剣丞の親友に戦闘狂がいたなら   作:まくろ

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南雲隊忍び衆

そして2週間後俺たちは馬に乗りつつ進軍していた。

 

「…あの?旭殿?この兵は、もしかして。」

「うちの隊だけど?」

「…あの、明らかにおかしいんですが。獲物に飢えた虎みたいな。」

 

麦穂さんが少しだけ震えている。というものの俺はとある依頼をしていたのだ。

 

「うーん。とはいっても少しだけ刺激しただけなんだけどなぁ。」

「刺激ですか?」

「まぁ、少しだけ気合入れ直しただけ。一応ひよが戦場に出たからでもあるんだけど。」

「ひよ?」

「ひよ。うちの隊の奴らから人気あるんだよ。元々ひよはうちの隊での姫のように可愛がられてるからな。こっちの戦いによって墨俣の安全を守れるって言ったら、この有り様だよ。」

「……本当に強かったよな。南雲隊。」

 

すると和奏達も来てくれたらしい。一応応援を呼びかけただけはあるか。

 

「よう。和奏。来てくれたのか?」

「せっかく手柄を取れそうだしなぁ。ボクだけじゃないぞ。」

「やっほ~。旭くん。」

「わふ!犬子も来たよ。」

「演習以来か。三人とも来てくれてありがとうな。」

「おうよ!」

「でも、良いのですか?任月様も久遠様も出さなくて。」

 

麦穂さんの言葉にも俺は頷く。

 

「いや、今回の目的は墨俣に城を建てること。一応松平が後ろに控えているとはいえ、今川のことは頭に入れとかないといけませんし、何よりそっちのほうが和奏達と合同訓練した意味がないですよ。」

「いやーあれは訓練というよりも。……しごきって言ったほうがいいような。」

「訓練内容については、織田家家中でも群を抜いて厳しいよね。」

「わふ。でも、強かったよね。」

「俺の隊が一番少ないけどな。……まぁ、今回に関しては本命は墨俣だけど、ある程度こっちでも暴れないといけないからな。」

「そうですね。……そこで何ですけど。南雲隊に900ほど貸し出しますから南雲隊に先鋒任せてもよろしいでしょうか。」

「え~~~?」

「……いや、先鋒はいいやうちの隊には向いてない。その分いつもの雛の役割を俺が最前線からやるよ。」

「雛の?」

「犬子、和奏の隊が合同で突っ込む。それである程度暴れたら引こう。そこまで戦を長引かせても何だし、遊撃で俺達が決着を決めるか。和奏、犬子。派手にやれるか?」

「「もちろん!!」」

「本当に慕われてますね。旭さん。」

 

俺の言葉に二人は笑顔で答える。そして微笑ましそうにしている麦穂さん

そんなことを話しながら進軍しているととある旗印がみえる。

……確かあれは。

 

「長井と竹中か。」

「えぇ。どうしますか?」

「…長井の兵だけ相手にしよう。竹中の兵は無視でいい。」

「…?」

「それってどういうこと?」

「元々美濃での評価は竹中半兵衛って高くないらしい。麒麟児っていうくらいだからな。」

「そうなのか?」

 

意外そうにしている。というのもどうやら少し前の戦で酷く織田家は竹中半兵衛にやられたらしい。

 

「草の情報ではな。だからこそ敢えて竹中勢は相手にしない。そっちのほうが不信を抱きやすいからな。というよりも敵大将が長井なんだからそこを討てばいいだけだろ。」

「……あの?墨俣築城のための時間稼ぎなんですよね?」

 

麦穂さんが言うがそれは異なる。というのも時間稼ぎが目的でもあるけどそれ以上にこの作戦には大切なことがある

 

「それが第一目標だけど、もう一つの目標はこっちに援軍を出させること。敵勢およそ5000程度はいるだろうし、久遠さまと壬月さんには清洲城から出陣だけしてもらったからな。1部隊だけでも壊滅させたらこっちに援軍くるだろう。」

「…なるほど、情報に草を使っているからこそできることですか。」

「そういうこと。既に二人は清洲城に戻っているはずだしな。」

 

そして少しだけ微笑む。

 

