【第四章 完結】異世界かぞく! ~人妻と不倫(こい)するNTR冒険譚~   作:北条 ゆう(いすわーる)

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《第三三話:それぞれ 後編》

 パーティの一角で、美香子とエレアノールは楽しげに談笑していた。豪華なシャンデリアの光が二人の姿を煌びやかに照らし出す。さながらスポットライトかのように。

 

「美香子さんとエレアノール王妃、どちらがより美しいと思う?」

 

 その光景を見つめる上流階級の青年二人が、少し離れた場所で話し合っていた。

 一人の青年が問いかけると、もう一人の青年は少し考え込んだ。

 

「それは難しい質問だな。美香子さんは温かな笑顔が魅力的だ。まるで春の陽光のように」

 

 彼女たちの笑顔と優雅な振る舞いは、彼らを魅了していた。

 

「エレアノール王妃も優しさ溢れる気品が際立っている。深い湖のように静かで美しい」

 

 二人はしばらくの間、美香子とエレアノールの姿を見つめながら、どちらがより美しいかを語り合っていた。

 

「美香子さん、あちらの青年たちが私たちに興味を持っているようですわ」

 

 パーティ会場の一角で談笑していた美香子とエレアノール。ふと、エレアノールは二人の青年がこちらを見つめていることに気づいた。彼女は美香子にそっと耳打ちした。

 

「彼らをこちらにお招きしましょう。きっと素敵な《盾》になってくれるわ」

 

 美香子は驚きながらも、エレアノールに同意の微笑みを返した。

 二人は視線を合わせ、優雅に振り向いて青年たちに笑顔を向けた。

 青年たちは互いに顔を見合わせ一瞬驚きの色を見せる。そしてすぐに、二人に近づいて行った。

 

 

 

「お母さまが心配?」

 

「え?」

 

 駆は母の様子を見守っていた際にパーティで知り合った、金髪碧眼の中年女性:ルキア・アウレリア伯爵夫人と食事を取りながら交流していた。

 上流階級風の洗練された美貌の持ち主であり、少なくとも普段の美香子――紫のドレスを着ていない――と同じくらい胸も大きかった。歳は美香子より少し若そうに、駆には見えた。四〇代前半ぐらいかな、と。

 いずれにせよ、まぎれもない巨乳美魔女。

 

「それとも……王妃様かしら?」

 

 駆が驚いて反応すると、ルキアはさらに微笑みを深めて言った。

 水色に近いアクアマリン色のドレスを纏った彼女。波打つ金髪は、まるで黄金の波が揺れるように美しく輝いている。まさしく貴婦人。

 

「駆さん。勇気を出さなければ、何も変わらないわ」

 

 本来であれば、他の女にばかり気を取られ自分への対応がおざなりになっていることに、ルキアが不機嫌になっても仕方ないだろう。

 しかし彼女は、優しい眼差しを駆に向けている。

 

 

 

「美香子さん、あなたはまるで咲き誇る薔薇(ばら)のようです。そのドレスも、まるで花びらのように美しい」

 

 美香子とエレアノールが談笑していた青年の内の一人、王家の御用商人の子息:アレクサンドル・イワノフは美香子をそう()め添えた。

 

「よろしければ、一緒にダンスを踊っていただけませんか、《マダム》美香子?」

 

 美香子は自分の心が少し動かされるのを感じた。アレクサンドルは中々のイケメンで、その真摯(しんし)な眼差しに心が揺れる。

 

「美香子さん。せっかくの機会ですから、楽しんでください」

 

 青年は優雅に手を差し出し、マダムをダンスに誘った。

 

「はい……是非」

 

 エレアノールの後押しも受けて、決心した。

 マダムは奥ゆかしい微笑みを浮かべると、青年の手を取り、立ち上がった。

 

 

 

 駆とルキアは食事を取りながら、美香子とアレクサンドルの踊りを見つめていた。豪華なシャンデリアが煌めく中、二人の姿はまるで絵画のように美しく、会場全体がその光景に魅了されていた。美香子のドレスがふわりと広がる。

 アレクサンドルのリードに合わせて優雅に舞う彼女の姿は、まさに夢のようだった。

 駆はその光景を見ながら、美香子が自分の母親であること以上に、一人の美しい中年女性であり、イケメンの青年とお似合いのカップルであると、思わず感じてしまった。

 

「駆さん、あの青年は商人の息子です。《平民であっても》貴族であっても、この《社交界では花形になれる》のですよ」

 

 ルキアは駆に丁寧に説明してくれる。その言葉に駆は少し驚きながらも、納得したように頷いた。

 

「そうなんですね……」

 

