プリキュアと他作品のクロスオーバー小説   作:仮面大佐

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たんプリとゲキレンジャー

 獣拳戦隊ゲキレンジャー。

 獣の力を感じ、獣の力を手にする拳法である獣拳を扱うスーパー戦隊。

 かつて、相反する二つの流派である激獣拳ビーストアーツと、臨獣拳アクガタ。

 その二つの勢力が戦っていた。

 それから、20年の月日が流れた2027年。

 

「ふっ!はっ!」

「よっと!はっ!」

 

 ある道場では、2人の男性が組み手を行っていた。

 1人は、20年前に、ビーストアーツとしてアクガタと戦っていた漢堂ジャン/ゲキレッド。

 もう1人は、氷室(ひむろ)凍矢(とうや)

 激獣ポーラー拳と呼ばれる激獣の使い手だ。

 しばらくすると。

 

「凍矢!腕を上げたな!」

「いえ。これからも精進を続けていきます」

 

 ジャンはそんな風に話しかけると、凍矢はそう答える。

 すると。

 

「ほっほっほ。その意気じゃよ」

「っ!マスター・シャーフー!」

 

 そんな風に言いながら、カラカルの様な見た目の獣人が現れる。

 彼は、マスター・シャーフー。

 激獣フェリス拳の使い手にして、七拳聖のリーダー的存在であり、ゲキレンジャーの師匠でもある。

 

「そういえば、今日は幼馴染の誕生日なんじゃろ?」

「はい。なので、今日は上がらせて貰います」

「そっか!」

 

 シャーフーは、凍矢にそう問いかける。

 それに対して、凍矢がそう答えると、ジャンはそんな風に言う。

 すると。

 

「行くのは構わんが、お主に渡しておきたい物がある」

「渡しておきたい物?」

「あれを渡すんだよな?」

「うむ。これを受け取るがよい」

 

 シャーフーはそんな風に言う。

 凍矢が首を傾げる中、ジャンがそう聞くと、シャーフーはある物を出す。

 それは…………。

 

「これは…………スーパーゲキクロー⁉︎」

「そうじゃ。お主も成長を続けておる。いずれ、過激気を扱うじゃろう。その修行の為に、お主に託そう」

 

 その中に入っていたのは、スーパーゲキクローというアイテムだ。

 スーパーゲキクローは、過激気と呼ばれる力を最大限に引き出すためのアイテムだ。

 シャーフーは、修行の一環として、託すことにしたのだ。

 

「ありがとうございます!では、失礼します!」

 

 凍矢はスーパーゲキクローを受け取ると、そう礼をして、道場を後にする。

 それを見ていたジャンとシャーフーは。

 

「あいつ、どうなりますかね」

「ほっほっほ。それは、ワシらには分からんよ」

 

 2人はそんな風に話していた。

 


 

「……………さて、プレゼントはこれでいいのかな……………」

 

 凍矢はそう呟きながら、右手を見つめる。

 そこには、プレゼントの箱があった。

 すると。

 

「あれ?凍矢君だ!」

「あっ、あんなちゃん!」

 

 お母さんと一緒にいる女の子が、凍矢に気づくと、そんな風に声をかける。

 それに気づいた凍矢はそう答える。

 彼女は、明智あんな。

 凍矢とは幼馴染であるのだ。

 すると、あんなのお母さんが話しかける。

 

「あら、凍矢君、こんにちは」

「こんにちは」

「凍矢君、来てくれたんだ!」

「うん。あんなちゃんへの誕生日プレゼントも買ってあるから」

「ありがとう!」

 

 あんなのお母さんが挨拶をすると、凍矢はそう答える。

 今日は、あんなの誕生日なのだ。

 その為、誕生日プレゼントも用意していた。

 あんながそう言うと。

 

「そうだ。せっかくなら、凍矢君も一緒に来ない?」

「え?いいんですか?」

「うん!凍矢君のプレゼントも、パーティーの時に受け取りたいから!」

「…………そっか。なら、お言葉に甘えますね」

 

 あんなのお母さんは、凍矢にそんな風に提案をする。

 それを聞いた凍矢がそう聞くと、あんなはそう答えて、凍矢も了承する。

 こうして、凍矢もあんなの家に向かう事になった。

 だが、この時の凍矢は知らなかった。

 あんなと共に、過去に向かう大冒険をする事になるのだと。

 


 

 2027年1月24日。

 マコトミライタウンのとある道。

 

「私、持つ!」

「えっ?」

「誕生日パーティー、間に合わないよ!」

「そんなに急ぐと、崩れるって!あんな!」

「分かってるって!凍矢君も早く!」

「ああ」

 

 あんなはお母さんから箱を取ると、駆け出そうとする。

 あんなのお母さんは、そんな風に話しかけると、あんなはそう答えて、凍矢にも話しかける。

 凍矢がそう答える中。

 

「うっうっ………うぇーん…………!」

「「っ!」」

 

 そんな泣き声が聞こえてくると、あんなと凍矢はお互いに頷き、その声がする方へと向かう。

 そこには、1人の女の子が泣いていた。

 

「ねぇ、どうしたの?」

「ウッ、ウッ…………!」

「迷子かな…………」

 

 あんながそう話しかけるが、その女の子は泣いているだけだった。

 あんなのお母さんが困惑しながらそう言う中、凍矢とあんなは。

 

「…………もしかしたら。あんなちゃん、この子の事は俺に任せて」

「うん!すぐに見つけてあげる!」

「…………えっ?」

「私、嘘つかないから!それ、お願い!」

 

 凍矢とあんなは、お互いに何かに気づいたのか、凍矢はそう言う。

 あんなの言葉を聞いて、女の子が振り返ると、あんなはサムズアップしながらそう言う。

 あんなは箱をお母さんに渡し、茂みの中を探す。

 すると。

 

「あったよー!」

「わぁ…………!」

 

 茂みから出てきたあんなは、リボンを片手に持っていた。

 リボンを女の子に渡したあんなは、自宅へと戻る。 

 その際、凍矢も同行していた。

 

「あの子のリボンが風で飛ばされたってよく分かったね」

「リボンが片方だけだったから、ピンときたんだ!」

「あの髪型で、片方しかリボンをつけていないのには、違和感を感じたので」

 

 あんなのお母さんがそう聞くと、あんなと凍矢はそう答える。

 リボンを片方しか付けていないのを見て、リボンが飛ばされてしまったのだと察したのだ。

 すると、あんなは箱を開ける。

 箱の中身は、誕生日のお祝いのホールケーキだった。

 

「わぁ~………!はなまる美味しそう〜………!さぁ、わたしも準備するぞ!」

「はりきってるね」

「確かにね」

「当たり前でしょ。今日は特別な日にするんだから!コートおいてくる!」

 

 あんなは、ケーキを見てそんな風に言う。

 それを見ていたあんなのお母さんと凍矢がそう言うと、あんなはそう言って、自室に向かう。

 ちなみに、パーティーは1時から行う予定だ。

 あんなはコートを脱いでいると、ある物が目に入る。

 それは、懐中時計だった。

 それを見たあんなは口を開いた。

 

