【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~ 作:北条 ゆう(いすわーる)
城塞都市:ネヴァースプリングは、秘めたる緊張と静かなるざわめきに包まれていた。
「さて……どうする?」
ゲオルギオス辺境伯は
彼の視線は、遠く霧峰山脈の荘厳な山々へと向けられている。
「
しかし、今日彼の心を占めているのは、外敵の脅威ではなく、内政の難題だった。言葉は空気に溶け、未決の思索が書斎に満ちる。
ネヴァースプリングの城が誇る
城の門は金属製で、複雑な紋章が刻まれた巨大な扉が厳かに訪れる者を迎え入れる。城の塔は空に向かってそびえ立ち、その
「使節からは武器を取り上げておけ。たとえ儀礼用の武器であってもだ」
城内には王国の歴史を物語るタペストリーや絵画が飾られている。
天井は高く、壁には武具を象った装飾が施されている。
廊下は長く複雑に曲がりくねり、万一城内に敵の侵入を許しても、容易には落城しないように設計されている。
「よく来たな、我が
その厳かな城の一室にて、ベルギガ辺境伯ゲオルギオスは、国王の勅使たるアルフレッド王太子とその一行を迎えた。彼の目は冷ややかだ。場は、張り詰めた空気に包まれている。
「
ただ態度はさておき、勅使の話に耳は傾けていた。
「一つ。不当に市民を
封建制を強化し、
「――
軍事力を強化し、
「一つ。密かにならず者達を匿い、いやしくも忠誠を誓わせ、己が野望の手足としたこと」
クーデターを起こし、
「――
ゲオルギオス《国王》となる。それが彼の野望であった。
「随分と好き勝手に言ってくれるな……だがな我が甥よ、証拠はあるのか?」
しかし今や、その計画が露見してしまったのだ。
ゲオルギオスは苦虫を
嵐の前触れのように、その声が重苦しい沈黙を破った。
「ここにいる勇敢なる冒険者達ウォーリアーズの協力を得て、多数の物証、証人を押さえています……叔父上、覚悟を決めて王都へ出頭なさってください」
アルフレッドは力強く。その言葉からは、正義の決意が感じ取れる。
実際のところ、この事態は辺境伯の想定の範囲内ではあった。
だからこそ、城に入る前に武装を解除させるよう衛兵には厳命していたのだ。
ゲオルギオスはニヤリと笑みを浮かべていたが、
「この者たちを捕らえよ!! 王国の使者を名乗る
一行の中の黒髪の青年:桐島 駆の姿を見て、表情が固まった。
いや正確に言えば、
「おい! 武器は取り上げよと命じておいたはずだ!!」
彼の持っていた《鏡》を見て。
「《エルパッド》だ! あのエルパッドを早く奪い取れ!!」
だがゲオルギオスの発言を理解、少なくとも瞬時に理解出来たものはいなかった。
衛兵たちの中で、エルパッドが何なのか知る者は、ただの一人とて《いなかった》から。命令は、彼の期待に反して、混乱を招くだけ。
そしてそのエルパッドが、場の戦況を一変させる。
「し、しまったッ!!」
駆のすぐ近くに、全長三メートルはあろう巨大な物体が、突如出現した。
そして直後眩い光が、勅使一行の周囲を覆い――
「叔父上……いえ、逆賊ゲオルギオス! 覚悟なさい!」
その光が消えると、そこには――
「ホノリア王国王太子として、貴方を拘束します!」
《二〇人近く》の、《完全武装した》プラチナランク
「ホノリアの運命は、俺達クランの
ウォーリアーズと城の衛兵たちとの戦闘が繰り広げられている。金属製の武器がぶつかり合い、火花が散る。
「調子になるなよ、傭兵風情が! 我々が本当の戦いというものを教えてやろう!」
ウォーリアーズのメンバーたちを王城にテレポートさせたのは、駆であった。
魔動機の一種、スマホモドキの《エルパッド》にあらかじめ《転移の大水晶》を収納しておき、それを謁見の間でエルパッドから取り出し出現させたのである。
あとは転移の大水晶を、魔動機の扱いに慣れたアルフレッドが素早く起動。
宿屋で待機していた戦闘準備万端のウォーリアーズのメンバーを召喚し、アルフレッドや信彦達も彼らから武具を手早く受け取り、装備する。
「皆様、事前の
門番の目をごまかすために、エルパッドを《自撮りモード》にしておき美香子に持たせておいた。衛兵の隙を狙って、城内で駆の手に戻された。
「(団長やジェイク達クラン
謁見の間は、戦いの渦に飲み込まれていた。壁に掛けられた古のタペストリーが、剣のぶつかり合う音と共に揺れ動く。
盾を構えた信彦が、衛兵たちの
白髪交じりの黒髪が、戦いの熱気で舞い上がる。
「風の精霊よ、僕の声を聴いて。翼を広げ、空を駆けて。敵を吹き飛ばし、仲間を守って。ウインド! この戦場に嵐を!」
「くそ! 魔法使いか!! 奴だ! 奴を集中し――グハァァァッ!」
駆の手には、輝きを放つ魔導書。己が意思を持つかの様に、独りでに次々と
火炎、雷撃、突風。駆の魔法が敵を次々と撃退していく。
レオンは狩人としての技術を駆使し、弓矢で敵を一撃のもと仕留めていた。正確無比。
そして相棒たるミケ。ケットシーの変化術によって、普段の数倍の大きさに巨大化している。銅だけで三メートルはある。
ミケは敵に飛びかかり、その鋭い爪で引き裂いていた。
後衛の駆とレオン、前衛のミケ。見事なチームワークだ。
「(その間に、敵の増援を防ぐために、謁見の間に繋がる四つの通路を
ジェイクは、その筋肉質で細身の体を活かし、武術家としての技を駆使していた。
彼の動きは
彼の武器は、長年の修行で
「やるじゃぁねぇか……
戦いの中でも、ジェイクの皮肉屋としての一面は
一方、サンチャゴ。
彼は普段と同じく常に微笑んでいるような表情をしており、そのぽっちゃりした体型と相まって、彼の存在はこの戦場において不相応にも見える。
鋭い剣の
「あのな、本当の戦いってのは、お前ら宮仕えが思い描くような華やかな舞台じゃあねぇんだよ」
だがさるもの、彼も冒険者クラン:ウォーリアーズの一員だ。サンチャゴは突撃してきた槍の一本をヒョイッと身軽に躱す。彼はただの
衛兵に生まれた隙、そこを見逃さず、
「戦いは日常そのものなんだよ! 俺らウォーリアーズにはな! 出直してきな!!」
サンチャゴは戦場の各所で起こる小さな変化にも敏感で、戦況を有利に導くため、指示を下している。
彼の臨機応変な策には、敵の弱点を突くための罠や、仲間を守るための防御戦術も含まれる。
その戦術眼のおかげで、これまでの数多くの戦いで、ウォーリアーズは勝利を掴み取って来たのである。
「(数的
しかし名戦術家:サンチャゴといえど万能の神ではない。
「ふむ……今のところは順調のようですね」
クランの回復の要:美香子の身に危機が迫っていた。
・あとがき
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それでは、またお会いしましょう。