 周囲の参加者たちも、美香子とアレクサンドルの二人を社交界の華と囁き合っていた。

 

「さて……次は王妃様かしら、お相手は……」

 

 ルキアが思わせぶりに言うと、駆は心の中で決意を固めた。彼は勇気を出し、ルキアに「すみません、失礼します」と言い残すと、エレアノールにダンスを申し込みに行った。

 

「頑張って」

 

 エレアノールの元に向かう駆の背中に、ルキアは温かい母親のような目線を送り、(つぶや)いた。その言葉は、駆の耳と心に深く響き、彼の足取りを一層確かなものにした。

 

「エレアノール王妃、もしよろしければ、僕と一緒に踊っていただけませんか?」

 

 駆は少し緊張しながらも、真剣な眼差しでエレアノールに問いかけた。エレアノールはその言葉に微笑み、優雅に立ち上がった。

 

「もちろんですわ、駆さん。喜んで」

 

 

 

 駆とエレアノールが互いの手を取り合い、踊っている。

 駆は緊張しながらも、エレアノールの手をしっかりと握り、リードしようと努力していた。しかし、彼の動きはまだぎこちなく、時折ステップを間違えることもあった。

 

「大丈夫よ、駆さん。わたくしに任せて」

 

 エレアノールはそんな駆を優しく、さりげなくアシストしていた。彼女の優雅な動きが駆のぎこちなさをカバーし、二人のダンスは次第に形になっていった。エレアノールの微笑みと温かい眼差しが、駆の緊張を和らげていた。

 

「黒髪の小僧めッ……!」

 

 駆はエレアノールの手を優しく握り、エレアノールも駆の手を優しく握り返す。

 

「美魔女が青年を優雅に導き、その成長を(うなが)す……美しいね」

 

 二人のダンスは美しく調和していた。

 

 

 

 パーティ会場の一角で、ルキアは親友(ママ友)――初対面の後、駆を応援したいと言っていた――と共に、駆がエレアノールと幸せそうに踊る様子を見つめていた。

 エレアノールの優雅な動きに導かれながら、駆は少しずつ自信を持って踊るようになっていった。

 

「あなたが踊らなくて良かったの?」

 

 ママ友がいたずらっぽく微笑みながら問いかけた。その言葉には、少しの驚きと好奇心が込められていた。

 

「順当にいけば、駆さんはあなたと踊ることになったでしょうに」

 

 ルキアはその言葉に微笑み返し、優雅に答えた。

 

「ええ、でも彼がエレアノール王妃と踊る姿を見るのも悪くないですわ。駆さんの成長を見守ることができて、私はとても幸せです」

 

 その言葉に、ママ友は納得したように頷き、再び二人のダンスに目を向けた。ルキアの瞳には、駆の成長とエレアノールとの絆が深まって行く様が映し出されている。

 

「わたくしは、ほどなく《五十路》になもなろうかという《四児の母》。女性としてよりも、人の母として駆さんを応援したくなったのです」

 

 ママ友はその言葉に一瞬考え込むも、『エレアノールは《既に五十路の五一歳》で《二児の母》ではないか』と直ぐに思い至ったが、

 

無粋(ぶすい)なことは言うものではないわね』

 

 とこれまた直ぐに心で思った。彼女はただ微笑みを浮かべ「そうね」と返し、再びエレアノールと彼女に()がれる駆とのダンスに目を向けた。

 

「本当に素晴らしいダンスでしたね」

 

 ダンスが終わると、駆とエレアノールの二人は向かい合って互いに微笑み合い、そしてエレアノールが礼をし、駆もそれに(なら)った。

 見守っていたルキアとママ友。ママ友は満足そうに微笑み言う。

 

「ええ。彼も無事一歩、大人への階段を上ったことでしょう」

 

 ルキアも同意の意を示した。

 ルキアとママ友はしばらくの間、駆とエレアノールの姿を見つめていたが、

 

「さあ、家族の元へと戻りましょうか」

 

 やがてルキアはママ友にそう言って、彼女と共に夫と子供たちの元へと向かった。

 まず子供たち、そして夫と再会した。ルキアとママ友は微笑みながら子供たちに優しく声をかけ、それぞれの夫の手を取った。

 彼女達は妻として、母親として、家族や親しい者達と共にパーティを楽しむことにした。

 パーティ会場の一角で、ルキアとママ友は家族と共に笑顔を浮かべながら、夜のひとときを楽しんだ。その姿は、参加者の人々の心を大いに和ませたのであった。




・あとがき

 お楽しみいただけていたら幸いです。

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 それでは、またお会いしましょう。
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