「お母さん!ありがと~!」

「えっ?何が?」

「誕生日のプレゼントだよ!」

「何言ってんだか。プレゼントはスマホを買ってあげるって話でしょ」

「凍矢く〜ん!見て見て〜!」

「うん。今行く」

 

 あんなは、その懐中時計が誕生日プレゼントなのではと思い、あんなのお母さんに向かってそう叫ぶ。

 それに対して、あんなのお母さんはそう呟く。

 あんなが凍矢を呼ぶと、凍矢はあんなの自室へと向かう。

 

「どう?これ!」

「うん。似合ってるよ」

「ありがとう〜!さすが14歳!大人の雰囲気~!」

 

 あんなが懐中時計を首から下げた姿を凍矢に見せると、凍矢はそう答える。

 あんながご満悦の表情を浮かべていると。

 

「ポチ〜………」

「ん?凍矢君、何か言った?」

「いや、俺は何も…………」

 

 そんな声が聞こえてきて、あんながそう聞くと、凍矢はそう答える。

 すると、クローゼットが開くと。

 

「ポッチ~!」

 

 クローゼットから何かが出てきて、あんなの胸へと飛びつく。

 それに気づいたあんなは。

 

「あぐっ!え?えぇー⁉︎何?犬⁉︎ねこー⁉︎」

「ポチタンだポチ!」

「ポチタン…………?」

 

 あんなは、その生き物を見て、そんな風に困惑していた。

 すると、その生き物はポチタンと名乗った。

 それを聞いて、凍矢がそう呟く中。

 

「し………しゃべ………⁉︎」

「静かにするポチ!」

「むぐぅ⁉︎」

 

 あんなは、ポチタンが喋ったのを見て、そんな風に大声を出そうとすると、ポチタンはあんなの口へと張り付く。

 あんなは、ポチタンを何とか引き剥がす。

 

「なっ…………⁉︎というより、凍矢君は何で驚いてないの⁉︎」

「常に冷静でいれば、問題ない」

 

 あんなは、ポチタンに困惑しつつも、側から見ればそんなに驚いていない凍矢に対してそう言うと、凍矢は苦笑しながらそう呟く。

 凍矢自身、ゲキレンジャーとしての修行でなれているのだ。

 すると。

 

「一緒に来てほしいポチ!このペンダントで!」

「うわっ⁉︎うわぁーっ⁉︎」

「あんなちゃん⁉︎」

 

 ポチタンはそんな風に叫ぶと、あんなを押す。

 ポチタンに押されたあんなは倒れかけて、凍矢はあんなを支えようとする。

 すると、あんなが首から下げていた懐中時計のカバーが開くと、光が出てくる。

 長針が12時の方向を指すと、長針と短針が回転していく。

 まるで、時間を遡るかの様に。

 

「まだ説明が終わってないポチー!」

「一体何が…………⁉︎」

 

 ポチタンがそう叫ぶ中、凍矢は困惑した様にそう呟くと、光が強くなっていき、あんなと凍矢とポチタンを包んでいく。

 そんな中、廊下では。

 

「あんな~。何さわいで…………あれ?いない…………?」

 

 あんなの母親がそう言って、あんなの自室に入ると、そこにあんなと凍矢の姿は無かった………。

 


 

 そんな中、1999年のまことみらい市と呼ばれる街。

 とある建物の前に、1人の少女がいた。

 

「キュアット探偵事務所…………!ついにこの日が来た!絶対、テストに受かる!」

 

 その少女は探偵の様な服装をしており、そんな風に意気込んだ。

 少女は、キュアット探偵事務所の扉をノックしようとする。

 

「すみませ…………!うぃー⁉︎」

 

 少女がドアをノックしようとすると、空が光り、少女は光の方へと視線を向ける。

 

「うん…………?」

「「うわぁぁぁぁぁ⁉︎」」

「うえぇー⁉︎ああぁぁーー⁉︎」

 

 その少女が目を細めながらその光を見ていると、光から凍矢とあんなの2人が現れる。

 少女が慌てていると。

 

「ポ~チ!」

「うはー⁉︎うっ⁉︎」

 

 ポチタンはそんな風に言うと、大きく膨らんで、クッションの様になった。

 その際、下にいた少女を巻き込んでいた。

 

「…………っと、な………何なの…………?」

「どうして外に…………?」

「ポッチ〜!」

 

 あんなと凍矢はそう呟くと、ポチタンから降りる。

 その際、開いていた懐中時計のカバーは閉じていた。

 ポチタンがそう言いながら、元の姿に戻ると。

 

「これのせい?もう何がどうなってんの?訳がわからないんだけど〜⁉︎」

「ちょっと…………落ち着いて…………」

 

 あんなは、首にかけていた懐中時計を外すと、ポチタンを揺さぶる。

 凍矢が落ち着かせようとしていると。

 

「ほえ〜…………。はっ!妖精だ!」

「ポチ?」

「え?」

 

 目を回していた女の子が、ポチタンに気づいてそう叫ぶと、あんなと凍矢はその女の子を見る。

 その女の子が2人に近寄ると。

 

「妖精と一緒ということはキュアット探偵事務所の名探偵ですね!」

「へ?」

「キュアット探偵事務所…………?」

 

 その女の子がそう言うと、2人は困惑していた。

 すると、その女の子は自己紹介を行う。

 

「わたし、小林(こばやし)みくるです!」

「みくるか…………。俺は氷室(ひむろ)凍矢(とうや)って言うんだ。それで、こっちが…………」

「あっ、わたし、明智(あけち)あんな!………って!そうじゃない!」

 

 その少女は、小林みくると名乗った。

 それを聞いた凍矢とあんなも名乗ると、あんなはそう叫ぶ。

 

「妖精って何⁉︎部屋にいたのに、どうしてここに⁉︎」

「落ち着いて……………」

「…………もしかして、探偵テストはもう始まってる?」

 

 あんなは困惑した様にそう叫んだ。

 凍矢があんなを落ち着かせようとする中、みくるはそう呟いていた。

 すると。

 

「もう〜!」

「お答えしましょう!かの有名な探偵シャーロック・ホームズは、靴のよごれや傷を見て、どこから来たのか言い当てます! あなた達は、ずばり!」

 

 あんながそう叫ぶ中、みくるはそう言う。

 みくるはそう叫ぶと、虫眼鏡を持って、2人の足を見る。

 だが、2人は靴を履いていなかった。

 

「靴…………はいてな~い⁉︎」

「まあ…………さっきまで部屋に居たからね…………」

 

 それを見て、みくるがそう叫ぶ中、凍矢は苦笑しながらそう言う。

 


 

 三人が移動する中、キュアット探偵事務所の近くの家から、1人の青年が出てくる。

 

「さっきから何なんだ…………?」

 

 青年が出てくると、キュアット探偵事務所の方を見る。

 