「狙うは長井の頸一つ、……んじゃ二人とも、頼むぞ。」

「「はい!!」」

「んじゃ、俺達も行くぞ。……散開。」

「「「御意!!」」」

「……あの?何もしてるのですか?南雲隊は。」

「麦穂様は知らないんだったか?」

 

そして俺達は巧みに展開する。そして雛が麦穂様に俺の隊の説明をするのであった。

 

「まさか貰った兵全員を忍にするなんて思ってもなかったよ。旭くん。」

 

 

 

さてと、俺にとっても隊を率いるのは始めてだな。

俺は普段通りにしていた。既に戦は始まり鉄砲や剣の音が聞こえてくる。

一応手筈は整え終わっているし、一番厳しいところは俺がやるはずだから問題ないだろう。

俺が一番本陣手前に忍び込む。細道に限定したために既に配置についているだろう。

少しどころか最初からこと作戦は雛も含めて相談していたのだ。

……和奏、犬子。信じてるからな。

 

「創介。合図を。」

 

すると大きな法螺貝を鳴り響かせその音が周囲に広がると俺はとある大きな玉を投げる。

それは5人で一つずつ持たせたものであり、そしてその落ちた瞬間煙が上がる。

 

「な、なんだ!!」

「煙が前が見えない!!」

 

そんなのが背後で起こり混乱状態になる長井隊に俺含め数人が忍び込む。

そして数人を煙の中に巻き込まれるため俺達も何も見えないが、腰には全員鈴をつけているためどこに味方がいるのかよく分かる。

ごめんな。これも俺達なりの戦なもんで。

 

煙の中で俺は数人斬り伏せる。各地に忍びこんだ忍びが同じく何人か殺したのだろう。悲鳴が聞こえる。

 

「織田の伏兵だ!!煙に紛れて織田の兵がいるぞ!!」

「槍を振り回せ!!煙の中でも当たるかもしらん!!」

 

当然これも俺達の忍びの言葉である。

その言葉があり煙の中剣や槍を周囲に振り回しているので撤退のしどころだろう。俺は2度鈴を振ると何人か外に駆け出していく気配を感じたので俺も脱出する。

未だに混乱状態なのだがそれでもまだだ。煙玉の効果が切れるまで俺だけは撤退せずにまっている。

 

「…今だ。鏑矢一本。」

 

その合図を送ると俺はすぐさま立ち去る。そして煙が明けるとなった時、その際齊藤軍が見たものは、自分たちが仲間を殺していた事実と織田家が誇る母衣衆の姿であった。

 

 

「長井氏、前田様が討ち取りました!!」

「斎藤軍総崩れ。退却していきます!!」

「…勝っちゃいましたね。麦穂様。」

「………時間稼ぎのはずだったはずですよね?」

 

戻ってくるとそんな声が聞こえてくる。

 

「お疲れ様。……まぁ、これであの二人も武功は上げれただろ。」

「あっ。旭くん。お帰り。」

「ただいま。とりあえず今忍び出しているけど、どれくらいの損害がでた?うちの隊は全員無事だったけど。」

「うーん。雛のところはけが人が百人程度かな?二人もそれくらいじゃないかな?」

「そっか。……なんというか面白いほど綺麗に決まったな。」

「えぇ。あの感じでは墨俣にも軍は出せないでしょう。」

「一応そっちも1000ほど来たらしい。まぁ、追い払ったって使い来たけど。」

「……はぁ、もう旭さまと戦してたら旭さまに頼り切りになりそうです。」

「…言っとくけど、これ、川並衆がうちに入ってくれるからできたことだぞ。」

 

ころの決心は翌日にも来た。考えて、剣丞隊ではなく南雲隊に所属することも、そして殆どの川並衆が南雲隊や剣丞隊に所属することも。

なのであまり上手くいってなかった軍の構築より、それならころが入ってから、ころとやっていけばいいと考え、俺は自分が得意なことに仕上げたのだ。

 

「…それにしても、……草ってここまで強かったんですね。」

「……あー。まぁ八重樫流って少し話しておくと、八重樫流は忍術でも護衛や潜入、破壊工作に優れてるんだよ。所謂戦闘力に特化している忍術集団で俺達のいた世界ではな戦闘狂忍術とも言われていたんだ。」

