ハッピーエンドを目指して   作:なか115

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第4話

 

4

 

 

 

 一方通行に通用するのは呼吸に関するもの。

 直接的な攻撃が通用しない以上、間接的な攻撃に頼るしかない。

 

 

「と、言うわけで! くらいなさい!! 即席電気風呂!!!!」

 

 

 そこら辺にあるレールを利用して、直径1キロ四方の巨大なレールの四角を作る。

 これを補助に、私の能力を解放。まるで電気の中に入っているように恐ろしい熱と電力で電気風呂の中身が満たされる!

 

 

 どう? 一方通行? これならもう参るでしょ?

 

 

 

 

「…………もういい加減、楽になれ」

 

 

 

 

 あっさり突破され、気がついたら追い詰められて楽にされました。

 そもそもこの作戦、相手が大人しくそこにいることが条件なのよね。レールの外に出られた瞬間、意味なくなったし。

 と、いうわけで。

 

 

『あ、またうんこマン・レディでち!! お茶でも飲んで行かないでちか?』

 

 

 行かないわよ!! のんびりなんてしていられない!! 私はまだ諦めない!!

 そして再び私は生き返る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私、考えた。

 あいつは結局、あの電気風呂も逃げることで突破してきた。つまり、効いてないわけではないのだ。

 問題はアイツが動くことなのだ。つまり、穴でも掘って落として電気風呂に入れたら逃げられねえんでないの?

 

 

 とりあえず、やってみました。

 

 

「…………………何やってンだ、オマエ?」

 

 

 なんと、穴掘ってる最中にアイツが来てしまった。

「コラ、まだ仕込みの最中だからあっち行け!!」と叫び穴掘りを継続すること数分。

 いきなりカチリとなんかへんな音と感触がして、気がついたら私はまたあの白い部屋。

 

 

『地雷を掘ってしまったみたいでちね。おめでとうでちうんこマン・レディ。初めての爆死でちよ?』

 

 

 なんで地雷なんて埋めてあんのよ!?

 しかも戦いもせずに死ぬなんて情けない。もしこれで生き返れなかったら私は自爆して死んだレベル5として語られることになっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 だったらもっと早くに走っていってマッハで作業を終わらせてアイツを落とし穴に落とす!!

 キオクを取り戻した瞬間、全力全開で走り、わき目も振らずに穴を掘る。その結果、一方通行が来る前に落とし穴を作ることに成功した。

 

 

「ハァ…………ハァ………オェ………。来た……わね……一方……通行!!」

「なァ……なンでそンなに疲れてンだよ? またそンなンで実験できんのかァ? また今度にするかァ?」

「うっさい!! 同情なんてすんなこの外道!! おら、かかってきなさい!!」

 

 

 やれやれ、と首を傾げつつも私の態度に疑問をもつ一方通行。

 ……よし、後一歩!! 後一歩でおまえは落とし穴に落ちる!!

 

 

「……なァ、この穴に俺は落ちた方がいいのか?」

「当たり前でしょ!! 落ちなさいよ!! 私がどれだけ苦労したと思ってんのよ!!」

「…………まあ、それがスケジュール通りだってンならいいけどよ…………つうか、おまえ妹達じゃなくてオリジナルだろ?」

「な……!! さすがの洞察力!! やるわね、一方通行!!」

「……個性ありすぎンだよ。つうか、落とし穴ってンなら穴くらい塞げ。なんでむき出しなンだよ?」

 

 

 答え:時間がなかったからです。

 結果:結局穴に入らなかった一方通行と戦って、結局また「楽になれ」やられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なんか戦うたびに酷くなってるみたいでち。もうちょっと作戦ってのを練った方がいいんじゃないでちか?』

 

 

 練ったわよ!! 練った結果がコレなのよ!! 

 

 

『うんこマン・レディは頭はいいんだけどバカでち。というか、要領が悪いでち』

 

 

 ムカツク!! って言うか、キオク取り戻す時間が遅過ぎるのよ!! もっと早くにキオク戻らないの?

 

 

『それはムリでち。運命が変わる選択肢が有るとき、うんこマン・レディは前世のキオクを得ることができるでち。この場合、ミサカ9982号にバッチを上げた後、取り返すかどうかが運命をわける選択肢でちね』

 

 

 ……あのプレゼントが運命を左右するなんて……さすがはゲコ太。

 あー、もう、そもそもチマチマやろうとするのが間違い!! 全力で挑んでやるわ!! 

 何回負けたって勝つまでやる!! 真正面からあのインケンもやし野郎を叩きのめしてあげるんだから!!

 

 

 

 

「もういい加減楽になれ」×10

 

 

 

 

『もううんこマン・レディにおかえりって言うのは飽きたでち』

 

 

 こっちだって死にたくて死んでるんじゃないわよ!! 

 

 

『うんこマン・レディ。無策過ぎるでち。そもそも実力で勝てないから小細工してたっていうのに……。神しゃま、眠たくなってきまちた』

 

 

 人が死んでる横で眠るな!! こら、目閉じるな!!

