【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~ 作:北条 ゆう(いすわーる)
深い緑に覆われた森の中、傭兵団に守られた商人たちのキャラバン隊がゆっくりと進んでいた。
「歳を食ってるが、なかなかの美人だ。胸も大きい」
そんな一行を監視する者たちがいる。
盗賊団。彼らは森林地帯に潜み、木々の合間からキャラバン隊を油断なく見張っていた。
「確かに《
正確に言えば、品定めしていた。
「お前の言う通り、ボスの《元愛人》の代わりになるかもしれねぇ……よし、あの女捕まえるぞ。ボスに献上する」
「でもあのキャラバン隊、結構な警備体制ですぜ。いけますかい?」
年の頃も、容姿の雰囲気も、スタイルの良さも、幹部はボスの《元愛人》と今彼の視界に収まる《その女》に共通点があるように思えた。
胸元の開いた白いドレスに空色のマントをまとい、杖を持っている。僧侶だと一目で分かる《その女》。
美香子だ。
「……しゃあねぇだろ。ボスが不機嫌だったせいで、ボコボコにされちまった奴もいたしな。あいつ、しばらく寝たきりだぜ」
《ボスの元愛人》。彼女はボスに
先ごろ、彼女は盗賊団の
「そのうち俺だってとばっちりを受けるかもしんねぇ。一か
ボスの何人もいる愛人たちの中で彼女は一番の待遇で、ある程度は自由を与え、そこそこな暮らしをさせていた。
元愛人は攫われた当時は二〇代中頃だったというが、逃げたのは四〇代の中頃。二〇年近く囲っていた。当然子供もいた。愛人をとっかえひっかえし、その愛人が自分の子供を産むと
だが、よりにもよってボスが
「あのキャラバン隊が森を抜けて野営したら……奇襲でもかけるか……少しは油断してるだろ。あの女を捕まえたら、すぐにずらかる」
はっきりとは分からなかったが『駆け落ちかもしれない』『少なくとも元愛人はボスの元を離れたがっていた』と盗賊団の者は皆思った。
だが、ボスは『自分は魅力的な男だ』と自負していたので、元愛人に逃げられた、まして自分が
以来、
「略奪品は全部自分のものにしていい。それならお前らもやる気もでるだろ? 金持ち連中だ。短い時間でも、上手くやりゃあ実入りもあるだろうさ」
リスクとリターンが
現在盗賊団の幹部は二人だけ。暴行を受けた幹部は『お前は今日からただの
「離して! 離してよ!!」
「黙れ! 大人しくしろ! お前はボスのものだ」
「駆! サンチャゴ! レオンくん! 誰か助けて!!」
美香子は必死に抵抗したが、寝込みを襲われ、杖も奪われた状態では、
幹部は美香子を縄で
駆はレオンとミケの姿を目で必死に追い、走っていた。道を選んでくれているのだろうか? 駆が一人で森の中を駆け回っていた時とは違って、転ぶこともローブが引っかかって前に進めなくなってしまうこともなかった。
母はどこに連れて行かれたのだろうか? 何の目的で母は攫われたのだろうか? 母は無事だろうか?
駆の頭には時折そんな
今はレオン達に追いすがることが、美香子を助ける一番の近道と思ったから。
「駆さん、止まるずら。見つけたずら」
そして彼らは盗賊団のアジトに辿り着いた。
「あれが盗賊団のアジトか……」
歩みを止めたレオンは駆を制止すると、指を指した。その方向へと視線を向ける駆。目を細める。
見張りが二人ほど立っている。
「洞窟を改造してアジトにしてるのか?」
「たぶんそうずら。ミケは『あそこから美香子さんの匂いがする』と言ってるずら」
「ニャー!」とミケが応えた。
「ありがとう、ミケ、レオン」
駆は二人に感謝する。そして
「準備はいい? 突入するよ……!」
「ま、待って欲しいずら……! 駆さん。それは危険すぎるずら」
脇に
「どうしたの? 突入しないと、ママを助けられないよ?」
「おらも美香子さんを助けたいずら。でも駆さん、あの見張りをよく見て欲しいずら」
少し
「鎧兜に
「確かに……でもじゃあどうすればいいの? 洞窟に突入しないと、ママを助けられない」
苦悩の色が駆の顔に浮かんでいる。
数の暴力。レオンの言が正しいのは彼にも分かるが、だからといって母を助けることを
「裏口を探すずら。ミケ」
レオンはそう言って、ミケに
「きっとあるはずずら。グリーンヒルズ村にもあったずら。いざという時の逃げ道ずら」
駆とレオンはミケの後をついていく。
しばらくして、ミケがぴたりと足を止めて鳴いた。
「ニャー!」
駆とレオンはミケの向く方向を見る。小さな穴が見えた。大人一人が背を
周りの景色と
「これが裏口?」
穴まで行き、駆が呟く。
「そうみたいずら。ミケは『ここから匂いがする』と言っているずら」
レオンはミケに尋ねて、その返事を聞いて言った。
「じゃあ行こうか……魔法の灯りを少し暗めで進もうと思うんだけど、二人はどう思う?」
そろそろ自分が冷静な判断力を失っていることを自覚し始めた駆。レオンとミケに問いかけた。
「にゃー」
「おらも良いと思うずら。灯りがあれば
自覚出来ているということは、逆に言えば冷静な判断力が戻って来た証なのかもしれない。
かくして二人と一匹は、裏口から盗賊団のアジトへの進入を開始するのであった。
・あとがき
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それでは、またお会いしましょう。