。なんか考えがあるんだろ?どうして墨俣の築城は旭も気づいているんだろ?」
「えっ?そうなんですか?」
ついでに誘ったひよも俺が作った鍋を食べている。まぁ、こういうことをするために敢えてしたんだけど。
「まぁな。……というよりも今回ばかりは俺が自重しなさすぎた。」
「は?」
「試合の後……手柄を取りすぎって久遠様や家老の二人に忠告されました。」
すると剣丞は小さくため息を吐く。
「えっと?どういうことでしょうか?」
「あまり快く思ってない家臣団もいるってこと。まぁ、俺を快く思っているのがほぼ家臣団でも御役目見得以上の部隊なんだよ。それ以下の部隊から優遇されているから手柄をたてている。それか俺だけが独占しているって言われているんだとさ。でも、俺がやった武功や功績には及ばないってことらしいから今はひよや剣丞に手柄を譲らないといけない。まぁ、正直こういうことが苦手ってことでもあるんだけどな。」
出過ぎた釘は打たれる。それは正直当たり前である。家臣団の不信は正直俺も今後は意見を言っていく立場になるので、なるべくここは剣丞に手柄を譲りたい。
「苦手ですか?」
「…剣丞は分かるだろ?俺こういったことには向いてないって。」
「まぁな。お前壊すのは得意だけどクリエイターの仕事はとことん苦手だからな。」
「クリエイター?」
「物作りのこと。そういったことは剣丞の方が向いてるから、詳しいことも今のうち決めようかなって。だから呼んだんだよ。資金の予測もひよがいたらできるだろうしな。」
「そうなのか?」
「清洲城の普請の手伝いをしていたらしいぞ。」
「はい!」
そこら辺は俺はひよとの交流で分かったことだ。殆ど一緒にいるので昔のひよだったり、俺と剣丞の話になったりする。
「……本当に仲いいよな。二人とも。」
「ん〜まぁ、最初は気を使い過ぎてたしなぁ。ひよ。」
「だ、だって、お頭ですよ!怖い人だったらどうしようって。」
「まぁ、旭は滅茶苦茶なことをするけど、かなり優しいよな。特に年下には。」
「うっさい。ところで雑炊は?」
「「要ります!!」」
「了解。それなら食べてから打ち合わせかな。夜間遅くなるかもしれないけど、頑張るか。」
そして打ち合わせは進んでいく。
剣丞やひよの話合いを聞きながらも始めての南雲隊の仕事に心を震わせるのであった。