 しかし、そんな私の声を無視して神様(幼女)は画面から姿を消す。そして変わるチャンネル。現れたのは、犬神様だ。

 

 

『しかし、うんこマン・レディ。よくキミは心が折れないね。少なくとももう10回以上死んでるっていうのにまだやる気に溢れている。どうしてだろうね?』

 

 

 どうしてって……。そりゃあ、あの子タチをこれ以上失うわけにはいかないもん。

 どんなに繰り返すことになろうとも、私は諦めないわよ?

 

 

『私が言いたいのはそういうことではないが……。まあいいだろう。ところでうんこマン・レディ。一方通行の能力というのは、どういうものなのかね?』

 

 

 一方通行の能力? 聞いた話によると、熱や光、ありとあらゆるベクトルを操る能力だって聞いたけど……?

 

 

『つまり、詳しくは分かっていないと。知っているかうんこマン・レディ? 敵を知り、己を知れば百戦危うからずという言葉を? もう少し、一方通行を調べてみたらどうなのかね? 少なくとも、今のままでは勝機すら見えてこまい』

 

 

 あのね犬神様。私のキオクが戻ってから2時間足らずであの実験始まるのよ?

 そんな一方通行を調べる時間なんてどこにあるのよ?

 

 

『あるだろう。明日でもいい。9982号は間に合わないかもしれないが、それでも何人かの妹達は救える。このままではキミは悠久の死に苦しむことになる』

 

 

 …………は? それ、どういう意味?

 もしかしてさ、あの子を見殺しにして調べ物でもしてろって意味? それとも、調べ物し終わってからまた8月15日に戻るって意味?

 

 

『……フム。それが可能ならやってみるがいい。ただし、一瞬でも気を失えば、そこでキミの人生はセーブされる。当然人生のセーブポイントは一つだけ。上書きされた過去にはもう戻れない。不眠不休で戦ってみるかね?』

 

 

 セーブ? 人の人生をゲームみたいに言ってくれちゃって……。

 つまりさ、何らかの原因で意識を失うことがあれば、その次目を覚ました時からループが始まるって考えでいいの?

 

 

『ゲーム的な発想ならその通り。今まで運が良かったね。一方通行と戦っている最中に意識を失うことがあればそれでゲームオーバーだった。うんこマン・レディ、時には戦略的撤退も重要な戦術だ。このまま意地を張りつつければ、それこそキミは悠久の死に苦しむことになる』

 

 

 犬神様はクゥン、と鳴き声を上げた。

 ……冷たい言い方だったが、もしかして私のことを心配しての一言だったのかもしれない。

 私はこれまで、例外なく一方通行に殺されてきた。しかし、もしアイツがお遊びで私の足をちぎったりしてそのまま生かしたりすれば、そこで意識を失えば、私はずっと足を失くしたまま生きることになる。

 そうなったら私は耐えられるだろうか? まだ妹達を助けようと命をかけることができるだろうか?

 

 

 ……考えても仕方がない。でも、この『セカイ』の仕組みを知ってしまった以上、これまでのように無茶な特攻はできない。

 あの神様(幼女)はとんでもないことを平気で言い忘れる。本当に役に立たない幼女(神様)だ。

 …………………って、

 

 

「ねえ神様(犬)。私が意識を失わずに死ねば、また今日に生き返るのよね? その際の死に方って特に問われない?」

『死に方で生き返れるかどうか決まることはない。決めるのは、うんこマン・レディの生き返りたいと思う心だ。つまり、心が折れない限り例えどんな死に方をしてもまた生き返る』

「そっか…………」

 

 

 そっか。

 あった。あの子を殺さずに一方通行の情報を集める方法。

 繰り返せばいいんだ。今日を。8月15日を。

 

 

 9982号を気絶させてから私は実験現場に向かわずに一方通行や妹達の情報収集に当たる。

 その後、適当に一方通行にでもケンカ売って死ねばいい。そうすることで、また私は8月15日を繰り返せる。

 

 

 ただし、この作戦で一番重要なこと。それは、確実に死ぬこと。失敗すれば、妹達はきっとダレが死ぬ。そんなことはもう許されない。

 大丈夫。やれる。もう10回以上死んでるんだし、今更怖がることもない。……死に慣れるっていうのもどうかと思うけどね…………。

 

 

『うんこマン・レディ? 一体何を考えている?』

 

 

「ありがと、犬神様!! 私、頑張ってみる!! まずは一方通行の情報を探るわ!!」

 

 

『うんこマン・レディ!!』と叫ぶ犬神様を残し、私は走り出す。

 もう潜り抜けなれた扉を再びくぐるために。

 

 

 私は、何度でも生き返る。

 

 

 何度死んでも、きっとあの子達を人として、ただそれを目指して救ってみせる。

 

 

 彼女達がただ人として笑っている。そんな、ハッピーエンドを目指して。

 

 

 

 

 

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