剣丞の親友に戦闘狂がいたなら   作:まくろ

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飴と鞭

翌朝、俺達は結局3人で向かうことになった。まぁ俺は剣丞の護衛って役割もあるのだが。

 

「そういや俺が持っててもいいのか?この刀。」

「まぁ、俺が持っているよりも旭が使った方がいいと思うぞ。俺じゃ上手く使えないだろうし、中々の業物って久遠も言っていたからな。それに小太刀じゃ戦のときは向かないだろ?」

「そうなんだけど……まぁいいけどさぁ。」

 

一応この刀が妖刀ってことは言っていない。

刀は剣丞のは俺が使っていたものを下げている。一応既に忍びにも既に司令は出してある。

 

「……あっ!ころちゃーーん!!」

 

すると一人の少女のところに走っていくひよ。どうやらあの少女がその横須賀小六正勝らしい。

本当に見た目と武将のイメージに合わないのは始めてだな。

 

「ひよ?うわぁ!!久しぶり!!」

「えへへ。久しぶりだね!風邪とか引いてない?」

「大丈夫、大丈夫。健康そのもの!何だけどねぇ。」

「ほえ?元気ないね。どうしたの?」

「最近稼ぎが少なくて……織田も斎藤も、もっと大きな戦してくれればいいのに。」

 

そういえば今川の方で戦が起こったからこっちの方では小競り合いくらいなのか。

 

「で、ひよは今、何してるの?」

「今は清洲の織田上総介さまにお仕えしてるの。昔の夢……武士になって功をたてておっかあたちを養うって夢が少しだけ実現できたんだよ。」

「そうなの!?凄いじゃん!!ところでそちら方のお二人さんは同僚さん?」

「違うよ!私のお頭と、織田上総介さまの旦那さまなんだよ!!」

「……えーーーーーっ!!」

 

派手に驚いたのであろう女の子は跪こうとしているのを止める。

 

「気にしないでいいよ。今回は俺らがお願いしにきてるほうだし。それに身分もそこまで高くないから。」

「しかし。」

「それに俺は身分でかしこまったりするの好きじゃないから。だからうちの隊ってそういうのなしにしてるからいつも通りでいい。」

 

だから俺が入っても平服とかは最初はされていたが、最近は敬語も使ってくるのがひよくらいである。

 

「は、はぁ。」

「えへへ。お頭はね。すっごく優しい方なんだよ!」

「優しいというか……変わってる人にしか思えないんだけど。」

「言われてるぞ旭。」

「変わっている自覚はあるからな。つーかお前もだろ。とりあえず、ひよのお頭をやらせてもらってる南雲隊を率いている南雲旭です。こちらは織田上総介さまの旦那さんでありながら剣丞隊を率いている新田剣丞。」

「……南雲隊?……ってもしかして、田楽狭間に現れた!?」

 

あーやっぱり知っているのか。

 

「うん。えへへ~。」

「ひよ?なんでひよが喜んでいるんだよ。」

「だって、お頭の凄さを知っているひとがいるって嬉しいじゃないですか。」

「あの?ひよ?思っていたんだけど、俺のことどう思ってるの?」

「とっても優しくてものすっごく強くてわたしたちのことを守ってくれる人です。」

「まぁ。確かに俺も旭の印象答えるとしたらそう答えるなぁ。」

「…なるほどなぁ。……否定できないのが辛いところだなぁ。」

 

本当に否定できない。実際に俺の行動原理は強くあって、仲間に優しく守ることをであってそこを否定すると俺の全てを壊すことになる。

 

「あの?」

「ん?悪い悪い本題に移るんだけどいいか?」

「あの、本当にいいんですか?」

「いいって。そういう堅苦しいのは面倒だし。それに、……ころだったよな。今回は織田家がお願いするのだから、本当はこっちが頭を下げないといけないんだよ。そっちが萎縮しているとこっちも頼み事しづらいんだよ。」

「頼み事ですか?」

「そう。美濃攻略のひとつ。墨俣関係かな。」

 

その一言でころと呼ばれた少女もその重大さに気づいていたらしい。

 

「なるほど、ここで立ち話をするようなことではありません。どうぞ中に。」

 

と言われ中に入る。

そして三人が座ると、ころも話しはじめる。

 

「清洲の殿様が墨俣に城を築こうとしているという噂は、予てより耳にしておいておりましたがその関係でしょうか?」

「その認識であってるよ。剣丞。説明を頼めるか?」

「あぁ。とりあえずこれを見てもらっていいかな?」

 

と久遠様から貰った地図を元に剣丞が話し始める。今回噂に聞く墨俣の一夜城とは違い日中の作業になる。

そして今回、俺は別働隊として南雲隊率いての部隊を率いてやることがある。

 