「ん?誰もいないのか?」

 

 その青年はそんな風に呟いていた。

 


 

 その後、何とか落ち着いた3人は、あんなと凍矢の為に、靴屋に向かう事に。

 靴屋に向かう中、凍矢は周囲を見渡していた。

 

『…………それにしても、何で部屋から外に移動したんだ?それに…………1月にしては、少し暖かいし……………』

 

 凍矢はそんな風に考えていた。

 部屋からいつの間にか外に移動していた事、1月にしては暖かい事を気にしていた。

 すると。

 

「…………ん?えっ?」

 

 快斗は、ある物が目に入る。

 それは、カレンダーだったのだが、そこの年と月の表記が、『1999年4月』となっていたのだ。

 

「1999年4月…………⁉︎」

「どうしたの?凍矢君?」

「あ…………ごめん!すぐ向かう!」

 

 凍矢がカレンダーを見て唖然となる中、凍矢が立ち止まっている事に気づいたのか、あんながそう話しかける。

 凍矢はそう答えると。

 

『どうなってんだ…………?何で1999年に…………?というより、今あるのは、俺に届いたゲキチェンジャーとスーパーゲキクローとあんなへのプレゼントくらいしか…………』

 

 凍矢はそう考えていた。

 そう考え込みつつも、凍矢はあんな達の元へと向かう。

 靴屋に到着すると、とあるCMが流れていた。

 

「新機能満載、つながるその先へ!」

『………やっぱり、本当に1999年に来たんだな…………』

 

 それは、携帯のCMだった。

 だが、今のスマホではなく、当時のガラケーの様な物だった。

 それを見て、改めて、過去に来たのだと凍矢は実感していた。

 凍矢は一足先に靴を選び終えていた。

 あんなとみくるはというと。

 

「ぴったりだ…………!」

「…………」

「ねぇ、どっちがいいかな?」

 

 あんなはピンク色の靴を履いていた。

 みくるが黙っていると、あんなはピンク色と茶色の靴を凍矢に見せる。

 それに対して、凍矢は。

 

「どっちでもいいんじゃない?」

「む〜…………!」

 

 凍矢は素っ気なくそう言い、あんなはむくれていた。

 すると、あんなはみくるに話しかける。

 

「どっちのがいい?」

「こっち!…………じゃない!」

 

 あんなはピンク色の靴を履いていた。

 みくるが黙っていると、あんなはピンク色と茶色の靴をみくるに見せる。

 みくるがピンク色の靴を選ぶと、そう叫ぶと、口を開く。

 

「部屋から落ちてきたなんてありえませんよ!」

「ほんとだって」

「信じられないかもだけどな…………」

「ポチポチ!」

 

 みくるはそんな風に言う。

 先ほど、部屋からいつの間にか外にいた事を聞いたみくるは、信じられないと思っていた。

 あんなと凍矢がそう言う中、いつの間にかおしゃぶりを咥えたポチタンがそう言う。

 

「ポチポチじゃ分からないよ」

「あれ?その子、おしゃぶりなんて付けてたか?」

「そうですね…………この子、おしゃぶりをしているし、赤ちゃんですね。だからしゃべれないのかと」

「えっ?でもさっき………」

「普通に喋ってたんだけどな…………」

 

 ポチタンの言葉に、あんながそう言う中、凍矢はそう呟く。

 みくるもポチタンを見つめながらそう言うと、あんなと凍矢はそう呟く。

 部屋に居た時、普通に喋っていたのだから。

 すると。

 

「何らかの理由で赤ちゃんになり、しゃべれなくなった。今の推理でどうでしょう!探偵テスト合格ですか?」

「探偵テスト?」

「何?その探偵テストって…………?」

 

 みくるはそんな風に推理をする。

 何らかの理由で赤ちゃんの状態になってしまい、ポチタンは喋れないのだと。

 みくるがそう聞く中、2人が困惑してそう聞くと。

 

「その質問なら、簡単です!名探偵は、色々な事件を調べて解決し、人々を助ける!みんなのあこがれ!希望!わたしは、そんな名探偵になるために探偵テストを受けに来たんです!」

「そうなのか…………」

「名探偵ってすごいんだね!」

「よし!」

 

 みくるはそんな風に叫ぶ。

 みくるが名探偵を志す理由は、人々を助ける名探偵に憧れたからだ。

 凍矢とあんながそう言うと、みくるは好印象を稼げたと思ったのか、『100点』というプラカードを持って、ガッツポーズを取る。

 すると。

 

「ポチ!ポ~チ~!」

「え⁉︎」

「おしゃぶりが紐に…………⁉︎」

 

 ポチタンがそう言うと、おしゃぶりが消えて、紐が生成され、あんなにくくりつく。

 すると、次の瞬間。

 

「ポチ〜!」

「うわぁ〜⁉︎」

「ちょっと!」

「靴の代金…………!」

 

 ポチタンはそう叫ぶと、あんなを引っ張って連れて行く。

 それを見て、みくると凍矢はそう言う。

 一方、ポチタンに連れられたあんなはというと。

 

「ポッチ〜!」

「はぁ………はぁ………ハッ⁉︎…………お金はらってない!」

 

 ポチタンに無理矢理引っ張られ、あんなは息を切らしていた。

 あんなは、靴の代金を払っていない事に気づいて、そう言う。

 すると、みくると凍矢が追いついた。

 

「靴の代金、凍矢さんのも合わせて立てかえときました」

「ありがとう」

「それにしても、急にどうしたんだ………?」

「ポチポチ!」

 

 みくるがそう言う。

 あんなが履いていた靴の代金は、みくるが立て替えたのだ。

 あんながお礼を言う中、凍矢がそう呟くと、ポチタンはある場所を指差す。

 

「ここって…………」

「結婚式場?」

「何でこんなところに…………?」

 

 ポチタンが指さしたのは、結婚式場だった。

 それを見て、3人がそう呟き、結婚式場の中に入ると。

 

「ない!どこに行ったの⁉︎」

 

 1人の女性が、ロビーにある植え込みの中を探していた。

 すると。

 

「幸野さん。ありがとうございます」

「「花嫁さんだ〜!」」

「まあ、結婚式場なら居るよな」

 

 そこに、幸野という女性に話しかける花嫁がいた。

 あんなとみくるが目を輝かせて、凍矢がそう呟く中、花嫁は口を開く。

 

「もう…………あきらめます」

「「「えっ?」」」

「でも……」

「…………式に間に合いませんから」

 

 花嫁は浮かない顔でそう言う。

 あんな達がそんな風に呟く中、幸野さんがそう言うが、花嫁は時計を見つめながらそう言う。

 すると。

 

「たちゅ………けて」

 

 ポチタンはそんな風に呟いた。

 それを聞いたあんなと凍矢は。

 

「…………凍矢君」

「ああ」

 

 あんなと凍矢はそんな風に言うと、お互いに頷き合い、前に出る。

 

「あの!困っていることがあるなら、お手伝いします!」

「話を聞かせて下さい」

「えっ⁉︎」

 

