読者と作者の脳を破壊するブルーアーカイブ恋愛集 作:カンキツ蜜柑
私とお姉ちゃん……モモイは双子。性格は違うが、容姿とゲームが好きなことは同じ。
二人はいつも一緒。共に喜びを分かち合い、ゲームをして……
でも、恋人は二人では分かち合えない。
「ちょっと、モモイ!その技やめてよ!反撃できないじゃん!ズルだズル!」
「へっへ〜ん、これはちゃんとした技ですぅ〜」
「あっ、体力ゲージが!……むきぃ〜、負けたぁ〜〜」
「今回も私の勝ち〜!」
お姉ちゃんと彼、赤羽アオは格闘ゲームで遊んでいる。仲睦まじく、子どものように無邪気に。
彼はゲーム自体そんなにしない。どちらかというと、外で虫取りをしたりするような子。でも、お姉ちゃんのためにゲームをする。やりたいゲームは、彼女と一緒に遊べるまでに鍛え上げ、楽しませる。きっと、今やっている格闘ゲームも相当練習したのだろうことが普段からゲームばかりしているお姉ちゃんと試合になっているのを見てわかる。
「手加減してあげなよ、お姉ちゃん。お姉ちゃんはやり込んでるゲームだから勝てるのは当然だけど、アオくんはそこまでゲームが得意なわけじゃないんだからさ」
私はお姉ちゃんがアオくんと話しているところを見るとモヤモヤとしたものが浮かんでくる。
どうして、私じゃないの?
お姉ちゃんよりも私のほうが理解してるのに。アオくんのしたいことを一緒にしてあげられるのに。
好きなのに。
「大丈夫だよ、ミドリ。僕はモモイが楽しんでくれるだけで同じくらい楽しいよ?」
無邪気な笑顔。これは彼の本心だ。
私はそんな彼の純粋さが。
「そうだ!ミドリも一緒にやろうよ!見てるだけじゃなくてさ!モモイをぎゃふんと言わしてやろうぜ!」
優しさが。
「……うん」
好きなのだ。
「好き」
「……え?」
「あっ」
思わず口に出してしまった私。アオくんは意表を突かれたような、困惑したような表情を浮かべる。私の顔は、もう涙が出そうになっていた。幸い、お姉ちゃんには聞こえてなかっようで、呑気に次に遊ぶゲームを選んでいた。
少しの間、二人だけの気まずい空気が流れる。
「……ごめん」
彼は一言、謝った。とても苦しそうな表情で。
それを見た、聞いた私は部室を飛び出してしまった。
きっと、彼は辛かっただろう。自分の恋人の前で、妹同然に扱っていた人に告白された。これは自惚れじゃなくて事実、私は彼にとって大切な人の一人、そんな私を傷つけてしまう事が。
そうして、私は学校を離れ、D.U.地区をふらふらと歩く。ゲームをする気も何も起きない。
そんな私に、誰かからモモトークが届く。同時のタイミングで2人の人物から。
一人は、アオくんだった。モモトークの内容は『ミドリ、さっきのことはごめん。でも、僕にはモモイしかいないんだ。君の気持ちをないがしろにしてごめん。気付いてあげられなくてごめん』
謝罪。でも、直接話して謝ってもらうよりかはマシだ。きっと、直接謝られてたら、私の泣き顔を見られることになる。
「もう一人は……先生?」
先生からも連絡が来ていた。
『ミドリ、少し会えないかな?ちょっと話したいことがあって』
私は二つ返事で返し、シャーレに向かった。
「"やぁ、よく来てくれたね、ミドリ。適当にくつろいでてくれて構わないよ"」
先生は、「"飲み物取ってくるね"」と言って、奥へと消えていき、しばらくしてオレンジジュースとコーヒーを持って帰ってきた。
「"はい、ミドリ。オレンジジュース"」
「ありがとうございます、先生……それで話……とは?」
「"ミドリのことが心配になってね。……アオのこととか……さ"」
「……アオくんから聞いたんですか?」
私がそう返すと、先生は「"うっ"」と声を上げ、黙る。暫くして肯定する。
「"……二人のことに私が首を突っ込むのもあれだけど、何か私にできることがあったら何でも頼ってね"」
先生は……いや、先生も、お人好しだ。フラれた私のことを最優先に考える二人。
「私が勝手に自爆して、勝手に逃げただけなのに……」
思わず言葉を漏らしてしまう。そこから、一度ひねられた蛇口から水が出るように、私は自分の思いを暴露していく。