「うん。こんな築城初めて見るけど、これだったらなんとかなるかも。」

「協力してくれる?」

「準備と報酬、その両方で結構な額が必要になりますが。」

「そこら辺は気にしないでいい。言い値を飲む。期間は人集めと準備に7日、資材を上流に運ぶこと含めて7日でなんとかなるか?」

「妥当な判断です。それでなんですが、えっと?」

「旭でいいよ。」

 

呼び名に困っているので

 

「旭様はこの作戦には参加しないんですか?」

「俺は別部隊で囮役になって動く、一応南雲隊は久遠様が誰を出すとはいえ、別行動になる。それに、裏道のこととかも。それに、今名の入っている田楽狭間の天人がその軍に入ったほうが相手の信憑性も上がるだろ。だから築城の指揮はひよ。もし軍事絡みのことがあれば剣丞と、……できればころにも取ってほしい。」

「なるほど、分かりました。」

「えっ?私が指揮を取るんですか?」

 

ひよは驚いたようにしている。そういえば指揮系統は昨日の話合いでは、はっきりしてなかったか。

 

「築城経験があるのはひよだけだろ。それにひよは俺が部隊から離れないといけないときにはひよが部隊を率いないといけないんだぞ?」

「そ、そんな!!無理ですよ。それにお頭がぬけるって。」

「一応俺忍だぞ?剣丞も一応な。でも、潜入行動や工作活動にでないといけない時はある。だからこそひよには今のうちにそういった経験を取ってもらう。」

「そ、そんなぁ。」

 

がっかりするひよに対して俺は少しだけ罪悪感を覚えるが、ここで妥協したらひよも、俺達も成長しない。だからこそこのくらいの実戦は行ってもらう。

 

「珍しく厳しいなお前。」

「優しくするところは優しくするよ。でも、今から俺一人がいればなんとかなるってことは俺に依存するってこと。……この時代であるからこそ、そんな甘い隊にしたくないんだ。それに、ひよもいずれ兵を持つことが必ずある。ひよの人から好かれる才能は俺や剣丞にも劣らぬ程にな。」

「……」

「それにころも聞いてただろ。ひよの夢は出世することがあるんだろ。ひよの夢を応援するには、こういった実戦をどんどん組んでいかないといけない。……ひよが目指しているのは、そういった道だよ。」

「……そうですね。武士でなりあがっていくとなると確かに必要かも。でも、それって、ひよがまるでそこまで出世できるってことですか?」

「できるだろ。ひよは。ここまで高水準で雑用をこなし、清洲城の普請工事の手伝いや帳簿も任されたことがあるってことは久遠からも期待されていただろうしな……」

 

正直ひよって後の天下人になるって言われたら納得の性能をしているのだ。

武は得意じゃないけど、よくよく考えたらひよの悪いところを噂している織田家家臣はまだ見ていない。

 

「あ、あぅ。」

「…ふふ。良かったね。ひよ。いいお頭に出会えて。」

「……もう!ころちゃん!!」

「ん?それなら、ころもうち入るか?」

「……えっ?」

 

今度はころが驚きを隠せないようだった。

 

「元々ころにもひよから聞いた時に興味はあったんだよ。それに、ころも野武士を従えているから経験もある。今の俺の部隊は実力者が少ないからな。」

「……あの、それって。」

「一応、足軽頭ってことにはなるだろうけどな。仕官する気があるんなら川並衆ごとでもいいし。」

「えっ?ちょっとお頭?そんなお金うちの隊にはありませんよぉ。」

「久遠様と軽く忍び使って情報交換してるんだよ。そしたらある程度なら金額出すって。ついでに兵についても1000程度は剣丞隊含め本格的な美濃攻めが集まるまでには欲しいとのことらしい。家老二人より強い奴に兵を持たせないわけにはいかないだとさ。」

「…それほど本気に美濃攻めするつもりなんですね。織田の殿様は。」

「らしいな。まぁ、墨俣の築城に成功したなら剣丞と功績なら合わせて1000まで雇えるくらいにはなるだろうしな。」

「…本当にいいんでしょうか?私が。」

「いいよ。ひよの友人なら人柄も保証できてるだろうし、うちの隊は身分の差もよそから来ても関係ない。」

「……そっか。その件については考えさせて貰ってもよろしいでしょうか?」

「おう。一応連絡手段に忍び3名ほどおいておくからこき使ってくれ。」

 

そうして、剣丞たちは小屋たちを出て墨俣の準備を始めるのであろう。さてと俺はもう三人のところに行こうとするか。

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