 あんなと凍矢はそんな風に話しかける中、みくるは驚いていた。

 


 

 その後、あんな達は話を聞く事にしていた。

 

「あらためまして。わたしは、式場のスタッフの幸野です」

「想田まりです。実は式で着けるティアラがなくなったんです」

 

 ウェディングプランナーである幸野さちよと花嫁である想田まりはそう名乗った。

 それを聞いた3人は。

 

「「ええっ⁉︎」」

「失礼ですが…………そちらのティアラは?」

「1時からの式に間に合うように式場が用意してくれたんです」

「まりさんのと、形と大きさも、似た物をなんとか用意しました。これが、まりさんのティアラです」

 

 あんなとみくるがそう反応する中、凍矢は近くに金色のティアラが置いてあるのを見て、そんな風に聞く。

 凍矢の質問に対して、まりとさちよはそう答えて、さちよはある写真を見せる。

 その写真には、銀色と青を基調としたティアラを頭につけているまりが映っていた。

 

「お母さんも、結婚式でこのティアラを着けたんです。私も着けて、式をあげたかったんですが、この部屋から消えてて…………」

「突然消えるなんて…………」

「なるほど…………」

「はっ!まさか、これが本当の探偵テスト!」

 

 まりがそう説明すると、あんなと凍矢はそう呟く。

 そんな中、みくるはこの状況が探偵テストの一環であると思い込んでいた。

 すると。

 

「絶対に…………わたしが見つけてみせます!」

「みくるちゃん?」

 

 みくるがそんな風に意気込む中、凍矢はそう呟く。

 その後、部屋に男性1人と女性1人を呼んだ。

 

「どうしたの?よび出したりして」

 

 女性の1人が訝しむ様にそう言うと、みくるが口を開く。

 

「まりさんが最後にティアラを見てから、この部屋に出入りしたのはあなた方3人。この中に、ティアラをとった犯人がいます!」

「「「えっ?」」」

 

 みくるはそんな風に言うと、3人を指差す。

 それを聞いて、3人が困惑する中。

 

「まさか!ありえないですよ!」

「とりあえず…………犯人がこの中に居るのかどうかは置いておいて、それぞれの名前と、何をしていたのかを聞かせてもらえませんか?」

「で、ですよね〜…………」

 

 まりがそんな風に言うと、凍矢は助け舟を出しているのか、そんな風に言い、みくるは気まずい表情を浮かべる。

 この中に居るのは、まりとさちよ以外には、カメラマンの宇都見将太、まりの友人である藤井ともかの2人だった。

 宇都見とともかの2人は口を開く。

 

「ボクは花嫁さんを撮りに来たんだ」

「私は、まりにお願いがあって来たの」

「お願いって?」

「ブーケを、ともかのほうに投げてほしいって」

「あっ!ブーケトス!」

「そっ!花嫁さんが投げたブーケをキャッチすると、幸せをおすそ分けしてもらえるの!ずっとあこがれだったんだ~!」

 

 宇都見がそう言う中、ともかはそんな風に言う。

 ともかは、ブーケトスの際に、自分の方に投げて欲しいと頼み込んでいたのだ。

 あんながそう言うと、ともかはそう言う。

 それを聞いていた宇都見と凍矢は。

 

「お願いって、アリなんだ…………」

「それはそれでどうなんですか?」

「まり、OKって言ってくれたよね?」

「ともかが珍しく遅刻しないで来てくれたから、つい…………」

『うん?珍しく?』

「なるほど…………」

 

 宇都見と凍矢は、ブーケトスに関する癒着を見て、そんな風に呟く中、ともかがそう聞くと、まりはそう答える。

 それを聞いて、凍矢が違和感を感じて、みくるがそう呟きながらメモをとっていると。

 

「私は式の準備で部屋に出入りしていました」

「みんな、ここに来た時も今と同じ服装でしたか?」

「ええ、ティアラを隠せるようなものは、何も……………」

「そうですか…………」

 

 さちよは、準備の為に出入りしていた事を証言する。

 あんながそう聞くと、さちよはそう答える。

 そんな中、凍矢は。

 

『…………まりさんの話によると、ともかさんは遅刻の常習犯。友人の結婚を祝う為に、頑張って遅刻しない様にしたのなら筋は通ってる。でも、何だ?この違和感……………』

 

 凍矢は、先ほどから感じた違和感を考えていた。

 そんな中、みくるが口を開く。

 

「帽子………帽子の中に入れたとか?」

「はぁ?」

「たしか、このティアラ…………まりさんのとほとんど同じ大きさ。帽子…………いいですか?」

「あ、ああ」

 

 みくるがそう言うと、宇都見は困惑の表情を浮かべる。

 あんなは予備のティアラを持って、宇都見に近寄ると、そう聞く。

 宇都見は被っていた帽子をあんなに渡す。

 帽子の中に入れば、ティアラを持ち出せる可能性があるからだ。

 だが、結果は………。

 

「う~ん…………。入らない。これじゃ運べないよ」

「帽子よりも、ティアラの方が大きいな」

 

 あんながそう言うと、凍矢もそう言う。

 帽子よりもティアラの方が大きく、これだとバレる可能性が高い。

 

「ともかさんのバッグは?」

 

 みくるがそう聞くと、ともかはバッグを出して、見せる。

 ティアラと重ねて見るが……………。
 
「これも入らないよ」

「幸野さんのポーチも、サイズ的にティアラを入れるのは無理そうだな」

 

 あんなと凍矢はそう言う。

 実際、2人のポーチとバッグでは、ティアラを隠すのは不可能だからだ。

 すると。

 

「ありがとう……………。もう本当にいいんです。やっぱり…………ティアラはあきらめます」

 

 まりは、悲しげな顔でそう言う。

 それを聞いて、あんなとみくるは悲しそうな表情を浮かべる。

 そんな中、凍矢は。

 

『…………現状から、何かにティアラを入れて持ち運ぶのは不可能。だとすると、どこかに紛れた可能性もある。もしくは、盗むまでに隠すつもりなのか……………』

 

 凍矢はそう考えていた。

 あんなとみくるが部屋を出ようとする中。

 

「ごめん、もう少し聞きたい事があるから、先に行っててくれ」

「うん」

 

 落ち込むみくるをあんなが慰める中、凍矢はそう言う。

 あんなとみくるが部屋から出る中、凍矢はまりに話しかける。

 

「失礼ですが……………ともかさんが遅刻をしなかった日というのは、ありますか?」

「いえ…………本当に遅刻をしなかった事があまり無くて、珍しいなって……………」

「そうですか…………。あと、それと。ブーケトスの件は、どのタイミングでされたんですか?」

「えっと…………ともかが来てすぐにです」

「……………分かりました。ありがとうございます」

 

 凍矢はそう聞くと、まりはそう答える。

 ともかは遅刻の常習犯であり、今日の結婚式に遅刻をしなかったのが珍しいと感じていたのだ。

 そして、ブーケトスの件を話した。

 それを聞いた凍矢はそう言うと、外に出る。

 