「私は……アオくんのことが好き。きっと、お姉ちゃんよりも先に好きだった……でも、お姉ちゃんを選んだ。わ、わたし、はっ」
思わず涙が溢れてしまう。先生はそんな私を抱擁する。
「わたし、わからない……何で、お姉ちゃんなの?何で、お姉ちゃんに告白したの?」
アオは『モモイに告白した』。
自分よりも子どもで、自分勝手で、誰にでも笑顔を向けることができる姉に。
劣等感。敗北感。私は、姉に劣っている。それは、彼が証明した。私は選ばれず、モモイが選ばれる。いくら双子でも、恋人は分けられない。
「わたしの、初恋、だった、のに……」
儚い、初恋が実らず、散った。そんな私を先生はただ優しく私を抱きながら頭を撫でる。まるで、母親が幼い子どもに接するように。
暫くして、私は落ち着きを取り戻す。
「……先生、ごめん」
泣き腫らした顔の私、先生のシャツが私の涙や鼻水で濡れているが、本人は気にしてない様子で、「"辛かったね"」や「"頑張ったね"」と言ってくれる。
「……話を聞いてくれて、ありがとうございます……少し、スッキリしました」
「"……それは、よかったよ"」
私は感謝を述べ、シャーレから出ようとする。
「"ミドリ、どこへ行くの?"」
先生は心配そうにこちらを見つめる。
「大丈夫です。この恋に決着をつけるだけですから」
この恋の終わり、私の初恋をホントの意味で終わらせる。
「"そう……頑張ってきてね。応援してる"」
「……ありがとうございます。行ってきます」
今度こそ、私はシャーレをあとにしてアオくんのいるゲーム開発部の部室へと向かった。
「……ミドリ」
部室の扉を開けると、そこにはアオくん一人しかいなかった。
「みんなは……?」
「みんなはいないよ。今頃、先生とご飯を食べに行ってる頃だよ」
いつもの明るい顔とは逆にどこか暗く、表情が硬い。
「……」
「私は……私は、アオくんのことが好き……でも、アオくんはお姉ちゃんの事が好き」
私の言葉に、アオくんは静かに頷く。
「私はアオくんをお姉ちゃんと同じくらい大切に思ってる」
「……だから、2人を傷付けたくない」
「私の想いが、今の関係を壊してしまうかも知れなくて」
「現に、今こうなってる」
「もう一度言うけど、私は傷つけたくないの」
「だから」
「ミドリ」
彼の静かで透き通った声が私の名前を呼ぶ。
「僕は、謝りたいんだ。君の想いに気づいてやれなくて傷つけてしまったことを謝りたいんだ。」
「アオくんが何か気に病むことはないよ」
「この話は私が次の回に向かうためのけじめだから」
そう、これはけじめ。
「だから、私を振ってほしい」
この恋を終わらせよう。
結果としては、やはり、惨敗だった。フラれちゃった。
でも、これで心置きなく2人を応援することができる。
この日、ミドリという一人の少女の初恋が儚く散ったことを、姉であるモモイは知らない。
モモイが、最後に自分の恋心に気付く概念。あれすごくいいと思うんですよ。でも、私は、恋心がありながらも既に手遅れなミドリってのもいいんじゃないかなって思うわけですよ。
先生の性別は決めてないです。男でも、女でもいい。ただ、底なしの母性と父性を併せ持った究極生物という認識さえ持ってもらえれば。
あと、アオは主人公というわけではなく、今回の話の登場人物、というだけなので、他の話を出すとしても、アオは登場しない可能性が高いです。(少なくとも他校の話を作るんだったら)
次、誰の話書くか、参考までにお願いします
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小鳥遊ホシノ
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便利屋68
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補習授業部(ハナコ視点)
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白州アズサ
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