【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第二七話:秘め事 前編》

 年明けの初春。

 ゲオルギオスの陰謀を打ち砕き、その主だった残党の処置も終えて、ネヴァースプリングの居城は静寂と落ち着きを取り戻していた。

 城壁に(から)みつく(つた)(しも)(おお)われ、その緑は白銀の世界に溶け込んでいる。

 

「美香子、君とこうしていられる時間は、私にとってかけがえのない宝物だ」

 

 城の中では、暖炉(だんろ)の炎が(おど)り、その温もりが厚い石壁を通じて部屋全体に広がっていた。そんな暖かな一室で、アルフレッド=ヴァレンタインと美香子は互いに身を寄せ合い、密やかな時間を過ごしていた。

 

「わたしたちが一緒にいられる時間は短い。でもヴァレンタイン、あなたと共にいられるこの時は、わたしにとってもかけがえのないものよ」

 

 口づけと共に、甘い言葉を交わし合う。

 二人はウォーリアーズや城の衛兵たちの目を盗んで、密会を繰り返していた。

 頻度(ひんど)もそう多くなく、時間も短いものであったが、それはウィンターウッドの街で結ばれた秘めたる情熱をより確かなものに変えていった。

 

「ちゅっ……ちゅぅ……(信彦さん……駆……ごめんなさい……)」

 

 (くちびる)が触れ合うたび、美香子の心は甘い痛みで満たされる。彼女は家族愛と恋愛が交錯(こうさく)する複雑な感情を抱えながら、恋人の温もりに身を委ねていた。

 

「ぷはぁ……はぁはぁ……美香子、実は近々ウォーリアーズの皆を王都に招待したいと父上、エドアルト陛下は考えておいでだ」

 

 ひとしきりキスを楽しんで後、ヴァレンタインは美香子の瞳を見つめながら、話を切り出した。

 

「春が来る頃には、凱旋(がいせん)パレードと祝勝パーティを開催する予定だ。君たちの勇気と力を讃えるために。多くの人々をクーデターの魔の手から救ったウォーリアーズを祝うのは、国王の義務だろうとね、お考えみたいだ」

 

「それは……素晴らしいわ。信彦さんも駆も、クランの皆もきっと喜ぶわ」

 

 二人は互いの手を取り合い見つめ合う。

 美香子の黒髪が(やわ)らかな光を反射して、茶色に染まる。

 

「(ごめんね駆……ごめんなさい、信彦さん。罪悪感は感じるけれど……今この時を生きていけるのは彼に命を救われたおかげだから……)」

 

 城の外では、雪が静かに降り積もる。

 城内一室での密やかな逢瀬(おうせ)を終えて、二人はそれぞれの居場所へと静かに戻って行く。

 

 

 

 ゲオルギオスの死によって、ベルギガ辺境伯の地位は空席となった。

 ヴァレンタイン王太子は国王の代官として、辺境伯領の統治を任されている。そして、駆達ウォーリアーズの面々も王太子の協力のためネヴァースプリングの街に滞在し、治安維持や魔物討伐などの任務を担っていた。

 

『美香子、私たちホノリア王家は君と君の家族に、パーティ用のドレス・礼服を贈りたいと思っている。ウォーリアーズを代表する君たちに。受け取ってもらえるかな?』

 

『本当? それはとても光栄なことだわ。信彦さん達もきっと喜ぶ』

 

 一室での一幕。

 ヴァレンタインはパレードとパーティの開催を、他のウォーリアーズ面々より一足早く美香子に伝える際に、同時にそのようなことも言い添えていた。

 彼は微笑みながら続ける。

 

『それは良かった……それでね美香子一足早くなるんだけど、君のドレスを《王都》で一緒に選びたいと思っているんだ。どうかな?』

 

 それはデートのお誘いであった。

 

『君がパーティで(まと)うドレス姿を想像するだけで、私の心は高鳴る。受けてくれるね?』

 

 (ほお)を赤く染める美香子。

 ただ心配そう。

 

『その提案は(すご)く嬉しいけど……でも、信彦さんや駆に、皆に秘密のうちに王都に二人だけで行くことなんて出来る?』

 

 ヴァレンタインはそんな彼女の髪を優しく()でて、

 

『大丈夫、何とかなるさ。今こうやって君と私が会えているように』

 

 美香子は、ヴァレンタインの胸に顔を寄せた。抱きしめ合う。

 二人はしばらくの間、互いの温もりを感じながら、未来のことを夢見た。

 美香子は美しいドレスを選べることを心待ちにし、ヴァレンタインはドレスを纏った美しい美香子を見られることを心待ちにしていた。




・あとがき

 お楽しみいただけていたら幸いです。

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 それでは、またお会いしましょう。
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