『……………間違いない。犯人はあの人だ。だけど…………問題は肝心のティアラだ。持ち出すのが不可能なら、一旦隠したと考えるべきだろうが…………』

 

 凍矢はこれまでの証言から、犯人が分かったのだ。

 だが、肝心のティアラの場所が分からなかったのだ。

 考える中。

 

『そういえば、みくるちゃん、かなり落ち込んでたな。心配だから、様子を見に行くか』

 

 凍矢は、みくるがやけに落ち込んでいたのを見て、心配になって、様子を見に行く事にした。

 そんな中、みくるは噴水に座って、帽子やケープを脱いで、メモを見ていた。

 

「ティアラを持ち出した方法が分かれば、犯人が分かるはずなのに…………。その方法が分からない……………。私って………いつも………」

 

 みくるはそんな風に呟いていた。

 ティアラを持ち出した方法が分からず、壁にぶつかっていた。

 みくるが自分を責めている中。

 

「みくるちゃん………みくるちゃん!」

「あっ…………」

「大丈夫か?」

 

 あんなと凍矢がそんな風に話しかける。

 思い詰めた表情をしていたのもあって、2人は心配していた。

 

「分からないんです…………。これじゃ、まりさんを笑顔にできない。名探偵にだって………」

 

 みくるはそんな風に呟いていた。

 すると、あんなと凍矢が口を開く。

 

「どうして、名探偵になりたいの?」

「何か理由があるのか?」

「私も助けられたから…………」

「助けられた?」

「うん。今度は、私が名探偵になって、皆を助けたい!」

 

 あんなと凍矢がそう聞くと、みくるはそう答える。

 かつて、みくるも名探偵に助けられ、そこから名探偵を志す様になったのだと。

 それを聞いたあんなは。

 

「…………やっぱり、すごいんだね」

「えっ?」

「名探偵なら、ティアラを見つけてまりさんを笑顔にできるんでしょ?」

「ええ………きっと」

「だったらなろうよ、名探偵に!」

「でも…………」

 

 あんなはそう呟いた。

 みくるがそう反応する中、あんなはそう話しかける。

 名探偵になろうというあんなの言葉に、みくるが戸惑う中。

 

「…………きっとなれるよ」

「えっ?」

「それだけ悩んでいるのは、本気でまりさんを助けたいって思っているからなんだろ?」

「っ!」

 

 凍矢はそう呟く。

 みくるが反応する中、凍矢はそう言う。

 みくるが壁にぶつかっているのも、本気でまりさんを助けたいという気持ちがあるのだと、快斗は感じていたのだ。

 みくるが反応する中、あんなが口を開く。

 

「悩んでるだけじゃ、始まらないよ!一歩踏み出せば、答えはついてくる!『一歩の勇気が、答えになる』………だよ!」

「ポチ〜!」

 

 あんなはそう言うと、みくるの手を取る。

 ポチタンがそう答える中、あんなは口を開く。

 

「みくるちゃん、行こう!もう一度全部調べよう!」

「…………っ!はい!」

「…………大丈夫そうだな」

 

 あんなはみくるにそう話しかける。

 みくるは、憑き物が取れた様な笑顔を浮かべて、凍矢はそう呟く。

 すると、風が吹いて、みくるの髪を結んでいた片方のリボンが宙を舞う。

 そして、花壇の方に流されて、落ちる。

 それを見たあんなは。

 

「今日、二回目だ」

「二回目?」

「うん。さっきもね、みくるちゃんに会う前に、植え込みの中に落ちた女の子のリボンを探すの、手伝ってたんだ」

「そうだったな。植え込みの中に落ちると、なかなか見つからないからな〜」

 

 あんなはそう呟きながら、みくるのリボンを回収する。

 凍矢も先程の出来事を思い出して、そんな風に呟く。

 すると。

 

「……植え込みの……中……」

「……花……?」

「なかなか見つからない…………」

 

 3人はそんな風に呟いて、考えていた。

 すると、3人の中で、点と点がつながった。

 

「「あっ………!見えた!これが……答えだ‼︎」」

「犯人は………!」

「あの人だ!」

「これなら…………ティアラを隠す事が出来る!」

 

 3人はそう叫ぶ。

 犯人と、ティアラを隠した場所が分かったのだ。

 3人は頷くと、すぐに控え室の方に向かう。

 果たして、ティアラを盗んだ犯人とは…………。

 


 

 ティアラを捜索していた凍矢達は、ティアラのある場所と犯人が分かった。

 その後、あんな達は先程話を聞いた3人を控え室に集めたのだった。

 

「犯人が分かりました!」

「「「えっ⁉︎」」」

「一体、誰なんだ⁉︎」

 

 みくるがそう言うと、3人は驚愕の表情を浮かべる。

 そして、宇都見が犯人が誰かを聞く。

 それを聞いたあんなとみくると凍矢は。

 

「「犯人は……あなたです!」」

「今回のティアラの紛失…………犯人はあなたですね。想田まりさんの友人である藤井ともかさん」

 

 3人はそう言うと、ともかに指を向ける。

 犯人は、藤井ともかだと。

 それを聞いたともかは。

 

「やだな~。ティアラってポーチに入らなかったでしょ?外に持ち出せるはずがないよ」

 

 ともかは苦笑を浮かべながら、そんな風に言う。

 それに対して、あんな達は。

 

「ええ。ティアラはまだこの部屋にあるんです」

「「「えっ………⁉︎」」」

「確かに、あなたの言う通り、ティアラは持ち出せない。だとすると、どこかに隠すのが定石だ」

「あなたは、自分にブーケを投げてほしいってまりさんに頼んで、ティアラをブーケの中に入れた」

 

 みくるがそう言うと、凍矢もそう言う。

 2人がそう言う中、あんながブーケに近づくと。

 

「そして………まりさんからブーケを受け取った後に、ティアラを抜き取るつもりだったんだ!」

 

 あんながそう言うと、ブーケからティアラを取り出す。

 宇都見とさちよがともかに視線を向ける中、凍矢は口を開く。

 

「それに、あなたはミスを犯した。まりさんの話によると、あなたは遅刻の常習犯。遅刻癖というのは、睡眠不足や精神的な物も色々と合わさって、そう簡単には治らない。そして…………友人の結婚なら、まずは祝福の言葉をかけるのが普通です。なのに、あなたはブーケトスのお願いを優先した。ティアラを盗む為に。違いますか?」

 

 凍矢はそう言う。

 遅刻癖がそう簡単には治らない物である事、友人の結婚というめでたいイベントの中で、ブーケトスのお願いを優先した。

 それが、違和感となっていたのだ。

 

パチ……パチ……パチ……

 

 すると、ずっと黙り込んでいたともかが拍手をしながら立ち上がる。

 

