【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第二章 プロローグ:ある(うら)らかな春の日に》

 駆はホノリア王宮の庭園で、王妃エレアノールとお茶をしていた。季節は春。庭園は、色とりどりの花々や木々に囲まれている。咲くのは、桜やチューリップや水仙。美しい。

 庭園の中央には、噴水(ふんすい)。水しぶきが太陽の光を反射して虹色に輝く。

 そして噴水の周りには、白いテーブルと椅子が置かれており、そこで駆とエレアノールはお茶を楽しんでいた。テーブルの上には、紅茶やケーキやサンドイッチなどが並んでおり、甘く華やかな香りが(ただよ)っていた。

 

「エレアノール様、この王宮はいつ建てられたのですか?」

 

 エレアノールは駆の向かいに座り、紅茶を優雅にすすっている。駆は彼女の美しさに見とれながら、歴史に関する話題を振った。

 

「この王宮は三百年ほど前、ルイス王の治世に建てられましたわ。それまで王家は、山の上にある古城に住んでいましたの。戦の多い時代でしたから。でも、古城は狭い上に、交通の面を始めとして様々な点で不便でしたわ。ですから平和な時代になり、新しい王宮が交通の要衝(ようしょう)であるこの地に建てられたのです」

 

 エレアノールは、ゴージャスな水色のドレスを身にまとっていた。ドレスは胸元が大きく開き、エレアノールの白く(やわ)らかそうな肌と豊かな谷間を(あら)わにしていた。

 彼女のウェーブのかかった銀色の髪は太陽の光を反射し、まるで月のように輝いていた。彼女の瞳は青い海のように()み切り、心を奪われるほどの深さも秘めていた。

 

「なるほど……その古城は今どうなっているのですか?」

 

 駆は、エレアノールの美しい容姿と豊満な胸に見惚(みと)れていた。

 

「今でも残っていますわ。(とりで)として、整備されているのです。(ふもと)に小さな街があって、観光客が訪れるので今でもそれなりに(にぎ)わっていますわ。わたくしも《エドアルト国王()》と何度か訪れたことがあります」

 

 駆はエレアノールを切なげに見つめがらも、興味深く話を聞いていた。エレアノールは駆の反応に喜びながら、ホノリア王国の歴史を続けて語っていく。

 

 

 

『あなたは、この国の歴史に興味があるのですか?』

 

 あの日エレアノールは、駆の目を見つめながら、優しく微笑(ほほえ)んだ。

 

『は、はい! 僕は、色々なことを学びたいと思っています。歴史には特に関心があります!』

 

 駆はエレアノールの微笑みに応えながら、真剣に答えた。

 それが二人の交流の始まりであった。

 

 

 

「ホノリア王国は、一八〇〇年程前に建国されましたわ。その頃、この大陸には多くの勢力が乱立割拠(らんりつかっきょ)していて、争いが絶えませんでした」

 

 駆は、上質な紺色のローブを身に着けていた。他に身にまとっているものも、普段より格式高く見える。

 

「そんな時代に、一人の英雄が現れました。《モンスターマスター》であった彼は、強力な魔物を従えて戦場を駆け巡り、次々と敵対者を滅ぼしていきましたわ」

 

 それら一式は、エルダリオン魔法学院の制服であった。

 

「そして彼が、初代ホノリア国王:アウグストゥスとなったのです」

 

 エレアノールは国王の妃であり、駆はただの冒険者。

 

「彼は、争いのない平和な世を作るため、ある法律を制定しました」

 

 《エルフの魔法学校を卒業した》というのは人間社会でそれなりに権威あることであった。

 

「モンスターマスターになれるのは、《国王や貴族のみ》という法律を」

 

 だが身分違いの恋は許されないだろう。

 

「こうして野心や叛心(はんしん)を抱くものもなくなり、平和な時代が訪れたのです」

 

「……でも、それは不公平ではありませんか?」

 

 思わず駆の口から、そんな言葉が飛び出した。

 エレアノールは国王の妃。身分の違いや社会の不条理。駆は色々なことを今の自分に重ね合わせてしまっていた。

 なぜエレアノールは、王族なのか。

 なぜエレアノールは、既に他の男の妻なのか。

 

「ええ、不公平ですわ……」

 

 エレアノールはそう言って、(さび)し気に微笑んだ。

 駆はその笑顔に、心臓が激しく鼓動(こどう)するのを感じた。

 二人の間に沈黙が訪れる。

 

「……駆、わたくしはあなたとお話するのが好きですわ。あなたはとても聡明で好奇心旺盛(おうせい)な学生。そしてわたくしに色々なことを教えてくれる教師でもあります」

 

 沈黙の壁を破る勇気を持っていたのは、エレアノールだった。

 

「駆……」

 

 エレアノールは駆の名前を呼んだ。駆はエレアノールを見つめる。

 

「はい、エレアノール様?」

 

「わたくし……わたくしは……」

 

 エレアノールは言葉に()まる。そして――

 

「……わたくしはあなたが好きですわ……」

 

 エレアノールはそう言って、駆の手を握った。

 駆の心は彼女の言葉と行動にまず驚き、そして直ぐに嬉しさに満ち(あふ)れた。

 エレアノールも駆に()かれていたのだ。

 

「エレアノール様……僕もあなたが好きです……」

 

 駆も出会ったその時よりずっと、エレアノールに心を寄せて来た。

 その想いを伝えたい。

 

「あなたのことが、大好きです。初めて会った時から、ずっと……」

 

 エレアノールの手を握り返し、言葉を重ねた。

 見つめ合う二人。

 

「駆……」

 

 互いの瞳に映る、その想いを確かめ合う。

 

「エレアノール様……」

 

 そして二人は互いに身を寄せ合い、顔を近づけて行くのであった……

 

【挿絵表示】

 




・あとがき

 という訳で、第二章スタートです。お楽しみいただけていたら幸いです(^^)

 次回は《来週木曜日(10月31日)》に投稿する予定です。夜9時10分頃になります。
 よろしくお願いします。

 高評価、お気に入り、感想など頂けると、嬉しいです(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)
 それでは、またお会いしましょう。
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