 

まぁ、ごく一部なんだけど。知っている人はその名前で呼ぶことが多い。……昔は潜入とか苦手であったのだが、うちのキチガイ爺さんたちが気配の消し方を教えたのが八重樫流をさらにキチガイ集団になった元凶である。

 

「その分苦手なことは情報収集かな。一応噂や街で聞き込みくらいならできるけど。」

「いいのですか?そんなことを話して。」

「いや、知っておかないと連携取れないでしょ?麦穂さんも少しばかりは草育ててるって聞きますし。」

 

ただでさえ甲賀の雛と八重樫流がいるんだし。まぁ、麦穂さんのところは雛から出してるらしいけど。

 

「それに、信用できる人には教えてもいいんですよ。うちの流派は。」

「あら。本当に口が上手ですね。」

「でも、墨俣はどうなの?築城は。」

「さぁ。俺も知らない。ころから使いの物が来たから任せてる。」

「そうなんですか?」

 

麦穂さんは驚いていたが初陣にしろ、ころの判断は川並衆が率いていることもありかなり正確な判断を取れているのであろう。

 

「墨俣の築城に関してはあの二人が手柄を挙げるべきことだから俺は一切関与はしないつもり。さらに今回の斎藤軍のの撤退においてはころ自身も部隊を持てるくらいの功績はあるだろ。……剣丞にしろひよにしろもっと自己評価高くてもいいのになぁ。」

「ふふ。隊のこと信じてるんですね。」

「隊の皆だけじゃないさ。ちゃんと麦穂様や雛のことも信用してるし、和奏や犬子のことも信用してる。……ちゃんとあの二人も褒めてやらないとな。犬子に関しては大手柄だし。」

「和奏悔しがってそうだね。でも、第一戦功は旭くんにならない?」

「……?そうなの?」

 

俺今回陽動しただけなんだけど。

 

「だって今回の作戦ほぼ旭くんがたてたんでしょ?それに混乱に同士討ちでも多分数百人以上の死傷者でてるし、こっちに目立った損害はなかったと思う。」

「私なんかは作戦すら聞かされてなかったんですけどね。」

「…それは本当にごめんなさい。」

 

まぁ、流石に怒られそうだったので黙っていたしな。

 

「…只今戻りました。麦穂様。」

「わん。犬子も。」

「お疲れ様。二人とも。犬子大手柄じゃん。」

「わん!えへへ~。」

「和奏も、よくやってくれたな。」

「…あ、当たり前だろ。あそこまで上手く混乱させてたら。」

 

といいながらも頭を嬉しそうに撫でられてる。

 

「雛もよく竹中軍を抑えてくれたよ。」

「……」

「ん?どうした?」

「なんか、旭くんって壬月さまと似てるようで似てないよね。」

「……ふふ。確かに。壬月さまもこれくらい素直に褒めてあげられたらいいんですが。」

「あの人はあれでいいんだよ。飴も鞭も使いようはある。実際壬月がいうことは間違ってない。俺は甘やかせすぎちゃうから壬月みたいな人がいてくれるだけでありがたいんですよ。それに壬月がいることで織田家に規律があるんだろ?」

 

実際織田家が円滑に回っているのは壬月のおかげが大きい

 

「本当に貴方は女誑しって言われるありますね。」

「自覚はあるけど辞める気はないさ。褒める時には褒めないと…伸びるものも伸びないし甘やかせすぎるのもだめ。俺と壬月でちょうどいいだろ。さて帰るか。」

「えぇ。退却しましょうか。」

「えっ?攻めないんですか?」

「攻めないさ。これからは墨俣を活動拠点にできるんだ。……それに長井の頸と墨俣に築城出来ただけでも充分だろ。これだけでも既に味方の大勝利だしな。」

「……本当に勝利の化身と呼ばれるだけありますね。旭さま。」

「神扱いなんて面倒だからやめてくださいね。麦穂さま。」

 

俺は少し笑うとそして墨俣の方角を見る。

戻ってきたら褒めてあげないとなと思いつつ俺は清洲への道へと向かった。

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