「ふふふ…………やるじゃない。でも、一つだけ、大きな間違い…………いや、そこの(凍矢)と同じ言い方をすれば、大きなミスを犯しているよ」

「「えっ?」」

「どういう意味だ?」

「ボクは…………ともかではないんだ!」

 

 ともかは顔を上げると、悪人の様な顔になっていた。

 ともかがそう言う中、あんなとみくるがそう呟き、凍矢がそう聞くと、ともかはそう言って服に手をかける。

 服を脱ぎ捨てる様に腕を動かすと、そこに居たのはともかでは無かった。

 凍矢達の目の前にいたのは、男であり、薄緑の長い髪にシルクハットを被っていて、タキシードを着用しており、ドミノマスクを付けていた。

 その青年は、左手に薔薇を持ちながら口を開く。

 

「僕はニジー!怪盗団ファントムの………怪盗さ♪」

「怪盗団………ファントム…………⁉︎」

「怪盗団だと…………⁉︎」

 

 その青年は、ニジーと名乗り、そんな風に言う。

 みくると凍矢がそう呟くと。

 

「惚れ惚れする…………変装だったろう!…………いただくよ」

 

 ニジーはそう言うと、あんなとみくるの間に向かって接近する。

 そう呟くと、ニジーは2人の間を通った。

 

「あっ…………!ティアラが!」

「しまった………!」

「窓から逃げたのか!追いかけるぞ!」

 

 あんなは、自分が持っていたはずのティアラが消えていた事に気付いた。

 すると、窓が開く音がした。

 それに気付いたみくるがそう言う中、凍矢はそう言うと、窓から飛び出す。

 

「「えぇぇぇぇぇ⁉︎」」

 

 あんなとみくるが驚きの声を出す中、凍矢は周囲の物を使って、無事に着地していた。

 そして、あんなとみくるもニジーを追いかける事に。

 


 

 凍矢達はニジーを追いかけていた。

 だが、ニジーはかなり早く、距離が縮まらなかった。

 

「くっ…………!あいつ…………かなり早い!」

 

 凍矢はそんな風に呟いていた。

 凍矢はゲキレンジャーとして、様々な修行を行っていたが、ニジーのスペックの高さに驚いていた。

 すると。

 

「「うわぁぁぁぁぁ⁉︎」」

「えっ?あんなちゃん⁉︎みくるちゃん⁉︎」

 

 そんな悲鳴が聞こえてくると、凍矢は声のした方を向く。

 すると、凍矢の上空を何かが横切る。

 それは、ポチタンに引っ張られたあんなとみくるだった。

 ポチタンに引っ張られたあんなとみくるは、ニジーの進行方向の先にある空き地へと着地する。

 ニジーは、凍矢とあんなとみくるに挟まれる形になった。

 凍矢は2人の元に向かう。

 

「2人とも、いつの間に…………⁉︎」

「ティアラを取り返したかったから!」

「…………そうか」

 

 凍矢がそう呟くと、あんなはそう答える。

 あんなの答えを聞いた凍矢がそう呟く中、ニジーは逃げもせずに、やれやれと言わんがばかりに肩をすくめていた。

 

「…………困ったベイビーだねぇ」

 

 ニジーは揶揄う様な口調でそんな風に言う。

 それに対して、あんなと凍矢は口を開く。

 

「ティアラを返して!」

「一体何が目的なんだ⁉︎」

「できない相談だよ。このティアラには………『マコトジュエル』が宿っているんだもの」

「マコトジュエル…………⁉︎」

「何だそれ…………⁉︎」

 

 あんなと凍矢がそう叫ぶと、ニジーは2人の言葉を一蹴する様にそう言う。

 マコトジュエルという聞き慣れない単語に、2人が首を傾げる中。

 

「花嫁がティアラを大切にする想いが…………マコトジュエルを引き寄せたのさ」

 

 ニジーはそう言うと、ティアラに手を翳す。

 すると、ニジーの左指に、ティアラとは別の宝石があった。

 アクセサリーの形をしており、中心部には宝石が嵌め込まれていた。

 

「このジュエルを頂くのが、ボクたちの目的」

「なるほど…………ティアラはそのマコトジュエルとやらが宿ってたから狙われたのか………!それを盗んで、何をするつもりなんだ!」

 

 ニジーがそう言うと、凍矢はティアラが狙われた理由を察した。

 そして、マコトジュエルを盗んで、何を企んでいるのかと問うが、ニジーはその質問には答えなかった。

 

「それは秘密だよ。…………そうだ!ティアラの代わりに…………素敵なショーをお見せするよ!」

「……ショー?」

 

 ニジーはそう言う。

 ショーという単語に、凍矢が首を傾げていると。

 

「ウソよ覆え!出でよ、ハンニンダー‼︎」

 

 ニジーはそんな風に叫ぶと、手に持っていた薔薇をティアラに投げ刺す。

 すると、次の瞬間、マコトジュエルが黒く染められていく。

 そして。

 

「ハンニンダー!」

 

 そんな声と共に、怪物が現れた。

 その怪物は、ティアラの形をしており、ティアラから腕と足が生えて、ニジーと同じくドミノマスクとシルクハットを被っていて、マントを付けていた。

 その姿は、アルセーヌ・ルパンの要素が入っていた。

 

「「…………っ⁉︎」」

「何だあの怪物は…………⁉︎」

 

 それを見て、あんなとみくるの表情が恐怖で歪む中、凍矢はそう呟く。

 そんな中、ニジーが口を開く。

 

「ファントムが新たに開発した『ハンニンダー』さ!」

「ハンニンダー…………?あの怪物の名前か………?」

「さあ、ショータイムだよ、ベイベー!」

「ハン……ニンダー‼︎」

 

 ニジーはそんなふうに言う。

 怪物の名前が、ハンニンダーという存在である事を。

 凍矢がそう呟く中、ニジーは両手を広げ、舞台役者のように宣言する。

 すると、ハンニンダーは斬撃波を飛ばす。

 斬撃波が当たった木は、あっさりと真っ二つに折れた。

 

「当たったらひとたまりもない…………!」

「あぁ…………⁉︎」

「何とかしないと…………!」

「ああ…………!放っておけないな!」

「何とかって…………⁉︎」

 

 凍矢がそう呟く中、みくるは恐怖で体が震えていた。

 命の危険が目の前に迫っているのもあって。

 あんなと凍矢がそう言う中、みくるがそう呟く中、ニジーが口を開く。

 

「さあ…………探偵ごっこはおしまいだよ。怯える目が全てを物語っている。君は探偵じゃない。探偵気取りの真っ赤な偽物だ」

「……っ……くっ……!」

 

 ニジーはみくるの心を折ろうとばかりに、そんな風に言う。

 みくるは反論しようとするも、声が出なかった。

 唇が震え、必死に泣くまいと堪えているのか、目には涙が溜まっていた。

 すると。

 

「……………それは違う」

「何?」

「彼女はまりさんを助けたいと願い、彼女なりに必死に頑張っている。決して投げ出そうとせずに。人を助けたいという思いが、彼女を動かしている。そんな事が分からないのなら、アンタに彼女が探偵じゃないと断ずる資格はない」

「本物だよ!みくるちゃんは名探偵になるんだ!」

 

 凍矢はそう口を開く。

 そして、凍矢に続く様に、あんなもそう叫ぶ。

 それに対して、ニジーは。

 

「名探偵?…………流石にありえないよ」

「なれる!…………助けたいって気持ちがあるから!」

「みくるちゃんなら、きっとなれるよ。名探偵にね」

 

 ニジーはバカにする様に、声のトーンを下げてそう言う。

 それに対して、あんなと凍矢はそう言う。

 2人の脳裏には、みくるのある言葉があった。

 

『うん。今度は、私が名探偵になって、皆を助けたい!』

 

 それは、みくるの思いだった。

 それに対して、ニジーは口を開く。

 

「そこの彼はともかく、強がってるけど、君も本当は怖いんだろ?」

 

 ニジーはそんな風に言う。

 実際、あんなも恐怖の感情があったのか、手が震えていた。

 凍矢はあまり手が震えていなかった。

 

「…………そうだよ、怖い…………怖いけど…………ティアラを取り返したい!困っているまりさんを…………私も助けたい!みくるちゃん達と一緒に!」

「…………恐怖の感情を持たない人間なんていない。でも、こんな所で逃げるわけにはいかない。まりさんを助けたい気持ちは同じだからな」

 

 あんなと凍矢はそう言う。

 凍矢もまた、まりさんを助けたいと思っていた。

 それを聞いたみくるは手を差し出す。

 

「みくるちゃん…………!」

「一歩の勇気が…………!」

「答えになる…………!」

「うん」

 

 みくるとあんなはそんな風に話す。

 それを聞いて、凍矢が笑みを浮かべる中。

 

「見せてもらおうかな。その答えとやらを!」

「ハンニンダー!」

 

 ニジーがそう言うと、ハンニンダーはあんな達の元に向かう。

 あんなとみくるが手を握り合うと。

 

「「私達で…………取り返す!」」

 

 あんなとみくるはそう宣言する。

 すると、あんなのスカートのポケットから、懐中時計が飛び出してくる。

 それと同時に、みくるの胸元からも同じ懐中時計が出てくる。

 

「あっ…………!私のと…………」

「同じ…………?」

「同じ懐中時計…………⁉︎」

 

 それを見て、あんな、みくる、凍矢がそう反応する。

 あんなとみくるがその懐中時計を手に取ると、懐中時計は光り出す。

 

「ううっ…………⁉︎」

「何が…………⁉︎」

「プリキュアー‼︎」

 

 懐中時計から発せられる光が強くなり、ニジーと凍矢は腕で顔を覆う中、ポチタンはそう叫ぶ。

 すると、いつの間にか髪を下ろしたあんなとみくるは光のドレス姿になっていた。

 

「「オープン!ジュエルキュアウォッチ!」」

 

 2人がそう叫んで、懐中時計を投げると、懐中時計はペンダントのサイズから大きくなり、変身アイテムの様な状態になる。

 そのアイテムは、ジュエルキュアウォッチだ。

 2人は、いつの間にか現れたマコトジュエルをジュエルキュアウォッチに装填する。

 

「「プリキュア、ウェイクアップタイム!3!」」

「見つける!」

 

 2人はそう叫ぶと、ジュエルキュアウォッチの長針を3の部分に持っていく。

 すると、あんなの髪はオレンジ寄りの明るい茶髪がお団子型になりつつ、色がピンクのグラデーションがかかった紫色に変化する。

 みくるの髪も、小豆色のロングヘアーから紫のグラデーションが入ったピンク色に変化して、三つ編みとなった。

 目の色も、あんなは澄んだ青緑、みくるは神秘的な紫へと変化した。

 

「「6!」」

「向き合う!」

 

 2人がそう言って、ジュエルキュアウォッチの長針を6の部分に持っていく。

 長針が頂点に戻ると、2人の服装が変わっていく。

 みくるはノースリーブワンピースが包み、スカートが生成され、腰の部分に水色のリボンが付く。

 あんなは、チューブトップタイプのワンピースに身を包むと、みくると同様に、スカートが生成され、腰に黄色のリボンが付く。

 

「「9!奇跡の2人!」」

 

 2人はそう言うと、ジュエルキュアウォッチの長針を9の部分に持っていく。

 長針が頂点に戻ると、ブーツとニーハイソックスが生成され、オープンフィンガーグローブがつき、あんなは紫の、みくるはピンクのネイルが入った。

 

「くるっと回して………!」

「キュートに決めるよ!」

 

 2人はそう言うと、ジュエルキュアウォッチの長針を11の部分に持っていく。

 長針が頂点に戻ると、髪飾りとピアスが生成され、胸元に蝶ネクタイとネクタイが合わさった様な装飾が生成されると、ケープも生成される。

 ジュエルキュアウォッチが腰のキャリーに収まると。

 

「どんな謎でもはなまる解決!名探偵、キュアアンサー!」

「重ねた推理で笑顔でジャンプ!名探偵、キュアミスティック!」

「「名探偵プリキュア!」」

「私の答え、見せてあげる!」

 

 2人はそう名乗る。

 あんなとみくるは、プリキュアに変身したのだった。

 

「2人が…………プリキュアに…………⁉︎」

 

 それを見ていた凍矢はそう呟く。

 すると。

 

「ハンニンダー!」

「「はああああああああっ‼︎」」

 

 ハンニンダーが迫っており、あんなとみくるの2人は同時にジャンプをして、蹴りを入れる。

 ハンニンダーが吹き飛ばされる中、2人は着地すると。

 

「私……プリキュアって⁉︎」

「名探偵!私がなりたかった…………名探偵プリキュア!」

「ええっ、これが⁉︎」

「凄い…………!」

 

 あんなが戸惑う中、みくるは嬉しそうにそう言う。

 すると。

 

「あいつを狙え!ハンニンダー!」

「ハンニンダー!」

「凍矢君!」

 

 ニジーは、ガラ空きの快斗に攻撃する様にハンニンダーに指示する。

 あんながそう叫ぶと。

 

「ふっ!ハァァァァァ!」

「何っ⁉︎」

「「えぇぇぇぇっ⁉︎」」

 

 凍矢はハンニンダーの攻撃を受け流しつつ、カウンター気味に攻撃をする。

 それを見て、ニジー、あんなとみくるが驚く中、凍矢の腕にはゲキチェンジャーがついていた。

 

「心配すんな。俺も戦える」

「えっ⁉︎」

「凍矢さんも名探偵プリキュアに⁉︎」

「…………少し違うな。俺は獣拳使いだ」

 

 凍矢がそんな風に言う中、あんなとみくるはそう言う。

 それに対して、凍矢はそう答えると。

 

「吹き荒れろ、獣の息吹。ビーストオン!」

 

 凍矢はそう叫ぶと、ゲキチェンジャーのスイッチ部分を押す。

 すると、ゲキチェンジャーの内部に高次元圧縮されているゲキスーツが現れて、凍矢の頭部にはホッキョクグマの様なアーマーがつく。

 

「凍矢君の姿が変わった…………!」

「何ですか、それは…………⁉︎」

「凍てつき冴える氷の理性、フローズンブレイン、ゲキフロスト!」

 

 あんなとみくるがそう聞くと、凍矢はそう答える。

 凍矢は、新たなゲキレンジャーであるゲキフロストに変身した。

 それを見ていたニジーは。

 

「プリキュアだって……⁉︎……ヤツとは違う……新手か?それに…………あいつ…………あの男と似た拳法を使っているのか……………⁉︎」

 

 ニジーは小声でそんな風に呟いていた。

 ニジーの口調から、別のプリキュアがいる事、似た拳法を使っている者が居るのだと分かる。

 だが、この時の快斗達には聞こえていなかった。 

 何故なら。

 

「ハンニンダー!」

「来るぞ!」

「ダァァァァァ!」

 

 ハンニンダーが迫ってきており、快斗はそう叫んだ。

 ハンニンダーが回転しながら突っ込んでくると、3人はハンニンダーの攻撃を受け止める。

 

「「「うぅぅぅぅ…………!」」」

 

 3人はそんな唸り声を出す中、どんどん下がっていく。

 だが、ある程度下がると止まる。

 そして。

 

「「「ハァァァァァ!」」」

 

 3人はそう叫ぶと、ハンニンダーに蹴りを入れる。

 それを受けたハンニンダーは、大きく吹き飛ばされる。

 ハンニンダーが着地すると。

 

「その程度では倒せないよ!」

「ハンニンダー!」

 

 ニジーがそう言うと、ハンニンダーが再び迫ってくる。

 すると。

 

「行くぞ!キュアアンサー!キュアミスティック!」

「うん!」

「はい!」

 

 凍矢はそう言うと、ハンニンダーに向かっていき、あんなとみくるはそう頷く。

 

「ふっ!はっ!」

「ハンニンダー!」

 

 凍矢はパンチやキックを行い、ハンニンダーにダメージを与えていく。

 ハンニンダーは、反撃と言わんがばかりに攻撃をするが。

 

「ふっ!ハァァァァァ!」

「ハンニンダー⁉︎」

 

 凍夜は冷気を拳に付与すると、ラッシュをしていく。

 これが、激獣ポーラー拳だ。

 一方、凍矢がハンニンダーを抑えている中、あんなとみくるは。

 

「一歩の勇気が!」

「答えになる!」

 

 2人はそう言うと、顔を見合わせて、力強く頷いた。

 すると。

 

「二人とも!決めるぞ!」

「うん!」

「はい!」

 

 凍矢がそう言うと、あんなとみくるはそう答える。

 そして、ジュエルキュアウォッチを取り出すと、長針を11に合わせる。

 長針が元に戻る中、凍矢は構えをとる。

 すると、凍矢の目の前に氷でできた拳が生成される。

 

「「これが私たちの…………アンサーだあああああああ‼︎」」

「激技・氷氷弾!」

 

 2人はそう叫ぶと、光を纏い、ハンニンダーへと向かっていく。

 そんな中、凍矢はそう言うと、二人よりも早くハンニンダーに向かって、氷のパンチを飛ばす。

 ハンニンダーは、氷のパンチを受けて怯んだ。

 そして、光を纏った拳が、ハンニンダーの胴体を一瞬で貫いた。

 纏っていた光が消えて、ハンニンダーの反対側に着地したあんなとみくるは。

 

「「キュアット解決!」」

 

 そう叫びながら、決めポーズを取る。

 すると、ハンニンダーは光に包まれる。

 

「ハン……ニン……ダ………」

 

 力を失った声とともに、ハンニンダーは光に包まれ、霧のように消えていった。

 すると、光があんなの手元に向かうと、あんなの手にあったのは、マコトジュエルだった。

 

「ざっとこんなもんか」

「くっ………!今日は幕を下ろしておこう!」

 

 凍矢はそう呟く中、ニジーはそう叫ぶと、ボールを地面に叩きつけ、煙幕を出す。

 すると、ニジーは姿を消していた。

 

「いなくなった…………」

「逃げられたか…………」

 

 みくるがそう呟く中、凍矢はそんな風に呟いた。

 そんな中、それを見ていた存在がいた。

 

「あの男……………まさか」

 

 その謎の男は、そんな風に呟いて、その場から離れる。

 果たして、何者なのか。

 


 

 その後、結婚式場ではウェディングベルが鳴り響いていた。

 まりの頭には、あのティアラがあった。

 結婚式が行われる中、変身したままのあんな、みくる、凍矢は少し離れた屋根の上から見ていた。

 

「良かった…………式に間に合って」

「お二人とも、ありがとうございました!」

「私たちのおかげというか…………あっ!怪盗!」

「いや、本物のともかさんだよ」

 

 あんなが安堵の声を出す中、みくるはそう言う。

 あんなが照れ臭そうにそう言う中、視界にともかが現れる。

 また怪盗が現れたのではとあんなは思ったが、凍矢はそう指摘する。

 現れたともかは、本物だった。

 そして、まりさんはブーケを投げて、ともかがそれをキャッチした。

 それを見ていたあんなは、口を開く。

 

「あっ!私、帰らないと!誕生日パーティーが…………!」

「その事なんだけど…………」

「あの…………プリキュアになれたってことはテスト合格ですよね!1999年4月〜!とうとう私もキュアット探偵事務所の名探偵になったんだぁ!」

 

 あんなは、誕生日パーティーがある事を思い出し、そう言う。

 凍矢が何かを言おうとすると、みくるはそんな風に叫んだ。

 

「……1999年? またわけ分からない事を………」

「ポチ?」

「いやいや!今日は1999年4月2日、春です!ほら!」

 

 それを聞いたあんなは、訝しげな表情を浮かべると、そんな風に言う。

 そんなあんなに対して、みくるはそう叫びながらある場所を指差す。

 そこには、満開の桜があった。

 

「…………えっ?桜…………?私たちが居たのは……………2027年1月冬…………」

「…………言いづらいんだけど…………本当だ。俺たちは今、1999年に居るんだ…………」

「えっ?…………もしかして私達…………昔にタイムスリップしちゃったのおおおおおおおおおおおおーっ⁉︎」

 

 あんながそう呟く中、凍矢はそう言う。

 これが現実であると。

 それを聞いて、あんなはそんな風に叫んだのだった。

 


 

 そんな中、キュアット探偵事務所の近くの家では。

 

「この気配……………一体何だ?」

 

 その青年はそんな風に呟いていた。

 果たして、一体何者なのか。




今回はここまでです。
今回は、名探偵プリキュアと獣拳戦隊ゲキレンジャーのクロスオーバーです。
あんながいる2027年は、仮面ライダー電王と獣拳戦隊ゲキレンジャーが20周年を迎える年なので。
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